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2019年03月19日(火)
mouse on the keys Japan Tour 2019

mouse on the keys Japan Tour 2019@duo MUSIC EXCHANGE



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drs:川昭、keys:清田敦、keys:新留大介、g:飛田雅弘、tp, fl:佐々木大輔、vo:小林宏衣
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20時開演助かる! しかしあたりまえだがその分終演時間も遅くなるのであった。ゲストYasei Collectiveが終わり、FORT(前フリからはライヴなのかDJなのか判らず、会場も激混みでしかもduoなもんでフロアの様子も殆ど見えず、結局本人いたんだかいないんだかも判らないままだったという……)がやってる前にmotkのセッティングという形だったのかな? えらい時間かかってるなあ、motk何曲くらいやるんだろうとジリジリしていると、川さんが出てきました。

「え〜お待たせしてすみません。ちょっとトラブってまして、スタッフの方もすぐ始められるようにがんばってくださってるので」「過酷なアメリカツアー、アジアツアーを経てジャパンツアー最終日を迎えられて感謝感謝、僕2011年に隠れ脳梗塞が見つかって、お医者さんに60代の脳ですよっていわれたんです。なのであんまり頭振って叩いたりしたらいけないんですけど、そこから生活からバンドの活動から見なおして、ペースを変えたら進行がとまったんですよ。いやー俺が俺がって思われてるけどmotkは新留くん、清田くん、そしてサポートの佐々木くんや飛田くんね、スタッフの方々皆でCircleなんですよ。今回リリースした『Circle EP』はそういう思いも込めてですね」云々、云々。

しばらくハンドマイクでお話です。先生というか選挙に出るひとというか、どなたか「うさんくさいセミナーの講師」とかツイートして、それバンド公式からRTされてましたけども(笑)。ライヴが始まってからのMCでも、「俺、喋りすぎ?」といいつつ話し出すととまらない状態でした。まあ「新留くんどう?」「清田くん、ねっ?」と話を振っても、それに乗ってふたりが喋り出すということもないので(笑)。今は感謝の季節らしく、しかしその方向が面白い方に行ってまして、「ん〜、清田は手が綺麗!」「皆さん手を見てみてくださいよ、綺麗でしょ〜」「Audiotreeでライヴ配信やったとき清田くんの手ばっかり映ってたもんね」「マウス始めたとき、清田くんに『もっとアグレッシヴに、動いて弾いた方がいいんじゃないの』っていってたんだけど。もっと目立てばいいのに、勿体ないなと思って。でもその必要なかったですね」「海外での英語のMCは新留くんにお願いしてます!」「一時期〇〇(某超大手のテクノロジー企業)にいましたからねトメさん」といった川さん流いいとこ探しがもう、若い頃さんざん暴れたヤクザが歳とって慈善事業に目覚めたみたいな様相を呈しておりました。いや、いいことですが、なんかムズムズする…あのシーザーが……。

体調や年齢のこともあり、思うところあったんでしょうね。「今をだいじに」「以前は未来のことばかり考えてた。食事中でもメール見て、明日の予定とか考えて。その時点で今は過去で、未来が今ってことになってる。そうじゃなくて、今しかないんですよ。今迄生きてきて、今がいちばん。最高です」「人生過酷でしょ? だからひとは音楽を聴くんですよねえ」。三宅純が「音楽は時間の芸術」といっていたのを思い出した。音楽は、演奏された瞬間から過去になる。二度と戻らない。

MCについて随分長く書いてますが、この日の演奏はその話と切り離せない内容になっていたと思います。川さんが書いた曲を精緻に再現することが目的だったmotkが、今では「全員曲が書けるのが強み」というバンドになった。過酷な人生の傍にある音楽。今しかない音を奏でるプレイヤーたち。ここにしか存在しない音を聴くため、足を運ぶリスナー。それらがCircleになっていく。長演奏してきた曲に飛田さんが新しい色を加えていく。今迄気付かなかった、その曲の違う表情が見えてくる。音源ではSaxソロにあたる箇所に、ノイズ、ハーモニーが切り込んでくる。アウトロの余韻がより深くなる。清田さんのピアノと佐々木さんのフルートがユニゾンを奏でる。鋭利な音が柔らかになる。

曲はいきもので、演奏によって育つものなのだ。同様に老成もする。常に変化していく。クラシックが何百年も演奏され続ける理由のひとつはここにある。motkの曲もそうだろう。十年を超えた活動からすると、決して作品数は多くない。だからこそライヴで繰り返し演奏され、楽曲の普遍性と可能性を知ることが出来る。バンドはツアーを続け、訪れた場所の夜を、オーディエンスを呑み込み喰いつくす。本編最後に演奏された「Circle」は、音源にも増してエモーショナルでドラマティックだった。バンドの歩みとともに、今後ますます壮大な曲になっていくのではないだろうか。

配置にまたちょっと変化があった。下手の川さん、上手の清田さんが向き合っているのは変わらず。センター新留さんが正面を向かず、川さん側に身体を向けている。新留さんと川さんの間に佐々木さん、最上手に飛田さん。佐々木さん、あの爆音dcs の真隣でよくフルート吹けるな。自分の音拾えてんのかななどと思う。だって遮音板もないのよ。PAの腕がいいのだろうな。昨年のアジアツアーに参加していた小林さんのヴォーカルは日本初演。ドミニクとも稲泉さんとも違う、スモーキーヴォイスで「Pulse」「Stars Down」を聴かせてくれました。変化は続く。Circleはますます拡がっていく。

「皆さんがライブに来てくれたり、僕らの音楽を聴いてくれる事で、僕らは励まされ、やり続けられます。体が動く限り頑張ります!」こんなこと書かれちゃうとなんだかせつなくなってしまう。それだけバンドにとっても人生は過酷なのだろうし、アスリートな面もある演奏=身体表現に不安があるのかもしれないな。そこらへんの「身体が思うように動かなくなってくる」感覚、同世代なんで分かるわ…実感ありまくるわ……。心配になってしまうけど、だからこそ、出来る限り彼らのライヴには足を運びたい。勿論、まずあるのは音楽。彼らが今、ここにしかない音楽を奏でてくれることを信じているから、またライヴへ出かけたくなるのだ。

「今、ここしかない」。自分も肝に銘じていることだけど、皆さん元気で長生きしておくれよ〜。

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Yasei Collectiveは初見。Louis Coleと縁も深い彼ら、聴いてみて合点がいきました。歯抜けリズムがテトリスのようにハマッていく、これをどうしてそうも肩の力抜いて出来るのかという。トリオ編成になって初めてのライヴとのこと。以前の編成を見逃したのは残念だけど、今後注目していきたい。最後の曲ルイス好きそう〜と思ったんだけど、そういえばルイスの方からアプローチしてきたんだったよね。motkとのちょっと変わった対バン企画も発表になり、五月が楽しみです。

motkのレーベルfractrecからシングルをリリースしたFORTの音も格好よかった! 次回はお姿を拝見したいものです…いやホント、全然見えなかったのよ(泣)。