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2024年10月26日(土)
『台風23号』

『台風23号』@THEATER MILANO-Za


ポスターとか貼ってなくてサイネージで作品やキャストを紹介してるってのがイマドキ。SNSにアップしちゃいけないんだよなーと思いつつ撮ってたが、思えば森田くんはもうJ事務所所属ではないのだった。

ケラさんが仰ってたとおり、確かに本多くらいで観たい作品ではあった。しかしあの美術(BOKETA…って小松信雄さんだよね?)は、この劇場の広さと高さあってこそ。坂道の多い、海沿いの地方都市が、舞台に見事に落とし込まれていた。個人的に「赤堀雅秋の間取り」と呼んでいるものがあるのだが(台所、四人がけの食卓、その後ろに階段、トイレ、玄関への昏い廊下、開かずの和室)、近作は家を出た「赤堀町」のようでもある。イキウメの「金輪町」にも通じる劇空間。屋外にある階段では、さまざまな生活者が交差する。『ボイラーマン』に続き、段差によって空間を使いこなす。「持て余してるなあ」と思う箇所がない。

出演者はめちゃめちゃ声を張っていた。ラウド過ぎる、と感じるくらい。しかし思えば赤堀さんはラウドな演出をよく使う。『散歩する侵略者』でもそうだった。名前のとおり107席の小劇場で、神経を逆撫でするかのように大声で話す登場人物たち。彼らは誰に向かって話しているのだろう? 観ているうちにその背景を、生活を想像するようになったのだった。

目の前にいる相手との距離を測れない登場人物たち。余裕がない、いっぱいいっぱいの彼らは、かろうじて自分を保つため、相手だけではなく自分自身にも言い聞かせるように大声を出す。あるいは、目の前にはいない誰か──スナックの中にいる人物、カーテンの向こうからこちらを覗いて(見張って?)いる人物──に届けるかのように大声を出す。

お金も時間もなく髪も髭も伸ばしっぱなし、遂にはアロンアルファでくっつけていた差し歯迄抜けてしまった宅配業者は、仕事用(スマホ)と私用(ガラケー)、ふたつの携帯を使う。私用がガラケーなのは、前述の理由と同じで生活に余裕がないためかもしれない。彼もやはりラウドに話すが、それでも相手により、微妙に声の色合いが変化する。第三者に業務の過酷さを訴える声、身勝手な顧客を非難する声、仕事中に電話をかけてくる妻を諌める声と、その声で出た電話の相手が子どもだったことに気づき、慌てて変える声。息子からカブトムシの羽化をリアルタイムで見たという報告を受けた彼は、今にも泣き出しそうな、とてつもなく優しい声で祝福を伝える。

一方カナブンは、必死の報告として伝えられる。気まずい雰囲気を取り払おうと、優しい警官はオチを先にいってしまったことにも気付かず喋り続ける。蛹から出てきた成虫のカブトムシ、背中にとまっている、綺麗なボタンのようなカナブン。劇作家は、言葉により観客の心のなかにその情景を浮かび上がらせる。

ネコではなくイヌ。笑顔で仕事をこなすヘルパーさん。ヘルパーさんと寝ているのに、ヘルパーさんをヘルパーさんとしか呼ばない人妻。そのヘルパーさんから気持ち悪いといい放たれる人妻の夫。早く死にたい父親と、早く死んでほしい娘。がんを宣告されてなお手術をためらう母親と、生きていてほしい娘。パチンコと真剣に向き合う恋人たち。一触即発の緊張感は、来るか来ないかわからない台風に重ねられる。『恋の片道切符』からずっとある戦争の気配は、遂に「戦争だ!」という台詞となり観客に投げられる。海の向こうで戦争は始まるのだろうか? 海沿いの地方都市は、戦争と災害に襲われたらひとたまりもない。小さき神の、作りし子らはそれでも生活を続けている。皆ヘンで、皆必死。

身勝手な人物が揃うなか、最後迄エゴを見せなかった宅配業者に森田剛。身勝手なひとたちに尽くし続け、最後の最後爆発するヘルパーさんに間宮祥太朗。どちらも職務に忠実すぎるその姿から、生活の痛みが滲み出る。W主演とのことだったが、赤堀作品ならではの群像劇のなかのひとりに徹して好感。藤井隆と木村多江の気持ち悪い夫婦は、優しさと気遣いが気持ち悪さに転じる様子を納得させる気持ち悪さ(ほめてる)。秋山菜津子はいつも巧い。赤堀さんおいしい(ずるい・笑)。『逃奔政走 嘘つきは政治家のはじまり?』に続きイヤな老人だった佐藤B作、でもこちらは寂しさを背負っていた。何に関してもフラットだった娘が一歩踏み出す迄、その心の動きを伊原六花は見せてくれた。ひとがよすぎて空回りの警官・駒木根隆介も印象的。

結末が落語テイストなところも好き。音楽(音響:田上篤志)もよかった。暗転毎に轟く、雷のようなドラム(和太鼓?)。

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『A Number―数』『What If If Only―もしも もしせめて』同様、こちらもパンフ表紙に“COCOON”の文字。はー、コクーンが恋しいわ

・ようやくお初のTHEATER MILANO-Za。ちょっと横長のコクーンという趣で結構観やすかったです。電車から「でけービル建ったなあ」と眺めていた東急歌舞伎町タワーは、入ってみれば意外とちいさい。ミラノ座の跡地だもんなあ。大きな映画館だったとはいえ、複合ビル建てる程の敷地面積ではないよね。無理くり縦に積んだ感じ。ロビーもこじんまりとしているけど、夜景を眺められるのは楽しい

・赤堀作品には実食シーンが必ずといっていい程あるのだが、森田くんはパンを2個食べていた。マチソワだと計4個食べることになる。以前コンビニ飯食べるシーンがある作品で、赤堀さんに「何を食べてもいいけど、毎回食べるから飽きないものがいいよ」といわれた某役者、とろろそばを選んだけどそれでもキツかったっていってたなあ。パンは喉に詰まるよね、お茶必須



2024年10月25日(金)
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『天使乃恥部』Day 2

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『天使乃恥部』Day 2@I’M A SHOW


昨日とは違う緊張感と開放感。新曲を完奏したときの高揚感!

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菊地成孔(sax/vo/cond)・大儀見元(perc)・田中倫明(perc)・林正樹(pf)・鳥越啓介(cb)・早川純(bn)・堀米綾(hp)・牛山玲名(1st vln)・田島華乃(2nd vln)・舘泉礼一(vla)・関口将史(vc)
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1000年後も聴かれていたらいいのになーなんて昨日思っていたら、「一万年、二万年と続けていく所存です」「三万、四万」「永遠に」とMCの度に時間がふえるわかめちゃんで涙ぐんだ。「その前にテメエがくたばってるって話ですが」。そうだな、聴いてるこちらもくたばってる。それでもここにある音楽は永遠に聴かれ続けてほしい。そのときの光景を誰も観られない。

ここんとこ絶好調だったソプラノにちょっと違和感があった。ヴィブラートとは違う震えがある。曲間マウスピースやキーを確かめるように触っている。どうしたんだろう? 楽器から何かが落ちてギョッとする。牛山さんが拾って渡す。「昨日終わったあとスタジオ入って練習してたんですけど、そのとき倒しちゃって」「慌てて確認して、そのときは大丈夫だったんですけどね……」「ステージで部品が落ちるなんて初めて。牛山さんに拾ってもらうなんて初めて」「人間もそうですよね、転んだり倒れたりしたすぐあとは『大丈夫大丈夫』っていってたのに、2〜3日経ったらあちこち痛くなるの」。あらー…おだいじに……。楽器もプレイヤーも繊細なもの。

「練習してた」って話にときどきハッとするのだが、そうだよ練習するんだよ、プレイヤーはよ。後半「音楽家がそういうこと考えないで音楽をつくれるような時代」の話をしてたけど、『アリとキリギリス』のキリギリスだって楽器練習してたと思うのよね。それをプッパラプッパラただ遊んでたみたいにいわれるの、すごい腹たつわー。あんたたちその音楽を楽しんでたくせにー! 寒いなか放り出して見殺しにするのかよー! ウチらが昨日「あーいい夜だった、明日はまだ仕事あるし、ごはん買ってもう帰ろ」つってたとき演者は練習しにスタジオに向かっている。はーしみじみ感謝してしまった。

余談だが『情熱大陸』出た辺りだったか、演奏以外のあちこちで忙しかった頃 「演奏させてくれ!」といってたそうだしなあ。練習だいじ。

テナーはだいぶ安心して聴けるようになった。やってる方がどうかはわからないが、身体の扱いに敏感なひとだから、チューニングを体得していってるのだろう。声もめちゃくちゃ出る。同じハコの2日目ということもあってか、楽団もPAも昨日より安定していた印象(昨日は昨日で初演のいい緊張感があったが)。それでも田中さんと鳥越さんは2曲終わったところで揃ってジャケット脱いじゃうし、沸点に達するのが早かったように感じた。それに呼応して客席も、昨日の緊張を解放するかのような盛り上がり。

脱ぐといえば菊地さん、最後「天使乃恥部」を唄い乍らジャケットを脱ぎ、タイを解き、シャツのボタンをどんどん外していくので何するんだと思った。ストリップみたいで面白かったですね。PTAにおける菊地さんのストリップ度の高さについて考えたことはあるけど、具体的に脱がれるとは思ってなかった(笑)。

話が逸れた。あれだ、初日ってやっぱり聴く方も緊張するんですよ。どういう始まりなのか、どういう曲順でやるのか、楽曲についてだけでなく演者が何をするか。警戒している、怯えているといってもいいかも。うっかり手を出したら指喰いちぎられそうじゃん…この楽団は怖いんだよ……。

「小鳥たちのために II」で堀米さんと林さんが叩き出す天使の鉄槌のような和音に慄き、「キリング・タイム」で田中さんと大儀見さんのセッションと、そこに展開のカウントを挿入する菊地さんのやりとりに涙する。そう、なんか泣いてしまった! そこには音楽しかない、あまりに美しい情景でな……伝われ〜! 美しいといえば菊地さんと早川さんと鳥越さん、田島さんと関口さんのユニゾンも。「アンリ・ルフェーブル」のユニゾンのスリリングなこと。これ完奏したときの、緊張のリリースっぷりがすごかった。DCPRGで「Circle/Line」を初めて完奏したときってこんな感じだったのかなあなんて思ってしまった。

新譜が出ない間、現在の編成でレパートリーに磨きをかけた。新音楽制作工房設立が、新しい風を吹き込んだ。これから新曲を磨いていく。ますますエレガントに、獰猛になるときが来た。馴れ合うことなく、「プライベートとか全っ然知らない」演者たちが、一堂に会したときにしか現れない音。そこに居合わせられるのは、決して当たり前なことではない。同じ時代に生まれてよかった。やがてこの楽団は消え、聴衆も消えてしまうのだ。しかし、音楽は残る。それを目撃出来る人間は誰もいない。永遠という言葉は、なんて残酷で甘美なものなのだろう。

この日の謝辞。まず、タキシードを誂えてくれた CLORK ROOMのテーラー、島田正史氏。続いて新音楽制作工房の面々(「アンリ・ルフェーブル」作曲者・丹羽武史氏、「闘争のエチカの歌」共作者・高橋大地氏、PTAに電化をもたらしたSatō氏。皆若い!)。そして、全ての始まりとなったブエノスアイレスの旅をセッティングした編集者・小谷知也氏、撮影者・在本彌生氏。菊地さんがこちらに手を差し伸べるから何? と思ったら真後ろの席のふたりが立ち上がったのでビックリした(笑)。クスクス笑ってらした。小鳥みたいだった。

告知含め沢山話すことがあったので、アンコールは1曲。「おやすみなさい」に続く全ての言葉に胸を衝かれる。全てのひとが安らかに、幸せに眠りにつくことを祈り乍ら、おやすみなさい。

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setlist

01. 闘争のエチカの歌
02. 京マチ子の夜
03. 私が選んだ貴方への頌歌
04. 小鳥たちのために II
05. アンリ・ルフェーブル
06. 嵐が丘
07. 色悪
08. キリング・タイム
09. ルぺ・ベレスの葬儀
encore
10. 天使乃恥部

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・菊地成孔さんからの手紙。┃Esquire編集部より。
ログ残ってた、全てのはじまり

・加入した頃は学生みたいだった早川くんの髪に白いものが混じり始めたのを見て時間を感じたみたいなこといってたなあ。しみじみ

・背後に天才(鳥越)がいる恐怖について。見えないところで色々やり出す、そしていつ何やるかわからないから怖いと。視界に入らない(背後なので)ためメンバー紹介を忘れる。客席から「鳥越さん!」「鳥越さん忘れてる!」と声が飛ぶ。一触即発なステージと客席で、たまーにこういうやりとりがあるところにちいさな幸せ

・新曲には関口さんのソロだけでなく、関口さんと田島さん、関口さんと舘泉さんのコンビネーションもフィーチャーされていたように感じました。「ガン○ム景気で雇用出来た、全員小学生の」(嘘)カルテットが楽団に加わってもう7年というところか。それ迄入れ替わり立ち替わりだったストリングセクションが、彼らによって定着した。新曲は彼らのために書き下ろされた曲ともいえるかな

・週末の銀座はどこも激混み。コリドー通りってこんなにチャラ箱あったんだ、昼間に通っても気づかないものだわ(笑)。結局ひと駅分歩き、新橋駅前ビル1号館の呑み処 圭で打ち上げ。ここ旨かったな……旨いところに鼻が利くひとがいる有難さよ



2024年10月24日(木)
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『天使乃恥部』Day 1

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『天使乃恥部』Day 1@I'M A SHOW


天国と地獄。愛されてるね、愛してるよ。

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菊地成孔(sax/vo/cond)・大儀見元(perc)・田中倫明(perc)・林正樹(pf)・鳥越啓介(cb)・早川純(bn)・堀米綾(hp)・牛山玲名(1st vln)・田島華乃(2nd vln)・舘泉礼一(vla)・関口将史(vc)
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『天使乃恥部』リリースに合わせた2days、1日目。今回パッケージがひとつのミクストメディア作品(音源と映像入りUSB+「甘い混乱」「とても清らかで淫らな声」の香水2種のボックス)で、拘りに拘ったためか発送が間に合わず、ライヴ当日に現物を手にしていたひとが少なかったようです。「香水を纏って会場へ行きたかったのに!」というひとのために、ロビーにはムエットが用意されておりました。

第一声は「林さん、Bマイナー」。菊地さんはタキシードを新調してちょっとウキウキしていた様子。シャツの袖が長めでかわいいななどと思っていたのですが、「萌え袖!」「タックが3つあるの、珍しいでしょ!」とキャッキャして見せびらかしておりました。こういう話が出たのは終盤。リリパ初日、かつ初演の曲が多く、演者も聴衆もいつもとは違う緊張感がありました。最初のMCで「こういう場所だからってのもあるけど、静かですね……」というくらい。そりゃあなた、集中して聴き入ってたんですよ! 前回がスタンディングだったのでギャップがすごい。この「両方ある」のがいいところ。

「自分が作った曲じゃないものを演奏する」。今作には2021年に設立したギルド『新音楽制作工房』のメンバーが作曲したものも多く収められており、これがなんというかPTAのレパートリーでしか有り得ない響きを持ち乍ら、しかしこれ迄にはなかったカラーを感じる按配なのです。それこそトップノートで知らないPTAの姿に困惑し、ミドルノートで知っているPTAが現れて合点し、ラストノートでそのふたつが融合する。今迄のPTAの残り香と、聴いたことがなかったPTAの香り。大野雄二の「愛のバラード」(『犬神家の一族』)みたいなニュアンスもあったな……なんていえばいいか……伝われ……。

クラシックのように確固たる楽譜はある。「俺と大儀見がいちばん出来てない」なんて謙遜してましたが(このとき大儀見さんが「ええっ、俺?」みたいな顔してたのが面白かった)、楽曲のリズムを決定づけているのはコンダクターであり、パーカッションのふたりでもある。クラーベで割っていくポリメトリックには所謂楽譜にない箇所がある。ザックリ分けると最初のカウントから状況が変わるケース──例えば菊地さんのストラップが絡まったりしてセッティングが間に合わない等──と、各々のソロを長く聴かせたいケース──例えば田中さんと大儀見さんのセッションを楽しみ続けたい──のふたつ。そういうときサインひとつで簡単に(そう、簡単に見えてしまう)拍の移動が出来る。

100年後(南米のエリザベス・テイラーに倣うなら1000年後?)も聴き続けられてほしいと思うようなレパートリーを、この楽団は持っている。しかし、1000年後にこれらの楽譜が残っていても、このスリリングな「合奏」を誰が出来るだろう? 唯一無二のソロイストたちが奏でるあの、状況によってコンダクターがいくらでもその幸せな時間を延長してくれる音のやりとりを1000年後は聴くことが出来ない。いや、10年後だって怪しい。

PTAがなくなったら、このメンバーがいなくなったらそれが聴けなくなってしまう。ヤダーッ(ちいかわ)とわんわん泣いてしまいそうになった。楽団の維持のたいへんさをMCでも話してましたが、20年続いているのは本当に奇跡ですね。

セットリストに新曲が加わったこともあり、既存の楽曲もそれにチューニングした香りを纏っていた。鉄板曲にも違う表情が見え隠れして非常にエキサイティング。田中さんは3曲めにはもうジャケットを脱ぎ、大儀見さんもいつの間にかメガネを外している。林さんがリズムで相当遊んでいた。スタッカートのバリエーションを次々と繰り出してくる。マイクがない箇所でハンドクラップも繰り返していた。自分のなかでリズムを消化させている印象。「ルペ・ベレスの葬儀」ではここのところ鳥越さんがエレクトリックギターのようなエフェクトをかけたボウイングソロを投げてるんだが、この日はそれに拍車がかかっており、菊地さんがニヤニヤしていた。だいたい各々のソロが始まると笑いが堪えきれないといった表情してますよね。そりゃそうだ、楽しくてたまらないだろう。

といえば、自分が唄ってるときもニヤニヤすることがあるけど(スキャット部分が顕著)、これはこれで何か違う感情が沸いているんだろうなあ。なんだろうな、言語化されていない音を発音していることがおかしくなっちゃうのかな。この日は「小鳥〜」ですごいニヤニヤしてました。すごい幸せそうだった。MCも楽曲のひとつのようなもので、菊地さんは喋り乍ら言葉を割っていく。音楽が零れ落ちる。

アンコールでは新作の紹介とともに、5月の芸劇でもやってた香水をシュッシュシュッシュまいて何秒で客席に届くかをやってた。2種両方まいて混ぜちゃってた。「この香水は、年齢、性別など関係なく使ってもらえるよう設計しました」。たった一度だけの演奏で終わる筈だった楽団が20年続いた。そのことへの感謝と、全ての始まりとなったブエノスアイレスの旅をセッティングした『エスクァイア』編集者・小谷知也氏、最新作から「アンリ・ルフェーブル」の作曲者・丹羽武史氏、そして香水の調香師・沙里氏(「魔法使いサリちゃん」!)を客席から立たせ、聴衆とともに拍手を贈る。オーラスは「天使乃恥部」。今、ステージの終わりにはこれしかない。「失礼、演奏中ですが速報です」、音源で聴いていたのにドキリとする。「このあとは、チェロのソロ」。待ちかまえていたかのように関口さんが猛然とソロを弾き始める。

この日は席が前だったので、開演前ステージ上の菊地さんのセッティングを撮影しに来るひとウォッチングをしていた。「年齢、性別など関係なく使えるよう設計された」香水にぴったりの、バラバラな聴衆。本当にいろんなひとがいる。キメッキメにドレスアップした方からピットインから来ましたな趣の方迄、揃って楽団にポワーとなっている。「両方ある」は全てを手にしていると同時に全てを失っているのかもしれない。歌舞伎町クラブハイツ、九段会館、新宿LIQUIDROOM、新宿BLAZEも今はもうない。そして、今のメンバーによる録音物がとうとうリリースされた。儚さと永遠は表裏一体。おやすみなさい。

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setlist

01. 闘争のエチカの歌
02. 京マチ子の夜
03. 嵐が丘
04. アンリ・ルフェーブル
05. 私が選んだ貴方への頌歌
06. 小鳥たちのために Ⅱ
07. 色悪
08. キリング・タイム
09. ルペベレスの葬儀
encore
10. Woman “Wの悲劇”より
11. 大空位時代
12. 天使乃恥部

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余談。

・ソプラノがやっぱ最高。テナーは脱力して高音を出すようになって安定してきてる
・それにしたってキリトリしちゃいかんナンバーワン、楽曲もMCも
・全部聴かないと浮かび上がってこないものってあるのよ……
・髪型、先日見たときは武満徹みたいだなと思っていたが、今日は若い頃の松本清張に見えた。メガネのせいか
・舘泉さんと関口さんをBLに設定してるといってるけど、大きな声ではいえないが違うんだなー、どこにそれを見出すかというと田中さんと大儀見さんですねー、演奏見りゃ一定のひとには伝わりますよねー

・それにしても何度聴いても「Woman “Wの悲劇”より」のオケはすごいな、よく唄えるなーと思う。窪田晴男ら人種熱のメンバーが「若気の至り」でめちゃめちゃややこしいアレンジにした『鬼ヶ島』の楽曲を、平山みきが「こんなオケじゃ唄えない!」と泣いたエピソードを思い出してしまう(最終的には唄えた平山さんもすげえ)

・林さんのボウタイすごいかわいかった! ネッカチーフをリボン型に結んでたのかな?

・林、鳥越、早川は同期って話が胸アツ。偉大な初代は南博、鈴木正人、北村聡
・菊地さん曰く「同期だから皆そろってメガネしてるの?」。いわれてみれば皆さんメガネ
・それいったら南さんも鈴木さんも北村さんもメガネしてたわねと思い出す

・「ルペベレス〜」導入ソロ、今回菊地さんが紹介されてましたが早川さんの自曲だそうですね。ここ毎回泣いちゃうんだ……『天使乃恥部』には収録されていないパートなので(これがライヴで聴けるうれしさよ)、早川さんのオリジナル作から探すしかないか。音源あるかな、タイトルを聴きとれなかったのが悔やまれる(岸部露伴ostの「東京-ブエノスアイレス」かなとも思うけどちょっと違う気もする…変奏かな)



2024年10月19日(土)
『破墓/パミョ』

『破墓/パミョ』@新宿ピカデリー シアター6



(デジタルムビチケの特典が、鑑賞後ランダムに送られてくるキャラクター画像だったのでした)

改葬のために集まった風水師(地官)、葬儀師、巫堂(ムーダン)とその弟子(法師)が、墓から出てきた“ヤバいもの”と闘うというふんわりとした設定しか知らずに観たらまーこれが面白い。そして単純に面白いといいっぱなしにも出来ない。非常に読み解きが必要で余韻が深い。鑑賞者の心根も問われる作品でした。難しいってことではないよ! 祈祷のフェスっぷりがすごいよ! 以下ネタバレあります。

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原題『파묘(破墓)』、英題『Exhuma』。2024年、チャン・ジェヒョン監督作品。本国で今年2月に公開され、動員1200万人の大ヒットを飛ばし、その後133か国で公開されているとのことだが、韓国と日本にしか伝わらないものがあるのは間違いない(実際どうなんだろう、他の国ではヒットしたんだろうか?)。第一声が日本語、日本人に間違われる韓国人、というシーンから始まるこの映画は、日本と韓国以外の国でどのような印象を持つのだろう? この作品の面白さが「わかる」日本人でよかったと思うと同時に、この作品から発せられるメッセージが「わかる」日本人であることに罪悪感と使命感を抱く。岩井志麻子の言葉を思い出す、「良くも悪くも日本と韓国は縁が深い」。“ヤバいもの”とは、日本と韓国の歴史そのものでもあったのだ。

重いテーマだが、監督はそれをある意味爽やかに、スポーティーにすら描いている。今のようにヘイトが表出していない時代(それは逆に、無邪気な差別と排斥があったということでもあるのだが)、スポーツの世界で「日本と韓国は永遠のライバル」といわれていた時代を知っている者からすれば、その優しさに涙が出てしまう。傷は消えない。でも未来のことを考えよう。次世代のために、争いや恨みつらみは自分たちの代で終わりにしよう。そんなあたたかさすら感じた。これに応えなければ、と思わずにはいられない。

後述インタヴューでチェ・ミンシクが話している通り、改葬のため集まる4人はアベンジャーズの趣(本国公開時には「墓ベンジャーズ」と呼ばれてたとか)。いいギャラ出るぜと集まった彼らは、謎を追ううち自国に巨大な影響を及ぼした存在と対峙することになる。依頼者を、仲間を、自分たちの国土を守るため、身を呈して闘う。互いの職務に敬意と信頼をもって行動する。

このプロフェッショナルズがとにかく格好いい。風水師と葬儀師のおじさんチーム、巫堂と法師のMZ世代チームというバディ×2の関係性にもグッとくるし、それぞれの所作に説得力がある。巫堂がコンバースを履いて祈禱したり、法師がインカムマイクを装着していたりと、伝統と機能性のハイブリッドは進化を感じさせる。風水師が森を歩き土地を“見る”ふるまい、死者を送り出す葬儀師のふるまい等、各々の仕事との向き合い方をさりげないシーンで見せるカットもいい。塩の撒き方すら美しい。

風水、シャーマンという土着的な風習を重んじるメンバーのなかに、ひとりクリスチャンである葬儀師がいる。繋がっていく歴史の射程は長い。度重なる侵略の歴史だ。“鬼”の実態はひとつではない。日韓併合の時代から朝鮮出兵、倭寇(おそらく。台詞に「500年前」って出てきて、そんな前? な、なんだっけ? と調べた…)に迄ときは遡る。本当に長い時間だ。鬼と対峙した巫堂が、「ここは私たちの土地だ、戦争は終わった」と告げるシーンには、“鬼”を倒すというより元の場所に帰るのだと諭すような切実な叫びがあった。

日韓の関係だけでなく、韓国内の問題にも眼差しが向けられていることも興味深かった。富豪となりアメリカで暮らしていてもなお、家父長制に縛られ続ける依頼者の家庭。それを解放すべく改葬を引き受ける女性。世代や性別を問わず能力を認め、敬意を払う年長者。巫堂と弟子、妊婦と中学生(くらいかな)の巫堂たちの信頼関係にも胸が熱くなった。彼らは血族を問わず、家族のような間柄になる。

凄絶な闘いの端々にユーモアが散りばめられているところにも、監督の思いが反映されているように感じた。「鶏殺したくないなー」「普段はフライドチキン食べてるくせに」とか、「あ、娘の結婚式どうしよう」とか。全身にお経書いた姿で検問突破するとこもウケた、不審すぎるだろう(笑)。惨事は全部クマのせい、秘密を知っているのはこの4人だけ。という終わり方もよかったな。いやーこれ医者や警察にどう説明すんのよと現実的な心配をしていたので、そんな解決策があったか! と思わずニッコリしちゃった。クマは気の毒だけどな(笑)。

やるならやらねばの風水師ミンシク先生(貫禄なのにかわいい!)、穏健なオプティミスト葬儀師ユ・へジン(愛嬌ある言動と誠実な仕事ぶりのギャップ!)、ちょーかっこいい巫堂キム・ゴウン(祈祷シーンのトランスっぷり!)とちょーかっこかわいい弟子イ・ドヒョン(声もいい。台詞の7割くらいがお経と日本語だったかと……「クソババア」の発音めちゃめちゃよかった・笑)。揃って愛すべきキャラクター。ドヒョンさんはこれが映画デビュー作だそうで驚いた。ドラマでは活躍していたそうだが……現在兵役中だそうで、しばらく新作を観られそうにないのが残念。今後映画でも観られる機会が増えそうってか増えてほしい。

音響も抜群。あらゆるところで鳴っている音の配置が効果的で、鶏声や心電図モニター等、小さな音が的確に耳に飛び込んでくる。スリラー映画にありがちな、大きな音で驚かせるハッタリがないところにも好感。観られる方は是非劇場で。

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・破墓 パミョ┃輝国山人の韓国映画
いつもお世話になっております。そうそうクリスチャンが花札やってるシーンあった。『渇き』ではクリスチャンが集まって麻雀やってましたね(笑)

・パミョ┃ナムウィキ
解説いろいろ。墓ベンジャーズ4人の名前は朝鮮独立運動の闘士からとられているとのこと。ヌレオンナは本編ではちゃんと見えなくて「蛇?」くらいに思ってたので、画像を見てヒィッとなった

・ 「シュリ」「オールド・ボーイ」チェ・ミンシクが新作『破墓/パミョ』で来日!彼が日本でいつも楽しみにしていることは?┃Kstyle
誰かのために、家族のために、幸せと無事を祈る切実な心。韓国の土俗信仰は、本来は、そういうものだと考えています
これはいいインタヴュー! ミンシク先生の演技に対する向き合い方から好きな食べもの、日本での思い出(『シュリ』のとき温泉連れてってくれた「日本の配給会社の社長さん」って、 シネカノンの李鳳宇さんだよね?)、そして映画館で映画を観ることについて。信仰についての話も興味深い。食べてた土がお菓子で出来ているとわかって安心もした(笑)

・「私たち俳優はインテリア業者」…韓国の名優チェ・ミンシクが語る新作「破墓/パミョ」と映画に臨む思い、そして大杉漣の一言┃読売新聞
日本のみなさんでしたら、きっと映画として愛してくださるでしょうし、『これは映画だ、これは一つの題材なんだ』というふうに思って見てくださると信じています
(『隻眼の虎』で共演した大杉漣に)「この役を演じることにプレッシャーはないですか、負担は感じませんか」と質問を投げかけたところ、大杉さんの答えは明快でした。「これは映画ですよ」と。私は、「はい」とお返事しつつ、やはり、俳優さんだな、とその時思いました。大杉漣さんは、本当にすてきな俳優さんでした
漣さんのことを憶えていてくれて有難う(泣)
思えば韓国、『哭声』で(國)ムラジュンが大人気になった国であった

・破墓 パミョ インタビュー: チェ・ミンシク、気鋭監督の挑戦を後押し「大切なのは、自分がこう撮りたいと考えた表現を貫くこと」┃映画.com
脚本を読んで、ひとつの作品に2つの物語があるような印象を受けたんです
ミンシク先生、今は事務所に所属せず直接オファーを受けひとり現場に出かけていく樹木希林方式だそうで、若い監督とのコラボレーションも積極的に楽しんでいるようです。『オールド・ボーイ』撮影時のエピソードもすごい。業界の環境が改善されていく変遷を体験しているベテランですね

・ファリムとボンギルの情報ずらずら┃0takuinkorea
ツイート拝借。ファリムとボンギル、師弟巫堂についてのあれこれ。解像度上がる! 有難い! 「元野球選手で全身に太乙保身経のタトゥーを入れた巫堂」が実際にいたことにも驚いた


ツイート拝借。いい話だ……

・前述の「車のナンバー」について。その並びを見たらピンとくる数字があらゆるところに散りばめられていたのです。「0301」とか「1945」「0815」とかね。見逃したところもありそうなので、これはリピートのしがいがあるわ

・個人的には和田慎二の『超少女明日香』シリーズを思い出したりしました。わかるひとにだけ伝われ〜



2024年10月12日(土)
東京バレエ団『ザ・カブキ』

東京バレエ団『ザ・カブキ』@東京文化会館 大ホール


かなり持っていかれてしまい、終わったあとは放心というかぐったり。帰り道の足取りもふわふわ。SNSの感想を読み漁ってみたが、そういうひとは多かったようだ。世が世なら(というかそれって今、か?)戦意高揚に利用されそうで怖い、と迄思ってしまう程圧倒されてしまった。しかし同時に、彼らが打ち首ではなく切腹、という情状酌量へとお上を動かした世論というものも考えた。そうすると読み解きも変わってくる。理不尽な死への異議申し立て、忠義の死への賛美ではなく悲嘆。

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人形浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵』を題材に、モーリス・ベジャールが東京バレエ団のために創作した作品。歌舞伎に忠実な話運びで、五段目の猪もちゃんと出る(!)。黒子による転換も歌舞伎に倣っている。そして所作の美しさ! 見得も六方も、バレエに昇華されている。日本文化への深い理解と敬意……振付、演出、美術といった枠だけでは捉えきれない、芸術家としてのベジャールに舌を巻く。照明とシルエットで見せた大詰の雪も見事だった。紙吹雪はフロアが滑るのでダンス公演ではとても危険。どうするのかなと思っていたのだが、ちゃんと雪だと観客が了解出来る美術だった。

現代の若者が江戸時代にタイムスリップするという導入にまず面喰らう。黛敏郎による音楽も、電子音を使った薄っぺらい(意図的だろう)楽曲。きらびやかな街の映像、せかせかと動きまわり働く日本人の情景を無気力に眺める若者。タブレットやスマホ、キックボードにLUUP等、ベジャールが存命中には存在しなかった、あるいは普及していなかったであろう小道具もちらほら。上演される毎にアップデートされているのだろう、何しろ“現代の”シーンなのだから。ああ、この光景をベジャールさんに観せたかった…と感じ入りつつ、それなら衣裳もアップデートしていいのでは……? などと思う。“現代”にしてはあまりにも80年代バリバリなファッションなのだ。ここは若干違和感があった。SNSでもダサセーターいわれてたな(笑)。

ただその軽薄な時代からタイプスリップし戸惑う若者が、理不尽な死を目撃し、赤穂浪士を率いる由良之助へと変貌していくとさまがあまりにも納得の流れで、すっかり引き込まれてしまう。音楽も徐々に凄みを帯び、顔世御前が舞い、四十七士が集まってくる。連判状に血判を押すシーンや討ち入りのシーン、そして切腹のシーン。コール・ド・バレエのひとつひとつが迫力もの。だいたいこれだけ踊れる男性ダンサーがこれだけの人数揃っていることに驚嘆する。

その層の厚さを示すソロイスト。主要キャストは3公演全てシャッフル、日によって違う役を踊(れ)る(柄本弾なんて1日目由良之助、3日目高師直ですよ。見もの)。一幕ラスト、塩冶判官の言葉を聴き届けた由良之助の、7分半に及ぶソロが象徴的。広い素舞台でひとりきり、体力の限界に挑戦するかのように踊る。「もう、討ち入りしか、ない!」という決意を示すかのように手を伸ばす。暗転、瞬間割れんばかりの拍手。この熱狂はまるで『ボレロ』のそれだ。これを踊りきれるダンサーが現在、最低でも3人はいるということ(秋元康臣はゲスト出演だがOBなので)。バレエ団の力量を見せつけるという意味でも、これはベジャールと佐々木忠治(NBS/東京バレエ団創設者)の大いなる財産だ。

全編を2時間弱(+休憩20分)で観られてしまうスピード感も題材にふさわしい。日数といった具体的な数字ではない、猛烈な速さで死へ向かうしかなかった赤穂浪士の悲劇。それを表現するダンサーたちの気迫。観客はそれを見つめるしかない。いや、目を離すことが出来ない。何しろ黒子も、猪の足もめちゃくちゃ速いのだ。由良之助の刀となんだったか──鞘か? もうひとつ小道具を持っていた──をスライディングかと見まごう素早さで引き取っていく(しかもひとつずつ片付けるので往復)黒子に、驚きの声が漏れそうになった。猪なんて被りものなので周囲もよく見えないだろう、それであんなスピード……いかにも猪突猛進。過去勢い余ってステージから落ちた猪がいたというツイートを見かけて和んだ。いや和んじゃいかん、気をつけて!

初見だったため、安定を求めて由良之助を演じた回数が最も多い柄本さんの回を選んだが(貫禄!)、秋元さんの評判もよく、初役だった宮本新大も格別だったようだ。池本祥真は勘平役。個人的に間に合わなかった、とか置いていかれる、という役柄に弱いので、勘平のあっけない死には胸を衝かれた。池本さんは3日目に演じた伴内の評判がとてもよく(確かに合いそう!)、キイィとなっている。

次回があれば全公演観たいなあ……。題材故女性ダンサーの出番が少ないけれど、そもそもバレエで男性ダンサーがこれだけ活躍する作品自体多くないのだ。それでも上野水香の顔世御前、沖香菜子のおかる、遊女たちのコール・ド・バレエにはやはり惹きつけられた。和服を基調とした、袖や裾の長い衣裳で踊るバレエダンサーの美しさが観られるのは、和が題材の作品ならでは。

音楽は1985年の録音。前述のように、ダンサーとの呼吸がだいじな附け打ちだけはライヴだった。願わくばいつか生オケ、生の義太夫での上演を観たい。毎年年末にやってもいいんじゃないかと無責任な観客は思ってしまうが、バレエの年末公演といえば『くるみ割り人形』が定番。年間スケジュールに入れ込むのは難しいのかもなあ。プログラムに迷ってしまう程作品を持っているなんて、うれしい悲鳴なのでは。

しかしこういうのを観てしまうとバレエの『四谷怪談』とか観たくなるな……『忠臣蔵』がらみですし。赤子を連れ去るねずみのコール・ド・バレエとか観たいじゃん! 猪がやれるんだからねずみもやれるっしょ! でもこんなんバレエで創作しようなんて芸術家が現在いるだろうかという話ですね……いやはやホント、ベジャールはとんでもない作品を遺したものです。

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「討ち入りです!」って。中の人、なんか人格が変わっている(笑)


バレエチャンネルのリハーサルレポート。ぎゅうぎゅう(笑)。実際のステージはもっと広いので壮観です


ヴ・アンは今年6月に亡くなった。彼の由良之助、観てみたかったな。当時は東バに由良之助を踊れるダンサーが不在だったのか、未知数の初演につきスターダンサーを呼んだ方が興行的に安全と考えてのことか、今の観客は知る由もなし。そこから考えても東バの現状がいかに充実しているかがわかるというもの。由良之助役を複数(3人!)据えたのは12年ぶりだったそうです

・東バの公演(東京文化会館)を秋に観に行くと、大概上野駅に信州里の菓工房が来ており栗きんとんを買って帰れる。今年も来てた♪

・そこでまた思う、東京文化会館が改修で閉まっている間、東バのホームってどこになるのだろう。劇場不足は本当に深刻