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2008年08月27日(水) |
「超党派議員、法相に“大野病院事件”の控訴断念を要請」←「控訴反対」には賛成ですが、国会(立法府)が司法に介入してはいけません。 |
◆記事:超党派議員、法相に“大野病院事件”の控訴断念を要請(8月27日10時52分配信 読売新聞)
超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」の尾辻秀久会長(元厚労相)らが27日午前、保岡法相と法務省で会い、
福島県立大野病院で起きた医療事故で業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医に無罪判決が出た裁判での控訴を断念するよう要請した。
議連は「事件後、ハイリスクな医療では刑事訴追される不安がまんえんし、産科空白地帯が急速に拡大した。
控訴がなされないようお願い申し上げる」とする要望書を法相に手渡した。保岡法相は「(控訴については)現場の判断に任せる」と述べた。
◆コメント:やたらと何でも医師を訴える風潮には私も反対ですが、この記事に書かれた事実は良くありません。
医療裁判がやたらと増えて、しかも被告人(医師側)が敗訴する判例が後を絶たない。
このため、医師になろうとしている学生が、外科、産婦人科、小児科など、訴えられるリスクの大きい、
しかし、医療上の需要としては大変大きい専門医を希望せず、比較的(比較的ですからね)「無難な」
眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、形成外科を経て美容形成外科などを希望する、というニュースは、随分と前から、
報道されている。
本当は、判決に関して評価を下すならば、起訴事実を丹念に調べ、専門家である医師の意見を聞いてから、
こういう記事を書かなければならないのだが、残念ながら、私にそこまでの余裕は無い。
甚だ安直ではあるが、ウィキペディアで、福島県立大野病院産科医逮捕事件の記述を読んでみた。
簡単に結論を出し過ぎかも知れないが、ウィキペディアの記事にもあるとおり、
本来、医療行為のもたらす結果を完全に予見することは不可能なのであるから、
産婦が死亡した事実は甚だ同情に値するものの、このような「結果論」で医師が告発されるようなことが続いたら、
確かに、産婦人科の医師になろうとする者が激減しても不思議はない。
従って、福島地方裁判所が8月20日に下した無罪判決は妥当であると思われる。
◆但し、国会議員は立法府の成員であるから、これが法相を訪ねて「控訴するな」というのは三権分立の大原則に抵触する。
だから、私は記事に書かれている、「超党派の『医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟』」が提出した
「要望書」(これも本当は中身を読んでみなければいけないのだが)と、意見の方向性が同一である。
しかしながら、「国会議員の連盟」は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関(日本国憲法第41条)である「国会」、
即ち、立法府の成員である。
彼らが法相を訪れて要望書を提出したということは、本件担当検事に控訴を断念するように、法相から命じろ、と、
主張していることになる。
これは、近代国家の大原則、「三権分立」に抵触している。「立法府」が「司法府」の決断に圧力をかけていることになる。
繰り返すが、要望書の内容は、多分妥当なものであろう。
だが、民主主義においては手続き、原則を無視してはいけないのである。
控訴するかどうかは、司法自身の判断に委ねられるべきである。
これは少しも難しい話ではない。「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」は、
それぐらいのことが、分からないのだろうか。
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2007年08月27日(月) 内閣改造じゃなくて、安倍首相が辞めるべきなのです。
2006年08月27日(日) 政治家が、自分が書いた本の通りに政治を行うと思っている人はかなり、おめでたい。
2005年08月27日(土) 道路公団民営化のいい加減さを見ると、郵政改革が真面目に検討されているとは思えない。
2004年08月27日(金) 「ここ一番」で実力を発揮する、ということの厳しさ。
2003年08月27日(水) 今頃になって、「火星大接近!」なんて騒がなくても・・・。といいつつ、リンク集。