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2009年11月21日(土) |
【音楽】お薦めDVD。「ヤンソンス・ベルリンフィル・ヨーロッパコンサート・1991」 |
◆ヤンソンスのリハーサルをみてから1週間経ちました。
先週の金曜日にマリス・ヤンソンスと東京音大オケの公開リハーサルを見た話を書きました。
マリス・ヤンソンスのリハーサルを見学する幸運に恵まれました。(ココログ)
本当は、リハーサルの様子など、私の能力と知識では言語で表現できません。
映像で見ていただきたいのですが、何しろ東京音大の身内の催しですから、映像が市販されることはないでしょう。
当日、ヤンソンスが東京音大オケを指導したのは、ベルリオーズの「幻想交響曲」終楽章でした。
ヤンソンスがこの曲を演奏した市販の媒体(CD・DVD)が無いか探したら、ありました。
ベルリオーズ:幻想交響曲、ハイドン:驚愕、他 ヤンソンス&ベルリン・フィルです。
私も財布は空に近いのですが、どうしてもこればかりは欲しくなり注文しました。DVDでも約2,400円ですから、お買い得だと思います。
プログラムは、
・ハイドン:交響曲 第94番 ト長調 Hob.I-94《驚愕》
・モーツァルト:フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K.314 (285d)
・ベルリオーズ:《幻想交響曲》―ひとりの芸術家の生活のエピソード 作品14
です。1991年5月1日、ベルリン・フィルがトルコ、イスタンブールの聖イレーネ聖堂で行ったコンサートのライブです。
「幻想交響曲」以外の2曲ともに、親しみやすい音楽で、大変楽しい。お薦めします。
◆ハイドン交響曲第94番「驚愕」は、YouTubeで見ることができます。
このコンサートはハイドンの通称「びっくり」シンフォニー、即ち交響曲第94番「驚愕」で始まります。
私は若い頃、この「びっくりシンフォニー」という名前が嫌でロクに聴かなかったのですが、
最近改めて聴くと、愛らしさと、荘厳さと美しさを兼ね備えた、素晴らしい音楽であることが分かりました。
「驚愕」というニックネームの由来となった第2楽章をYouTubeから拾ってきました。
Haydn Symphony 94 G major 'Surprise' - Jansons Mvt 2
この楽章は、変奏曲になっている訳です。主題の一番最初の動機、
「ド・ド・ミ・ミ・ソ・ソ・ミ」
が如何にもハイドンらしいです。主題が反復されて、最後の音がフォルティッシモになっていて、
それがお客さんをびっくりさせるのですが、それだけではなくて、この当時の交響曲の定石からすれば、
第2楽章は、普通、もっと静かな音楽なのに、第4変奏(再生開始後4分14秒)になると、
トランペットやティンパニが加わり全オーケストラが音を出します。この「大袈裟」なところが、
当時の常識カラすれば例外的で、お客さんをびっくりさせたのではないかと思います。
理屈はともかく、指揮をするヤンソンスと、演奏するベルリンフィルの特に弦楽器の人たちの表情が、
実にいい。如何にも「慈しむ」という表現がぴったりです。技術的にはベルリン・フィルのみならず、
プロなら、この楽章は技術的には特に難しくないと思いますが、大事に大事に弾いています。
一方、フルート、オーボエ両氏の真剣そのものの表情。トランペット奏者の真面目そのものの表情もいい。
4分14秒以降の派手な部分は、ハイドンのユーモアではないでしょうか?
この楽章は、「ド・ド・ミ・ミ・ソ・ソ・ミ」で可愛らしく始まりますね。このように。
第2楽章冒頭
Haydn No.94 Andante Beginning
これが第4変奏では、トランペット、ティンパニまで参加して全オーケストラの大合奏になる。
第2楽章 第4変奏
Haydn No.94 Andante 4thVariation
大袈裟でしょ? ハイドンはふざけている訳じゃないけど、ユーモアの一種を何となく感じます。
◆ベルリオーズ「幻想交響曲」
これは、YouTubeを探しても、見つかりません。長いですしね。
それで、DVDを買ったのです。
音だけ聴いていただきます。
第4楽章 断頭台への行進
Marche au supplice
これは、多分生で聴いたらすごい大音量、迫力だろうと思います。
トランペット(本当はコルネットという楽器なのですが)が、マーチを景気よく吹いているところで、
よく聴くと、1人、バストロンボーンが低音を伸ばしています。低音でフォルテで、良く聞こえるというのは、
大変難しい。そういう名人芸もあるわけです。ここの楽章を聴くときは、トロンボーンの一番右に大抵座っている人の音も
よく聴いて上げて下さい。
そして、終楽章です。
第5楽章「サバトの夜の夢」(昔は「ワルプルギスの夜の夢」と言ってたんですけどね)
Songe d'une nuit du Sabbat
先週、リハーサルでヤンソンスが指示していたことは、この演奏と
ほぼ一致します。曲の最後に向かって、ヤンソンスは、かなり派手なクレッシェンドとアッチェレランドをかけていますが、
同じぐらいのことを東京音大オケに要求していました。
学生達は、ヤンソンス氏の要求に即座に対応できていた。今こうやってベルリン・フィルと聴き比べてみると、
大したものだと思います。
というわけで、このDVDには他に、ベルリン・フィル首席フルート奏者、エマニュエル・パユがモーツァルトの協奏曲を
軽々と吹いているのを聴いて、見ることができます。サブ・コンサートマスターは安永徹さんです。
お薦めです。
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