外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
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2006年06月24日(土) 「福井総裁、金融資産は2億3170万…妻名義で阪神株」←論点がずれている。

◆記事1:福井総裁、金融資産は2億3170万…妻名義で阪神株

日本銀行の福井俊彦総裁(70)が村上ファンドに1000万円を拠出していた問題を巡り、福井総裁は27日、衆院財務金融委員会の理事懇談会に対し、2006年3月末の金融資産残高が、

預貯金1億8660万円、国債1000万円、投資信託3510万円の計2億3170万円だったと報告した。

日銀は、公開済みの株式(5銘柄、今年3月末で約3800万円相当)と村上ファンド拠出分を合わせると約2億8800万円になると説明している。

村上ファンド以外に、私募ファンドへの拠出はなかったという。

一方、総裁の妻は今年3月末時点で、預貯金や国債など5323万円のほか、阪神電気鉄道(2000株、今年3月末で200万円相当)と高島屋(5000株、同約900万円相当)の2銘柄の株式を保有していた。

阪神株は2000年8月に購入し、売却していないという。 (読売新聞) - 6月27日22時9分更新


◆記事2:福井総裁の年金778万円、与党内でも「高い」の声

日本銀行の福井俊彦総裁が国会に27日提出した資料によると、総裁が2005年に得た収入のうち年金の受給額が778万円にのぼり、与党内からも「有名企業の役員と比べても非常に高い」との声が出ている。

福井総裁の年金受給額の内訳は、日銀職員が受け取る企業年金が333万円で最も多い。

これに、サラリーマンなどが加入する公的年金である厚生年金の309万円が加算され、個人年金保険121万円なども含まれている。

日銀は、接待汚職が発覚した1998年に、役職員の厚遇に対する批判の高まりを受け、

給与水準の引き下げと合わせ、企業年金の受給額も「大手金融機関並み」(日銀)に見直した。(読売新聞) - 6月27日22時9分更新


◆コメント:日銀総裁の個人資産総額が問題なのではない。

福井日銀総裁のファンド等への投資の問題だが、論点がずれている。

福井総裁の資産がいくらであるかは問題なのではない。

日銀総裁とて、資産が全然無かったら、のたれ死にしてしまう。



福井日銀総裁が、村上ファンドに1000万円投資していたことが発覚したのは、丁度2週間前の今日である。

私は、その日の日記を読んで下さると分かるが、「福井さん、残念ですが辞めて下さい」と書いた。

6月13日の段階では、福井総裁が村上ファンドへの投資の他に、株を保有し、投信も保有している事は知られていなかったし、投資の結果儲かっているのかどうか、不明だった。

その段階で辞めるべきだと言う人は、世の中に殆どいなかった。



その後、村上ファンドその他で、福井総裁の投資は含み益を持っている事、それもかなり庶民的感覚からいえば、大きく儲けていることが発覚してから、漸く世論が福井総裁を批判し始めたのである。

それは、嫉妬である。本質はそのような「情緒的な」問題ではないのだ。

福井総裁が村上ファンドその他への投資の結果、「儲けたかどうか」が問題なのではない。それは結果論だ。

中央銀行総裁としての、原則。有るべき立場を考えねばならぬ。

仮に現在、福井総裁が損をしているとしても、総裁は日銀総裁就任時にファンドや、投信を解約し、或いは株は売買を凍結しておくべきだった。

それをしなかったことが問題の本質である。


◆インサイダー取引とは何か。

最近、アメリカでも日本でもインサイダー取引の規制が厳しくなっているが、それは当然である。今まで甘すぎたのである。


インサイダー取引規制に最も気をつけなければならないのは、企業経営者である。

企業経営者は、一般投資家に比べて自分の会社の内部情報をよく知っているので、この情報を利用して、自分の会社の株式(自社株)の売買を行い、「抜け駆け」的に儲ける事ができる。

例えば、売れることがほぼ明らかな新商品の発表前に、社長が自社株を買い、発表後、株価が上昇してからこれを売却するのは、インサイダー取引に該当し、証券取引法により罰せられる。

発表前に自社株を「買った」ということは、その株を「売った」人がいたわけだが、その人は、新製品の情報を知らなかったわけである。

もし知っていたら、その人だって、発表後まで株を持ち続けて、上がったところで売りたかったはずである。

つまり、インサイダー取引は内部情報を持っている者が、情報を持たない者を実質的に「騙し」ているといっていい。そこが問題なのである。


◆日銀総裁のインサイダー取引

日銀総裁の場合、個別企業の新製品の情報ではなく、金融政策の変更(金利を上げたり、下げたりすること)を事前に知ることができる。

だから、例えば、金融緩和政策を実施する、と発表する前に株式市場で株を買っておき、金融緩和政策実施後、株価が上昇したところで売れば、究極のインサイダー取引をしたことになる。



インサイダー取引は通常株式市場で問題になるが、日銀総裁の場合は、発言だけでも外国為替相場を変動させることができるので、為替市場でのインサイダー取引も可能になる。


◆日銀政策決定委員会のメンバーは政策変更により価格変動が起きる可能性がある資産を保有するべきではない。

日本の金融政策は毎月行われる日銀政策決定委員会(総裁、副総裁、審議委員)で決定されるのであるから、

今まで述べたことを考えると、政策決定委員会の構成員は、政策の変更によって、価格が大きく変動するようなタイプの資産を保有するべきではない。

彼らがそのような資産を有すると、政策決定委員会の面々は、私利を優先して(自分が儲かるように、という意味)政策を変更しているのではないか、という疑いをもたれ、

日本国の中央銀行(銀行の銀行、最後の貸し手などとも云われる)の信用が失墜してしまう。


◆今の資産、年金が多すぎるか少なすぎるか、は問題ではない。

今現在の日銀総裁の資産、つまりストック(ある時点での財産価値)が高過ぎるとか何とかは問題ではない。

大事なのは、日銀が内規を整備して、毎年定期的に資産内容を公開し、前年からの変化(フロー)を観察することである。

日銀総裁や奥さんとて、霞を食って生きていくわけにはいかないから、老後に備えて貯金をしていても、それは構わない。

その額が億単位であっても、多すぎるというのは嫉妬に過ぎない。

そうではなく、仮に、来年、この資産が大きく増大していたら、何故、そのような収入が得られたのか本人の説明を求める事が寛容である(辞めないのならば)。


◆福井日銀総裁就任当時にファンドを解約せず、株売買を凍結していなかった。

13日の日記の繰り返しとなるが、私は日銀総裁は辞任するべきだと思っている。

中央銀行総裁就任当時にファンドを解約せず、個社別の株式や投信を未練タラタラ持っていたと言うこと自体が問題であり、その結果、儲けたか否かが問題なのではないのだ。


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