京都で生まれ、京都で育った私だが、母方が他府県から京都の亡父へ嫁いで来たのと、他府県のお友達が多いせいか、私の京都弁には、ところどころイントネーションの違いがある…。
それは、大西良慶の「ゆっくりしいや」の朗読録音を進めていて、つくずく感じいったことだ。 ミキサーの方は私より年上で、やはり京都生まれの京都育ちだからして、イントネーションのダメだしチェックを幾度となくくらう。
「これは、本格的に誰かに(京都弁を)教わらないとだめだ。」真剣に探し始めた。
京都には、いろんな京都弁に関わるNPOがあるのだが、そんななかで今、月1でレッスンに通っている「京ことば」の先生と、あるご縁でお知り合いになった。
世間一般の企業では定年を過ぎた年齢の女性だけれど、自分でお商売をしてらっしゃるせいかとても若々しい。
朗読の世界は、私が甘く見ていたより遙か奥深くて、そして…京ことば(教えて貰っている先生は、京都弁という言い方を敬遠される)は、私が想像するより遙か難しい。 たった一つの単語だのに、何度、矯正されても上手く言えなくて、最初の方はよく半泣きになった。
間の取り方も難しい…。
今年の6月にお勤めを辞めてから後の7月から、やっと平日に月2回開かれている「京言葉の会」に参加することができた。
京ことばが心底むずかしい言葉だと思い知ったのは、やはり他府県出身者が(京ことばの会)続かずに脱落して行かれる事を聞いたからだ。
脱落せずに続けることの可能をもたれるのは、せいぜい大阪や滋賀県の近畿圏内の方だと聞く。 京都で生まれ育った私でも、難易度が高く高く、ハードルがものすごーーーーく高く感じられる。 幸いにまだ、スランプらしいスランプには陥ってはいずに無我夢中でやっているが、「そのうちに(スランプが)来るわよ。(ΦωΦ)ふふふ・・・・」と、京ことばの先生に脅されている。(笑)
さて、この「京ことばの会」は、役員以外は素人のボランティア集団で、とても安価な会費で運営されている。 借りている会場は、福祉の会場なので平日だと無料で貸して貰えるそうだ。
「京言葉の会」での学習内容は具体的に…
1)軽く発生練習 2)京ことば辞典の研鑽 3)決まった題目の読み合わせ
…を、3時間程度のあいだにやる。
今は、京都に昔走っていたという【ちんちん電車】の読み合わせをしている。 これも、面白い内容なので、またアップしたい。
さて…
「京ことばの会」の主旨は「古き良き・京ことばを後世まで伝えていく。」ことに集約されている。
【京ことば】というのは、字に起こすとスゴク難しい。 いわゆる「語りことば」「話しことば」の特性を持っているので、口承伝承でしか方法が無いのだ。
京ことばの先生が、ある日、スーパーに行かれた時の話しをされた。
「こないだねぇ、スーパーで買い物してたら後ろのほうで“なんやこれ?【しがんだ】みたいやなぁ〜。て、老夫婦の話し声が聞こえて来たんです。」
「その【しがんだ】て言葉があんまりなつかしうて面白うて一人で笑ってしまいました。」
【しがんだ】?なんやそれ!聞いたことないぞ。
私:「それって、繊維の多い食べ物を【しがむ】という意味ですか?」
発音も意味も、まったく違うらしい…。
京ことば先生:「なんて言うのかなぁ〜。貧乏たらしい、貧相なって言う意味や。よぅ、おばあちゃんなんかが“あっこの子、なんやしら【しがんだ】みたいな子ぉやなぁ…。”って言うてはったわ。」
このように死語化しつつある“京ことば”も多い。
ちなみに、スーパーで「しがんだみたいやなぁ〜。」と仰っておられた老夫婦の手には【アボガド】があったそうだ。(爆)
京ことば先生:「ちょうどアボガドが要る日ィやってん。私、恥ずかしいしコーナー1週してからアボガド取りに行ったんです。」
…と、このように京都人は恥の意識が強いように思われる。
さてさて…
「京ことばの会」では、ボランティアで老人ホームやディケアセンターでの出張朗読をやっているらしい…。
月に数カ所、決まって出張朗読に行くところがあるようだ。
「8月の24日の水曜日、○○ディケアセンターへ行ける人はいらっしゃいませんか〜?」
京ことばの会:会長でもあり私の個人レッスンの先生が、7月下旬の京ことばの会で仰った。
このような平日の午後の会なので、お勤めしてらっしゃる方は来られないし、比較的お忙しい主婦の方が多いようだ。 皆さん、ご用事がある様子…。
σ(^^) 私は新人だから、声をかけられないだろう…。たかをくくっていた。
20人ほどのメンバーが座っている部屋の中を、先生が練り歩き尋ねられても、誰の手も挙がらない…。
先生が近づいて来られたので、視線を合わさないように俯いていた…。
と、「Helenさんは、どうなの?」
キ…(-_-)キ(_- )キ!(- ) キタ━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━ !!!!!
ひゃーーーっ!タスケテクレー!ヽ(´Д`;ヽ≡/;´Д`)/
おいら、超・超・超ど級の内弁慶で、あがり症なんだよーーーお!!
そんでも毎日、食っちゃ寝してるだけの暇人で、断る理由も瞬時に思い浮かばない。
私:「べ、別に用事はないですけどォ…。」
先生:「ほな、お願いするわね。(*゜▽゜) ケロッ」
続けて…「題目は今、練習している宗旦ぎつね で行きましょう。」
(´ヘ`;) トンでもないことになった!
心の焦りと裏腹に、時間だけが、どんどん過ぎてゆく。
つづく…
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