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2005年02月16日(水) |
京都議定書が発効したこと自体に特段の意義は認められない。既に手遅れと言われている |
◆記事:<京都議定書発効>環境税導入論議などが高まる可能性も
地球温暖化防止のための京都議定書が16日、発効し、日本は温室効果ガスを08〜12年の間に、90年比6%削減することを義務付けられた。しかし、03年実績で同8%増えており、03年比の削減目標は14%に膨らんでいて、「目標達成への道のりは険しい」(経済産業省)状況に変わりはなく、環境税導入論議などが高まる可能性もある。
環境税の創設は06年度税制改正作業の大きなテーマだが、「既存税制の振り替えでやるのか、新税でやるのか決着していない」(政府税制調査会の石弘光会長)。議定書発効を機に、議論が本格化する。(毎日新聞) - 2月16日20時26分更新
◆コメント:京都議定書が完璧に実行されても、地球温暖化は止まらない。
今日は、この話題を日記やblogの「ネタ」として取り上げている人が多いようだ。
しかし、口幅ったいことを云うようだが、私ほど、過去に何度も地球温暖化関連の稿を起こした人は、あまりいないと思う。
「京都議定書」で自分の日記を検索したら、16件。
「地球温暖化」では28件ヒットした。
それらをお読みいただくと分かるのだが、京都議定書が発行したからと云っても、全然安心できないのである。
◆京都議定書が減らすのは、温室効果ガスの「排出量」であり、大気中の絶対量ではない。
冒頭に引用した毎日新聞の記事は、書き方が不明瞭、不正確である。書いた記者は、絶対に、この条約をちゃんと勉強していない。
「日本は温室効果ガスを08〜12年の間に、90年比6%削減することを義務付けられた。」
違う。
日本は、2008年から2012年の間に、温室効果ガスの「排出量」を90年度の排出量の94%にしろ、と言われているにすぎない。
つまり、京都議定書の締結国が、この条約(議定書というのは単なる言い回しで、これも国際法上、要するに「条約」だ)で割り当てられた目標を完璧に達成すると、CO2を代表とする「温室効果ガス」が増えるスピードが少しだけ遅くなるということである。
温室効果ガスが減るわけではない。
専門家によれば、温室効果ガスを今の濃度に保とうとするなら、世界中のCO2排出量を一挙に50%から70%減らさなければ間に合わない。そうしてみると、4年間で6%減らす、などという、甘っちょろい目標は、ほとんど意味をなさない。
さらに恐ろしいことに、仮に現在のCO2排出量を7割減らし、CO2濃度を今の水準で維持したとしても、地球温暖化が直ちに止まるわけではないのだ。
CO2が増えるのは、石油、石炭、天然ガスといった、化石燃料を燃やして火力発電を行うからで、電気の消費を劇的に減らさない限り、CO2は減らない。
火力発電を止めて、100%原発にしてしまえば、温室効果ガスの排出量は大幅に減るだろうが、日本人は嫌がるし、実際、しょっちゅう何か事故が起きる。
このように考えると八方ふさがりである。
実も蓋もない書き方だが、それが現実なのである。
◆各国が京都議定書を守る保証はどこにもない。
京都議定書が各加盟国に割り当てた、温室効果ガス排出量削減目標を達成出来なかったとしても、別に、ペナルティーはない。これじゃ、誰も本気でやらないよ。
ロシアのプーチンなどは、地球温暖化が進めば毛皮を買わなくて済むので、都合が良い、と恐ろしく無知なことを公の場で発言して大恥をかいたことがあるが、昨年、EU諸国にしつこく京都議定書に批准しろと云われて、ようやく承諾した。とても、真剣に実行する気があるとは思えない。
その上に、世界全体のCO2排出量の2割を占めているアメリカが、全くこの条約に加わろうとしないのである。
日本は中東戦争時の石油パニック以来「省エネ」という概念が産業界に出来て、ずいぶんエネルギー消費量を減らした。
世界第2位の経済大国なのに、CO2排出量は世界全体のわずか5%である(これは、驚異的なことだ)。だから、その日本が少々減らしてもあまり意味がない。アメリカ、ロシア、中国が真剣にならねば、ほとんど無意味だが、分かっていない国ばかりだ。
◆「地球温暖化を防ぐのは、おそらく既に手遅れ」(国連環境計画)
これまでに、何度書いたか分からないが、国連環境計画という組織が、1999年、地球環境概況2000という報告書を作成した。
世界30カ国、800人の科学者が参加して行った調査・研究の結果が記されている。
そこには、地球温暖化を防ぐのは、たぶん、既に手遅れだ、とかかれている。
本来ならば、全人類が真っ青にならなければいけないほど、深刻な状態なのだが、大部分の人間はあまりにも規模が大きなことを想像出来ないし、絶望的な現実から目を逸らそうとする。
それだけに、各国政府やマスコミは、この深刻な状況をありのままに伝えて、たびたび、しつこいほど、注意を喚起しなければならないのだ。
ところが(よその国の事情は知らないが)、日本について云えば、私は、日本のマスコミが「地球環境概況2000」について、取り上げたのを読んだことも、みたこともない。
引用した毎日新聞も「環境税論議が高まるかもしれない」などと、のんきなことを書いている。
カネの問題ではない。放っておけば人類は滅亡する。地球環境概況は(そういう表現はさすがにもちいていないが)、そう云いたいのである。
今日、blogや日記のネタにちょうど良いネタが見つかった、と思って「京都議定書発効」を取り上げた人も、明日の朝には忘れていることであろう。
だから、私は、何度も同じテーマで、同じことを書くのである。
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