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2005年01月07日(金) |
疲れたときは「アダージョ」。お薦めがあります。 |
◆好きな曲を聴くのが一番よい・・・。が、たまには。
本でも、音楽でも何を読むべきか、何を聴くべきか、という「議論」は意味がない。
人それぞれ、生まれも、育った環境も、性格も、現在おかれている環境も、心の状態も、感受性も違うからである。
だから、ここで紹介するCDを「聴くべきだ」とは全く思わないけれども、あまりに美しいので、値段もそれほど高くないし、是非お薦めしたいのである。
◆テンポが思い切り遅い曲ってあんまり聴いたことがないでしょう?
ipodがやたら売れているそうだが、若い方々がお聴きになっている音楽は、大抵、テンポがクラシックで云うところのアレグロ以上で、しかも今は、テンポはシンセサイザーの如き「電子楽器」で完全に一定に保たれている。あれが気になるんだよね。テンポっていうのは、揺れるのが自然なんだ。
元気のいいときに、快活な曲を聴いて、より一層元気になるのは気分がいいものだ。
しかし、とかくに、人の世は住みにくい。 シャバに出ると、つくづく、疲れたなと思うことが多いものである。
ここで紹介する1枚のCDはそういう方に特にお薦めしたい。名マエストロ、カラヤンが生前録音したおびただしい曲のなかから、「アダージョ」(静かに、ゆっくりと)ばかりを集めたものである。
◆カラヤンの功績
カラヤンは兎に角レコードが多くて、商業主義的(つまり金儲けが目的)な俗物だ、と言うようなことを、クラシック通を自認する人は言いたがるが、必ずしもそうとはいえない。
見逃されがちなのだが、彼の大きな功績の一つは、ベルリンフィルという、世界一上手いオーケストラで、誰にでもなじめるポピュラーなクラシック名曲を沢山演奏・録音した、ということである。
そろそろ、そのCDを紹介しよう。 アダージョ・カラヤン。2000円しませんよ。 クラシックというと「長くて退屈」だと思うでしょう?これは違うんだ。
- アダージェット*交響曲第5番 作曲 マーラー
- カノン 作曲= パッヘルベル
- タイスの瞑想曲 作曲=マスネ
- アンダンテ*交響曲第3番 作曲 ブラームス
- アダージョ・モルト 作曲 ビバルディ
- オーゼの死 作曲 グリーグ
- アダージョ*ディベルティメント第15番 作曲 モーツァルト
- アダージョ 作曲 アルビノーニ
- アレグレット*交響曲第7番 作曲 ベートーベン
- G線上のアリア 作曲 バッハ
- 悲しきワルツ 作曲 シベリウス
全て、演奏はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。 指揮はカラヤンです。
どれも、大変に美しい。美しいと云われても分からんだろうけれど、これは、聴いて貰うしかない。
1曲目のマーラーの交響曲第5番のアダージェットというのは、この交響曲は5つの楽章から出来ていて、他の楽章は、大変疾風怒濤のごとく激しいのだが、この楽章だけは、ぞっとするほど、静かで神秘的で、この世のものとは思われぬ。
あまりの美しさに、聴いていると、背筋にゾクゾクと寒気を感ずるほどである。ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」で使われたことでも知られている。
あとは、パッヘルベルのカノンとか、アルビノーニのアダージョとか、これは、もうただ聴いて頂ければいいですね。
ゆったりとしたテンポの曲は演奏するのは易しいかというと、大間違いで、こういう曲こそ演奏者の音楽性が丸見えになるのです。
テンポが早い曲、例えば「熊ん蜂の飛行」(リムスキー・コルサコフ)とか、ショパンの「子犬のワルツ」とかは、それは、確かに早く弾けるようになるまでは、それなりに練習を積まなければならないが、早いから、とりあえず、弾くだけで、素人は感心してしまう。
ゆっくりしたテンポの曲というのは、そのような狭義の「テクニック」でだますわけにはいかない。こけおどしが効かない、といいましょうか。演奏者の音楽的なセンスが最も問われるのです。
で、カラヤン・ベルリンフィルを聴いてみると、やはり、ただ者ではないですね。
まあ、だまされたと思って、気が向いたら、聴いてみて下さい。「マーラーの5番のアダージェットはいいですね。」なんて云うようになったら、貴方、なかなか、渋いですよ。
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