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2007年09月25日(火) |
「内閣総理大臣指名の過程」←何処よりも早い衆議院議事録。民主主義は手続きが肝要である。 |
◆衆議院本会議(2007年9月25日)のインターネット中継より抜粋。
河野洋平君(国会の会議録では全員「君」づけです)
これより、会議を開きます。ご報告いたします。本日、安倍内閣総理大臣から、内閣は総辞職することに決定した旨の通知書を受領いたしました。
これより、内閣総理大臣の指名を行います。この手続きは、衆議院規則及び先例によることといたします。
衆議院規則第十八条第一項によりますと、記名投票で指名される者を定めることとなっております。お手元に配布の投票用紙に、
指名される者の氏名を記載し、かつ、投票者の氏名を記載の上、木札(きふだ)の名刺を添えて持参されることを望みます。
これより、点呼を命じます。(引用者注:この後、事務方が、全議員の名前を呼び、呼ばれたものから登壇して投票します。
それを全部文字にすることに、特段の意義を認めないので、省略します)
実際の音声1
ダウンロード 20070925PrimeMinister01.mp3 (748.2K)
◆一回目の休憩後
河野洋平君:
休憩前に引き続き、会議を開きます。
本日参議院から、小沢一郎君を内閣総理大臣に指名した旨の通知を受領すると共に、内閣総理大臣の指名について、
両院の議決が一致しなかったので、両院協議会を開くことを求められました。(発言する者多数)
よって、これより、両院協議会、協議員の選挙を行います。
御法川信英(ミノリカワノブヒデ)君:(今臨時国会の議事進行係。参議院にはいない)
ぎちょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!(注:「議長」)
河野洋平君:
御法川信英君。
御法川信英君:
両院協議会、協議員の選挙はその手続きを省略して、議長において直ちに指名されることを、
望みまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす!
(注:「よっ」とか何とか発言する者あり)
河野洋平君:
御法川信英君の動議に御異議ありませんか?(「異議無しっ!」の声多数)御異議無しと認めます。
よって協議員は議長において指名することに決まりました。
直ちに指名いたします。
内閣総理大臣の指名両院協議会協議員、
笹川堯(ささがわたかし)君、
小此木(おこのぎ)八郎君、
大島理森(タダモリ)君、
細田博之君。
小坂憲次君。
林幹雄(モトオ) 君。
根本匠(タクミ) 君。
吉田六左エ門(ロクザエモン)君。
漆原良夫君。
石田祝稔(ノリトシ)君。
ただいま指名いたしました協議員の諸君は、直ちに議長応接室にご参集の上、
協議委員、議長、副議長、各一名を互選されることを望みます。
この際、暫時休憩いたします。
実際の音声2
ダウンロード 20070925PrimeMinister02.mp3 (1624.3K)
◆二回目の休憩後
河野洋平君:
休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、一言(いちごん)申し上げます。本会議の審議にあたっては、
我々国会議員に課せられた、重大な使命を真摯に受け止め、最善を尽くし、その任務を遂行し、
国民の信託に応えられんことを、望みます。
内閣総理大臣の指名両院協議会、協議委員議長から、報告書が提出されました。
よってこの際協議委員議長の報告を求めます。笹川堯(たかし)君。
笹川堯君:
内閣総理大臣の指名両院協議会の経過ならびに結果をご報告いたします。
両院協議会協議委員は、先ほど議長より指名されましたのち、
直ちに協議委員の議長・副議長の互選を行いました。その結果、議長には笹川堯、
副議長には、小此木八郎君が当選を致しました。
引き続き、両院協議室に両院の協議委員が参集いたしました。くじにより衆議院側において
議長を務めることになりました。
協議会においてはまず最初に参議院から、小沢一郎君に指名の議決を行った趣旨について、
説明を聴取し、続いて衆議院側から、福田康夫君に指名の議決を行った趣旨について、
説明を聴取いたしました。
続いて、両院の協議委員の間で協議が行われました。のち、採決に入り、
その結果、参議院、及び衆議院、いずれの指名の議決も出席協議委員の三分の二以上の賛成を得られず、
両院協議会として、成案を得るに至りませんでした。
以上、ご報告を申し上げます。
河野洋平君:
ただいま、両院協議会協議委員議長から、報告されましたとおり、両院の意見が一致いたしませんので、
憲法第67条第2項により、本院の指名の議決が国会の議決となりました。
よって、国会法第65条第2項により、直ちに奏上することといたします。
本日はこれにて、散会いたします。
実際の音声3
ダウンロード 20070925PrimeMinister03.mp3 (2858.7K)
◆コメント:民主主義は面倒でも手続きを軽視してはいけないのである。
今日のは、何しろ内閣総理大臣の指名であるから、最も厳密に行われるのは当然だ。
法律に定められたとおりに、内閣総理大臣指名の決議を行うとは、どういうことか。
を文字にしてご紹介したい、と思った。
衆議院や参議院のサイトに会議録はあるが、掲載されるのが遅い。下手をすると数週間もあとのことになる。
そのころには、こちらの興味も失せている。情報は早いほど価値が高いのである。
単なるテープ起こしといわれればそうだが、
国権の最高機関たる国会が法律で定められた手続きどおりに首相を指名しているか、
実際に自分で確かめるのは大切なことだ。
2005年、8月8日、小泉純一郎は郵政民営化法案が参議院で否決されたら、
議題は今日とは全く違うけれども、手続きとしては、両院協議会を開き、それでも
だめなら、もう一度衆議院で採決し、成立させる(できるかどうかわからないが)べきだったのである。
法律で両院の意見が違ったらそうしろ、とかいてあるのに、小泉純一郎は衆議院を解散した。
そういう手続きは日本の法律に反している。解散権の濫用であった。
議会制民主主義は面倒くさくてもその手続きを守らなくてはいけない。
私は、福田が総理になっても嬉しくも何ともないが、今日の内閣総理大臣指名は、
当たり前なのだが、正式な手順を踏んでいると見て良いだろう。
今日のような議事録は結構貴重ですよ。衆議院と参議院でちがう内閣総理大臣指名決議をしたのは、
今までに四回しかないのだそうだ(今日を含めてである)。
ご参考になれば幸いです。
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2004年09月25日(土) 「韓国産の青酸ソーダ107t、中国経由で北朝鮮に渡る」青酸ソーダはサリン(化学兵器に使用する)の原料。
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