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遠い光を受けて輝く星たちが窓の外を彩っている。 奪取された新造艦エターナルの追撃は現在のところただの移動時間に充てられている。プラント最高評議会前議長シーゲル・クラインの娘、ラクス・クラインらの一派はL4コロニー群に潜んでいることが判明したが、ザフトの高速船といえども五分十分で行けるところではない。 近づけば当然戦闘行為が始まることは想像出来る。パイロットたちには今のうちに休憩を取るよう命令されたが、これといってすることのないイザークはぼんやりと窓の外を見るばかりだった。 暗い虚空に、かつて同じ隊に属していた少年を思い出した。 アスラン・ザラが領受された新型モビルスーツ『フリーダム』ごとラクス・クラインの下へ走ったという情報はイザークの耳にも届いていた。よくよく聞けば、彼はフリーダムを領受された時点で反逆者であるラクスの捜索任務に当たっていたという。その途中で、何を思い、何を決めて国を裏切ったのか。 プラントが愛した、麗しくも可憐な歌姫。かつての婚約者への情にでもほだされたのだろうか。その可能性を思い、イザークは無意識に眉間を寄せた。 次いで思い出す、今はもういない同僚たち。ディアッカ、ニコル、ラスティ、ミゲル。気付けば任務成功率とその生存率を誇ったクルーゼ隊の中で、イザークの同期はもう自分以外誰も残っていない。 これが戦争の実態だ。頭では理解していたつもりだが、アスランのことはイザークにとって最後の打撃だった。認めたくはないが、自分のライバルと思っていた相手の裏切りはイザークの心をひどく痛めつけた。 そしてその痛みを罵声として聞いて欲しいディアッカもいない。聞く相手のいない悪口など何の意味があるのか。自分の癇癪癖をイザークは自覚していたが、それも誰かが近くにいてこそのものだと気付いた。
2004年11月29日(月)
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