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JIROの独断的日記
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2009年01月14日(水) 「<死生観>がん患者「死後の世界」信じる割合低く 東大調査(毎日新聞)」←同じニュースでも書き方によってこれほど違うという例。

記事1:<死生観>がん患者「死後の世界」信じる割合低く 東大調査(1月14日11時18分配信 毎日新聞)

がん患者は一般の人に比べて、死後の世界や生まれ変わりなどを信じない傾向が強いことが、東京大の大規模調査で明らかになった。

また「望ましい死」を迎えるために必要なこととして、がん患者が健康時と変わらない生活を望んだのに対し、

医師や看護師がそれを期待する割合は低く、認識の差も浮き彫りになった。

調査は、がん患者の死生観を知るため東京大の研究チームが昨年1月から1年間かけて実施。

東大病院放射線科に受診歴がある患者310人と同病院の医師109人、看護師366人、

無作為抽出した一般の東京都民353人の計1138人が協力した。患者は75%が治療済みで、治療中の人は20%だった。

 「死後の世界がある」と考える人の割合は一般人の34.6%に対しがん患者は27.9%、

「生まれ変わりがある」は一般人29.7%、患者20.9%で、患者の割合が目立って低かった。

生きる目的や使命感を持つ割合は患者の方が一般人より高く、「自分の死をよく考える」という人も患者に多かった。

「望ましい死」に関しては、患者の多くが健康な時と同様の生活を理想とし、

「(死ぬまで)身の回りのことが自分でできる」(93%)「意識がはっきりしている」(98%)−−などを望んだ。

一方、医療関係者はこれらについての期待がそれぞれ30〜40ポイント低かった。

また、「さいごまで病気とたたかうこと」を望む患者が8割に達したが、医師は2割にとどまった。

調査をした中川恵一・東京大准教授(放射線科)は

「がん患者は死と正面から向き合っているようだ。望ましい死に対する認識の差は、医師らが終末期の現実や治療の限界を知っているのに対し、

患者は死の経験がないため生じるのだろう。生きている時間を大切に過ごしたいという患者の思いに応える医療が必要だ」と話す。


記事2:死の迎え方 患者と医師でずれ(NHK 1月14日 15時32分)

望ましい死を迎えるために何が必要か、がん患者と医師に尋ねたところ、患者の8割は最期まで病気と闘うことが必要だと答えたのに対し、

医師は2割にとどまるなど患者と医師の間で意識のずれがあることが東京大学の調査でわかりました。

調査を行ったのは、東京大学附属病院で緩和ケアを行っている中川恵一准教授たちのグループです。

調査では、望ましい死を迎えるため治療や療養の際に何が必要かについて、東京大学附属病院でがんの治療を受けている310人の患者と

109人の医師から回答を得ました。その結果、「体に苦痛を感じないこと」や「生きていることに価値を感じられること」などの項目については、

患者も医師も8割から9割以上の人が必要と答えました。

しかし、「最期まで病気と闘うこと」については、患者の81%が必要だと答えたのに対し、医師では19%でした。

また、「容姿が今までと変わらないこと」についても患者が70%だったのに対して、医師は29%にとどまるなど、

双方の意識のずれが明らかになったとしています。

中川准教授は「医師は限界を知っているので、自分が死を迎える際も最期まで治療することを望まないのではないか。

患者が満足できる治療を行うために、医師が話をよく聞き、患者に歩み寄ることが必要だ」と話しています。


◆コメント:今日の趣旨は、「同じニュースでも書き方によって、読者の理解度(理解の仕方)が変わる」と言うことです。

今日は、謂わばマスコミ批評です。記事1と記事2は同じ東大付属病院の調査結果を取りあげていますが、

私は最初、毎日新聞の記事(記事1)を読んで、ガン患者が「死後の世界を信じるか否か」が、どうして研究対象になるのか?

と思いました。

普通に見出しを読んだらそう思いますし、記事本文もミス・リーディング(誤解を招きやすい)です。

「死後の世界を信じるか」云々に関してまず書いているので、私は「それがこの調査の目的か。そんなことを知ってどうするのだ?」

と思いました。

毎日の記事では、調査を行った、中川恵一・東京大准教授のコメントも恐らく、新聞記者が要約した(つもり)のでしょうが、意味不明です。

がん患者は死と正面から向き合っているようだ。望ましい死に対する認識の差は、医師らが終末期の現実や治療の限界を知っているのに対し、

患者は死の経験がないため生じるのだろう。

はあ?医師も「死の体験」が無い点では同じではないのでしょうか。

「医師らが終末期の現実や治療の限界を知っている」から死後の世界を信じるのですか?

そうは書いてないですね。

「望ましい死に対する認識の差」が生ずる原因として書いてあります。

毎日の見出しからはこの調査は、ガン患者が「死後の世界を信じるかどうか」を知ることが目的ですから、

調査の趣旨からずれたコメントだと感じてしまいます。

また、中川准教授のコメントの最後も、毎日の記事では趣旨が不明瞭です。
生きている時間を大切に過ごしたいという患者の思いに応える医療が必要だ

それは、具体的に「どういう医療」なのか、さっぱり分かりません。

毎日新聞の記事の書き方が悪いので、この東大の調査は一体、何の為に行われたのか、釈然としません。


◆NHKの記事(記事2)を読んで、やっとこの調査の目的が分かりました。

毎日新聞の記事があまりにも不得要領なので、別の記事を探しました。こういうときはNHKのサイトを見るのが早い。

新聞記事は、分かり難ければ何度も読む事が可能ですが、テレビやラジオのニュースは音声ですから、一度聞いただけで、視聴者にニュースの意味が

理解出来るように、工夫がされているので、分かり易いことが多いのです。

記事2がNHKのサイトに載っていたもの。つまり、放送されたニュースを文字にしたもの(スクリプト)です。

これを読むと、今回の東大の調査の目的は、「望ましい死を迎えるため治療や療養の際に何が必要か」を知る手がかりとした行われた、

ことがわかります。「死後の世界を信じるか否か」の調査ではないことは明らかです。

中川准教授のコメントも、NHKだと良く分かります。

患者が満足できる治療を行うために、医師が話をよく聞き、患者に歩み寄ることが必要だ。

その為にこの調査が行われたのだ、と納得できます。


◆結論

今回は、ニュースの内容そのもの、ではなく、ニュースの伝え方(記事の書き方)を比較しました。

NHKニュースサイトの記事が、全てのメディアの中で、常に最も優れているとは限りませんが、本件に関しては、明らかに、

毎日新聞よりも、NHKの記事の方が、「大事なこと」を「正確」に伝えています。

一つの情報源で理解出来なくても、別のソースを当たると、一編で分かることは今回に限らず良くあります。


テレビ局のニュースサイトでは、NHKが一番優れていると思います。

テレビニュースのスクリプトは、前述のとおり、元々、音声ニュースの為に書かれたものですから、

一度聞いて理解出来るように、工夫がされています。便利なのですが、意外と活用されていないので、紹介しました。

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2008年01月14日(月) 【地球温暖化】NHK「未来への提言」を文字に起こしました。温暖化の最新情報です。
2007年01月14日(日) 「不二家:腹痛やおう吐を訴える苦情数件 問題発覚後」←恥ずかしい人がいるものだ。/対照的に良心的な三重県のカキ
2006年01月14日(土) 「国家の品格」の著者、藤原正彦氏に関する補足的知識
2004年01月14日(水) 「空自先遣隊 バスラ空港を視察」 これで、東京はテロの攻撃対象になりました。

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