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2005年08月28日(日) |
小泉首相が、郵政民営化にあれほどムキになる理由。 |
◆記事:<郵政法案>平沼赳夫前経産相に聞く (7月22日付毎日新聞) 「撃つ---郵政改革」シリーズ
今まで自民党は何回か不祥事で危機にひんし、出て行った人もいたが、私は最後まで踏みとどまって党を立て直すのが一番いいと思ってやってきた。でも、最近の状況には愛想が尽きている。
恫喝(どうかつ)で党議拘束をかけ、違反したからといって除名や除籍になるんなら、筋を通す政治家として名誉なことだ。
解散になって無所属で戦うのも選択肢の一つだし、51人造反したわけですから、綿貫勉強会を続ける中で同憂の士が集まれば、新しい流れ(新党)になる。追加公認を期待してというさもしい根性じゃなくて、筋を通して、正々堂々と戦っていきたい。
法案の内容もさることながら、50年培ってきた党内民主主義を破壊するようなことが繰り返されたら本当に恐ろしいことになる。私を行動に駆り立てた要素の半分以上はそういう思いです。今度の修正案はまず合同部会で審議して、その上で総務会にかけなきゃいけないのにいきなりでしょ。
我々は何も党内抗争をしようというわけじゃない。私も郵政改革は必要だと思ってますよ。膨大な郵貯資金、簡保資金が、不必要な公共事業や特殊法人の事業に使われてきた。そういうのを正す理念で郵政公社化法ができて、4年間みっちりやってその時点で判断することになっているのに、折り返し地点で何でこんなに拙速にやるのか。
米国から日本に毎年来ている年次改革要望書を見ると、最右翼に郵政の株式会社化が書いてある。
345兆円の郵政資金は彼らにとって、のどから手が出るほど魅力的なものなんでしょう。
何が小泉純一郎という政治家をここまで駆り立てているか、いろいろ想像すると、やはり米国との約束が一番じゃないかという気がしますよ。
サミットの前に、特別委員会メンバーまで差し替え、恫喝の限りを尽くして通すなんて異常。選挙の結果、民主党と公明党が組んで政権取る可能性だってある。そういうところまで追い込んだ小泉さんの責任は本当に大きい。 (毎日新聞) - 7月21日19時25分更新
◆コメント:やっぱり、アメリカだったか。
小泉首相に直接会ったことも無いので、その人格について、単なる印象から徒に、中傷めいたことは書くべきではない。
しかし、私はどうしても気になっていたのだが、彼が郵政民営化を論ずるときのエネルギーは、明らかにバランス感覚を欠き、常軌を逸している。
結局何も論理的説明は無い。おかしいな、とおもっていたら、やっぱりアメリカだった。ひどい話だ。
◆その話は、後で書くが、まず、郵便に関して。
郵政民営化案では、郵政事業を、窓口サービス、郵便、郵貯、簡保に分けるという。
民営化すれば、よりよいサービスを期待できるというが、たとえば、郵便に関して、今のサービスがそんなに「悪い」と感じている国民がいるだろうか?
◆郵便は全国の国民が等しく同等のサービスを受けられなければならないというのは、国際法の命ずるところでもあるのだ。
1875年、スイスのベルンで発足した万国郵便連合(UPU=Universal Postal Union)という国連の機関があり、日本も加盟国である。
この組織が定めた万国郵便条約では、
「加盟国の国民は、だれもがひとしく、ユニバーサルサービス(全国普遍的なサービス)で同じような郵便サービスを受けられなければならない」と規定している。
先日、東北の田舎を車で走ったが、どんな過疎地にも郵便局は存在する。つくづく感心した。
尤も、その所為で、郵便事業は赤字なのだが、しかし、これは、赤字であるからこそ官(国)がやるべきなのではないかと思うのである。
首相官邸サイトの郵政民営化パンフレットを読むと、民営化されても郵便局の数は減りませんとかいているが、郵便局が民営化されたら、民間会社になるのだから、その経営方針に国が介入することは、余程不祥事でもない限り、行うべきではない。
民間会社にいちいち介入するのなら、日本は社会主義国だということになる。
したがって、民営化されたら、間違いなく、不採算店は閉鎖される。
これは、国際郵便条約に違反するのである。
そもそも、国際法をもちだすまでもなく、あの広大な土地にポツンポツンと民家があるような地域で、一カ所しかない郵便局がなくなったら、本当に困るだろう。
◆小泉首相は、他人に反対されたり、人の意見を聞くのが大嫌いだそうだが、ひとりだけ、例外がいる。ジョージ・ブッシュだ。
週刊ポスト7月22日号「変人・小泉純一郎の腹の底」という記事を読んだ。
週刊誌だから、面白おかしく書きたがるのは百も承知だが、新聞記事などとクロスチェック(突合)してゆくと、真実の輪郭が見える。
国税の査察なども、週刊誌は念入りにチェックしているのだ。
話がそれたが、この記事は「小泉首相を十年間にわたり、最も身近で取材してきたジャーナリスト」、須田慎一郎氏が書いたものである。
私が一番気になったのは、次の箇所。
「良くも悪くも、小泉首相は他人の話に聞く耳を持っていない。意見されたり、反論されたりするのは苦手、というより、大嫌いだ。」
と言う箇所。冗談じゃない。そんな人間を国家の指導者にしてはいけなかったのだ。これは我々国民の責任だ。
しかし、私が見る限り、というか、多くの人がご存じのように、彼はアメリカに圧力をかけられたら、一も二も無く唯々諾々と従う。
別の表現を用いるならば、彼はジョージ・ブッシュの忠実な家来であることに無上の喜びを感じるようだ(ブッシュはホワイトハウスで、小泉首相を、「小泉軍曹」と呼び、バカにしているそうだ。なんたる国辱。)
◆金融改革プロジェクトで、不良債権を減らすと騒ぎ出したのも、訪米直後から。
2002年9月、小泉首相は911テロから1年目の追悼式に出席するために渡米した。
そのとき、ブッシュは、小泉に、「日本の銀行の不良債権は、未だ随分あるようだな」(「なんとかしろよ」)と圧力をかけた。
それからである。小泉首相が「景気が良くならないのは、銀行の不良債権があるため、銀行の新規貸し出しが行われず、必要な資金が企業に回らず、設備投資などが出来ないからだ」という、完全に間違った持論を展開し始め(どのように間違っているかは、ちょうど一年前の日記に書いたのでお読みいただきたい)たのは。
そうはいっても、自分では金融政策など何も分からない小泉首相は、竹中金融相に丸投げした。
竹中はプロジェクトチームを組織して、その意見を全面的に採用した。
大銀行に金融庁が立て続けに検査に入り、これも不良債権、あれも不良債権、といって、立ち直りかけている企業への貸し出しまで無理矢理返済させて、多くの企業が潰れた。
アメリカは小泉首相に何故このようなことを命じたかというと、これで、自己資本比率が足りない銀行には、公的資金を注入し、国有化し、財務体質を改善させて、もう一度、株式市場に上場したところを、自分の国(アメリカ)の所謂ハゲタカファンドに安く買わせ、株価が上がったところで売って、儲けさせることにあった。
大もうけさせて貰ったアメリカのファンドは当然ブッシュさまさまとなり、選挙の時の資金源、かつ、集票マシーンとして使える。
◆郵貯・簡保を民営化する。340兆円を民間企業が管理するということは、アメリカのファンドに買われてしまうかも知れないと言うことだ。
多少なりとも、日本経済に関心のあるサラリーマンなら、340兆円民営化、と聞いて、あの新生銀行の悪夢を思い浮かべるのではないか。
今や新生銀行と呼ばれる旧長期信用銀行は経営破綻したときには、一時国有化されて、債権処理のために公的資金が8兆円も投じられた。
その財源は我々の税金である。
そして、それらの処理が終わった後に、日本政府は新生銀行を、リップルウッドという投資会社にわずか10億円で売却した。
一度は上場廃止になった銀行が再び上場することが出来たのは、公的資金を8兆円も使って、財務体質が良くなったからだ。
再上場直後に、リップルウッドは新生銀行の株を買い、短期間で値を上げた株を売却して、2000億円の儲けを出し、まだ、大量の株を保有していて、その含み益が7500億円もある。1兆円も儲かったのだ。
もう一度整理すると、
小泉政権は、日本国民の血税を8兆円も新生銀行に投じた。
その新生銀行をたった、10億円で、リップルウッドに売った。
10億円で新生銀行を買ったリップルウッドは、1兆円、儲かった。
郵貯簡保に預けてあるのは公的資金とか言う人がいるが、あれは全て国民が預けた「民」のカネである。それは、今は国が預かっているから、アメリカと言えども買えない。
しかし、欲しくて仕方がない。小泉首相は、そのアメリカの求めに応じようとしているのである。
郵貯・簡保が民間企業になれば、株を買い占められたらおしまいだ。
アメリカのファンドは新生銀行の時のような、しかも桁違いの大もうけの機会を狙っている。
だから、ブッシュは小泉首相に郵政民営化を要求する。 冒頭の記事における平沼氏の発言はそういうことだ。
◆小泉首相は、日本などどうでもよい。アメリカの意向の方が大事なのだ。
8月8日の小泉首相の記者会見鬼気迫るものがあり、大衆は一遍で騙された。
しかし、勘違いしてはいけない。彼にとって、日本の未来など、知ったことではない。
小泉首相は「自民党をぶっ壊す」としきりに言うが、本当にぶっ壊したいのは、日本国そのものなのではないだろうか。
小泉首相は、日本国民の公共の福祉よりも、米国政権に可愛がられることの方が大事な人なのである。
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