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2004年10月06日(水) |
「(日本は)『常任理事国入りを目指す』とだけ云っても、あまり意味がない」 ガリ前事務総長 |
◆記事:「日本の常任理事国入りは、それだけを切り離して考える問題ではない」(ガリ前国連事務総長へのインタビュー。本日付日経。)
Q:日本の常任理事国入りをどう考えますか?
A:「自分が事務総長時代の1992年に既に日本とドイツの常任理事国入りを私は推薦した。
当時は面白いことに、日本の世論が反対した。常任理事国になると平和維持活動に参加する義務が生じ、憲法に違反する、との論理からで、私は東京を訪れ、活動と常任理事国入りは直接関係がないと説明した記憶がある。」
「日本の常任理事国入りに本気で反対という国は無いだろう。ただ、日本を支持するかどうかは実は重要ではない。真の問題は、日本を認めるならば、何故我々も認めないのか?というアジアやアフリカ、中南米諸国などからの声にどう対応するかだ。」
「安全保障問題は主に発展途上国で起きており、途上国の代表が常任となることは極めて重要だ。殆どの国にとって日本の常任理事国入りはそれだけを切り離して是非を考える問題ではなく、全体の安保理改革パッケージの一部分に過ぎない。」
「日本は、『常任理事国入りを目指す』と発言するだけではあまり意味がない。どんな行動をし、何を提案するのか?国際会議の開催など、どんな仕掛けをしていくのか。本当の意味での外交活動が問われる」
◆コメント:やんわりと諭されたのだが、恥ずかしい。
ガリ前事務総長に日経がインタビューしたものだが、実に冷静、合理的、論理的な意見だと感心した。と、同時に恥ずかしい。
ガリ事務総長は、ここに画像をアップ出来ないのが残念だが、実に温厚な紳士であるから、きつい言葉はつかわなかったけれど、日本をやんわりとさとしている。
要するに、日本は、自分が常任理事国になれさえすれば、他の国はどうでもいいと思っているようだが、そうではないよ、と云われているのだ。
本当はもっと紛争が起きて困っている発展途上国が常任理事国になるべきなのだ。そういうことも考えなければいけない、と。こういうことを、曲がりなりにも世界第2位の経済大国が云われるのは、恥ずかしいと感ずるべきだ。
そして、「常任理事国になって、何をするか、考えているのか?」(考えてないだろう)。と図星を指されている。小泉首相は今日からベトナムに行ってしまったから多分、新聞なんかまともに読んでいないだろうが、この記事は是非読んで貰いたい。
世界の有識者からみると、日本はただ、「常任理事国にしてくれえ」と駄々をこねて、世界のことなどまるで考えていないのが明らかなのだ。
また、冒頭で、ガリ氏が言っていることも注目に値する。12年前は、事務総長のほうから、日本に常任理事国入りを勧めたが、日本は憲法に抵触する恐れがあるから、といって断ったという事実。
今は、憲法を改正して、軍隊を持ってでも、常任理事国になりたい、とこの国の指導者は目の色を変えている。
私は、憲法を変えてはいけないとは思わない。 憲法はその本質において、権利宣言であり、国民の権利・自由を宣言し、保障する規範である。
従って、時代の推移と共に、新しく考慮しなければならない、プライバシー権、環境権など、新しい人権規定を付け加えることは、全く差し支えない。 というか、追加しなければいけなのだ。
しかし、全ての人権の前提は平和的生存権である。つまり、戦争が無い国で、無事に暮らす権利でありこれは、憲法前文に記されている、絶対に侵してはならない基本的人権である。
だから、「常任理事国になったら、武力行使につながるかも知れないから、絶対駄目だ」と考えていた12年前の日本は、ガリ氏の云うように、ちょっと勘違いしていたかも知れないが、今のように、「できることなら、自衛隊に武力行使させてみたい」という魂胆が見え見えの日本より、よほど健全だったと思うのである。
2003年10月06日(月) <ノーベル賞>日本人候補は4人 米データ会社予測 1年なんてあっという間ですな。