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JIROの独断的日記
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2008年07月17日(木) 「米、公的資金注入を視野=株価暴落の住宅金融会社支援で−FRBは公定歩合融資」←遂に来たか、という状況なのです。

◆記事:米、公的資金注入を視野=株価暴落の住宅金融会社支援で−FRBは公定歩合融資(7月14日9時28分配信 時事通信)

【ワシントン13日時事】ポールソン米財務長官は13日、経営に対する懸念から株価が暴落している政府系住宅金融会社、

連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)について、必要なら、政府が両社の株式を引き受け、

公的資金注入により住宅市場で重要な役割を持つ両社を救済すると発表した。

一方、連邦準備制度理事会(FRB)は両社に対する公定歩合での融資制度を設定した。

支援規模は明らかにされていないが、13日付の英日曜紙サンデー・タイムズは、

財務省が両社の株式買い取りのため最大150億ドル(約1兆5000億円)の公的資金注入を検討していると報じている。

 2007年8月以降、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題をきっかけにした金融市場混乱に伴い、

米政府が金融機関の救済に乗り出すのは08年3月の証券大手ベアー・スターンズに続き2件目。

政府による株式引き受けは異例の措置で、両社救済の先行き次第では米金融市場、経済の先行きへの不安が一段と高まる可能性がある。


◆コメント:どういう状況か説明します。

問題が表面化してから、もう一週間も経つのですね。

日本の新聞はいずれもややミス・リーディング、というか、説明不足な記事の書き方をしています。

ファニーメイとフレディマック、共に「政府系」と書かれていますが、あくまで民間企業です。

この2社をまとめてGSEというのは、Goverrnment Sponsored Enterprise=政府援助企業の略です。政府が援助していても、

ファニーメイもフレディマックも株式会社で、株式を公開しているので会社は一般の株主のものです。


これら2社の業務は同じで、他の民間金融機関から住宅ローン債権を買い取り、証券化します。これを住宅ローン担保証券と言いますが、

ファニーメイもフレディマックも、市場でこの住宅ローン担保証券を発行する業務を行っています。

また、発行した債券を自分でも(自己勘定でも)保有して、投資家として利益を上げようとする。つまり安い時に買って、高いところで売って、

収益を出そうとする。こういう会社です。


◆ご承知のとおり、低所得者向けの住宅ローンサブプライムローンが不良債権化したので、資産価値がどんどん下がって資本が足りなくなったのです。

他の金融機関その他投資家と同じ事なのです。

ファニーメイもフレディマックも住宅ローンを、買い取った訳です。バランスシート上、資産になります。

ところが、大元の住宅ローンが米国中で焦げ付いています(借りた人が返済できなくなっています)。

つまり、住宅ローン債権は回収できるかどうか分からないので、資産としての価値が下がります。資産総額が減っているのです。

当然、住宅ローン債権を証券化した住宅ローン担保証券の価格も暴落しています。

自己勘定で保有していた住宅ローン担保証券は含み損を出します。ますます資産が目減りします。すると貸倒引当金を積みます。

これには、商売の元手である「自己資本」を取り崩すのです。自己資本は最後の最後に手をつけるべきものです。

これが目減りするということは、取りも直さず、その会社が潰れるかも知れないことを意味します。


◆アメリカが慌てたのは、ファニーメイもフレディマックが「米国の住宅金融の中核的存在(ポールソン財務長官)」だからです。

ここ一年でアメリカ及び世界が金融危機に陥ったのは3度目です。

最初は、サブプライムローン問題が表面化した、昨年の夏です。

このときは、銀行が潰れるかも知れないという「信用不安」から大手銀行が資金繰難に陥り、日米欧の中央銀行が、

市場に大量の流動性資金を供給して、なんとか誤魔化しました。


2度目は、今年3月に米大手証券会社ベア・スターンズが資金繰り難とのうわさが出て、市場から資金を調達出来なくなりそうな、

危険な状態になったときです。

このときは、ニューヨーク連銀がJ.P.モルガン・チェースという大手金融会社を経由して、ベア・スターンズに資金を供給しました。


そして、今回が3度目です。

ファニーメイもフレディマックも、前述したとおり民間企業ですが、米国の住宅金融の元締めみたいな会社なのです。

その2社にサブプライムローン問題の影響が波及した、ということで、今まで公的資金の注入は必要ない、といっていた、

米国金融当局も遂に黙っていられなくなった、ということで、世界の金融市場は、FRB(連邦準備制度理事会)が何処まで金融市場を

安定されることが出来るか、を、固唾を呑んで見守っています。

日本の金融庁も、ファニーメイとフィレディマックが発行した、住宅ローン担保証券そのもの、或いはそれを組み込んだ金融商品を、

邦銀や生保がどれぐらい持っているか慌てて調べているようです。

ただ、メガバンクの三月決算を見ると、確かにサブプライムで損失を出していますが、

それでも経常益を出していますから、日本の銀行自体が不良債権で苦しんだ、あの10年とは状況が違います。

潰れることはないです。


◆FRBはインフレ懸念と信用不安の二律背反に困っているのです。

今回のGSEの信用不安がにわかに浮上するまで、FRBが気にしていたのはむしろ米国のインフレです。

インフレを抑制するためには金利を上げなければなりません。しかし、信用不安があるときに金利を大きく上げると、

金融機関が資金を調達できなくなり、信用不安が拡大する可能性があります。

バーナンキFRB議長や、ポールソン財務長官は、運が悪い。

よりによって、こんなに難しい経済局面で要職に就いてしまったのですから。

下手をすれば、世界経済が大混乱するんです。ものすごいプレッシャーだと思います。

今日、アメリカの大手金融機関の決算発表があります。それを受けてニューヨークの株式市場が

どのように動くか。明日の東京がどう動くか、が非常に注目されます。

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