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■ 錦繍のような感情
私に宮本輝を勧めてくれたのは
元彼でした。
彼が宮本輝を好きだという訳はすぐに判りました。
文章の構成が
かっちりしていて
宮本輝の 論理的思考というか頭のよさが
彼の本からストレートに伝わってくるからです。
元彼は私に『錦繍』を薦めてくれました。
元彼と街を歩くと、
不思議なことがよく起こりました。
すれ違いざまに
女性が
様々な反応を示すのです。
上気してうつむき加減で通り過ぎる人
顔をさりげなく見ながら微笑む人
軽い好意の視線を送ってくる若妻風のグループ
彼は自分の外見上の魅力にさほど気がついていませんでした。
顔立ちの綺麗な人は
幼い頃からずっとその種の視線を受け続けているので
その意図するものがわからないのでしょう。
元彼が
人の資質として何より大切にしていたものは容姿などではなく
知性だったという点もひとつにはあります。
現在、一部上場企業の研究開発をしている元彼は
恵まれた容姿とその頭脳により、
一見パーフェクトな人格を備えているように感じられますが、
覆しようのないコンプレックスがありました。
研究開発者になる者として、それはある分野では致命的です。
私が彼の子を胎内に宿したとき
結果的に産むことはなかったのですが、
彼はそのことをとても危惧しました。
でも、
私にはそんなことは全く気にならなかったのです。
辛い理由は
もっと別のところにありました。
今となってはどうでもいいことです。
僕の子は可愛くないの?と言った彼の言葉が
私の胸に 永久に刺さり続けるだけです。
この本は純文学作品ではなく、
宮本輝のシルクロード旅行記とも言えるエッセイです。
文学作品というより
『本を積んだ小舟』『命の器』等の
宮本輝自身の生活観を綴ったような
エッセイ集を
私は好きになっていきました。
でも、
『泥の河』『蛍川』『道頓堀川』
生活の貧しさと 豊かな心の切なさが入り混じる
川三部作も 好きです。
私は多分 宮本輝が一生好き。
それは
元彼を生涯思い続けるだろう私の
啓示のようなものです。
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小さなフォト日録
生村スパ王34丁目6番地 ここにも居ます(笑)仲良くしてね。
BBS
2003年05月17日(土)
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