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2005年10月21日(金) |
「ショパンコンクール、本選に日本人4人残る。」←世界中から集まった300人以上から本選に進んだのは12人。うち4人が日本人 |
◆記事1:ショパン・コンクール 日本人最多の77人参加 (共同通信) - 9月10日7時24分更新
【ワルシャワ9日共同】若手ピアニストが音楽家フレデリック・ショパンのピアノ曲の腕を競う、5年に1度の「第15回ショパン国際ピアノ・コンクール」が23日に始まる。
9日時点で世界から300人以上が参加、日本人は最多の77人で、10月18−21日の本選を目指す。
コンクール事務局によると、参加対象者を広げるため今回から書類とビデオによる選考をやめ、応募者全員がワルシャワで実際に演奏する「予備審査」を導入。
9月30日に予備審査の結果が発表され最大80人が予選へ。2回の選考の後、最大12人が本選に進む。
日本に次いで地元ポーランドからは50人以上が参加、米国、台湾、中国と続く。アジアからの参加と入賞が年々増えている。
◆記事2:日本人9人が2次予選に ショパン・コンクール (共同通信) - 10月12日11時27分更新
【ワルシャワ12日共同】第15回ショパン国際ピアノ・コンクールの第1次予選結果が12日未明発表され、日本人9人を含む計32人が2次予選に進むことが決まった。
このほか地元ポーランドから7人、韓国4人、中国2人などが進出。
2次予選は13日から16日までで、最大12人が本選に進み、入賞者発表は21日。
◆記事3:日本人4人が本選へ ショパン・コンクール(共同通信) - 10月17日9時13分更新
【ワルシャワ16日共同】世界の若手ピアニストが5年に一度、腕を競う「第15回ショパン国際ピアノ・コンクール」の2次予選が16日まで行われ、日本人4人を含む12人の本選進出が決まった。
日本からは根津理恵子さん(24)=千葉県、大崎結真さん(24)=茨城県、関本昌平さん(20)=大阪府、山本貴志さん(22)=長野県。
日本は国別で最多。このほか地元ポーランドから2人、韓国3人、ロシア1人、米国1人、中国1人が進出した。
本選は18−21日で、ショパンのピアノ協奏曲の演奏で審査、21日夜(日本時間22日午前)に結果が発表される。
300人以上が参加した同コンクールは9月に予備審査が始まり、1次予選を通過した32人が2次予選に進んでいた。 (了)
◆記事4:21日(現地時間)に審査結果を発表=日本人4人に期待−ショパン・コンクール (時事通信) - 10月20日15時1分更新
【ワルシャワ20日時事】ポーランドの首都ワルシャワで開催中の第15回ショパン国際ピアノコンクールは21日夜(日本時間22日午前)、本選進出者12人の演奏がすべて終了し、審査結果が発表される。
日本人は最多の4人が本選に進んでおり、結果が期待されている。
本選に進んでいるのは、ポーランド留学中の根津理恵子さん(24)=千葉県=と山本貴志さん(22)=長野県=、他の国際コンクールで入賞経験がある大崎結真さん(24)=茨城県=と関本昌平さん(20)=大阪府=。
このほか韓国人3人、地元ポーランド2人、米国、ロシア、香港それぞれ1人。
同日午後9時(同22日午前4時)前に全員の演奏が終わり、審査員が協議を行う。同日夜か22日未明までに結果が発表される見通し。
◆解説・コメント:ショパンコンクール本選に日本人が4人残るということだけでも、ただごとではない。
世界3大ピアノコンクールというのがあります。
チャイコフスキーコンクール、ショパン・コンクール、そしてベルギーのエリザベート王妃国際コンクールです。
今年は、5年に一度のショパンコンクールが開催されています。上の記事をご覧頂ければお分かりのとおり、もう始まってから、一ヶ月以上経って、今日が本選です。
ショパンコンクールについては、2005年09月26日(月) ショパンのワルツとか、どうですか? に書いたので、良ければお読み下さい。
本来、音楽の演奏の評価は極めて主観的なものですから、ここでの順位がピアニストの一生を決定するわけではないのです。
ただ、「順位」というのは、一般の人にも分かりやすいので、コンクールの上位に入ることは、やはりピアニストのキャリアとして有利です。
そして、プロの音楽家たるもの、極めて緊張を強いられる中で、どれだけ本来の能力・才能を発揮できるか、ということ自体が、一つの「実力」ですから、こういう修羅場を経験するのは悪いことではない。
但し、非常に才能があっても、あまりに個性的な人はコンクールには向かないのです。ある程度「審査員受け」するようなスタイルで弾かないと残れない。
その意味ではコンクールの成績が絶対ではない。そのようなことを考慮に入れても、ショパンコンクールの本選に残った12人のうち、4人が日本人であるということは、驚異的です。
何故なら、西洋音楽は2000年の歴史があるわけです。 西洋人には、西洋音楽の遺伝子があると思うのです。
しかし、日本人が西洋音楽を知り、本格的に勉強し始めたのは、僅か140年前です。
西洋とは全く違う文化を持つ東洋の島国に生まれた人間が、たったの140年で西洋人と同じレベルにまで達してしまった。
これはやはり、驚異的です。日本人は、非常に芸術的な民族だと思います。
そういうことですから、本当は、これは、大ニュースなのですが、日本国民のうち、クラシックが好きなひと、興味がある人は1パーセントもいないでしょうから、全然報道されない。寂しいですね。
ともあれ、明日の早朝4時頃には結果が出る。
このごろ、良いことが無いからね。
小柴名誉教授と田中耕一さんがノーベル賞をとったのは3年前です。あれから、そういう日本人が世界に誇れるような話って、無いでしょ?
繰り返しますが、コンクールとは、その日の演奏のうち、誰が一番優れていたかで、順位が決まるのですから、ピアニストの全てが正しく評価される可能性は寧ろ少ない。
だけど、人情としては、「史上初、日本人が1位!」というようなニュースを見たり読んだりしてみたいものです。
◆お奨めCD:3大コンクールのうち、2つで入賞した、すごい日本人ピアニストがいます。
小山実稚恵さんという方です。1982年にチャイコフスキーコンクール第3位、1985年、ショパンコンクール第4位です。
チャイコフスキーとショパンの両コンクールで入賞した日本人はこの方だけ。
CDも沢山録れてますが、とりあえず、ピアノの代表的名曲がずらりと並んだ、ベストアルバムが良いです。
上手い。上手くて芸術的。さすが。
2曲目にリストの「ラ・カンパネラ」がありますね。是非聴いていただきたいですね。最近やたらと無責任にマスコミが持ち上げる、フジ子・ヘミングは「魂のピアニスト」だそうですが、違います。
あの人はやたら「ラ・カンパネラ」を弾くけれど、あれは、全然ダメなんですよ。テンポが異常に遅い。
楽譜の指示通りのテンポで演奏できるが、自分の音楽的解釈で遅く弾いている、というのなら、まだ、許せる。
ヘミング女史は違うんです。遅くしか弾けないから、あのテンポで弾いているのです。
何故分かるか?
こちとら、年期が入っているんだよ。伊達や酔狂で30年クラシック聴いている訳じゃない。それぐらい聴けば分かる。
小山さんの演奏を聴いてください。音楽は精神的なものですが、表現するには、高い技術が必要なのだ、ということが、良く分かる。
◆お奨めの本:「赤川次郎のばっくすてえじトーク―クラシック、14人の音楽家」
私は、赤川次郎さんの小説を読んだことはないが、音楽家との対談集を読んだことがあります。
赤川さんは、本当に音楽が好きなんですね。自分は全く楽器も弾けず、楽譜も読めないけど、非常に繊細な感受性の持ち主です。
赤川次郎のばっくすてえじトーク―クラシック、14人の音楽家という、随分前に出た対談集なのですが、相手は一流のプロの音楽家ばかり。
ベルリンフィルコンサートマスターの安永徹さんとか、ケルン放送交響楽団で長年首席オーボエだった宮本文昭さんとか、すごい人ばかりです。
クラシック音楽の話は、そりゃ、でますが、皆さん気さくで面白い。赤川氏の質問も全然音楽教育を受けた人ではないけど、良いところを突いて来るんです。
この中に小山実稚恵さんも登場します。
この方、失礼ながら、天然ボケですね。かなり。ピアノを弾いているときと全然違うのでそのギャップがユニークです。
ショパンコンクールを受けるピアニストのなかには、緊張のあまり食欲が無くなったりするようです。
私がテレビで目撃した最もすごいのは、本選で、ステージ上のピアノにたどり着いたら気絶してしまった人がいるんです。本当です。
それなのに、小山実稚恵さんは暇つぶしに覚えたての「詰め将棋」をやっていたそうです。
なるほど、それぐらいの度胸が無いと、ソリストなんかなれないのだなあ、と、私は感動してしまいました。とにかく面白いですよ。
私は、衆議院選挙以来、毎日憂鬱ですが、せっかくの芸術の秋ですから、そういう話も書こうと思いまして、今日は好き放題に書きました。
兎角に人の世はすみにくい。住みにくい世を多少とも住みやすくするのが芸術の役割だ、という意味のことを、夏目漱石が「草枕」で書いてますね。
そのとおりですね。今日お奨めしたCDと本は、買って損をした気分にはならないとおもいます。
2004年10月21日(木) グスタフ・マーラー「交響曲第5番嬰ハ短調」1902年10月19日、初演。
2003年10月21日(火) 民主党の「マニフェスト」と自民党「2004年重点政策」を読み比べて気がついたこと
2002年10月21日(月) クラシック音楽二題:アシュケナージ、N響指揮者に。ピアニスト、梯剛之(かけはしたけし)氏、カーネギーデヴュー。