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2007年05月24日(木) |
「温暖化ガス、50年までに半減=世界全体で−安倍首相が提案」←いつまで経っても不正確な報道 |
◆記事:温暖化ガス、50年までに半減=世界全体で−安倍首相が提案
安倍晋三首相は24日夜、都内で開かれた国際交流関係の会合で演説し、
地球温暖化対策について「世界全体の温室効果ガスの排出量を現状に比して2050年までに半減する」ことを世界共通の目標として掲げる考えを明らかにした。
排出抑制に取り組む発展途上国への資金協力の仕組みづくりも表明した。
ドイツのハイリゲンダムで6月に開かれる主要国首脳会議(サミット)で提案し、
「ポスト京都議定書」の枠組みづくりに向けて論議をリードしたい考えだ。(5月24日21時1分配信 時事通信)
◆所見1:報道はあくまでも正確に。「温室効果ガスを半減する」のではない。
私だって素人だが、一目見て時事通信の見出しのいい加減さに気付く。
京都議定書で合意された内容は何か。一番のポイントは
締結国は、2008年〜2012年の期間における、CO2排出量を、1990年対比5.2%削減すること。
である。「排出量」を減らすことを目標としているのである(内容の妥当性は別として)。
時事通信の見出しは、
温暖化ガス、50年までに半減
とある。これでは、大気中の温室効果ガス(「温暖化ガス」とは、ふつう、言わない)濃度そのものを減らすかのごとき錯覚を与える。
安倍首相案(といっても、後述のとおり独自案ではないのだが)は、
温室効果ガスの排出量を2050年までに半減する
という内容だ。
◆先日のIPCCの報告書の丸写しじゃないか。
今月初めに書いた、「<温暖化対策>1トンのCO2削減最大80ドル IPCC」
をお読みいただきたい。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第3作業部会が4月末から5月上旬まで開催された。
その直後は日本語訳が出来ていなかったので、各紙の報道内容が少しずつ異なる(そんなことでは困るんですけどね)が、
産経新聞の見出しは次の通りだった。
IPCC 適切投資すれば2050年、温室効果ガスの半減可能(産経新聞) (5日8時0分)
冒頭の記事で報道された、安倍首相の提案は、要するにこのIPCCの勧告をそのまま受け売りしているだけだ。
地球環境概況2000は、
もし、現在の消費傾向が続くならば、2025年には地球上の3人に2人が水問題に直面することになる。
と警告しているのを、安倍首相は御存知なのだろうか。
◆不安要因は他にもあるのだ。
因みに温室効果ガスは、「代表的なもの」は、CO2だが、それだけではない。
ロシアの国土は永久凍土という、1年を通じて0℃以下の凍った土壌により形成されている。
シベリアの永久凍土の面積は日本の国土の25倍以上にも及ぶ。
そして、永久凍土の中には、凍土が形成された約3万年前に、
この地域で発生した大量のメタンガスが表層部に封じ込められているのであるが、
永久凍土が溶けることにより、メタンガスが地上に吹き出ることになる。
メタンガスはCO2の20倍もの温室効果をもっている。
永久凍土は既に溶け始めている。
このようなことを日本のメディアはあまり大きく取り上げない。
誰もこんな話は聴きたくない。しかし、だからといって、事の重要性を正しく認識しない、或いはさせないのは、
正しくない。
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