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■ 俺の全ては 瑠璃ちゃんのものだから
幸せに思えることが 沢山ありすぎて
手のひらから
さらさら さらさら
毎日 その記憶が次々おちていく。
昨夜のバーで
意気投合した 初対面の方と私と彼
その方は 暮に放映されたあるテレビの特集番組の
映像ディレクターだという。
たまたまその特集番組のスターが
彼の経営するレストランの常連さんで
スターさんの奥さんである女優さんと彼が
暮に 食事をしていたことと
私が12歳のころから
そのスターの筋金入りのファンだった事もあり、
その番組を
カメラ割を含めて
実に細かく記憶し 感動していた事が
三者を 意気投合させた。
彼と共にいると
この種のくすしき出会いが 必然のようにやってくる。
彼の 人懐こさと
人を魅了する明るさと 一筋縄では行きそうにない外見が
ある種のカリスマ性をもっていることも
私は 知っている。
お食事で既に
乾杯のビールや焼酎や
鯛の骨酒をかなり飲んでいた彼だけれど
移動したバーでも
ウォッカをトリプルでオーダーするような
ブラッディー・シーザー等の杯を重ねている。
平素は
わたしを特定の
心に留めている大切な存在だとは
決して悟られないようにしている彼が、
このくらいのお酒が入る頃には
ポロリと
私への愛を 露呈する様になる。
私は ひやひやしてしまう。
彼が
僕は完全に 瑠璃ちゃんのものだ
とか
僕が愛していると言ったら
瑠璃ちゃんは
ありがとうなんて言ったら駄目だ
あらぁ、当然でしょ、貴方が私を愛するのは当たり前の事よ
ぐらい、言わないとだめだ。
僕は それを欲しているんだよ。
などと言い出す。
意気投合した映像ディレクターさんも
大人の対応で
そ知らぬふりをしてくれる。
今まで
何となく 彼の思い人なんだろうな
と、思われていただろうけれど、
今夜ほど
私たちの関係が露呈した事は ないだろうと思う。
別に 憚る事などないのだけれど、
彼を私よりずっと長く知っている
それら 行き付けのお店のオーナーさんたちにとっては
彼を知るがゆえに、
彼の このごろの変り様に
おそらく 驚いていると思う。
帰りのタクシーで
酩酊した彼が
本日の とどめのセリフを言う。
誰が どう思おうと全く関係ない。
俺とおまえ それだけが全てだ。
あとは、どうだっていいんだ。
るりちゃんは おまえ呼ばわりされて
気分が悪いかも知れないが、
今の状態が 俺にはベストバランスであり、
俺の全ては おまえのものだ。
翌日、おそらく彼は
このセリフを 覚えていないだろう。
2009年01月25日(日)
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