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2005年07月24日(日) |
ロンドンで射殺の男性、テロと無関係←ロンドン市民「やむを得ない」 |
◆記事:ロンドンで射殺の男性、テロと無関係
【ロンドン=長谷川由紀】英ロンドン警視庁は23日、声明を発表し、22日にロンドン南部の地下鉄ストックウェル駅で警官が射殺した男性は21日の同時爆破テロとは無関係だったことを明らかにした。
なぜ射殺する事態になったかを調査しているという。
男性は22日、同駅近くで警察の監視下にあった民家から、地下鉄に向かったところを警官に追跡され、地下鉄の車両に入ったところで、取り押さえられ、射殺された。
一方、英捜査当局は22日深夜、ロンドンで21日に起きたテロに関連し、新たに男1人を逮捕した。
男は、ストックウェル駅近くの家宅捜索で拘束された。同事件を巡っては、22日、同駅近くで別の男1人が逮捕されている。(2005年7月24日1時57分 読売新聞)
◆コメント1:ロンドン警視庁「申し訳ないが、やむを得ない」
ロンドンでテロとは無関係のブラジル人の電気技師が殺された。
私は、世界の主だった国の警察・公安担当者に同情する。さぞや、毎日頭が痛いだろう。
7月7日のロンドンテロ以降、警備を厳重にせざるを得ない。
しかし、警備を厳重にするということは、極端に言えば「人を見たらテロリストと思え」という事だろう。
一番厳格にこれを実行したら、あらゆる繁華街で、検問、手荷物検査を行い、少しでも怪しい者は検挙する、ということになる。
まるで、治安維持法の世界である。
だが、そこまでは、とても出来ない、と判断して、「適当に」警備していて、また、自爆テロを実行され、死者が出たら、世論は「警察は過去の教訓を生かせないのか?」と勝手なことを云って責めるのである。
こういう勝手なことを云う傾向は、残念ながら、日本において著しい。しかし、英国では、だいぶ様子が違う。
BBCの見出しはこうなっている。
"Police chif sorry over death"(警視総監、誤射事件に遺憾の意を表明)
驚くほどあっさりしている。
警視総監のサー・イアン・ブレア氏は、
「ロンドン警視庁は今回の件につき、全面的に責任を認める。ご遺族に対しては、ただただ、深い遺憾の念を表する。」
とテレビのインタビューに答えているが、その後、続けてこのように述べているのである。
"Shoot to kill" policy for dealing with suspected suicide bombers would remain in force.(自爆テロの容疑者は射殺するという方針は、今後も変えるつもりはない)。
もしも、テロリストだったら、また、何十人も死んでいた。間違える事もあるが、やむを得ない。と、やや乱暴に要約すると、ロンドン警視庁のスタンスはそういうことなのである。
◆コメント2:視聴者投稿欄「今回の警察の行動を100%支持する」
これにも驚いた。
BBCの投稿欄を読むと、勿論、「ロンドン警視庁はいくら何でも、いきなり射殺する前に、本人が爆発物を持っているか、など、確認するべき事があったはずだ」という趣旨の、つまり、治安当局批判の意見もある。
しかし、日本人の感覚から見るとかなり驚くべき事に、
「警察がやったことは正しい。走って地下鉄に飛び乗った被害者は、(テロリストと間違われるような)紛らわしい行動を取ったのがいけないのだ」
「怪しい者は射殺するべきだ。もしも、本当のテロリストを逃がして、テロが実行されたら一人の死では済まないからだ」
という、警察を擁護する一般市民の発言が驚くほど多いのである。
こういう考え方が普通になっている理由の一つは、ロンドン市民は、長く、IRA(北アイルランド独立を目指すテロ集団)の脅威にさらされてきた、という背景にあると思われる。
テロに対抗するには犠牲もやむを得ないと割り切っているのだろう。
但し、私が一つ気になるのは、今回、間違って殺されたのがブラジルからの移民だということである。
もしも、これが、生粋のイギリス人だったら、果たして、英国国民は、同じ意見を述べただろうか?
◆コメント3:ほぼ間違いなく言えるのは、これが日本だったら、警察は必死になって隠蔽しようとしただろうということだ。
今回のことは、「間違えました」ですまされるべき事ではないのだが、それにしても、事実は事実として公表したロンドン警視庁の姿勢は正しい。
今朝、「昨日、射殺した人物はテロとは全く関係が無かった」というロンドン警視庁の記事を読んで非常に驚いた。
これが日本で起きたことなら、ただごとではすまされないから、警視庁は口が裂けても「テロと無関係の人を間違って射殺した」ことを認めようとしないだろう。
ひた隠しにして、何ヶ月か或いは何年か経ってから、結局、真相が明るみに出て大騒ぎになるだろう。
正直に事実を認めれば、どのようなミスを犯しても構わない、というわけではない。
しかし、少なくとも、隠すよりは遙かに健全である。
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