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2002年07月30日(火) ■ |
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The Fourth Hand読了 |
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●The Fourth Hand(John Irving)読了 ≫Chapter one <内容> TVジャーナリスト、パトリックは、インドでサーカスの取材中、ライオンに左手を食いちぎられる。幸い、事故死した男の手が移植されることになるが、手術を目前に「手」の未亡人に子作りを迫られ、やがて男の子が誕生する……。稀代の女ったらしが真実の愛に目覚めるまでのいただけない行状をつぶさに描く、抱腹の純愛長篇。 *翻訳本『第四の手』の詳細情報より
一言で言うと、ノータリンの下半身男の女性遍歴物語ってとこですか。私はそう読みました。・・・もちろん、それだけではなくて、父子の物語だとか、標本のように様々なタイプの女性が描かれてるとか、顔だけ男とちょっとサイコ気味の女のラブコメディだとか、人間同士の様々な関係の形とか・・・色々な読み方が出来る、とても要素が豊かな小説ではある。だから人によって感想が激しく違っても不思議ではない。
思うに、主人公のパトリックを人間的に許容できるかどうかがカギではないかな。彼はもうどうしようもないヤツで、いつまでも大人になれない人。なのに外見だけは良い、と。一歩突き放して観察するようにストーリーを楽しめれば、きっとこの本はすごく面白いんだと思う。 ドラマチックだし、飽きる暇も無く色々起きるし。ロマンス小説も顔負けなほど具体的な描写がよくあるし、皮肉、下ネタ、笑いのツボ、時事ネタ(ただしちょっと古い)の連発だし。hornyだのwankだのcuntだの、あんまり辞書で調べたくも知りたくもなかったんですけど、みたいな単語が頻出するのに、パトリックが言うと3歳児が言ってるみたいで嫌らしくない(笑)
でも私はパトリックに生理的嫌悪感を抱いてしまって、何かするたびに「いい加減にしやがれ、この知能遅れ!学習しない奴はバカって言うんだぞ!」とかイライラしてたから、この本は楽しい本じゃなかった。とにかく気色悪くて・・・パトリックを見てると夜中の台所ででっかいゴキブリを見つけた時のような気持ちになるのよ(なんて例えだ)。作者が何を言いたいのかと考えると、怖くて鳥肌が立ちそうだ。読みながら、自分の許容範囲の狭さを実感してしまった。
話そのものは、ラブ・ストーリーらしいんだけど、パトリックが彼女を愛するようになるまでの流れというか理由が、唐突でよくわからなかった。3歳児が突然「好きなものは好きなんだ!」「欲しい欲しい!!」みたいにダダをこねだしたような印象(爆)この本は、いつか読み直したいとは思うんだけど、何十年単位で先のことになるだろうな。アーヴィングは当分の間、封印するつもり。この本が「とてもアーヴィングらしい作品」なのだとしたら、ジョン・アーヴィングは今の私に読みきれる作家ではない。(他の作品も)今読んでも許容できないと思う。それが分かったのが、今回の一番の収穫かもしれない。(−−ヾ
≫The Fourth Hand書評@タトル(日本語) ≫The Fourth Hand公式サイト(英語)
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