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2008年10月06日(月) |
米国金融不安の波及。今日だけでもこれだけニュースがあります。 |
◆昨夜から今日にかけての「金融不安関連記事」
◆記事1:独金融機関 緊急融資で救済へ(NHK 10月6日 8時42分)
世界的な金融不安の影響で経営危機に陥っているドイツの金融機関「ヒポ・リアル・エステート」の救済問題で、
ドイツ政府と銀行団は、最大で500億ユーロ、7兆2500億円の融資枠を設けて緊急融資をし、破たんを防ぐことで合意しました。
一方、今回の問題で国民の不安が高まったことから、メルケル首相は、金融機関が破たんした場合、
個人の預金を政府が全額保護する方針を初めて示しました。
◆記事2:<イタリア>大手銀ウニクレディト、9500億円増資計画(10月6日10時57分配信 毎日新聞)
【ロンドン藤好陽太郎】イタリア大手銀行のウニクレディトは5日、66億ユーロ(約9500億円)の増資計画を発表した。
ウニクレディトは破綻(はたん)した米大手証券リーマン・ブラザーズにも融資しており、先週株価が急落していた。
イタリアでも銀行の経営不安が高まっていることを受け、ベルルスコーニ伊首相は5日、
欧州の銀行を救済するための基金創設を提案する方針を明らかにした。欧州メディアが伝えた。
基金構想はフランスが提唱していたが、4日にパリで開かれた欧州主要4カ国首脳会議では合意に至らなかった。
◆記事3:韓国、外貨準備を投じて銀行の外貨流動性確保を支援する=企画財政相(10月6日10時56分配信 ロイター)
韓国の姜万洙(カン・マンス)企画財政相は6日、韓国の銀行は十分な外貨流動性の確保が困難になっているとの認識を示し、
こうした銀行の流動性確保を支援するため、外貨準備を投じる用意があることを明らかにした。
企画財政相は、国内商業銀行トップとの会合向けスピーチの準備原稿で
「韓国の金融機関は最近、外貨流動性の確保で困難に直面し始めている」とし、
「政府はこうした状況に対し、最悪のシナリオを想定する一方で、先手を取って対応する必要があると考える」と表明。
「2397億ドルに上る韓国の外貨準備は世界6位の規模で、ほぼ100%が直ちに使用可能だ」と述べ、
銀行の流動性確保の支援に外貨準備を使う考えをあらためて示した。
◆記事4:フィリピン中銀、流動性ひっ迫対応でドル建てレポ取引検討=関係筋(10月6日11時0分配信 ロイター)
フィリピン中央銀行は、世界的な金融危機の影響が国内市場に及び、ドルの流動性がひっ迫している状況を改善するため、
国内の銀行が中銀に導入を提案したドル建てレポ取引を検討している。中銀筋が明らかにした。
ただ、米国の金融安定化法案が議会で成立したことを受け、フィリピン国内のドル・スワップ市場が持ち直しているため、
同提案の緊急性は低下している。同筋はこの提案について「決定はまだ下されていない。スワップ市場は正常化している」と述べた。
フィリピン当局はこれまで、中銀が必要に応じ市場に流動性を供給すると言明しており、
中銀のテタンコ総裁も週末、記者団に対し、当局が先週市場に資金を供給したことを明らかにした。
◆記事5:スウェーデン中銀、銀行向け資金供給枠を拡大=中銀(10月6日17時5分配信 ロイター)
[ストックホルム 6日 ロイター] スウェーデン中央銀行は6日、国内銀行に対する資金供給枠を拡大する方針を明らかにした。
国際金融危機への対応策の一環。
具体的には、6日に行う3カ月物資金入札の供給枠を、当初予定していた600億クローナから1000億クローナ(142億6000万ドル)に拡大するほか、
8日にはさらに1000億クローナの6カ月物資金を供給する。中銀のイングベス総裁は声明で
「世界の金融混乱は、いまや明らかに、スウェーデンの金融市場、銀行、その他金融市場参加者に影響を及ぼしている。
したがって、中銀は予防措置として資金供給を拡大する」と述べた。
◆コメント:要するに、米国の金融危機が欧州・アジアに飛び火しているのです。
随分、沢山記事を載せて閉まったが、日記には「記録」という要素があり、
私自身の覚書の意味もあって載せているので、その点ご了承いただきたい。
それはさておき、上記の一連のニュースは、一言で言えば
「アメリカの金融危機が欧州やアジアに飛び火している」ということである。
米国のサブプライムローンは、貸し出した金融機関から見れば債権(カネをかえしてもらう権利)であり、資産である。
サブプライムローンを実行した金融機関が集めた預金よりも多くの金額を貸し出すことが出来たのは、
こうした「債権」を証券化し、つまり、「債券」という紙にし、アメリカの大手銀行、
証券会社(2週間前に破綻したリーマン・ブラザーズや、メリル・リンチ、モルガン・スタンレー、ゴールドマンザックスなど)のみならず、
世界中の金融機関その他一般企業を含む投資家が、争うようにして買ったからである。
その売り上げで、住宅ローン金融機関は資金を調達出来たのである。
問題は、アメリカの不動産価格が上昇しているときには、「証券化された債権」にも価値があったが、
今や、住宅ローンが皆不良債権化してしまった事にある。
つまり、債権は「貸したお金を返して貰える」からこそ価値があって、それを証券化した商品の価格も上昇し、投資する価値があったのだが、
今や、「貸したローンは返して貰えない」のだから(それが不良債権ということである)、
その債権を証券化したもの。また、それらを組み込んだ金融商品の価格が、暴落しているのである。
この変化をいち早く「ヤバい」と感じて、高値で売れた人は殆どいない。
そのうちなんとかなるだろう、と思っている間に、アメリカの不動産価格はどんどん下がる。
すると、持っている「証券化された住宅ローン債権ないし、それを組み込んだ金融商品」に含み損が生じる。
「証券化された債権」は世界中の金融機関や、個人投資家、政府系投資ファンドが買っている。
ところが、どこがどれだけ持っているか、どこの銀行がどれだけ含み損を抱えて、破綻の瀬戸際にあるか、
誰にも全貌が分からないのである。
だから、上に沢山記事を引用したが、欧州や、アジアでも金融機関同士が疑心暗鬼になっていて、
普通ならスムーズにごく短期の資金のやりとりをする各国の「短期金融市場」で、誰もが、他の銀行にドルを出したくない。
潰れるかも知れないから、ドルに限らず、日本の銀行間取引でも円の貸し借りさえ躊躇われる。
「潰れそうだ」という噂が立った銀行は途端に資金繰りに窮する。即ち、今日中に他所の銀行にカネを返さなければならないのに、
誰からも調達出来ないので返せない。いくら資産があっても、資金繰りが付かなくなったら、
人間で言えば「心肺停止状態」のようなもので、脳に10分酸素が供給されなければ、人間は死んでしまう。
金融機関は、一回資金繰りに窮したらお仕舞いなのである。
そこで、日本なら日本銀行が中央銀行であるが、中央銀行には「最後の貸し手」としての機能が求められている。
記事1では、ドイツの「ヒポ・リアル・エステート」という金融機関が資金繰りに窮していて、これが破綻したら、
今日の東京市場から、株が大暴落して、世界の金融危機を招きかねないので、政府と民間銀行団が一緒になって、
とりあえず資金繰りに困らないようにしてやった。
記事2はイタリアである。ウニクレディトという大手銀行が、資本が過少になってヤバいので、
株主に追加で出資してくれ、と頼んでいる。とりあえず公的資金は登場していないが、
潰れそうな銀行に株主が出資してくれるかどうか分からない。そのときはイタリア中銀か、
或いは欧州の何カ国かが共同で資金のプールを作っておいて、そこから、資金を供給するつもりらしい。
どうなるかはまだ、分からない。
記事3〜5は、韓国、フィリピン、スウェーデンの中央銀行のステートメントである。
まだ資金繰りに窮して一刻を争うという状態の銀行はないが、国内の不安を予め抑えるため、
いざとなったら、資金繰りに困った銀行に緊急融資する準備はあるぞ、といっているのである。
そういうステートメントを発表すること自体、それぞれの国で、いつ金融危機が訪れても不思議は無い、
と各中銀が考えていることを示唆している。
日本は、潰れそうな銀行は無いが、万が一資金繰りに窮する銀行が生じては大変なので、
毎日大量の資金を日銀が市場に供給している、という状況である。
これらの記事から明らかなように、米国の金融危機が米国だけの問題だけではなく、現実に「世界の」問題になっている。
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