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■ 私に出来ること
あえて、彼が傷付く言葉を吐き続けた。
どうせ私のこと、嫌いなんでしょ? 信じてないんでしょ? 遊んでただけなんでしょ? 結婚も同棲も、全部全部冗談だったんでしょ? 本当は別れたいんでしょ?
・・・全部、私が彼にずっと言われ続けてきた言葉だった。 彼の反応は予想通り、私が言われた時に示した反応と酷似していて。
客観的に自分を見ているような気分だった。
楽しくて、こんなこと言ったワケじゃない。 何が面白いって言うんだろう、こんな仕返しめいたことをして。 こんなセリフを吐く方も、なんて辛いんだろう。
そう、彼も、言いたくて言っていたハズがないのだ。
今更きっと遅い。 私には理解しきれない。 彼が抱えるあまりに深い心の闇を、理解することは。
育ってきた環境を覆すことは、不可能だから。 彼から見れば、きっと私は羨ましかったんだろうと思う。 自分に無いモノを、私は持っているから。
愛情とは何か、私は知っている。 信じるとはどういうことか、私は知っている。
彼の心の穴を埋めることが出来る可能性が僅かにあるとすれば、それは彼と同じ境遇で育った人だけだ。 そんな人がどれくらいの確率で存在して、どれくらいの確率で彼と遭遇すると言うのだろう?
今、わかること。 それは私では決して無理だ、ということだけで。
悔しさとか、無念さとか、残念さとか、浅はかさゆえの恥ずかしさ、とか。 一言では到底言い表せない。
全部取り払って残る気持ちは、ゴメンナサイという想い。
きっと余計に傷付けた。 私と出会って私と恋をしたことによって、きっと貴方の心の穴は更に広がってしまっただろう。
私は貴方に種まくことすら出来なかったのだな、と思うと本当に悔しい。
「・・・そもそも土壌がないから、種をまいてもダメなんだよ」
次女姉の言葉が浮かぶ。 だったら最初から私は、彼を傷付けるだけの存在だったんだ。
なんてことをしてしまったんだろう、と思う。
そして自分は、その事実を認めようとせずにここまで墓穴を掘ってしまった。 今はもう、彼と極力関わってはいけない。
私はこれから時間をかけて、自分を取り戻すことに専念しなければならない。 出来ることは、それしかないのだから。
2005年02月28日(月)
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