JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事1:東証大引け、1年半ぶり1万1000円台回復 (日経電子版 3/30 15:27) 30日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、2営業日ぶりに昨年来高値を更新した。 ◆記事2:失業率、横ばいの4.9%=求人倍率は2カ月連続改善−2月(3月30日8時38分配信 時事通信) 総務省が30日発表した労働力調査によると、2月の完全失業率(季節調整値)は前月と同じ4.9%だった。 ◆記事3:消費支出、7カ月ぶり減=2月の家計調査(3月30日11時0分配信 時事通信) 総務省が30日発表した2月の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は26万1163円となり、 ◆記事4:12カ月ぶり低下=2月の鉱工業生産91.3−経産省(3月30日13時0分配信 時事通信) 経済産業省が30日発表した2月の鉱工業生産指数速報値(2005年=100、季節調整済み)は、 ◆コメント:株価は上がっていますが、実体経済が好転しているとは言えません。 ごちゃごちゃと面倒臭い記事を引用しましたが、しばしご辛抱下さい。 株価だけを見ていると景気がよくなり始めたかの如く見えるが、経済指標を見ると、さほどでもない。 ということです。 あまり引用記事が上に増えると、読むのが面倒くさくなるので、載せませんでしたが、 今、日本経済における最大の問題は、物価が下がり続ける現象、即ち「デフレ(デフレーション:deflation)」が 止まらないことです。 経済指標でいうと消費者物価指数です。 先週の金曜日、3月26日、2月全国消費者物価指数を総務省統計局が発表しました。 全国消費者物価指数は、12ヶ月連続して前年同月比マイナスです。 ◆記事:2月全国消費者物価は‐1.2%、12カ月連続マイナス(3月26日9時36分配信 ロイター) 内閣府が毎月発表する月例経済報告というレポートがあります。日銀とは(建て前上は)別に、政府が日本経済の現状を どう見ているか、という公式の見解を述べるものです。3月15日に発表されたものが最新です。 これが3月分です。1ページ目に結論が出ています。 これを「基調判断」といいますが、3月の月例経済報告では7ヶ月ぶりに上方修正し、 景気は、着実に持ち直してきているが、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。 としました。その前まではどのような表現だったか。2月までは「着実に」が入っていなかっただけなのですが、 とにかく、ポジティブ(楽観的)な形容詞を追加したから「上方修正」です。 参考までに、月例報告の過去の基調判断をブルームバーグが一覧にしていますから、 リンクを貼っておきます。 月例経済報告:過去の基調判断(表) 政府は無理矢理、「景気は良くなっている」と大本営発表を繰り返しますが、 デフレが1年もとまらないのです。 ◆それに加えて、今日の数字。 故意に楽観的な表現を使いたがる内閣府の月例経済報告ですら、雇用情勢に関しては、 失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある と言わざるを得なかった。 今日、ごちゃごちゃしてますけど、朝、まとめて発表があったのです。
この順番で記事1から3を載せました。同じ雇用関係の統計でも、 完全失業率(正しくは労働力調査というのですが)は総務省。 有効求人倍率は厚生労働省が発表するのですが、この二つは一つの記事にまとめて書くのが普通です。 注意しなければならないのは、マスコミの報道は全国紙もテレビも、ロイター、時事通信、共同通信、などの通信社の 報道、特に見出しだけを見ると、ミス・リードされる(間違った印象をうける)場合が多いのです。 何故かしりませんが、各社ともに、あたかも政府の宣伝機関のような「ご機嫌取り」見出しをつけます。 例えば、 ◆失業率、横ばいの4.9%=求人倍率は2カ月連続改善−2月(3月30日8時38分配信 時事通信) ウソではないのですが、これだと分からないでしょう。 失業率は変わらなくても失業数は増えているのです。総務省のサイトには次のように表示されています。
完全失業率は確かに前月と同じく4.9%ですが、太字で示した部分をご覧になると明らかなとおり、 就業者数は25か月連続の減少 しているのです。また、 有効求人倍率は、求職者1人につき何人の求人があるかを示す数字です。 厚生労働省のサイトに、一般職業紹介状況(平成22年2月分)についてとして発表されますが、 これが、1.0を下回っているということは、職を探している人が、求人よりも多い、つまり、仕事に就けない人がいる、 ということで、統計を溯ってみると、2007年11月に初めて1.0を割り込んで以来、一度も1.0以上に戻っていない。 今日発表された、2月で31ヶ月連続して1.0を割り込んでいる。そういうときに、 有効求人倍率は2ヶ月連続の改善 とかくのは、確かにウソでないけれど(12月=0.43、1月=0.46、2月=0.47ですから。)、 0.5以下などという悪い数字で、前月から0.01改善したといっても、これを「改善」と見なすほどではないですね。 マスコミの見出しだけ飛ばし読みすると、このように、あたかも雇用情勢が改善しているかのような錯覚に陥るので、 私はなるべく、役所が発表した元の数字(それを精査することまではできませんが)を見ることにしています。 長くなるので、一言だけ触れるに留めますが、記事3の個人消費(GDPの3分の2を占めるのです)の低迷や、 このところ、改善が続いていた数少ない指標、記事4の鉱工業生産も、怪しくなっています。 「景気が最悪期を脱した」とか、「着実に持ち直しつつある」、 などと政府や財界団体のオジサンがアピールしますが、 私にはどう見ても、日本の景気が改善しているとは思えません。 今日株価が上昇したのは、多くの会社が明日決算期末で、2001年から日本では時価会計制度を 導入し、期末(多くの会社にとっては3月末)の価格で金融資産、株式なら株式を評価するのです。 買った時よりも期末の株価が高ければ含み益を、収益として計上するのです。 本当は、買った時よりも、期末の株価の方が高かった場合、その値で売ることができたら、実際の 利益になるのであり、含み益というのは、実際には売っていないのに売ったとしたら、これだけ差益が出た、 という数字を利益として組み込んでしまうので、何だか胡散臭い気が私はどうしてもするのですけれども、 とにかくそういう会計制度を採用せよ、とアメリカにいわれて、日本は「へいへい」というとおりにして、 それが続いているので、株を保有している企業は、決算を少しでもよくするために、実体経済もへったくれも 無関係に今日と明日は、無理にでも株価を上昇させたがり、今日は実際に成功しました。 あくまで、株価の「洗い直し」は明日が基準日ですから、明日もなんとか落ちないように、 みんな、必死で買い支えるでしょう。 という訳で、期末要因による株高であり、経済の実体は、依然として低迷しているのです。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2009年03月30日(月) 「在宅末期患者の容体急変、医師の車が『救急車』」←「小手先の対策」は意味が無い。
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