外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
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2005年08月30日(火) 郵政民営化の詭弁を検証する。(衆院選前解説シリーズ1)

◆郵貯・簡保の何が問題なのか。

 

 国民が郵便貯金に預けたお金、簡易保険の掛け金として払ったお金。それが350兆円あるわけです。

 民間金融機関、つまり、銀行ならば、預かった預金を、その預金につける利息よりも高い利率で、企業などに融資(貸し出し)をして、その金利の差(利ざや)で儲けます。

 また、銀行同士で短期間のお金の貸し借りをしたり、株式、外国為替、債券のディーリングを行って、収益を上げました。

 株でも、為替でも、債券でも、安いところで買って、値上がりしたところで得れば、差益が出ます。

 しかし、これは、一歩間違えば大損します。かなり大きなリスクがあります。専門家がいないとできません。

 郵便局や簡易保険には、そのような業務は認められていませんでした。

 とはいっても、何らかの利益を上げないと、貯金に利息を付けることが出来ません。

 そこで考え出されたのが、財政投融資という制度です。



 郵便局や簡保が集めた350兆円は、旧大蔵省の資金運用部という所にそのまま預けます。

 こうなったら、大蔵役人のやりたい放題です。民間企業のように、株主総会があるわけではないので、どのように350兆円を運用したか、誰にも見えません。

 殆どは、今や巨額の赤字を抱える道路公団とか、住宅公団など「特殊法人」へ貸し出されていました。

 こういうところに、カネを貸して、恩をうっておけば、大蔵役人は道路公団とか住宅公団に天下りができます。

 ところが、道路公団というのは、構造的に儲からないので、今や40兆円ものお金が返してもらえません。

 くりかえすと、

 

国民→郵貯・簡保→大蔵省の資金運用部→特殊法人(道路公団など)→大赤字


 が当たり前と思われていました。

 また、郵貯はご存じのように、小泉政権になってからどんどん発行される赤字国債(税金では予算がたりないから、債券というものを発行して、借金をすることです)の最大の買い手です。

 郵貯がいくらでも引き受けますから、国の借金はみるみる間にふくれあがり、今や700兆円という、気の遠くなるような金額になりました。


◆2001年に制度改革が行われ、郵貯は、財務省にお金を預ける(預託する)ことが禁じられました。

 

 何故なら、大蔵役人に郵貯・簡保のカネを預けると、無駄にしてしまうからです。

 もともと国民がつましい生活を切りつめてやっと預けた大切なお金を、とても返してもらえそうにない、道路公団などに貸し付けてしまう。これは大問題だ、と言うわけです。

 こういう経緯があり、2001年、制度改革が行われ、建前上、郵便貯金は自分で資金の運用方法を考えて、もうけを出さなければいけないことになったのです。

 また、道路公団などの特殊法人は、「財投機関債」という債券を発行して、金融市場から、自分で道路を造るのに必要なお金を調達しなければならなくなったのです。


◆しかし、実態は変りませんでした。

 

 2001年から、郵貯や簡保に、国民から預かった350億円を上手く運用して、自分で利益を出せといっても、そんな仕事を経験した人は郵便局にはいませんから、むりな話だったのです。

 また、特殊法人(道路公団など)も大赤字ですから、そんなところが「財投機関債」(国の保障が付いていないのです)を発行したって、誰も買いません。
 特殊法人から見れば困ったことに、大蔵省資金運用部と言うところは最早、廃止になりましたから、特殊法人は喉から手が出るほど欲しい、郵貯・簡保の資金を借りることが出来ないのです。


◆財投債というインチキが始まりました。

 

 このような状況の下で、財投債というものが出来ました。

 これが、ひどいんです。

 どういう事かというと、自分でお金を調達出来ない特殊法人(道路公団など、です)に代わって、新たに財投債という国債を政府が発行して、郵貯・簡保に引き受けさせましたのです。

 そして、郵貯は国に代金を支払いますね?国はその資金を結局、また特殊法人に融資する、という措置が取られるようになりました。

 この仕組みは、民営化しても残るでしょうね。

 何故なら、先ほどのべたとおり、郵貯簡保には、融資とか、市場での投資、投機を通じて利益を出す専門家がいないからです。


◆小泉さんの倒錯的論理。

 

 小泉純一郎内閣総理大臣というひとは、しばしば、常人には到底理解できない論理を展開します。

 今回も同様です。

  国の赤字がどんどん植えるのは、郵便局がいくらでも赤字国債を引き受けるからだ、というのです。

 郵貯・簡保を民営化すれば、今よりも効率の良い資金運用方法を選択するだろうから、赤字国債を引き受けなくなる。引き受ける人がいなくなれば、国債の発行残高も減るだろう、というのです。

 無茶苦茶です。国債を郵貯に無理に押しつける、そういう資金の流れを作ったのは、他ならぬ小泉政権そのものなのです。

 それを、国債を買う郵便局があるから、赤字国債をつい、発行してしまうのだ、と言っているのです。

 違うでしょう?原因と結果を逆にして誤魔化している

 それは、財政再建を標榜している小泉内閣が、借金を減らす方法に真面目に取り組まなかったからです。

 こういうのを、古来、日本語では「盗人猛々しい(ぬすっとたけだけしい)」というのです。

 他の問題点に関しては、また、後日書きたいと思います。


2004年08月30日(月) 「小泉・竹中不良債権処理」のそもそもの発端は、2002年9月12日の小泉ブッシュ会談ですね。
2003年08月30日(土) 返事を書かないのであれば、「MAIL」を表示するべきではない。

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