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■ キャンバス。
記憶、は脳内の白い壁に、 一面に描かれた絵画のような、ものだ。 少なくとも、私にとっては。 それはまるでスクリーンのように、 次から次へと記憶を取り替えて、 時々の絵を映し出していて。
一面の笑顔が溢れるときもあれば。 一面の泣き顔が溢れるときもある。
…だけど、そんなのは大した問題じゃない。 問題なのは、楽しい記憶はすぐに描き直され、 元どおりの真っ白に戻ってしまうのに。 アノ、記憶は何度消してもまるで身体が覚えているかのように、 何度でも私の白を犯し、一面の痛みを塗りあげるのだから。 突き動かされるようにわきあがる感情と。 抑え付ける為にこぼれる笑み。 吐いた息すら、凍えそうなほど、芯が冷たい。 なのに、全身がしびれるように痛くて。
何度でも、私はアノ感覚を味わう。
世にはびこる畜生にも劣る下衆によって。 乱されること自体、乗り越えていない証だ、と。 頭では理解しているのに、ついてこない身体が憎らしい。
理解できない思考回路を潰したくて、仕方なくなる。 周りすべてを「同類」と見なして、 ともすれば消し去ってしまいたくなるほどの激情を、 抑える術があるなら、だれか教えて欲しい。
涙がこぼれそうなほどの感情が溢れるのを感じているのに。 肝心のそれが流れなければどうしようもない。
冷え始める身体を認識するたび、 理性が頭を支配し、激情が欲望を支配する。 相反する想いを笑顔にすべて封じ込めて。 …彼女を抱くときすら、僕は笑えなくなっている。
疲れているんだ、となんとか納得させて。 だけど、気付かれるのも時間の問題だ、と。 わかっている。…すでに、酒に依存し始めているのだから。 眠る前に記憶を飛ばして。翌朝目覚めれば、何も覚えていない。 手繰り寄せる記憶はどれも曖昧。 それに恐怖を感じ、また安堵する。
痛い。どこが痛いのかわからない。すべて痛い。 冷たい。こんなに身体は熱いのに。冷たくて、寒い。 気持ち悪い。吐きそうで、だけど気持ちよくなりたくて。 …今は、虫しか殺せない。 気付けば、動物や子供に苛立ちを感じ始めて。 …まずいよな、と頭でっかちの知識を総動員している。 何がまずい?何もまずくない。ヤっちゃえ。変わらない。
疲れた。
2004年05月21日(金)
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