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JIROの独断的日記
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2008年10月21日(火) 「金融危機悪化は回避へ=欧州の対応評価−IMF」←人間に例えるなら、ICUから一般病棟に移ってすらいない、と思います

◆記事1:金融危機悪化は回避へ=欧州の対応評価−IMF(10月21日22時57分配信 時事通信)

国際通貨基金(IMF)は21日、欧州経済に関する報告と同時に公表した報道発表文で、

金融危機などを受けて欧州経済が減速するのは不可避としながらも、主要国が一斉に打ち出した包括的な危機対応策により、

事態が一段と悪化することは回避できるだろうとの見通しを示した。


◆記事2:フランス、国内大手6行に公的資金105億ユーロ注入へ(10月21日11時5分配信 ロイター)

フランスのラガルド経済財務雇用相は20日、年末までに国内主要銀行6行に

105億ユーロ(141億2000万ドル)の公的資金を注入する方針を明らかにした。

同国のサルコジ大統領は前週、各国当局による金融市場支援策の一環として、

仏政府が3600億ユーロの金融安定化基金を設立したことを明らかにしていた。

ラガルド経済相は、国内主要行の幹部が出席した記者会見で、資金はこの基金の一部である

400億ユーロの資本再構成基金から拠出される見通しとし

「発行債券への応募は、国の投資機関を通じて行われる」と語った。


◆記事3:アイスランド大手銀のサムライ債が利払い遅延 猶予期限は27日(NIKKEI NET)(21日 11:15)

アイスランドの最大手銀行であるカウプシング銀行が2006年10月に発行した円建て外債(サムライ債)で、

利払いの遅延が発生していることが明らかになった。20日に利払い日を迎えたが、支払われなかった。

7日間の猶予期間を過ぎても支払われなければ、債券の契約上の「債務不履行(デフォルト)事由」に当たる。

猶予期限は27日。仮にデフォルトとなれば、サムライ債としては、経営破綻した米リーマン・ブラザーズ債に続く事例となる。

発行時の共同主幹事だった大和証券SMBCと野村証券、元利払いの代理人である三井住友銀行はいずれも、

20日時点で利払いがなされなかったことを確認した


◆コメント:まだ、「金融危機」なんです。IMFは「悪化は回避へ」と言っているだけです。

記事1は、ちょっと、ミス・リーディング(誤解を招く)コメントですね。

注意深く読めば分かりますけれど、IMFのプレスリリースは、
事態が一段と悪化することは回避できるだろうとの見通しを示した。

と述べているだけです。つまり、世界中の銀行がバタバタつぶれる金融恐慌は、とりあえず、欧米の協調利下げと、

各国中央銀行による公的資金の注入によって、ギリギリで防ぐことが出来たようだ、ということです。

人間の病気に例えるならば、救命救急に搬送されて、応急処置により「一命は取り留めた」というだけです。

まだ、生命の危険が去ったわけではない。引き続き、ICUで24時間監視しなければなりません。


記事2は、特に説明が要らないほど明らかですね。予防的措置です。英国、米国と同じです。

フランスの大手銀行がつぶれたら、その影響は、世界に波及しますから、遅ればせながら、公的資金の注入を決めたということです。


しかし、記事3は深刻です。アイスランドの国家経済は破綻しています。

最大手のカウプシング銀行が発行した債券がデフォルトになる可能性がある。

銀行やその他の会社が債券を発行する、ということは、債券を買った人から借金をしているのと同じです。

借金ですから利息が付く。利払い日が20日(月)だったのに、遂に払い込まれなかった。

つまり、「アイスランド最大手の銀行は、借金の利払いをする資金がない」ってことです。

但し、猶予期間があって、最終期限は27日。この日までに支払いがなかったら、カウプシング銀行は破綻します。

そうしたら、また世界の金融市場に不安感が広まり、世界同時株安が再開するかもしれません。

だから、世界経済はまだ、ICU(集中治療室)で、容態の急変がないか、常に監視されねばなりません。


◆公的資金が注入されたから、各国金融機関は辛うじて信用を保持しているのです。

リーマン・ブラザーズが破綻してから、世界中の金融機関は、次は何処が危ないか分からないので、

お互いに資金の供給をせず、資金の貸し借りに支障をきたしていた。

公的資金の注入により、とりあえず主だった国の金融機関は過少資本になりつぶれることはなさそうだ、

というのが現状ですが、それが、そもそも異常な状態なわけでして、本来、民間金融機関は、自力で資金を調達して、

自己資本を確保できるようにならねばならない。それが本来のあり方ですから。そうなって、初めて一般病棟に移ったことになる。

ところが、欧米日ともに景気が悪いので、銀行は貸出を渋っています。すると銀行からカネを借りたい会社の倒産が、

次々に起きるでしょう。それを恐れるから銀行はまた貸さなくなる、という悪循環に陥っています。

日本も同様で、21日、日本銀行が、2008年10月21日 主要銀行貸出動向アンケート調査(10月) (PDF, 82KB) を発表しました。

内容を報じた記事です。

◆記事:主要銀行の企業向け貸出スタンス過去最低水準で推移=日銀(10月21日12時0分配信 ロイター)

日銀が21日発表した10月の主要銀行貸出動向アンケート調査によると、

貸出運営スタンスDI(プラスが大きいほど貸出に積極的)は、大企業向けがマイナス2(前回調査はマイナス1)、

中小企業向けがプラス5(同プラス5)と、2000年4月の調査開始以来最低の水準となった前回7月調査から、ほぼ横ばいで推移した。

一方で、資金需要の強さを示す資金需要判断DIは、企業向けがマイナス5(前回調査はマイナス14)となり、資金需要は改善した。

前回調査では貸出運営スタンスの一段の慎重化が確認されたが、今回調査ではそうした動きが一服した格好となった。

資金需要増加の理由としては、大企業向けが「手許資金の積み増し」、中小企業向けは「設備投資の拡大」を挙げる向きが多かった。

貸出運営スタンスが「ほぼ不変」と回答した金融機関は、大企業向けが92%、中小企業向けは80%にのぼった。

一方、貸出運営スタンスを「(やや)慎重化」あるいは「(やや)積極化」と回答した金融機関にその理由を聞いたところ、

慎重化させた要因としては「特定業種・企業の業況(業績)悪化」、

「経済見通しの悪化」などが、積極化させた要因としては「他行との競争激化」が目立った。

全然、銀行が企業に「積極的に」融資を実行しようという気配ではないのです。


◆どうなったら、「退院」なのか。

兎に角、金融機関経営者も、政府の金融政策担当者も経験したことが無いほど、異常な混乱でしたから、

過去の経験を元に今後を予想することが出来ません。

言えることは、今は世界中の金融機関は政府や中央銀行の支援策で、何とか持ちこたえていますが、

民間企業なのですから、本来、自分で資金を集めて自己資本を増強し、なおかつ、銀行間又は企業への

資金の供給を普通に行うのが当たり前です。そうなって、初めて「健康体」です。

「退院」までには、まだ相当時間がかかると思われます。

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