JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事:「安永さんベルリン・フィルと別れ コンサートマスター25年」(共同通信)(2009年2月14日(土)10:56) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターを約25年間務めてきた安永徹さん(57)の同フィル最終公演が13日、 ◆コメント:つい先日のニュースでは2月22日(今日)が最後のステージと書かれていたので驚いた。 安永さんがベルリン・フィルのコンサートマスターを定年まで8年を残して辞めて、日本に帰国する、と言う話は、 2月22日のオーストリア・ウィーン公演をもって辞任する。 とかいてあったので、てっきり今日が安永さんの最後のコンサートだなあ、と、数日前から思っていた。 昨日偶然、冒頭の記事を発見して、安永徹さんのベルリン・フィル最後のステージは先週の金曜日に終わっていた、と知り、 愕然とした。1週間知らなかったことで、何がどう変わるわけではないのだが、13日が最終公演だと知っていたら、 私は必ずその翌日、記事を書いたであろう。まあ、仕方がない。 念のため付け加えるならば、ステージに上がるのは2月13日が最後だが、 正式には、安永さんは3月31日付でベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、第一コンサートマスターを辞するのである。 ◆あまり「寂しい」と書いては、却って失礼なのは分かっているが、私はその感情を制御出来ないのである。 いずれにせよ、定年まで8年を残して退団する安永さんには、安永さんなりの熟考の末の決断があったのだろうから、 ◆安永徹対談集「音楽ってなんだろう」より、「ベルリン・フィルの試験」(作曲家、故・石井真木氏との対談の一部)抜粋引用 いくら私が「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサート・マスターを務めたことはすごいことだ」と書いても、 大部分の日本人には、ピンと来ないだろう。手元に一冊の本がある。 安永徹対談集「音楽って何だろう」(新潮社)(因みにAmazonで「カスタマーレビュー」を一人だけ書いているが、それは私である)。 (注:Amazonでは売り切れになってしまったが、インターネット古書店「日本の古本屋」には、まだ数冊ある。 「音楽って何だろう」で検索すると、すぐに見つかる。) 対談相手は四人だが、生前、安永さんと親しかった作曲家、故・石井真木氏との対談で石井さんが聞き役になり、 安永さんが、ベルリン・フィルに入団した時のこと。その後、コンサート・マスターのオーディションを受けたときのことを、 詳しく話しておられる。 ベルリン・フィルに入団しても、コンサート・マスターになるためには、別に、コンサート・マスターのオーディションを受け、 それに受かって、約1年半、試用期間があり(その間、オーケストラのメンバーとカラヤンが、安永さんを毎回観察(審査)している訳である)、 その後、もう一度オーケストラ全員による、会議が開催され、出席者の3分の2を超える得票があって、初めて「本物の」コンサート・マスターに なることができるのである。 安永徹対談集「音楽って何だろう」(新潮社)からその部分を引用させて頂く(32ページから40ページ2行目まで)。 長いテキストだが、以下は安永さんへの敬意を表する(ことになるかどうか分からないが)ため、 私が本を見てキーボードから一文字ずつ入力したものである。 (残念ながらエンピツでは、文字数制限を超えてしまい、全文収録出来ないので、ココログをご覧頂きたい。) お読みになって分かると思うが、コンサート・マスターのオーディションを合格してもそれからの(安永さんの場合)1年半は毎回のコンサートが、 謂わば「試験」だったわけである。その後、投票があって、侃々諤々の議論の後に、正式に「合格」となる。その1年半のプレッシャーは察するにあまりあるが、 この対談が行われたのは、本の記録によると、1985年8月9日である。丁度、正式にコンサートマスターに就任した直後の対談だから、 細部まで安永さんもはっきり記憶していて、カラヤンにいきなり呼ばれて弾かされたり、会議の前に、「もしダメだったら大変だから、辞退したらどうだ」と 本気で心配してくれた、ベルリン・フィルの同僚の話など、日本語で書かれた本で、安永さんのベルリン・フィルコンサート・マスター就任までの内幕が ここまで生々しく記録されている本は他に無い、と思う。安永さん自身、正式にコンマスと決まったときは、あまりの事の大きさにわなわなとしてしまった、 というぐらいの重責を、四半世紀も務めたのが、安永さんであり、敬意を表するなと言われても無理で、 他の誰が何と云おうと(誰かが何かを言っている訳ではないが)私は安永徹さんを尊敬している。 それは終生変わることが無いであろう。
過去に、私が何度もおすすめした安永さんのCD、デュオ・コンサート。改めてお薦めする。
2008年02月21日(木) バッハなどの美しい曲を集めました。
JIRO
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