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2008年05月06日(火) |
「死刑の瞬間を放送=53年前の録音−文化放送」←そんなもの聞くより本を読みなさい。 |
◆記事1:死刑の瞬間を放送=53年前の録音−文化放送(5月6日13時30分配信 時事通信)
AMラジオの文化放送(東京)は6日の報道特別番組「死刑執行」で、53年前に執行された死刑の瞬間が録音されたテープを放送した。
テープは大阪拘置所長だった故玉井策郎氏が、死刑囚の処遇改善などのため1955年に録音。
約55分間の番組では、死刑囚の氏名は伏せられ、執行2日前に面会した姉との会話や絞首刑執行時の音などが約10分間放送された。
死刑囚は姉に「泣かないで、笑って別れましょう」と語り、執行直前には刑務官と談笑。読経が響く中、刑場の床板が外れる音が放送された。
◆記事2:<死刑>テレ朝も執行前後のテープ放送(4月29日21時44分配信 毎日新聞)
テレビ朝日は29日、朝の情報番組「スーパーモーニング」で、死刑囚が刑を執行される前後の模様などが録音されたテープを放送した。
番組によると、テープは大阪拘置所長だった玉井策郎氏が1950年代に刑務官の教育用として録音。
死刑囚の姉との最後の面会や他の死刑囚との送別のお茶会、執行直後の様子などが収められ、その一部が放送された。
番組は「死刑制度を改めて検証するためにあえて公開した」と理由を説明。
さらに死刑のあり方について番組コメンテーターが議論した。テレ朝は92年、05年にも同じテープを放送している。
死刑執行の模様については、ラジオの文化放送も来月6日に放送を予定している。
◆コメント:視聴率・聴取率稼ぎのためには手段を選ばないのかね?テレビ局、ラジオ局ってのは。
時系列的には記事2のテレ朝が先で、4月の29日。同じテープを今日、文化放送も電波に乗せたそうだ。
なんで、こういう悪趣味なことをするの?
記事2にあるとおり、番組担当者は「死刑制度を改めて検証するためにあえて公開した」と言っているそうだが、バカを云ってはいけない。
音だけ聞いて何が検証出来るというのだ?故意に作成されたテープでは無いとどうやって証明できるのだ?
日本の死刑の方法は刑法で定めてある。
刑法 第十一条 第一項 死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する。
「死刑制度を改めて検証する」ためには、死刑の執行の一部始終を映像に記録して放映しなければ、検証したことにはならない。
(私はそんなもの、見たいとは、思わないけれどもね。)
要するに、テレ朝も文化放送もきれい事を言っているが、大衆の下司な好奇心を刺激して視聴率・聴取率を稼ごうとしただけだろう。
そういう下劣なことをするべきではない。
断っておくが、私は死刑存続論者である。人の命を邪な動機に基づき奪った者は、自らの死を以て罪を償うべきである。
ただ、こんなテープを聞くよりも遙かに死刑制度を良く知ることが出来る本を読むべきだと思う。
◆死刑囚も人間だ、という当たり前のことを教えてくれる本がある。それは読むべきだ。
加賀乙彦さんという作家がいる。元精神科医だが、普通の精神科医ではなくて、東京拘置所に長く勤務していた医師である。
何十人という死刑確定囚と実際に面談し、その様子をつぶさに記録してきた人である。
戦後、「メッカ殺人事件」といって、東大卒の正田昭(しょうだ・あきら)が人を殺して死刑になり、大騒ぎとなった事件がある。
加賀さんはこの人物のことも最初から最後まで見た。死刑になる瞬間、死亡を確認するところまで携わった人である。
それを小説にした。宣告(上)(中)(下)(←昔は(上)(下)だったんだけどね)という本である。
この本は、中途半端なテープなどよりも、死刑の本当の様子を遙かに克明に描写している(決してグロテスクではない)。
もう一度書くが、私は、今でも死刑制度に賛成である。
ただ、この本を読むと、世間からは「極悪人」「凶悪犯」「情状酌量の余地無し」で片付けられてしまう死刑囚にも、それなりの事情があったことが分かる。
盗人にも三分の理というが、まさにそれである。
「宣告」の主人公は正田昭をモデルにした別名の人物である。この男は確かに死刑になっても仕方がない。
それがわかっていても、読む進むにつれて、涙無くしては読めなくなる。この男も気の毒なことがあったのだ。
そういうことを知るのが、死刑制度を考える上で不可欠である。賛成するにせよ、反対するにせよ。
なお、加賀乙彦さんが、正田昭のみならず、他の死刑囚のことも観察・記録した、中公新書「死刑囚の記録」も、併せて読むと
死刑囚、死刑制度への知識・理解が深まると思うのでお薦めする。
せめて、宣告は読んでみて下さい。泣けますよ。
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