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2005年11月04日(金) |
特異な犯罪は無視するのが正しい。 |
◆記事:<静岡母親毒殺未遂>女子高生、食事にタリウム混ぜる
静岡県伊豆の国市の県立高校1年の女子生徒(16)が母親に劇物のタリウムを摂取させたとして殺人未遂容疑で逮捕された事件で、少女はタリウムを食事に混ぜて複数回、母親に食べさせていたとみられることが1日、県警の調べで分かった。県警は食べた際に気付かれないよう、ごく少量ずつ混ぜていたとみている。
調べでは、県警が少女の自宅から押収したパソコンに、劇物を扱うインターネットサイトに接続した記録があった。県警は少女がネットを利用して劇物に関する情報を入手していたとみている。また、少女はブログ(ネット上の日記)を作成していたことも分かり、事件につながる書き込みがないかも調べている。 (毎日新聞) - 11月1日15時4分更新
◆コメント:報道しないのが、模倣犯の出現を防ぐ最良の方法。
高校生の女の子が、故意に母親に毒を飲ませて、次第に衰弱していた様子を冷静に記録して楽しんでいたということが、日本中に衝撃を与えているというのは嘘だ。
みんな、恰好の雑談のネタが出来てよろこんでいるだけである。
一番よろこぶのは勿論マスコミで、テレビのワイドショーのプロデューサー、週刊誌の編集長だろう。
この少女のおかげで、一ヶ月ばかりはネタに困らない。
何故困らないかというと、その記事を載せた週刊誌を買う大衆、ワイドショーを見る大衆が存在するからである。
一般大衆は、本当にこの犯罪を忌まわしい、話の聴くのはまっぴらだと思っていたら、週刊誌も売れないし、ワイドショーの視聴率も上がらないはずだ。
実際はその正反対である。大事件の後の週刊誌の売れ行き、ワイドショーの視聴率はそれぞれの製作責任者にとって笑いが止まらないほどになる。
人々は、自分が被害者にならない限りにおいては、変質的犯罪が大好きなのだ。
◆好奇心で騒いでいるだけで、誰もこの少女の将来がどうなろうが知ったことではない。
この犯罪を巡って、素人が原因論、抑止論を聞きかじりの心理学や精神医学の断片的知識を用いて書いたり論じても仕方がない。
「どうしたら、防ぐことができたのか?」なんて偽善的だ。本心は、興味津々だろう。
私もその一人だ。というか、正確に言えば、犯罪の内容に興味はないし、この娘がどうなろうが、知ったことではない。
この娘が一生を棒に振った事だけは確かだが。こちらは痛くも痒くもないから、何とも思わない。無論同情もしない。
もっとも、こういう事に関するプロもいないに等しい。
珍しい犯罪があるとかならず、「犯罪心理学者」がテレビに登場してあーでもない、こーでもない、と解説する。後から解説しても仕方ないだろう。
犯罪心理学者てのは、犯罪の抑止に役に立った試しがないではないか。もっぱら「ワイドショー御用達学者」だ。
それはさておき、人間にはときどき、こういう出来損ないみたいなのが現れる。それはいくら「犯罪心理学」が発達しても、防ぐことは出来ないだろう。
この事件に関して言えば、日本では珍しい、というか初めてだろうが、だからこそ、騒いではいけないのだ。
以前、「集団自殺」と「通り魔」は報道しない方がよいのではないか。という稿を上げたことがある。
クルマの中で七輪を炊いて、集団自殺する者が相次いだ時期があったが、あれは、報道するからだ。という趣旨である。
世間がそういう事件が有ったこと知らなくても、危害が及ぶことは無い。つまり、「知らない事による不利益」はない。
しかし、報道してしまうと、今までそのたぐいの犯行(自殺の場合は「犯行」ではないが)を思いつかなかった奴、
或いは、想像していたが実行に踏み切るまでに至らなかった奴が、実行に移すきっかけになってしまうのだ。
今回はもう報道されたから手遅れだ。多分、同じ事をする奴が出てくるだろう。
◆アメリカの猟奇殺人なんて、こんなものではない。
10年以上も前に、非常に日本でも売れた、FBI心理分析官という本は、FBIで特に「犯人像」を絞り込む専門家(プロファイラー)が書いた、過去の実際に有った犯罪の記録である。
これを読むと、不謹慎だが、今回の高校生なんか可愛いモノだ。
アメリカの大量殺人、猟奇的殺人の変質ぶりはすさまじく、この違いは、肉食民族と草(穀物)食民族の違いなのかな、と、ありふれた事しか言えない。
驚くのは、アメリカの凶悪大量殺人の殆どが、「快楽殺人」であること。
即ち、被害者が苦しんでいる様子を見るのが「楽しい」とかそれによって、性的快感を覚えるという、変態によるものだ。
だから、人類全体としてみた場合は決して今回の犯罪は、史上初の驚嘆すべき冷酷、変質的犯行とは言えないのである。
騒がないことが一番だ。
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