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2009年06月01日(月) |
「GMが破産法申請」←「悪材料出尽くし」で株が買われたが、それほど単純な話ではない。 |
◆記事:GMが破産法申請=米製造業史上最大の倒産−「国有化」で再建へ(6月1日21時9分配信 時事通信)
米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)は1日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用を
ニューヨークの連邦破産裁判所に申請した。3月末時点の負債総額は1728億ドル(約16兆4000億円)。
総資産は822億ドル(約7兆8000億円)で、米メディアによると、米製造業最大の倒産。
過去の米企業破綻(はたん)では、昨年9月の証券大手リーマン・ブラザーズなどに次いで、3番目の大きさとなった。
米政府は景気や金融市場への影響を最小限に抑えるため、301億ドル(約2兆9000億円)の追加融資を実施。
最長でも3カ月の破産手続きを経て誕生する「新生GM」を実質国有化し、スピード再建を実現する方針だ。
◆コメント:リーマンが破綻したとき、「超一大事だ」と書きました。
昨年9月15日、リーマン・ブラザーズが破綻したときに、私は、
「米証券大手リーマン、破産法適用申請へ」←三菱UFJか三井住友か、みずほが潰れたようなものです。超一大事です。(ココログ)
と書いた。厳密にはリーマンは証券会社で、三菱UFJ、三井住友は銀行だから、正しくないが、
その影響の大きさを理解して頂くには、メガバンクに喩えた方が分かり易いと思い、わざとそう書いた。
悪い予想が的中しても嬉しくないが、その通りになったでしょ?
リーマンが破綻してから、世界中で金融危機が起こり、それを発端(原因)として、日本を含む世界中の景気が、
見たこともないような速さで後退した。それは、日銀の白川総裁も度々行う講演で、繰り返し述べている。
日本銀行のサイトで講演・挨拶等:日本銀行を見る。例えば
1月27日 International Bankers Association(IBA) Information Forumにおける白川総裁講演(1月27日)の邦訳「国際金融危機の下での外国金融機関」
3.リーマン・ブラザーズ破綻以降の金融資本市場で白川総裁は、
リーマン・ブラザーズの破綻以降、世界経済や金融市場の状況は急速に変化しました。
現在、昨年第4四半期のGDPや鉱工業生産、輸出等の数字が発表されつつありますが、
崖から落ちるという比喩が正に当てはまるような急激な落ち込みが世界同時に生じました。
日本銀行も先週、先行きの経済見通しを公表しましたが、2009年度の成長率に関する政策委員会メンバーの予測の中央値は、
昨年10月末時点の0.6%から−2.0%に大幅に下方改定されました。
昨年秋以降の世界同時、かつ急速な景気の落ち込みの最大の原因は、昨年9月のリーマン・ブラザーズの破綻を契機とする
国際的な金融危機の高まりであることは言うまでもありません。(注:色文字は引用者による)。
と、極めて明確に断言している。それは、今でも変わらない。ちょうど1週間前、5月25日の講演、
5月25日 金沢支店開設100周年記念講演会における白川総裁講演「最近の金融経済情勢と金融政策運営」 (PDF, 239KB) においても、
世界経済は、2008年入り後、次第に減速傾向を強めましたが、特に、9月のリーマンブラザーズの破綻以降、各国で同時かつ急速に景気が悪化しました。
こうした世界経済の悪化は、国際機関や各国の政府・中央銀行、民間予測機関などのいずれの見通しをも大きく上回るものでした
と述べている。リーマン・ブラザーズの破綻から始まった国際的な金融危機が発端となり、
「崖から落ちるという比喩が当てはまるような(景気の)急激な落ち込みが」「世界同時に起きた」と日本の中央銀行の総裁が認めている。
◆GMが潰れることなど、誰が予想しただろうか。
昨年末から、GMが資金繰りに困っていると聞いて、仰天した。GMと言えば、長い間、世界最強の企業だった、と言っても過言ではない。
世界一の経済大国、アメリカ。その発展をもたらしたのは、何といっても製造業。その象徴が自動車産業。
ビッグ3(GM,フォード、クライスラー)はアメリカを繁栄させた、製造業の代名詞だったといっていい。
アメリカ繁栄のシンボルである。ビッグ3のいずれかが、「破産する」ことなど、世界中の誰も予想できなかった。
それが現実になった。実際には大分前から、破産法適用申請不可避だろうと言われていたから、パニックにはならかった。
しかし人間の感覚の慣れとは恐ろしい。本来眩暈がするほどの大事件なのだが、あまりにも経済の実体が悪い為、
誰もあまり何も感じなくなってしまった。
◆東京株式市場では、「悪材料出尽くし」で株が買われたが、悪材料はこれから出てくる。
日経平均株価は年初来高値を更新して引けた。日経の市場概況には、
次のように書かれている。
◆記事:東証大引け、連日高値で9600円台 GM破産法申請であく抜け(NIKKEI NET)(1日 15:37)
1日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸。大引けは前週末比155円25銭(1.63%)高の9677円75銭と9600円台を回復し、
連日で年初来高値を更新した。昨年10月7日(1万155円90銭)以来、約8カ月ぶりの高値。
米ゼネラル・モーターズ(GM)の法的整理の可能性は織り込み済みとして、前場から業績底入れ期待を反映した買いが優勢だったほか、
国際商品相場の上昇基調も買い手掛かりとなった。日本時間11時にGMが連邦破産法11条の適用を申請すると伝わると、
悪材料出尽くしと受け止められ後場は一段高となった。東証株価指数(TOPIX)は6日続伸。(以下略。色文字は引用者による)
果たして、悪材料は本当に出尽くしたのだろうか。
GMが潰れれば、下請け会社が皆潰れる。そこに融資していた金融機関の不良債権が、一挙に膨れあがる。
一見沈静化していたように見えた米国の金融危機が、再燃する可能性が高い。
金融はグローバルな一つのシステムであるから、米国の金融機関の破綻は世界中に影響を及ぼす。
これがシステミックリスクである。つまり、ドミノ式に米国内のみならず、他国の金融機関、
また、GMに部品を売っていた会社はGMから売り掛け金を回収出来なくなるかも知れない。
そうすると、これは日本の会社も含まれるから、日本の企業倒産→日本の金融機関の不良債権の増大、
という結果をもたらすことが容易に想像できる。悪材料出尽くしどころか、本当に恐ろしいのは、これからである。
また、間接的な要因として、GMが倒産するほど景気が悪化した国家、米国の通貨、ドルは信認を失う。
ドル売り、他通貨買いが殺到し、ドル円相場で言えば、急激な円高・ドル安となるだろう。当然、これは輸出企業の収益を圧迫する。
様々な面から、GMの倒産はこれから起きる混乱の始まり。やはり超一大事なのである。
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