JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆口幅ったいようですが、私がある音楽にハマるとこういうことになります。 普段、ブログを書き終えて寝るのが3時か4時なので、平日は3時間睡眠です。 ◆カッチーニのアヴェマリア。今日は「歌」だけ(過去と重複あり)。 カラヤンに認められて世に出た韓国のソプラノ、スミ・ジョー。 【音楽・映像】韓国のソプラノ、スミ・ジョー(Sumi Jo)がロ短調ミサの稽古でカラヤンに気に入られる瞬間。(ココログ) YouTubeからです。 Sumi Jo - Caccini - Ave Maria 見事です。カラヤンの前で歌った時に比べると、当たり前ですが、大変な貫禄ですな。 但し、うーん。好みの問題かな。冒頭の伸ばす音、そして全体的にヴィヴラートの周期が短すぎる。 今までご紹介した楽器の演奏を聴き直すとわかりますが、皆、もっとゆったりとしたヴィヴラートをかけている。 その方が、長い音が美しく聞こえます。 次は、一番最初に紹介した、ロシアのカウンターテナー、SLAVAです。 色々な作曲家の「アヴェマリア」ばかりを集めた、Slava Ave Mariaが音源です。 Slava Caccini Ave Maria Slava Ave Maria きれいですね。伴奏、シンセサイザーでは無い方がもっと良かったと思いますが。 次です。 以前一度載せました、日本の女性アカペラ「アンサンブル・プラネタ」の演奏。 アンサンブル・プラネタ「カッチーニのアヴェマリア」 カッチーニ:アヴェ・マリア 大変きれいですが、ソプラノの人、高音で如何にも声が細くて声量が乏しいですね。 次はイギリスのメゾ・ソプラノ、キャサリン・ジェンキンス(Katherine Jenkins)という人。 可愛いということで人気があるらしいですね。 音源はPremiereです。 キャサリン・ジェンキンス「カッチーニのアヴェマリア」 Katherine Jenkins Caccini Ave Maria メゾ・ソプラノなので、ソプラノに比べたら、やや華やかさに欠けます。 特別天才的に上手、ということはありませんが、まあ、良いでしょう。 伴奏が少し、凝り過ぎ。オーケストラに加えて、ピアノが「グノーのアヴェ・マリア」を真似て、 バッハの平均律クラヴィーア曲集第一巻の一番最初のような分散和音を弾き続けてますが、 ピアノだけにするか、オーケストラだけにするかどちらかで良かったと思います。 次は、日本では、「ヘイリー」で活動している人だそうです。今回初めて聞きました。 本名は、ヘイリー・ウェステンラ(Hayley Westenra)といい、アイルランド系ニュージーランド人です。 純・クラシックではなくて、クロスオーバーの人。 音源は オデッセイ です。 ヘイリー「カッチーニのアヴェマリア」 Hayley Westenra Caccini Ave Maria きれいな声です。惜しむらくは、キャサリン・ジェンキンスさん同様、伴奏がオーケストラで、 その伴奏の響きが厚すぎると思います。この歌は、シンプルにピアノ伴奏で良いと思うのです。 そもそもオーケストラをバックにソロを歌うというのは、本来オペラ歌手の仕事で、オーケストラに かき消されないだけの声量と良く通る声質を持っている人だけがやることなのです。 それから、この曲で一番盛り上がるところですが、最高音からの下降音型、6連符にしていますが、 必然性が認められません。さっきかきわすれましたが、スミ・ジョーも同じことをしていました。 8分音符のままで良いと思います。スミ・ジョーさんと同じアレンジを使っているようです。 次も初めて聴く方です。山田英津子さん。音源はCDでは入手できず、iTunes Storeです。 アヴェマリア-リミックス(←クリックするとiTunesが起動します)というアルバムで SLAVAと同じように色々な作曲家の「アヴェ・マリア」を集めています。 山田英津子さんは経歴がよくわからないのですが、どうやら桐朋の声楽科を出ているようですね。 オーケストラ伴奏でR・シュトラウスの歌曲を歌ったり、かなり本道を進んでいたようですが、 どういう方面に進んだのかよく分かりません。兎に角、お聴き頂きましょう。 山田英津子 カッチーニのアヴェマリア Yamada Etsuko Caccini Ave Maria とても良い演奏です。今までで一番上手い。きちんと声楽の勉強をした人であることが非常に良く分かります。 無駄な力が抜けているので、最高音の伸びがとても美しい。聴いていて心地良くなる演奏です。 残念なのは、前奏でおばけの声みたいなのが、 マリ〜ア・・・・ と二度も入りますけど、「アベ・マリア」を歌うことは分かってんですから、余計です。 これは誰のアイディアか分かりませんが、再版で修正できるなら、消した方が良い。 最後ですが、残念なことに2005年に38歳で夭逝された、故・本田美奈子(1967-2005)さんの演奏です。 もっと若い印象だったけど、私より7年しか年下じゃないのですね。若いまま亡くなったので、「若い」という 印象が強いです。 音源は、AVE MARIA です。 最初にお聴き頂きましょうね。 本田美奈子 「AVE MARIA」より「カッチーニのアヴェマリア」 本田美奈子 カッチーニのアヴェマリア この人は、とても「芸術的」なセンスがある。囁くように歌い始めますが、最初の音の発声の瞬間がはっきりしている。 そして、殆どストレートのロングトーンで次第にクレッシェンドし、最高音の、つまりこの曲で一番美しい所へ上昇音型を 歌うときのそのクレッシェンドの仕方とヴィヴラートの使い方が絶妙に美しく、最高音の声は澄み切っています。 これは、喉先で歌っていない。つまり、喉と全身の余分な力が抜けて、十分なブレスを持っているので、 聴き手が切なくて、胸が張り裂けそうな美しい響きになっています。 こういうテンポが遅くて、伸ばす音が多い曲は音程が悪いとすぐにばれますが、本田美奈子さんは、 耳が良かったと思います。それは同じアルバムに載っている、ヘンデルの歌劇リナルドの有名なアリア、 「私を泣かせて下さい」を聴いても明らかです。 カッチーニから外れるし、ファンに怒られるかもしれませんが、載せます。 本田美奈子:ヘンデル 歌劇「リナルド」より、「私を泣かせて下さい」 本田美奈子「私を泣かせて下さい」 このヘンデルが実に見事で、あまりにも感心したので、 記事にしました。エンピツにしか残っていませんが、 2005年11月10日(木) 【音楽評論】 本田美奈子演奏、ヘンデル作曲歌劇「リナルド」よりアリア「私を泣かせて」 本田さんが亡くなった6日後に書いたのですが、亡くなったから特別に持ち上げてかいているわけではありません。 私は、そういう評価はしない。純粋に音楽的見地から書いたのです。 よりはっきり書くと、まだ、発展途上なんです。完成された歌ではないです。 しかし、承知の方も多いでしょうが、本田美奈子さんは、アイドル歌手として、つまり「芸能人」としてキャリアを開始しましたが、 テレビのインタビューで アイドルではなくて、アーティストと呼ばれるようになりたい と、言っていたのを良く覚えています。ミスサイゴンなどミュージカルもやりましたが、 晩年行き着いたのは、クラシックでした。 「AVE MARIA」を録音した時点では、はっきり書きますが、 最初から声楽を勉強していた人に比べたら、声量・技術ともに劣るのですが、 クラシックの声楽、彼女はソプラノですが、女声(女性じゃないですよ)は、 ファルセットで歌うのです。 本田美奈子さんは、歌謡曲やミュージカルでは、地声だったのですから、その癖を一旦取り払って、 声楽の勉強をするというのは、ゼロから始めるより大変です。 それを勘案すると、このヘンデルは驚嘆すべきレベルです。 技術的なことのみならず、本田さんが、「私を泣かせて下さい」の曲の本質、このアリアが持つ、 「敬虔さ」をよく分かって歌っている。その芸術的なセンスが素晴らしい、と思いました。 だから記事にしたのです。 「AVE MARIA」に収録されている曲には随分難しいのがあります。 例えば、フォーレの「ペレアスとメリザンド」から「シシリエンヌ」は、音程が難しい。 耳が良くないと絶対に正確に歌えませんが、本田美奈子さんは非常に音程がいいんです。 録音だから修正が効くけれど、題名のない音楽会で歌うのを聴いて、この人は本当に耳が良く、 音程が良いことがわかりました。よくここまで勉強したと思います。 この先、勉強を続けたら、一層高い境地に達していた事でしょう。 カッチーニから離れて、「本田美奈子評」になってしまいましたが、 改めて聴いたら、感心してしまい、長くなりました。 それでは、皆様良い週末をお過ごし下さい。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2009年07月24日(金) 「国際数学五輪、日本2位=過去最高、副島さん総合トップ−物理も全員メダル」←どうして「良い話」を「小さく」取りあげるのか
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