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JIROの独断的日記
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2011年08月07日(日) 「プロ」と「アマ」の境界。

◆何があったというわけではないのですが。

私の中では繰り返し考えていることなのです。

ブログでも何度か文章にしましたが、いつも書いている透り、

こんな、市井の一中年男の主張など、だれも覚えていません。

特に強調したいことは、何度も繰り返し書くことが必要です。



近年、プロとアマの境目が曖昧になっているように思います。

それは、見ていて不愉快です。


音楽とかスポーツに限らず、働いている人は全て、その職業に関してプロであります。

プロは、自分の仕事に関して、アマチュアよりも圧倒的に豊富な知識・技術・経験を

持っています。しかし、それは当たり前のことです。プロなのですから。

プロがプロでいられる所以は、「他が素人だから」です。

英語の格言とか諺というほどでも無い、決まり文句に、

Everything is relative.(全ては相対的である)

という言葉があります。

学生時代、NHKラジオ「英語会話」(東後勝明先生)の頃に覚えたのです。

後にイギリス駐在となったときに、イギリス人相手に会話の中で使ってみましたが、

誰もがしっている言葉のようです。


「プロ」という存在は「絶対的にプロ」なのではなく相対的なものです。

分かりやすい話にしましょう。プロの音楽家がプロとして食べていけるのは、

世の中の圧倒的大多数は、仮に楽器や声楽を少々たしなむ人でも、プロとは比べ物にならない

ぐらい「ヘタクソ」でいてくれるから、プロの存在価値があるのです。

誰もがオペラ歌手のように歌えたら声楽科の存在価値は無いし、全国民が

リストの超絶技巧練習曲をパラパラ弾けたら、プロのピアニストの存在価値はありません。



プロに対する結論。音楽に限らず、あらゆる職業に就く人は、

自分はプロだから、上手くて当たり前。高度な知識や技術を習得しているのが当たり前です。

プロがアマチュアに向かって、
どうして、こんなにヘタクソなのですか。

こんなこともしらないのですか?

と、言うことは勿論、そういう気持が、表情、口調、態度や仕草に現れては

いけません。


◆フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのプロ意識。

ずっと昔、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル(以下”PJBE”)

という金管アンサンブルが存在しました。

現在、金管アンサンブルは珍しくも何ともありませんが、

それはPJBEが道を拓いてくれたからです。

フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルは私の世代のラッパ少年にとっては、

あたかも「黒船」のような衝撃でした。一人一人の演奏技術の高さ。

聴いた事も無い、バロック以前の音楽(ガブリエリとかね)。

金管楽器の合奏が究極的に洗練されたときの表現力。

それは、全く新しい体験でした。


日本の楽譜出版社が比較的容易に版権を獲得できたのか、P.J.B.Eの楽譜が全国で売られ、

皆が、真似をしました。


当時、TBSで「オーケストラがやってきた」というクラシック音楽啓蒙番組を

毎週日曜、山本直純さんの司会で放送していました(10年つづきました)。

あるとき、広島(か岡山か記憶が不明瞭です)で収録があり、たまたま来日中だったPJBEの

特集になりました。


その中で地元の中学生の吹奏楽部の子供達(オーディションで選んだのでしょう。

かなり上手い方でした)が、PJBEの代名詞、「スザート舞曲集」から「戦い」を

PJBEがいる、正にそのステージ上で演奏しました。

この曲です(これは勿論、P.J.B.Eです)。


スザート舞曲集:「戦い」



スザート舞曲集:「戦い」



蛇足ながら、もっとP.J.B.Eを聴きたい方は、

どうして今までお薦めするのを忘れていたのでしょう。「フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル ルネサンス名演集」

をどうぞ。


さて、実をいうと中学生の演奏自体はあまり覚えていません。

私が非常に感動したのは、日本の子供の演奏を聴く、PJBEのメンバーの態度でした。

真剣そのもの。真摯で紳士的な態度。誰一人としてニヤニヤしたり、メンバー同士が目交ぜしてニヤリとしたり、

そういうことは一切ありませんでした。

P.J.B.Eは、自分達はプロであり、上手いのは当たり前であり、

日本の中学生が自分達のレパートリーを練習して一生懸命に演奏している。真剣に聴くのが、

プロのアマチュアに対する礼儀だという意識を端的に表していました。

あの映像が手にはいるものならば、皆さんに見せたくて仕方がありません。


◆アマチュアは、プロへの「敬意」を忘れてはいかん。

これは、音楽の分野を念頭に置いていますが、他の職業でも同様です。

アマチュア演奏家も、私が子供の頃に比べると信じられないほど上手くなりました。

色々と理論を勉強したり、作曲家に関する本を読んだり、

ときには、プロが知らない「作曲家のエピソード」をひけらかし、

プロが知らないと「え?そんなこともしらないのですか?」という無礼者が

いるようです。


楽器の演奏が少々上手かったり、知ったかぶりをしたくて仕方が無いアマチュアは

「所詮、自分はアマチュアであり、プロには次元の違う厳しさがある」ことを忘れては

いけません。アマチュア・オーケストラの「定期演奏会」でいくら大事なソロを間違えても、

職を失うことはない。生活に困ることは無い。



アマチュアが半年に一回の「定期演奏会」に備えますが、

プロは、3日に一度本番がある。どんなに難しい曲でもそれで、

お客さんに「カネを払っても聴きたい」と思わせる「商品」にしなければいけません。

プロは間違えてばかりだったら、「使い物にならん」と仕事が来なくなるのです。

職業とは、そういうものでしょう。その厳しさは、間違えても自分が恥をかくだけの

アマチュアとは、次元が違う。

アマチュアは、音楽家に限らずプロへの敬意を忘れるべきではありません。

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