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みんみん



 文庫本

好きである。小さくて、いつどこにでも持っていけるから。
それに、寝ころんで読むにも都合がいい。
大学生協では夏休み前になるとたいてい文庫本や新書の割引率が上がっていた。夏に文庫本はふさわしいということか。キャンペーンとかやってるしね。

中公文庫BIBLIOというシリーズ。講談社文芸文庫のようにお値段はややお高めだが、同様に(ジャンルは異なれど)ラインナップがすごい。こんな本が寝ころんで読めるとは(笑)。どう考えても黒っぽいハードカバーな作品(←比喩)ばかり。
りー氏曰く「社会思想社の現代教養文庫みたい」。
# 社会思想社つぶれちゃったんだよね・・・本はどうなるのか。

さて私は中島敦『南洋通信』を購入。『山月記』の中島敦である。
この間思うところあって若者(たち)に「『山月記』を習ったか」と聞いたら、イエスと答えたのは、なんとそのうちの半数以下だった。へー。『こころ』とか『舞姫』とか『羅生門』とかって、どの教科書でもだいてい必ず載っているものだと思っていた。そうじゃないんですな。
これは各教科書のオリジナリティのせいなのか、それとも時代による変遷なのかはわからない。国語ないし現代国語の教科書に載っている文章は年々変わってきてはいるらしいけれども。
私は教員免許(中・高国語)を持っているが、高校での教育実習で担当したのが高校2年生だった。現代文古文漢文を全て数時間ずつ担当したが、現代文では『山月記』をやった(ちなみに古文は『おくの細道』、漢文は『桃花源記』)。高校生にとってはまず文体が手強いだろうに違いないので、教える時もかなーり緊張した。よくもまあこんな難しいのを実習生にやらせるものだ、と思った(一方でそういう機会を与えられたことを嬉しくも思ったけれど)。現代文は好きだったけれど、教えるとなると本当に難しい。それは真にわかっているとは言えないということかもな。
そんなことを少し思い出したりもし、改めて、というより、ちゃんとまともに中島敦を読んでみたいと思ったり。今回の購入はその一端である。

それはそうと、前出・文芸文庫の「戦後短編小説再発見」シリーズ全10巻、いいなあ。ラインナップを見るとぞくぞくする。それで改めて、戦後の日本の小説というものが好きな自分に気づく(大して読んでいるわけでもないですが)。

昼過ぎ、出かけようとしたところに、ひょっこり上の弟一家がやってくる。兵庫県の尼崎市に住んでいるのだが、今週来るかもという話は聞いていた。
義妹と甥っ子(そろそろ2歳3ヶ月)は以前にも来たことがあるが、弟は初めてである。ご飯を食べに行く途中に寄ってくれたとのこと。ちょうど生のブルーベリーがあったので洗って出す。桑の実みたいだね、と話す。
ケージの中ののいともご対面。実は猫というのは、子供があまり得意ではないらしい。猫にしてみると、好奇心全開で向かってくるところがね・・・といったところだろうか。しかし子供にとって猫は不思議な存在だろう。甥っ子もケージ越しに小さな手を入れようとする。
するとのいはわかるのか「シャーッ」と(昨日に引き続き)また威嚇している。四肢はつま先立ち、しっぽはややふくらませ気味にしていた。身体は小さいけれど、人間に換算した年齢だとのいの方がややお兄さんになるわけだ。生活年齢は3ヶ月だけど。
人間というのは実に手のかかる生き物なのね。大変さも喜びも「手がかかる」ところにあるのだろう。

今年、庭先のぶどうの葉はとりわけ虫に喰われているような気がするのだが、青じそもすごいことになっている。夕食時かろうじて4枚ほどむしったが、他はボロボロ。直接口に入れるものに薬剤を撒くのもいかがなものか。木酢液などは虫除けにいいのだろうか。父に聞いてみよう。

そういえば先日実家に行った折、納屋に玉ねぎを取りに行ったら、完熟気味の梅がたくさんごろごろしていた。近くには天日干し用の箕(み)があり、裏の戸口のところには、赤紫蘇の束もあった。梅酒は既に幾瓶も漬けてあるようだが、今年は梅干しも漬けてみるようだ。昔は祖母が漬けていたけれども、たぶん今年は父か母が漬けるのだろう。
帰り際に室内を覗いたら「梅のすべて(めちゃくちゃ単純化された仮称)」みたいな本があった。父が買ってきたのだろう。父は凝り性というかまず勉強してから物事に取り組む人なので(ただし電化製品については直接アタック)、畑の作物についても、1作物につき最低1冊の本はある。ちょっとしたライブラリーかも。
この分では間違いなく「猫の飼い方」的な本もいずれ買うに違いない。すでに私も何冊か持ってるけれどね・・・
実用書というのとはちょっと違うかもしれず、また有名な本ではあるけれど、猫好きを自負するようになってから買った本。ポール・ギャリコ『猫語の教科書』(灰島かり訳、スザンヌ・サース写真 ちくま文庫、1998)
やっぱり私はあの子猫(=のい)と付き合っていきたいのだ、と心が強く揺り動かされた本。

でその子猫はテレビの上で微動だにせず眠っております。置物のようで笑える。あんたのベッドは別にあるやろ。
かといって起こすのもなー(うたた寝同好の同士には甘い)。

2002年07月05日(金)
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