JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事:デフォルト回避の唯一の方法は支援受け入れ=ギリシャ財務相(5月6日19時33分配信 ロイター) ギリシャのパパコンスタンティヌ財務相は6日、議会で演説し、デフォルトを回避する唯一の方法は支援の受け入れだと述べた。 ◆コメント:ギリシャは19日に国債償還期限が来るのです。 ギリシャの財務省が何故、こんな演説をしているか、というと、 ユーロ導入国は財政赤字を3%以下に押さえること を実行しなければならず、つまり緊縮財政政策をとり、公務員の給与凍結など、 国民に負担を強いることを余儀なくされるのですが、ギリシャの一般大衆は、 自分達の国が置かれた立場がなかなか、実感として理解出来ないらしく、 ギリシャ政府の財政赤字削減策に反対して、公務員がストを決行したりしてるからです。 財務相は、「そんなことを云っている場合ではない。どうしてもEUやIMFの支援が必要なのだ」 と強調しています。 日本のGWの最中にEUとIMFがギリシャ支援策について協議しました。 そして、2日、ギリシャに対し今後3年間で1100億ユーロ(1470億ドル)の融資を実施することで合意しましたが、 EUの他の国も自分の懐具合がキビシイのを無理して、ギリシャ支援に回すのですから、それぞれの 国の首相、大統領や財務相は議会の承認を得なければならず、それに必ずしも全ての国が諸手を挙げて賛成、 という訳ではないのです。 しかし、兎にも角にもギリシャは今月償還期限を迎える国債があります。 つまり、借金返済の期日です。具体的には5月19日に約90億ユーロが必要なのです。 これが、支払えなければ、会社なら倒産です。ギリシャは国家ですから、企業のように 債務不履行になっても、消滅する訳ではないけれど、もしそうなったら、ギリシャの銀行は、 世界中の他の銀行からも短期金融市場で資金を調達出来なくなる。 出来なくなったら、資金繰りに行き詰まる。ギリシャの銀行が潰れたら、予想は出来ていても、 やはりEU全体の信用問題になるのです。他の国の健全な財務状況の銀行ですら、 資金繰りに窮し、そうすると先日書きましたが、システミック・リスクと言って、 全世界の金融システムが混乱し、リーマン・ショックの時のような金融危機が起きます。 2008年9月15日のリーマン・ブラザースの破綻は、リーマンは証券会社で、銀行間のおカネの 貸し借りとは関係無いのに、結果的に金融危機をもたらし、それが原因で世界中の景気が、 物凄い勢いで後退しました。もしもギリシャの銀行が破綻したら、それはリーマンに比べて 遙かに資産の規模は小さいでしょうが、金融危機がおとずれることは、ほぼ、間違い無い。 何としてもEU初の世界同時不況は避けたいですから、IMFもECB(欧州中銀)も、 ギリシャがデフォルト(債務不履行)になる心配はない。 と強調しています。 ◆財政的にヤバい国が他にもあるのです。 ギリシャだけならまだしも、随分前から、スペイン、ポルトガル、アイルランドも、 ポルトガルの格付けを引き下げ方向で見直す と発表しました。もう一つの格付け機関、スタンダードアンドプアーズは、既に4月に ポルトガルの長期格付けを引き下げました。 うーん。どう見ても相当、危険な状況です。 EU、IMF、ECB(欧州中銀)はギリシャを支援する、と云ってくれているのですから、 ギリシャがそれを受け入れ、何としてもデフォルトは回避し、 ギリシャの銀行を潰してはいかんと思います。 勿論、スペイン、ポルトガルもです。 それは何故か? 同じ事を何度も繰り返しますが、銀行は世界中が一つのネットワークとして 機能しているからです。他国の銀行と資金のやりとりをしていないような小さい銀行は さておき、ある程度の規模の銀行が破綻したら、それがどこの国だろうが、 世界の金融システムをパニックに陥れる事でしょう。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2009年05月06日(水) 【音楽・映像】ストラヴィンスキー「プルチネルラ」(管弦楽組曲)。
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