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2007年07月24日(火) |
「野村HDが損失726億円、米住宅ローン絡みで」←米国で問題になっている「サブ・プライムローン」を説明します。 |
◆記事:野村HDが損失726億円、米住宅ローン絡みで (7月25日21時58分配信 読売新聞)
証券最大手の野村ホールディングスは25日、米国での住宅ローン債権を担保にした証券事業で、
1月から6月までの半年間に726億円の損失を出したと発表した。
大半が低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」に絡む損失で、
野村は住宅ローン関連事業からの撤退など、米国での大幅な事業見直しを検討する。
日本の金融機関が同ローンの焦げ付きでの損失額を公表したのは初めてだ。
野村は、米国で住宅ローン会社からローン債権を買い取り、投資商品に組み替えて機関投資家に販売している。
05年8月からサブプライムローン関連商品を手がけていた。
昨年からサブプライムローンに焦げ付きが大量発生し、価値が下落したため、大幅な評価損と売却損を計上した。
1〜3月期に414億円、4〜6月期に312億円の損失を計上した。
ただ、4〜6月期決算では、投資信託事業の好調などで税引き後利益は前年同期の3・8倍の767億円とし大幅な増益だった。
◆解説とコメント:サブプライムローンとは、米国の(焦げ付く可能性が高い)住宅ローンです。
最初に結論を書くと、要するにアメリカで「バブルの崩壊」が起きているのです。
日本でも優遇貸出金利のことをプライムレートと云います。
銀行を初めとする金融業は、信用がおけるお客さん、つまり、貸したお金が返せなくなる心配が無い、あるいは、
その可能性が極めて低いと判断されるお客さんには、低い金利でお金を貸します。
反対に、焦げ付く(回収できなくなる)かも知れない人におカネを貸すときは、
高い金利を設定します(消費者金融を見れば良く分かりますね)。
アメリカのサブ・プライムローンは「サブ」(準)「プライム」(優遇)だから、最優遇の次に信用がある
顧客に対するローンかな?と思ってしまいます。
違うのです。
サブプライムローンの借り手は、過去にお金を借りて返済が滞ったり、返せなくなったりした個人への住宅ローンなのです。
サブプライムローン問題とは、昨年から、サブ・プライムローンを返済出来ない人が急に増えていることです。
不良債権が増えているのです。
◆アメリカの銀行は、何故、過去に問題を起こした人に融資したのか。
これは、バブル期の日本と同じです。アメリカでは過去数年間、不動産の価格がどんどん上がっていたのです。
だから、過去にお金の返済が遅延したり、滞ったりした(信用事故といいます)ことがある人にお金を貸し、その人が
返済出来なくなっても、不動産を担保に取っておけば、それらを売却して、債権を回収できる、と、アメリカの多くの銀行が
考えたのです。
そうしたら、昨年から、不動産価格が上がらなくなったのです。
日本の銀行の不良債権の相手(借り手)は住宅ローンの個人ではなく企業でしたが、原理的には全く同じ事です。
永久に上がり続ける相場など、存在しないのだけれども、地価・不動産価格は「まだ大丈夫だろう」と思ってしまったのです。
◆そうすると、何が問題になるのか?
土地の価格が上がらないのですから、サブ・プライムローンを供与していたアメリカの金融機関は、
担保の土地を売っても、貸付金が回収出来なくなる。即ち不良債権化します。
すると、金融機関は手持ちのキャッシュを確保するためにアメリカの株を売ります。金融機関の株を持っているアメリカの投資家も、
金融機関が潰れたら株は紙屑になりますから、そうなる前に売ろうとします。
こういう形でニューヨークで株価の急落が今年、何度か起きています。
さらに、彼らは日本株も持っていますから、東京市場でそれらをドーンと売られたらまずいです。
ニューヨーク→東京で株価が急落すると世界中に影響します。
◆野村HDは何故、損をしたのか?
日本の銀行や、証券会社自身がアメリカで直接住宅ローンの商売をしているわけではないのですが、
近ごろの市場というのはなかなかややこしくて、何でも証券化するのです。
サブプライムローンという「債権」を「債券(=証券)化」して市場で売り買いするのです。
記事にあるとおり、野村の現法は、サブプライムローンを買い取って、アメリカの機関投資家に売ったりしていたのですね。
また、自分も投資・投機対象として、証券化されたサブプライムローンを保有していたのでしょう。「含み損」云々というのだから。
サブプライムローンが不良債権になってきたので、価格が暴落する。
野村が資産として保有していたサブプライムローンは、当然、大きな含み損を生ずる。というわけです。
但し、726億円の損失は確かに大きいけれど、野村HDの今年3月期の決算書をみると、当期純利益が1750億円ですから、
この損失だけで、直ちに危ないということは無いでしょう。
◆他の会社はどうなのか。
この他に、直接自分がサブプライムローンを売買しなくても、それを含んだ金融商品をもっている日本の銀行なども、
サブプライムローンの価格が暴落すれば、同じく損失を被るでしょう。
それはそうなのですが、最近はそういうリスク管理をちゃんとやらないと、金融庁が業務改善命令とか出しますから、
サブプライムローンに限らず、何か一つの金融商品が大暴落しても絶対に金繰りに支障を来したり、
要するに潰れないようにするには、持ち高をいくらにするか、というようなことを、理数系の専門教育を受け、
かつ金融業務もわかっているような危機管理スタッフが、管理システムを作り監視しているので、大丈夫だと思います。
面倒くさい話になりましたが、何となくお分かり頂けたでしょうか?
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