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2008年04月19日(土) |
「違憲判決に官房長官ら、イラク支援継続「問題ない」で一致」←この国は三権分立じゃないのですね。 |
◆記事:違憲判決に官房長官ら、イラク支援継続「問題ない」で一致(2008年4月18日11時30分 読売新聞)
航空自衛隊のイラクでの輸送支援活動の一部を違憲とした17日の名古屋高裁判決について、
町村官房長官は18日午前、高村外相、石破防衛相と国会内で協議し、「空自の活動継続に何ら問題はない」との認識で一致した。
町村氏はその後の記者会見で、「武力行使の解釈について裁判官がどこまで実態が分かっているのか、
(戦闘地域と判断する根拠となる)『国に準ずる組織』をどう理解しているのか、
その辺に誤りがあるのではないかという印象をお互いに語った」と述べた。
高村外相は、判決が傍論で違憲判断を示していることについて「一人の人(裁判官)の意見。外相を辞めて暇でもできたら読んでみる。
崇高なものであるかのごとく錯覚を与えて政治利用しようとするのはよくない」と述べた。
石破防衛相も「極めて遺憾だ。判決を導き出す立論過程で、(違憲判断が)論理構成上必要であったわけではない。
傍論部分にすぎず、なぜあえて言及したのかやや理解しかねる」と批判した。
◆コメント:どいつもこいつも、バカだ。
憲法は日本国の最高法規である。(日本国憲法第九十七条)
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。(同九十九条)。
政府の行為が違憲であるかどうかを判断するのは終局的には最高裁判所である(同八十一条)。
違憲審査の「終審裁判所」は最高裁であるが、下級審が、違憲審査権を持つことを否定するものではない。
これは、最高裁大法廷判例(最大判昭和25年2月1日)で明らかにされている。
従って、4月17日の名古屋高裁の判決における、「イラク自衛隊派遣の違憲性」の判断を、行政府は、司法権の独立、三権分立の原則に鑑み、
尊重しなければならないのは明らかである。
つまり、イラクへの自衛隊派遣は中止するべきであり、司法の判断を無視するのならば、この国は近代国家とは言えない。
◆合憲か違憲かの判断は判決文傍論で書くしかない、付随的違憲審査制をわが国は採用している。
冒頭の記事では、官房長官も外相も防衛相も、名古屋高裁の「違憲」判断は、判決「傍論」で書かれているから、関係ない、という。
バカである。わが国では、ある法律や行為や制度などが、合憲か否かを真っ正面から判決文とする「憲法裁判」という制度がなく、
当然、それを行う「憲法裁判所」も存在しない。
したがって、今回の名古屋の事例のごとく、原告が自衛隊のイラク派遣の合憲性を問う場合は、民事裁判(例えば損害賠償請求訴訟)として、
訴訟を提起し、裁判官は判決主文の後判決理由の中の傍論において、この判断を示すしか方法が無い。
そんなことは、国会議員なら知っている筈なのにとぼけている。
なお、付随的違憲審査制にかんしては、かつて、もっと丁寧に説明した記事がある。
2005年9月、大阪高裁が、内閣総理大臣の靖国参拝は違憲である、という判決を下したときの説明である。
2005年10月02日(日) 靖国参拝違憲判決を批判するのは簡単だが、裁判官は命がけなのです。(ココログ)
2005年10月09日(日) 大阪高裁の判決に関して、「傍論で違憲」というのがわかりにくいみたいですね。(ココログ)
冗漫な説明だが、当時の私としては必死に書いた。ご参考までにお読みいただければ、有難い。
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