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JIROの独断的日記
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2007年12月29日(土) 年末年始のクラシック音楽番組より。森麻季さん、N響の第九、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートなど。

◆年末年始無関係に働いている方々に感謝。

 普段の年なら今日はまだ働いているが、今年はカレンダー運が良く、休みが少々長い。

 しかし、そんなこととは関係なく働いている方々がいらっしゃるおかげで、こちらが年末年始をすごせることに感謝したい。

 過去、何度も引用した、アルバート・アインシュタインの言葉を、今日も、載せる。
 

私は、自分の肉体的・精神的生存のほぼ100パーセントが他人の労働のおかげで支えられていることを1日に100編は自らに言い聞かせている。

◆年末年始のクラシック音楽番組のお薦め。

 これから書くことは、「私のお薦め」である。

年末年始のクラシック番組を網羅(というほど、数は無いけどね)しているわけではないこと、また、放送日、時間が前後すること予めお断りしておく。

◆森麻季さん。1月3日 NHK教育 19:00〜21:00「ニューイヤー・オペラコンサート」

この番組は、大晦日の紅白歌合戦になぞらえて、「クラシックの紅白」などと呼ぶ人もいるが、あまり例えて欲しくない。

しかし、実を言うと、私は今までこの番組を真面目に見ようと思ったことがない。はっきり言って今まで感心するほど上手い日本人オペラ歌手(声楽家)が

いなかったからである。海外のオペラハウスで「本当に」活躍している日本人は今までは、テノールの市原多郎(いちはらたろう)氏ぐらいだったが、

森麻季さんが、新しい歴史を加えた。

前回、森麻季さんがテレビに映ったのは「歌謡チャリティーコンサート」で「からたちの花」を歌っただけだったが、

今回は本格的なコンサート(オペラ)プログラムを聴けるだろう。



少し、話が逸れる。森さんの「からたちの花」で感心したことがある。

西洋音楽の発声は「西洋」のものだから、イタリア語、ドイツ語、フランス語(クラシックの英語の歌はあまり、無い)を歌うのには適しているが、

クラシックの発声で日本語の歌曲を歌うと、聞き取りにくい、というのが相場だった。

ところが森さんは違った。実に明瞭に歌詞が聞き取れた。特に難しいのは「や」行の処理である。ya,yu,yoである。

普通に日本語を話している時と同じ調子で、

「からたちのはなが、さいたよ」

を歌うと、最後の「よ」が、「お」に聞こえてしまうのである。このため、クラシックの声楽家は、意識的に「y」を強調する傾向にある。

すると、今度は「y」が強調されすぎて、
「からたちのはなが、さいた ぃよー」

に、聞こえ、いささか気になるのが常だった。ところが森麻季さんは「y」をちょうど良い加減に調整して歌っていた。

こういう演奏は初めて聴いた。そういうことにも日本人の声楽家は神経を配らないといけない。西洋人には無い苦労があるのだ。


◆NHK交響楽団 「第九」31日 NHK教育 20:00〜 オーケストラとコーラスを「見て」下さい。

私の日記・ブログでも今日明日で「第九」を終えるが、やはりオーケストラは見た方が楽しい。

昔は、「赤白歌合戦」(わざと誤字にしてます)が始まる前、7時半頃から教育テレビでN響の「第九」を放送し、

「赤白歌合戦」は9時からの約三時間番組だったのである(最近やたらと長くやるから、見ている方もダレて、視聴率が下がるのだと思うが、それはどうでもいい)。

最近は、放送時間が重なるから、両方見たい、という方は、どちらかを録画してご覧になればよろしかろう。


今年の指揮者は1959年生まれのアメリカ人アンドリュー・リットンである。指揮者としてはまだ若い。

終楽章のソリスト(ソプラノ、アルト、テノール、バリトン)も、格別に有名な訳ではないが、N響メンバーの方の日記を拝読する限り、悪くないようだ。

こういってしまっては、実も蓋もないが、ベートーベンの交響曲第九番は、作品自体が非常に優れているので、少々指揮者が未熟でも、何でもいいのである。

N響をはじめとする日本のオーケストラは、今までに何百回も第九を演奏しているから、若い指揮者よりも曲を知っている。

こういう場合、指揮者に求められることは、オーケストラの邪魔をしないことだ。

それよりも、演奏するオーケストラを見る、ことを楽しんでいただきたい。


◆ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート 1月1日(火)NHK教育 19:00〜22:00 指揮者がプレートルとは驚いた。

今年の指揮者、ジョルジュ・プレートルはヨーロッパでは良く知られているし、日本でもクラシック好きは良く知っているだろうが、一般にはなじみが薄いと思われる。

ウィーン・フィルもベルリン・フィルも、何度も振った一流の人だが、フランス人で、フランス音楽に造詣が深い。

しかし、大丈夫かね。プレートルは1924年8月生まれだから、83才である。こんな高齢の指揮者があの長丁場(休憩時間はあるものの)を振れるのか、心配だ。

ただ、大変に個性的な人である。私が鮮明に記憶しているのは、1992年、ベルリン・フィルのヴァルトビューネをプレートルが指揮したときのことである。

今更、時間が無いが、DVD「ヴァルトビューネ1992 フレンチ・ナイト」で見ることができる。ほら、「フレンチ」ナイトでしょ?フランスものの専門家だから。

楽しいプログラムであるが、「ボレロ」が見ものだ。これを説明してしまったら興ざめだ。最後、一番盛り上がるところ。

プレートルの指揮(?)、後にも先にも、こういう表現の仕方を見たことが無い。



果たして、プレートルが、ウィンナー・ワルツをどのように振るか、これこそ「見る」べきだ。


◆ベートーベン交響曲全曲演奏シリーズ:交響曲第九番 第二楽章

勿体ぶるわけではないのだが、第三楽章は非常に穏やかな楽章で、唯一最後に休止符のフェルマータがない。ただちに第四楽章を演奏し始める。

その対比が興味深いのである。だから、明日、早めに第三楽章と第四楽章をアップします。


さて、「第九」の第二楽章。ベートーベンは、スケルツォを第2楽章に持ってきた。

この楽章を聴いて、ティンパニに注意が向かない人はいないだろう。

ベートーベンは、今まで紹介した各交響曲のかなりの部分で、それまで存在した楽器を、

かつて使われたことのないような使い方をしたという意味でも革新的である。


運命のときに、書き損ねたが、第三楽章のスケルツォでは、トリオ(中間部)でコントラバスとチェロだけに旋律を弾かせた。極めてユニークである。

私たちは既に良く知っているから驚かないが、初演を聴いた人は驚いたのではないかと思う。

同じ楽章、第三楽章から第四楽章への移行部で、ベートーベンはティンパニにソロを叩かせている。



この楽章は説明するまでもない。5小節目で完全な、ティンパニ・ソロが現れる。この楽章からティンパニを取ったら話にならぬ。

それほど重要な役割を果たしている。

日本で最も高名な(うるさ方はいろいろ言いたいだろうが、まあ、黙ってね?)音楽評論家で吉田秀和という大先生がいる。

相当芸術的というか、感性豊かというか、「音楽を聴く才能」というものが確かに存在することを、私はこの方の著作で知った。

その、いかにも「芸術、芸術」した吉田秀和氏が、ある文章で面白いことを書いていた。

もしも、神様が自分に「1日だけ何の楽器でも良いから自由に弾けるようにしてやる」と言ってくれたら、私は第九の二楽章のティンパニを叩きたい。

という趣旨のものであった。意外だった。

あの先生でも、第九の二楽章のティンパニを「カッコイイ」と思うのだろう。吉田先生、結構ミーハーである。

それ以来、私は吉田秀和氏に勝手に親近感を覚えるようになった。さて、どうぞ。

ダウンロード BeethovenNo9Second.mp3 (14244.5K)

書き忘れたが、ベートーベンは「運命」でトロンボーンを初めて使った。「田園」でも使った。この楽章でも使っている。

トロンボーンのハーモニーは柔らかい。さて、どの音かわかりますか?分かりにくいと思う。だから、「オーケストラは見るもの」なのだ。

明日もお楽しみに。

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2006年12月29日(金) 「フセインの死刑執行、住民虐殺『人道に対する罪』」←フセインが死刑なら、ブッシュも死刑相応だね。
2005年12月29日(木) 「米兵ひき逃げ、3人重軽傷=「公務」で即日釈放」←小泉さん。対米関係は「改革」しないのですか?
2004年12月29日(水) 「津波死者7万に迫る。」「50人以上が安否未確」「首相動静:読書などして過ごす」
2003年12月29日(月) 日本人の無愛想
2002年12月29日(日) 第九以外の年末お勧め曲

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