NINJA-SYSTEMS
るり子の日録【オリーブの森で語りあう】
るり子の日録【オリーブの森で語りあう】
るり子



 今夜も 電話を 待ちわびる。

結局この日、

彼からは 四回の電話がかかってきた。

二度めにかかった物は 言い忘れた愛の言葉で

三度めは 一日の仕事が終わる安堵に満ちたもの。

そして四度目は

純粋な愛情表現に終始したもの。







彼自身

これは愛のコールだ

と、言うので私は

「あら、それは深夜の帰るコールじゃないの?」

と、言葉を返した。









その私の 半ば照れ隠しの返答に






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わたしには

その悲しい言葉の訳が すぐ理解できる。







しかし、彼は言葉を続ける。

「僕たちの関係は、

どちらかが死ぬ事でしか 終わらない。

僕たちに 別離があるとすればそれだけだ。」








わたしはかつて

同じような言葉を Rから聞いた。

Rは

「瑠璃子と結婚できなければ、

一生独身でいるか、死ぬかのどちらかだ。」


そう 私に言ったのだ。

そしてその言葉は、 どちらも偽りのものとなった。







そんなことは

私は今 彼に言う必要はない。

彼はRではないし

私たちの思いは あの時のRとのものとも違う。

でも、

Rの事がなかったら、

私は 今宵の彼の言葉に

おそらく有頂天になったことだろう。







話の中心が愛からずれることのない電話を

彼がかけてくるのは 決まって今頃の時間帯だ。

沢山 いろいろな言葉で

彼は愛情を伝えてくれるのだけれど、

私は 一日たつと その半分以上を忘れてしまう。







アホかと思うけれど、なぜか忘れてしまう。

だからその空白を再び埋めて欲しくて

今夜も 電話を 待ちわびる。





2009年01月09日(金)
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