外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
DiaryINDEXpastwill


2010年05月06日(木) 「デフォルト回避の唯一の方法は支援受け入れ=ギリシャ財務相」←ヨーロッパは非常に危険な状況です。

◆記事:デフォルト回避の唯一の方法は支援受け入れ=ギリシャ財務相(5月6日19時33分配信 ロイター)

ギリシャのパパコンスタンティヌ財務相は6日、議会で演説し、デフォルトを回避する唯一の方法は支援の受け入れだと述べた。

同相は「ギリシャがデフォルト(債務不履行)と破たんを回避する唯一の方法は、欧州のパートナーと国際通貨基金(IMF)から

資金を受け取ることだ。非常に単純なことだ。この資金を得るために、われわれは3年間の経済プログラムに同意しなければならない」と語った。

また、「われわれは、わが国にとって最後のチャンスであるプログラム実施の責任を負う」と明言した上で、

「われわれは、赤字を抱え、投機筋の攻撃の目標となっている国々に資金を要請している。

われわれは支援を提供してくれる国に、財政を立て直していることを確信させる必要がある」と述べた。


◆コメント:ギリシャは19日に国債償還期限が来るのです。

ギリシャの財務省が何故、こんな演説をしているか、というと、

ギリシャがEUやIMFの支援を受けるためには、EUの決まりである

ユーロ導入国は財政赤字を3%以下に押さえること

を実行しなければならず、つまり緊縮財政政策をとり、公務員の給与凍結など、

国民に負担を強いることを余儀なくされるのですが、ギリシャの一般大衆は、

自分達の国が置かれた立場がなかなか、実感として理解出来ないらしく、

ギリシャ政府の財政赤字削減策に反対して、公務員がストを決行したりしてるからです。

財務相は、「そんなことを云っている場合ではない。どうしてもEUやIMFの支援が必要なのだ」

と強調しています。


日本のGWの最中にEUとIMFがギリシャ支援策について協議しました。

そして、2日、ギリシャに対し今後3年間で1100億ユーロ(1470億ドル)の融資を実施することで合意しましたが、

EUの他の国も自分の懐具合がキビシイのを無理して、ギリシャ支援に回すのですから、それぞれの

国の首相、大統領や財務相は議会の承認を得なければならず、それに必ずしも全ての国が諸手を挙げて賛成、

という訳ではないのです。


しかし、兎にも角にもギリシャは今月償還期限を迎える国債があります。

つまり、借金返済の期日です。具体的には5月19日に約90億ユーロが必要なのです。

これが、支払えなければ、会社なら倒産です。ギリシャは国家ですから、企業のように

債務不履行になっても、消滅する訳ではないけれど、もしそうなったら、ギリシャの銀行は、

世界中の他の銀行からも短期金融市場で資金を調達出来なくなる。

出来なくなったら、資金繰りに行き詰まる。ギリシャの銀行が潰れたら、予想は出来ていても、

やはりEU全体の信用問題になるのです。他の国の健全な財務状況の銀行ですら、

資金繰りに窮し、そうすると先日書きましたが、システミック・リスクと言って、

全世界の金融システムが混乱し、リーマン・ショックの時のような金融危機が起きます。

2008年9月15日のリーマン・ブラザースの破綻は、リーマンは証券会社で、銀行間のおカネの

貸し借りとは関係無いのに、結果的に金融危機をもたらし、それが原因で世界中の景気が、

物凄い勢いで後退しました。もしもギリシャの銀行が破綻したら、それはリーマンに比べて

遙かに資産の規模は小さいでしょうが、金融危機がおとずれることは、ほぼ、間違い無い。

何としてもEU初の世界同時不況は避けたいですから、IMFもECB(欧州中銀)も、
ギリシャがデフォルト(債務不履行)になる心配はない。

と強調しています。


◆財政的にヤバい国が他にもあるのです。

ギリシャだけならまだしも、随分前から、スペイン、ポルトガル、アイルランドも、

財政危機にあることが分かっています。ギリシャですらこれほど問題になるのですから、

ギリシャより、ずっと経済規模が大きいスペインがデフォルトにでもなったら、

これは、金融恐慌です。


マーケット参加者は、ユーロを持っているのは危ないというので、対ドル、対円で、ユーロは暴落しています。

先日も説明しましたが、円高になるのは、日本の輸出企業にも好ましくない。

日本経済も、欧州金融危機とは無縁ではない、と思われているのです。

だから、6日の東京市場では、内外の投資家が日本株を売りました。

おかげで、東証では、日経平均株価が先週金曜日の終値から360円も下がりました。


ギリシャ支援だけでもこれほど、スッタモンダの大騒ぎになるのです。

スペインだのポルトガルがデフォルトするかも知れないとなったら、

世界同時不況の再来は間違いない。相当ヤバいです。


とにかく、ギリシャの労働者諸君は、政府が無能な所為だと云いたいでしょうが、

ギリシャが財政赤字を削減するしっかりとした方針を策定し、ギリシャ国民も

その状況を理解して貰わないと困るのです。

現地時間の5日、世界の2大格付け機関のひとつ、ムーディーズは、

ポルトガルの格付けを引き下げ方向で見直す

と発表しました。もう一つの格付け機関、スタンダードアンドプアーズは、既に4月に

ポルトガルの長期格付けを引き下げました。

うーん。どう見ても相当、危険な状況です。

EU、IMF、ECB(欧州中銀)はギリシャを支援する、と云ってくれているのですから、

ギリシャがそれを受け入れ、何としてもデフォルトは回避し、

ギリシャの銀行を潰してはいかんと思います。

勿論、スペイン、ポルトガルもです。


それは何故か?

同じ事を何度も繰り返しますが、銀行は世界中が一つのネットワークとして

機能しているからです。他国の銀行と資金のやりとりをしていないような小さい銀行は

さておき、ある程度の規模の銀行が破綻したら、それがどこの国だろうが、

世界の金融システムをパニックに陥れる事でしょう。


【読者の皆様にお願い】

是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。


2009年05月06日(水) 【音楽・映像】ストラヴィンスキー「プルチネルラ」(管弦楽組曲)。
2008年05月06日(火) 「死刑の瞬間を放送=53年前の録音−文化放送」←そんなもの聞くより本を読みなさい。
2007年05月06日(日) 「食料事情 世界的に悪化の懸念 需要急増や環境問題で」←日本の食糧自給率の低さは・・・。/【音楽】バッハ
2006年05月06日(土) 「<米国防長官>講演中にイラク戦争めぐり集中砲火受ける」←今頃になって怒り始めるとは・・・。
2005年05月06日(金) マスコミがJRを追い詰めすぎだ。運転士が緊張しすぎて却って危険だ
2004年05月06日(木) 「米大統領、虐待巡り国防長官を『叱責』 報告方法に不満 」虐待はいけないが、イラク武装勢力を殺害するのは構わないの?
2003年05月06日(火) 「人間、本当に悪くなると、他人を傷つける事にしか興味を示さなくなる」(ゲーテ)

JIRO |HomePage

My追加