初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2009年11月28日(土)
『FROST/NIXON』2回目

『FROST/NIXON』@天王洲 銀河劇場

うーん、次回はスーツ萌えの話でもと書いていたが、そういう暇もなさそうだ(笑)。これリピートし甲斐がありますわ…自分の頭がついていかんってのもあるけど、1回だけでは気付かなかったところがごろごろ出てくる。で、気付くとこの虚構の物語がより味わい深いものになる。

インタヴューシーンは確かに圧巻なのですが、この作品のキモはやはり最後のインタヴュー前夜、ニクソンがフロストに電話をかけるシーンだと思います。史実ではなくフィクションのシーンだそうですが、本質はここにあるような気がする。ラストシーンにも繋がりますが、「ひとに好かれなければならない」職業である大統領は、容姿端麗でTV映りがよく、ライトに晒されても緊張していても汗ひとつかいていない(ように見える=TVにはそう映っている)フロストがちょっと羨ましい。彼が履いている、グッチのホースビットローファーもかっこいいな。首席補佐官ブレナンからは「イタリア製の靴は女々しい」なんて言われてしまったけれど、ちょっと履いてみたい。でも私はアメリカ大統領、そんなことは言えないな。

アメリカのトップを降りたニクソンは、ラストシーンで側近に「女々しい」と指摘されたイタリア製の靴を大事そうに抱える。これからはこの靴を履ける。おしゃれですね、なんて褒められるかも。アメリカを背負い、威厳を示し続ける必要がなくなった今、そんな余裕を楽しむことも出来るかも。でも、ちょっとさびしい。外交的には偉業を成し遂げた。しかし私に対する国民のイメージは、歴代大統領の中で唯一、任期を終えられなかった人物。そして“Well, when the President does it that means that it is not illegal.”と発言した裏切り者だ。

そういうところを一度観てしまったので、今回はもう最初っからニクソンに肩入れしがちだったんですが(笑)そうするとフロストの焦燥も見えて来る。一発逆転を狙ってニクソンにインタヴューする機会を得たけれど、スポンサーはつかず借金は増え、返す目処もたたない。足掛かりだったオーストラリアのレギュラー番組の打ち切りが決まった、もうアメリカのショウビズには関われないのか?イギリスに戻ればなんとかなるかも知れないけど、「ニクソンからろくなコメントもとれなかったトークショウの司会者、結局彼はジャーナリストなんかじゃない」と言うイメージはもう拭えないだろう。どうすればいいんだ、誰かがこのインタヴューの企画は無茶だと止めてくれればよかったのに。

ニクソンから決定的な言葉を引き出せたのも、レストンの調査に因るところが大きい。心は晴れない。

そんなふたりの間には、まるで友情のような共感が生まれているようにすら見える。ニクソンにローファーを贈ったフロストは帰り際、手を振るニクソンに微笑んで小さく手を振り返す。もう二度と会えない友人たちの別れのようにも映った。

電話のシーン以降、咳払いやガサガサ荷物を扱う雑音が客席から消えた。序盤の客席はTVを観ている居間のイメージにも通じる。実際そこ迄うるさい訳ではないけれど、銀河劇場はその手のノイズがとても響く。その分、終盤の客席の静けさが際立った。ニクソンとフロストの会話に聞き入り、TVに釘付けになっている視聴者のようでもある。居間でくつろいでいても、食い入るように観てしまうような映像がTVに流れたら、静まり返るもんでしょう?TVの魔力を垣間見たような気がした。舞台で、だ。

初日よりこなれた感じも多く、ちょっとした言い回し、アクションの違いで「あ、ここ笑えるシーンだったんだ」と気付いたところもあった。ニクソンの挨拶と握手をどう拒絶しようかと思案していたレストンが、目の前に現れたニクソンの魅力に圧倒されつい握手してしまうシーン。「イタリア製の靴は女々しい」のところもそうだな。ここらへんはその、リラックスした観客の反応がよかったことも要因かも。

谷田さん演じるブレナン大佐が、ニクソンに対する忠誠心と尊敬の念、大統領の補佐官であることの責任感や誇りを吐露するモノローグが初日より素直に頭に入ってきました。レストン=アツヒロくんの回想モノローグも同様。しかしやはり前半をもう少し段取り良く見せられればなあとは思います。説明で進むのは苦しい、しかし懇切丁寧に見せると時間を喰い、観客の集中力が途切れる。TVのように途中でスイッチを切れない舞台の難しさも感じます。そんな中、前半光るのはゼルニック=安原さん。声優でもある彼は、海外ドラマや洋画の吹き替え出演も多く、翻訳ものの台詞回しに違和感がない。(追記:今wiki見たら、「“アメリカ人的な声”の持ち主」と評されているんだって)

舞台の可能性と限界を感じられる、興味深い作品でもあります。



2009年11月27日(金)
THE BIRTHDAY Tour “愛でぬりつぶせ” 09

THE BIRTHDAY Tour “愛でぬりつぶせ” 09@Zepp Tokyo

ツアーファイナル。つってもこのバンド、ツアー、フェス、ツアー、イヴェントって感じなので、どのツアーのファイナルなんだっけ?と言う……。

遅刻してSherylの途中から。帰ってセットリスト探したら既に10曲目…(泣)。しかしたっぷりやってくれてアンコールは3回、2時間40分くらいだったかな。最後はこの日5曲目にやっていたディグゼロのヴィデオクリップ?を撮るからと「協力してくんない?」ってことで再び演奏、おかげで聴くことが出来た。オーラスはアリシア。

この日の面白MC:
「あのー、ま、ま、マクドナルドのー、し、し、し、し、新…何て言うんだ?……新種?が、出たんだってさー!」チバくんそれは新商品て言えばいいんじゃないかな…。

と言う訳でようやく音源が出るクォーターパウンダーのCM曲、HUM69もやってくれました。ギターリフ一発でシビれる曲。

ヘンな話ですが、ここらへんのおおっと思うギターリフやカッティング、チバくんが弾いてるんですよね。ソロとかはイマイさんが多くて。そういうところにちょっと不思議な気分になることが多い。前のバンドと比べる訳ではないけど、シビれるようなギターリフ、カッティングは、前は他に弾くひとがいたんだなあ、今は自分で弾くんだなあと思ったり。それがまた格好いいんですよね。おおっと驚くようなフレーズも多くて。それがアベくんに似ているとか、そういう意味ではなくて。

もともとメロディメイカーとしての定評があるひとですが、なんか…エラそうな物言いだけど、ひとはいくつになっても成長するんだなあと言うか、自分のやりたいことを自分でやれるようになるもんだなあとか…。本人インタヴューで「もう成長しない」なんて言ってたけどね。

個人的にギターはリフとカッティングが断然好きなのですが、ここでまたアベくんの話になっちゃうけど、ギターマガジンでの追悼特集号で鮎川さんが言っていたことを思い出したりした。「リズムを刻みながらリフを入れていくスタイルっちゅうのは、ほかからお呼びがかからんギタリスト」「ひたすら刻む。それがロックの基本っちゅうのはみんな当たり前と思っとるけど、どうしても派手なところに目がいってしまう」「そうやって弾くのはストイックやし大変やし」。

で、今のチバくんのギタースタイルってこうなんだなあと、いろいろ思うところがあった。

そしてチバくんのスットコドッコイ発言は元気のバロメーターのようなもんなのでちょっと安心しましたわ。こういう発言がまた増えるとよい。つきあいの長いキュウちゃんですら間が読めずに、最後チバくんが喋ろうとしているところにカウント入れてアリシア始まっちゃったよ(笑)。チバくんが「あっ!ちょっ、ちょっと待って!!」ってあわあわなってたのがおかしかった。イントロが始まっちゃった中、「ダイヴしないでねー!!!」と懸命に叫んでいたのに大ウケ。ステージと客の間に撮影用のカメラが入っていて危ないと言いたかったらしい。いいひとだ。

あーなんかチバくんのことばっかり書いている。そんでアベくんのことをうだうだ書くのはきっと来月いろいろ思い出さざるを得ないあれやこれやがあるからだろう。いや、忘れてしまいたいってことではないんだけど、何しろ今になっても、なんで死んじゃったのかよく解ってないので実感がわかないのです。当分そうだろうと思う。で、その当分ってのがいつ迄なのか全然見えない。

-----
セットリスト

01. 愛でぬりつぶせ
02. カレンダーガール
03. マスカレード
04. ガーベラの足音
05. ディグゼロ
06. BABY TONIGHT
07. FUGITIVE
08. ピアノ
09. ひかり
10. Sheryl
11. タランチュラ
12. モンキーによろしく
13. STRIPPER
14. LUCCA
15. あの娘のスーツケース
16. いとしのヤンキーガール
17. 涙がこぼれそう
18. Nude Rider
19. SUPER SUNSHINE

encore 1
20. HUM69
21. 45 CLUB

encore 2
22. マディキャットブルース
23. ローリン

encore 3
24. ディグゼロ
25. アリシア
-----



2009年11月22日(日)
『4.48サイコシス』

『4.48サイコシス』@あうるすぽっと

飴屋さんの舞台に行くと、必ずあの舞台に立っていたひとたちにまた会いたくなる。でも、会えることは絶対にない。

鬱病を患った果てに自殺した劇作家、サラ・ケインの戯曲。自己嫌悪とこの世での生きにくさと他者への妬み、憎しみを頭の中に渦巻かせ乍ら、あらゆる薬物漬けになり(それは処方薬ではあるのだが)混濁した意識状態の続いていた彼女が、午前4時48分に明晰な頭脳を取り戻す。憑かれたように彼女は書いたのだろう。これを書き留めておかなければ、これを遺さなければ、これを他者の目に触れさせ、他者の身体を通して声にしてもらわなければ。私はこの世界ではもう生きていく気力がないけれど、せめてこの世界にいた痕跡を遺したい。劇作家なら、おそらくそう思い作品としてこのテキストを生み出したと推測される。劇作家の作品は、記されて完結するのではなく、他者が演じ、そしてその舞台に立ち会う観客がいてこそ現存し得る。

舞台上で起こる出来事は、呪詛のようなモノローグ、理解し合えない精神科医への憎しみと、理解しえない乍らも一瞬の意識のふれあいを慈しむような繊細さと、現実世界との距離の遠さと膨大な悲しみ。

実際のテキストがどう記されていたかは知る由もない。知っているのは翻訳家と演出家のみだろう。そして演出家はこう構成した。誤読であるかどうかは判らない。しかし誤読だと言えるひとはいない。イギリス人であるサラ・ケインの作品は、こうして初冬の日本の、池袋の舞台に立ち上がっている。この作品を観た誰もが彼女のことを思い、舞台に立った人物たちのことを思い、ラストシーンで客席にいる筈の自分が舞台上の人物として見つめ返される時、その視線の交差によって自分のことを思う。二度と会えないわたしたちは、しかし、今ここで会うことが出来たのだ。また会いたい。でももう会えない。

以下具体的な状況をメモしておきます。楽日も過ぎましたのでネタバレしています。

・ロビーに血のプールと、転倒しプールに半分程沈み込んでいるバイクの展示
・TECHNOCRATの『Dutch Life vol.4 COMING OUT』を思い出した
・『COMING OUT』とは、1993年にレントゲン藝術研究所で発表された作品。腐敗防止用の冷却装置付きの浅いプールに、100人以上の人物から採取された50リットルの血液が、抗凝固剤を加えられた状態で循環している。そこにはHIVポジティヴとネガティヴの血液が混在している。水面(血面?)には、“I am transmitted with HIV.”と言うテキストが映し出される。「私はHIVウィルスに感染しました。しかし、このウィルスは空気感染しません」。血液採取に参加した全員の名簿も配布された。田口トモロヲさんや、嶋田久作さんも本名で参加していた
・サダヲさんも参加したってどこかで読んだ気がするけれど、名簿見たら載ってないな…
・展示作品を観る際、HIV展示への確認と自己責任に関して同意署名が必要だった

・整理番号順に並ばされ、開演15分前に入場すると舞台上に椅子が設置されていた。つまり客席側が演技エリア
・ステージと客席の間にまたもや血のプール
・出演者は『転校生』『3人いる!』に参加していたひとたちと、ホーメイ歌手のパフォーマー山川冬樹さん、計12名。他にもいろんなところから参加しているのだろう。年齢も国籍もバラバラ
・自分が観た『3人いる!』×2公演から、3人が出演していた。立川貴一、小駒豪、ハリー・ナップ(敬称略)。皆が重要、皆が替えがきかない
・違う人物を演じていることになるけれど、なんだか一方的に再会出来たような気分になって嬉しかったな…
・ステージ(つまり客席側)頭上の、従来は照明オペレーターが照明を操作するようなエリアにパーカッションが2セット設置。演奏もありました。演奏と言うか…ビートを刻む役割
・スピーカー配置もかなり独特だった。音に包まれるような感覚。音楽の他に、コオロギの羽音や心音が流れていた
・音響設計とミキシングはZAKさん。サポートで浜里堅太郎さん

・終演のアナウンスとともに、客席に観客たちが入場して来る(初日直前、急遽エキストラを募集していた)。彼らは席に座り、ステージ(つまりこちら側)を見つめる。しばらくして幕がひかれる

舞台上の演者と音響、照明を通して、観客はサラ・ケインの頭の中にダイヴする。彼女の意識とともに、限りなく死へ近付く。その縁を覗き込む。死にたい、死にたい、この世界で生きていられない。でも何故?何故自分はここで生きていけないの?死んではいけないとか、生きておかなければいけないとか、そんな教訓めいたことなど浮かばない。ただただ、彼女の心に寄り添って立っているだけ。観ているだけ。何も出来ない、引きずり込まれる、疲弊が澱のように積もっていく。

彼女の叫びと観客の間に存在するのが山川さん。彼は天井から逆さ吊りになって登場し、言い争う患者と医師(の役を演じる人物)を前に叫び呟き、唄う。そして最後には血のプールに沈んでいく。長い長い髪が次第に血に沈み、見えなくなる。

あなたを助けることは出来ない。でも、この世界はあなたを拒絶してはいない。そんなふうに聴こえたのは勝手な解釈かも知れない。しかし彼の声は、生命力に満ちていた。

サさん曰く「あんなに倍音出てるひと、チベットの坊さん以外で初めて観た」。私もチベットの坊さんのホーメイはジンガロの『ルンタ』でしか生では聴いたことがないけれど、確かにあれに匹敵する…いや匹敵とかそういう言葉では括れないな……あれは山川さんだけの声だから。文字通り身体が震えるような声だった。共鳴して震える感じ。ブレス、ロングトーンと続けるところがあったんだけど、アタックの声をひずませるのね。それが皮膚にビリッときた。うおー今思い返していたら涙出ちゃった(おい)。

生まれ変わりを信じてはいない。しかし、今度サラ・ケインがこの世界に来ることがあったら、4時48分が来て、彼女の意識が晴れ、ここにいられるかも知れないと思うことがあったら。今度はひょっとしたらうまくやっていけるかもしれない。いや、そもそもうまくやっていけるひとなどいない。たまたま今回はこうなってしまった。でも今度は違うかも知れない。そう思わせてもらえるなんて、こんなに苦しい舞台だったのに、まるで心が軽くなるかのような終幕だった。二度と観られない、あのひとたちにはもう会えない。でも、あの時あの場にいることが出来てよかった。



2009年11月21日(土)
千葉三昧

あんまりライヴの内容について書いてない(苦笑)。今気付いたがどっちも20周年がらみだった。

****************

THE BIRTHDAY Tour “愛でぬりつぶせ” 09@千葉LOOK

整理番号1〜2番がとれてしまい…運を使い切った気がしてならない。

あまりにも個人的に思い出深いものになってしまったのですが、このチケットとれた日にアベくんの訃報があったんですよね。そもそもとれると思っていなかったところに当選通知が来て驚いて、「うっそお、他にLOOK当たったひといるかな?」と2chのバースデイスレッドを見に行ったら、アベくんの訃報でパニックになっていた。そのあとのことはあんまり憶えてない。

しばらくしてチケットが配送されて来た。ライヴハウスには開演ギリギリに入ることが多いので整理番号の確認もしていなかった。数週間経って、一緒に行くポンチさんに渡すため封筒から出してなんとなく眺めてみたら、整理番号がA-1となっている。……いやいやきっとFC先行分とかのが前に50枚くらいあるんじゃないの、いやでもバースデイってFCないよな(ないよね?)、いやいやきっとイヴェンター先行とかの枠が前にある筈だ。

と思ったものの、この番号を無駄にする訳にはいかんよ!と、開場前にLOOKに向かいました。そして実状は、ハコ売り分の番号と自分たちがとった分の番号を5番ずつ入れて行く、と言う形だったので、まあ殆ど変わらなかった。ひえー。

と言う訳で、LOOK行ったことのあるひとたちから散々「キャパ200くらい」「シェルターくらい」「ステージ低いから半端に後ろだと全く見えない」「最前か、後ろにある一段高いところじゃないととにかく見えない」「でも雰囲気がすごくいい(笑)」と聞いていたので、覚悟を決めて最前に行きました(ハルキくん側)。皆さん落ち着いていて、半券切ったらフロアに駆け込み「走らないでください!」なんてこともなかったし、LOOK側の対応もしっかりしていてよかったなあ。

ステージとフロアの間は50cmくらいか?その狭い50cmの間にムービーカメラマンさんが入ってきた。ポンチさんと「ひゃー、ずっとここにいるのかな」と小さい声で話したら聞こえたらしく「そうです、ずっといます」とにっこり。

客の邪魔にならないように、袖側のステージとスピーカーの間の、すっごい狭い空間に身体を潜らせて(スペース50×50cmくらいしかなかったんじゃないかなあ)、膝を曲げっぱなしで姿勢もあまり変えられない状況で撮り続けていました。いやもう尊敬した…あまりに近かったのでファインダーがよく見えたんだけど、ピントを合わせるだけでなく、物理的に腕を伸ばしたり曲げたりすることでアングルや距離に変化をつけ、格好いい映像を撮っていた。記録用なのかオンエア用、ソフト用なのかは判りませんが、すごいなあと思いました。

ライヴが始まると、とにかく圧はすごかったが(アバラの下が帯状に青タンになりましてん)おまっ出てってくれ!と言うような暴れ方をするひとは周囲にはいなくて、やっぱ大人と言うか慣れてんなあと言うか。暴れ方にもいろいろあるやん…スタンディングでぎゅうぎゅうになるとホンットおまえは何しに来たんだと思うひともいますからね。キャットファイトもなくバカ男子もおらず。バースデイだからそうなのか、痛い目に遭ったことがあるひとが多いのか、思いやりがある感じがしましたよー。ヌルいってことではなくて。

ライヴはとにかく最高。爆音の上モニター通さない地音/地声迄聴こえます。チバくん地声もデカいよ!しかし「タランチュラ」辺りからだったかな、途中から妙にヴォーカルの音程がおかしくなり、音も小さくなる。あれ、PAトラブル?チバくん音程とれてない?珍しく音痴に聴こえるよ?と思ったが、実際は自分の耳がイカレて一定の音域が聴き取れなくなっていたのでした。あちゃー、こうなるんだと妙なところで感心した…。

2曲目でいきなり「愛をぬりつぶせ」だった。ちょっと照れてしまうタイトルと歌詞だけど、もうねえ、そんなん恥ずかしがってる暇はねえだろ、いつ死ぬかわかんねえぞ、あんたも私も!と言う実感がヒシヒシとあるこの頃なので、今日この時ここで観られてよかったなあとしみじみした。今日と同じものは二度とないよ!何に関してもそうなんだよね。

いつ死んでもいいってのは、今死にたい訳じゃなくて、今死んだとしても後悔しないってことだよなと思う。受け入れられるかそうでないかって言う。

面白かったチバくんのMC:
「千葉県の“千葉”と、俺の名字の“チバ”は何が違うの?」
アクセントのことを訊きたかったんだと思うけど、意味が通じなくてフロアがシーン(笑)。

LOOKは20周年だそうで、『20th Anniversary 6×9=53days』(ん、今気付いたが何故54daysじゃないんだ?)として二ヶ月いろんな対バンや豪華なラインナップ続きのようでした。受け取ったフリペに「毎回のようにツアー初日に来てくれこの店を全国区にしてくれました。そんな彼が『The Birthday』として初登場(中略)出演依頼したら即決デス。嬉しいに決まってます」と書かれていました。そうだーLOOK知ったのってミッシェルからだったわ。いいとこだった、おめでとうございますー。また行きたい!

****************

やべー、耳鳴りすごい。千葉モノレール(初めて乗ったー楽しかったー!)経由で海浜幕張へ。ごはん等食べてまったりするが耳が元に戻らん。諦めてメッセへ移動。

****************

electraglide presents Warp20(Tokyo)@幕張メッセ国際展示場

!!!(2曲)→Clark(トイレ並び中)→Battles→O.N.O→カニンガム→ハラカミ→LFO(後半)

久々のエレグラ、WARP RECORDS20周年おめでとうパーティとして帰ってきました。ラッキーだったかいやなグルーヴ略してIGに遭遇することは殆どなくフロアは快適(まあゴミは相変わらずすごかったが…)。音もBattles以外よかったように思いました。てかちょっとしかいなかったけどRoom11は結構音よかったような。

しかし今回9-11ホールで、フロア以外の運営やら何やらがいろいろ…(苦笑)クロークブースが屋内で飲食ブースが屋外という。荷物がぬくぬくで客が凍えるのか!まあ客は買ったら中に入れるけど、屋台のお店のひとはずっと外だよ。あの寒い中。あれはちょっとかわいそうだったなあ。ごはんもおいしかっただけに。飲食ブースとトイレの混雑っぷりはとにかくすごかったので(やーでもその間観られたClarkはVJ含めよかったなあ)、動員とスペースがつりあってなかったように感じました。フロアは丁度いい感じだったんだけど…。あと駅からの誘導サインが全くなかったので、1-8ホールに行っちゃって(しかも何故か開いてるのな)迷子になってるひと多数(自分含)。ちなみにタイムテーブルは運営側ではなくタワーレコードが独自に作ったやつをブースで配布してくれてました。知らないひといたんじゃないかな。

いやでも楽しかったですよ。

と言う訳で、!!!(ヴォーカルのひとが短パンじゃなかったよ)後トイレに行ったら30分近く並ぶ有様だったので、これは下手に移動すると目当てが共倒れになる…とウェザオールを断念(うわあああん)、Room9に居座ることに。

Battlesは半分以上が新曲、ちょっとまったりモード。うたものも多かった。音が拡散してしまう感じで、生楽器メインのライヴだからか?と思ったものの、やたらスタイナーさんがドラムキットから離れるし、何かトラブルでもあったんだろうか。それにしてもスタイナーさん、リキタケウチみたいになってた。白シャツだったし。内容がわるいとは思わなかったし、単体で観たら楽しめたと思いますが、この流れの中ではちょっと肩すかしでした。また来てねー。

するする前に行けたのでここから最前センター。O.N.O格好よかった。

カニンガムは前回出た時と使ったネタがかなり被っていたけど、当然構成は変えてきていてやっぱり面白かった。前回欧州圏のひとがどん退きしたと言うナチスの映像は少なめ、全裸の男女殴り合いモチーフはエログロ度増量、ウィンドウリッカー、ラバージョニー、プレステのCMのやつ(みつあみの女の子の顔が奇妙な左右対称になってるやつ)、スターウォーズときて間に暗黒アンビエントのような映像も織り込んでいた。新規と言うか初めて観たのは、女の子が泣きじゃくり乍ら踊ったり暴れたりしてスカートめくると中から妖怪でろでろがどばーな映像だけだったかな。それにしても号泣してブッサイクになった顔やボコボコで血だらけになった顔撮るの好きだよねえ。つくづくカニンガムはどSだと思った。細身長身のイケメンなのにねえ(笑)。あと腕がながーいと思った。それはともかく映像と音の同期がとにかく格好よく、すっごい入り込んで観てしまったよ…踊る暇もありゃしません。

そういや件の殴り合い、前回結構批判的なブログ記事とか見たけど、これって女も殴り返しているところがミソだと思います。今回男が吹っ飛ぶところで歓声があがった時はニヤニヤしちゃった。ちなみにえーと、男がむけた映像の時には男の歓声があがってました(笑)。

WARP20だけにAFXやスクエアプッシャー来ないかなと期待されていたけど来なかったので、ウィンドウリッカーの映像が出た時の歓声はすごかったな。

で、そんな後に出て来たハラカミくん、いきなり「おはようございまーす!」ときたもんだ。「なんで僕がここにいるのかわかりませーん!」だって。WARPにそんな縁ないもんな(笑)。「出番早目にって頼んだんだけどこの位置ですよ!(出番前なので)全然他のアクト楽しめませんよ!」もう最初からキレ気味です(笑)。この手のライヴであんなにべらべら喋るひと初めて見た。しかし音の方は仕込みを結構変えており、ハラカミくんなのにバッキバキな音。おおう好戦的!文句言い乍らもやる時はやります、仕事人です。流石に疲れていたので後ろに下がって聴きましたがよかったなあ。「これでやっと客としてLFOを楽しめます!」と帰っていきました。なんだよいいひとキャラで〆るのかよ(笑)おつかれさまでした。

で、トリのLFO。もう明け方なのに速い速い。素敵なトリだったー。

長丁場でしたが流れがよかったのか、落ちずに連続して楽しめました。皆さんhappy birthday warp records!とか言ってて、ハッピーな雰囲気でよかったな。

****************

今迄でいちばん千葉の奥に行ったー。初めて乗る路線も多くてそれも楽しかった。遠足。



2009年11月20日(金)
「菊地成孔コンサート2009」スペシャル・トークイベント

「菊地成孔コンサート2009」スペシャル・トークイベント@オーチャードビュッフェ

オーチャードホールのビュッフェで、菊地さんが過去のペペとNKDSの映像を観乍らべらべら喋るイヴェント。ペペとNKDSのライヴ映像の9割は冨永昌敬監督(『パビリオン山椒魚』『パンドラの匣』)が撮っており(DCPRGは夏目現監督が撮ってますね)、この日は冨永監督にも参加してもらおうと言うつもりだったそうですが、撮影のスケジュールが重なってしまい欠席。菊地さん自らDVDを操作して、解説したいところで止めたり面白いところをリプレイしたりしつつ面白い話が沢山聴けました。レコーディング裏話や、各バンドの構成について等。

で、まあ内容は内緒で。菊地さんの話は密室性も含めて面白いところがあるし、現場に行くのが大事だよとも思わせられるものなので。とにかく再来週のオーチャード2daysがとても楽しみ。



2009年11月18日(水)
『FROST/NIXON』初日とか

『FROST/NIXON』@天王洲 銀河劇場

“これは、インタビューという名の決闘”

休憩なし、1時間50分。ロンドン初演も、映画も未見です。以下若干ネタバレあります、未見の方はご注意を。

いやーよかった。特に後半。序盤約10分はモノローグのみで展開され、その後も要所要所でジム・レストン=佐藤アツヒロくんの回想らしきモノローグが入ります。プログラムのスズカツさんのごあいさつで、役者には「説明的な台詞の言い方を排」することを要求したとありましたが、政治的な専門用語が多い、インタヴュー収録が始まる迄の経緯と歴史的背景を観客に把握させねばならない、そして本編のメインとクライマックスはインタヴューシーンのため、その他のパートはかなり凝縮する必要があり、時間的にもあまり尺をとれない。と言う制限があるため、やはりインタヴューに入る前迄の台詞が説明的になっている印象を受けました。なので、ここでノリ遅れるとちょっと厳しい。説明せねばならない内容を如何に説明口調にならず話せるか、と言う難題に、アツヒロくんは苦闘しているようにも見えました(演技がわるいと言う意味ではないです)。

それにしてもスズカツさんはビューティフルルーザーを描くのが巧いと言うか、好きと言うか、常に興味があるんでしょうね。こういうところはプロレス好きと言うバックボーンがあるからかも知れません。ニクソンのことちょっと好きになっちゃうぞ!頭脳戦なのに言葉の殴り合いにすら映るインタヴュー、格闘技やスポーツを観ている時のような感覚。左右に分かれたフロスト/ニクソンが座るソファの後ろには、常時ブレーンと補佐官が待機しており(=全登場人物出ずっぱり)、テープ交換のための休憩毎にふたりは陣営に戻る。アドバイスを受けたり、ハッパをかけられたり、戦法が間違っていないかの確認をする。その図式が、まるでセコンドとボクサーのよう。インタヴューは一対一なのに、まるでチームの連係プレイを観ているようでもある。両陣営ともに知力を尽くし、TVの特性を存分に利用しようとする。

フロスト/ニクソンは共にTVを利用してアメリカのトップにのしあがった人物だ。そしてふたりともアメリカのトップに返り咲くために対決している。ニクソンはウォーターゲート事件で失墜した名誉挽回のため、フロストは失ったアメリカでのTVショウレギュラーを再び手にし、アメリカで成功するため。ニクソンはインタヴューを受けなくても悠々自適だった筈だし、フロストは既に本国イギリスでは名声を得ており、アメリカであがく必要もなかった筈だ。

それでもアメリカでトップに立ちたい。アメリカが世界のトップだからだ。と言う、背後に浮かびあがるアメリカの巨大さをもひしひしと感じる作品です。アメリカはデカい。

決定的なひとことを引き出せずいらつくフロスト陣営だったが、最後のインタヴュー前夜、酔ったニクソンがフロストに電話をする辺りから様相が変わって来る。何故彼は電話をしたのだろう?ニクソンは真実を語りたかったのではないだろうか。実際彼は真実を喋るが、歴史に残ったのは事実だけだった。そして何故ジャーナリストではない、トークショウホストのフロストがこのインタヴューをモノに出来たのか?決定的な証拠を見付け出したのが、カジュアルな服装に身を包んだ、フロスト陣営ではいちばんの若造レストンだったと言うことも興味深い。

舞台の決め手は、ニクソン役北大路欣也さんの圧倒的存在感。3階席から観たのにもう釘付け。観る前はわーいいぬのおとうさんだよなんて思っていたが(ソフトバンクから花が来ててウケた)、始まったらもうニクソンにしか見えません。前述の、酔ってフロストに電話をする前迄はほんっとにくたらしい。衣裳やカメラアングルを妙に気にするところと言い、のらりくらりとダラダラ喋り本質に迫らないところと言い、嫌な政治家そのもの(笑)。フロスト役の仲村トオルさんがイラッイラ来てるんですが、もうそれも演技に見えない(笑・そこが仲村さんのすごいところでもある)。しかしそこには、TV映りが悪かったため選挙に敗れた経験や、周囲が敵ばかりの中、家族だけが味方でいてくれていたと言うことをちょっと自慢したい気持ちが見え隠れする。それを繊細な声のトーンやアクセントの変化、リズムで表現する。

インタヴューがオンエアされ、表舞台を去ったニクソンがフロストと面会し、プレゼントされた靴に喜ぶ姿は少年のようだった。しかしフロストが去り、ひとり残ったニクソンが箱から出した靴を見詰める後ろ姿―ちいさな背中は、もう第一線に戻ることはないであろう老人のものだった。一瞬にしてニクソンの一生を見たかのような錯覚に襲われる。名優と言うのはこういうひとのことを言うんだなあと素で納得。

仲村さんも自分のブレーンに見せる陽気な姿と、ひとりの時に見せる激情のコントラストが見事。皆を安心させようとしてか、一見ちゃらんぽらんなんだよね。イギリス人的な皮肉もあるのだろうか。北大路さんと対峙しても一歩も退きません。序盤はニクソンに「こんなテレビショウの司会者にやりこめられるものか」と思わせるような虚栄心の強さと野心が見え隠れしますが、最後のインタヴューの時には風格さえ漂っていた。そしてある意味“勝った”のに複雑な色を見せる表情。このひとの舞台ハズレないわー。

フロスト陣営のイギリス人プロデューサー、ジョン・バートを中村まことさん。導入好き放題(笑)もう野放しなんだねこのひとは…しかしあんなアホな登場の仕方しといて、段々え、このひと実はやり手?と思わせられてしまう。そういうところは流石です。同じくフロスト陣営のアメリカ人はアツヒロくんと、ベテラン記者ボブ・ゼルニック=安原義人さんのふたり。一触即発のやりとりに緊張感がありました。ニクソンの首席補佐官ジャック・ブレナン大佐は谷田歩さん。そうだこのひと蜷川さん演出の『タイタス・アンドロニカス』で観たよ!高橋洋くんとペアのバカ息子役だったよ!(笑)いやはや気付かなかった、役によって印象変わるわー。がめついエージェント、スイフティ・リザール役は中山祐一朗さん。なんだあの髪型は。にゃきゃやまさんとまこつさんはどこでも自由だねえ(笑)。

ミニマルで機能的な二村さんのセット、明度と彩度で色彩を表現する原田さんの照明も素晴らしかったです。原田さんの青白色大好き。横川さんの音楽もサントラ出してほしいくらい。

次回はスーツ萌え〜の話でもしようかな(笑)。パンフレットで皆さんが着ているスーツはHUGO BOSSだそうです。

****************

芝居の前にこの2本。

■『John Squire: Negative Afterimages』@Tokyo Hipsters Club
ジョン・スクワイアの個展。ポロックじゃなくてデュシャンみたいになってた。いい雰囲気でした

■『WITHOUT THOUGHT VOL.10 BOX』@EYE OF GYRE
表参道のMoMAが入ってるビルのギャラリー。いつもオモロいものをやっている。この日は深澤直人さんのワークショップ作品展。
おかしのパッケージばっかりやってるひととかいる(笑)木目柄の折り詰め箱を組み立てなおすとそれがお寿司載せる板(紙だけど)の台(あれなんて名前なの?あれだよ下駄みたいなやつ!)になるのが面白かったー



2009年11月15日(日)
『かくれんぼ』と白いチェブラーシカ

笠原出『かくれんぼ』@Art Center Ongoing

笠原さんの絵画作品を観るのは『笑う植物画』以来。この展覧会、art cocoonのクロージングだったなあ。ここんとこしみじみすることが多いな(苦笑)。

『笑う植物画』は水彩だったけど、今回はペインティング。手を繋いでいるオバケたちを観たのは初めてだった。ギャラリーに置かれていたインタヴューによると、こうなったのは最近のことだそう。あー絵の中でオバケたちは会ったんだな、よかったなあとか思う。笑うオバケも、手を繋ぎたくなることもあるでしょうよ。

風景画の中にいるオバケたち。ずっと観ていると、ホントにまんま笠原さんは写生したんじゃないかとすら思えて来る。元の風景にも、実際にいたんじゃないの、とかね。大きさも数も自由自在。先日サさんと富士山付近のホテルにこびといたよって話をしていて(サさんのつれが見たんだって)、「富士山付近だったらこびとがいてもおかしくないんじゃない」とか言っていたので(私もサさんも富士山にどういうイメージを持っているのだろう)、富士山の背後にオバケたちがいる絵画をみてちょっとニヤニヤした。3人いて、ひとりは手を振っているみたいでかわいかったな。

『森・火・山』@NEWPORT展も同時開催されているので、会期中なんとか行きたいな。

■富士山と言えば
笠原さんは静岡出身なのだった。
浜松モザイカルチャー世界博のキャラクターも笠原さんの作品です。普段の作品は目のない笑顔なので、目があるとやっぱ違うなあ。前述のインタヴューでもご本人が言っていたけど、「笑っている/笑っていないを判断するのは、目なんですよね」

****************

■最近ドトールの店頭に
白いチェブラーシカがいる。なにあれ…かわいい……すごい気になる……と思っていたら、クリスマスものなんですね。
・ドトールの冬のキャンペーンにチェブラーシカが登場!!
・季節のおすすめ/クリスマス・ミルクレープ
「白いチェブラーシカはトリノオリンピックのロシア選手団の公式キャラクター以来の登場です。日本での登場はほとんどないのですが、今年の冬、ドトールコーヒー限定で復活します!」
だって。うはーんかわいい。しかもドトールのチェブはエプロンとかミトンとかしてるのよ。これは惹かれるわ…プレミアムドリップカフェとクッキーの詰め合わせ、誰かに贈りたい!包装紙開けて「ぎゃーなにこれ、かわいい!」とか言わせたい(笑)



2009年11月14日(土)
『おとことお酒』と俊太郎

シモキタハシゴ。

****************

山の手事情社『山の手・女祭り・男祭り「おとことお酒」』@小劇場 楽園

うーん、現在サバランごときで酔っぱらっているので、今度はちゃんと書くとか言っとき乍ら結局ろくな感想が書けそうにない。と言う訳で今回はおとこ編。チェ・ゲバラと、石川五右衛門と、項羽の酒飲み話です。

おんな編は三分の二が架空の人物でしたが、こちらは全員が実在の人物。そして大きい違いだなと思ったのは、おとこ編の演じる人物には、演者のあこがれ=こういう人物にあこがれる、こういう人物の人生を送ってみたい、実際には体験出来ないので演じたい、と言う思いがあり、おんな編の演じる人物には、演者の共感=こういう人物にはなれない、なってしまってはいけない、しかし彼女たちの思いの強さには狂おしい程に共感する、だから演じてみたい、と言う思いがあったように思いました。

おとこ編は安田さんと水寄さんの共同演出(山の手は出演者も構成・演出に参加するので、浦さん、川村さん、岩淵さんも演出です)。水寄さんのごあいさつによると「男達の世界を、男性は男性目線で、女性は別の生き物を見る目線で、どうぞご堪能下さい」とありました。やーもうねえ、もともとひと同士は絶対に解り合えないもんですが、やっぱそれだけでない生態としての解らなさ加減と言うか、なんだろなーその思考回路はそういういきものだから、と言うことで納得するしかなかろうもん、とある意味諦めるしかないもんですね。と言う結論です。実際おんな編は「うわーこれおとこのひとが見たらどう思うんだろうな、あんま見せたくない(笑)しかしあるあるある!好きじゃない部分も含めて認めざるを得ない!」って感じだったんだけど、おとこ編は「面白いいきもの…」って感じで観ましたわ(笑)。いちばんぶんぶん頷いたのは、女優ゲスト(この日は洪明花さん。ダブルキャストは内田慈さん)が男性について語るシーンでしたからね。

とは言うものの、やっぱり違う生き物として尊敬もするし憧れもするのです。おんな編を観たおとこのひとたちはどう思ったかな。

と言う訳で山の手は25周年なんですが、安田さんによると「創立20周年のときには(中略)大騒ぎしたのに、今年はやらないのか。やりません。」だそうです(笑)。創立25周年、そして山の手メソッドである“四畳半”は10周年。山の手にしかない手法で、道なき道を切り開き、新たな作風に挑んでいる。そして「どうしたら台本を使わずに面白い芝居が作れるのか」を追求し続けるうちに、「ほとんどぜんぶ」を「俳優たちが考えた」作品が出来た。演出(=安田さん)は俳優たちに「もっと考えるんだよ」とふてていた。25年やってみなければ、25年やってきたからこその身体性、文学性、即興力、構築力。絶対に他では観られません。これからもアヴァンギャルドでポップ、筋力のある哲学が観られるのが楽しみです。おめでとうございます!

早大劇研OB会から酒が届いていたのが微笑ましかった。

****************

ライヴ迄時間があったので、ごはん食べたりパン買ったりねこカフェの窓辺にへばりついてねこを見たりオオゼキで野菜見たりとうろうろ。普段ライヴハウスには開演ギリギリに入るところ今日は15分も前に着いたよ!もうほんっと今日楽しみだったんだよね!とニヤニヤ地下に降りるとやけにひとがいない。そして何故かもう演奏が聴こえている。ええ、前座あったんだっけ?でも…これ……「Time」じゃん!しかも恭一と俊太郎の声じゃん!

開演時間を一時間間違えた……(呆然)

****************

『'09←'94 高畠俊太郎 debut 15th anniversary live』@shimokitazawa GARDEN

そんな訳で、二部構成のうち一部は3曲しか聴けまへんでした。今年こんなんばっかりだ…自分が信用出来ない!ホントどうなの、これ……(泣)どうやら一部が俊太郎のソロ、ゲストとのデュオだったよう。ゲストは恭一とさわおくんだったので、さわおくんをまるっと見逃したことになります。俊太郎用のエレピとかも置いてあったので、弾き語りも見逃した訳ですよ…もうばかじゃないの。と自分で自分に絶句しましたが、もう仕方がない…今年はこういう年なんだと思うしかない……ここでしょんぼりしてると大事なことをますます見逃してしまうと思い気をとりなおしてステージ凝視しましたよ。うえーん。

それにしても俊太郎と恭一の「Time」はよかったなあ。トリビュートで恭一がカヴァーしてたけど、それすっごいよかったんだよね。今回は本人が一緒にやってる訳ですよ、しかもハモりの下が俊太郎なの!うぎゃーなんて贅沢!最高やん!自分にガッカリしてる暇はねえぞ!で、その後恭一の「花火」を俊太郎が唄ってこれがまたよくて。本人も言ってたけど、俊太郎のことじゃないのって歌詞でした。ほんと、俊太郎は花火みたいだよねえ。

転換挟んで第二部、最前にするっと入れた。わーい、見晴らし良好。まずはトモくんと俊太郎で「Holiday」、三木くんが入ってえーとなんだっけ「Summer Rider」だったか?(確認中)、ウオズミくんが加わって4人(曲途中でコーダイくんも入り)で「seeing」。うひー渡り歩いてきた3つのバンドの曲がいっぺんに聴けるで!ポインター時代の「seeing」、あのフレーズは全部ギターでやってたけど今回はウオズミくんがボックスから出している。アレンジは生まれ変わり、しかしキラ星の曲たちは今でも瑞々しい。ウルトラポップ時代からなので、トモも15周年だよねーと笑ったり、ミキとのニヤニヤはずっと継続しているし…とニヤニヤしたり、ウオズミとはオートパイロットで。とか。で、ウオズミくんがハケてロケンローバンドのセットになって一曲目が「マリコ」!!!ぎゃー!!!その後はノンストップでたてつづけにあれもこれもでもうなんてえの、こっちもこの15年間がぐるぐる頭を巡り、バンドのことだけでなく、その時会って今でもつきあいのある友人のことや、田舎に帰っちゃったあの子や、もう会うこともないだろうあの子のこととかがぶわーと思い出され、素面で瞳孔が開きそうでした。いろいろあった…あり過ぎた……。楽しかったことも悲しかったこともたくさん、たくさんあった。俊太郎の曲は、曲だけはずっと傍にあったし、聴き続けた。今もこうして聴き続けられていることに深く深く感謝した。何度お礼を言ってもたりないくらい、沢山のものをもらった。今でももらってる。

やーそれにしてもこのひとは、いくつになってもくまとかミッキーマウスとか、ファンシーなキャラクターTシャツが似合うね。人魚の肉を喰ったんかと思う程に変わりませんね。そのアンチエイジング術をご伝授ください…。

アンコールに白いシャツ姿で出てきた俊太郎、わーウルトラポップ時代みたい。と思ったらなんと城くんと岩崎さんが出てきてウルトラポップ再結成。帰ってチケット見たらその旨書いてあった…全然気付いてなかったから驚いたのなんの(そんなだから開演時間も間違えるんですな)。でもフロアはかなりざわめいて悲鳴もあがっていたので、知らなかったひとも結構いたんじゃないかな。

岩崎さんはウルトラポップ以降、城くんはポインター以降動向を知らなかったので嬉しかった…。なんでも俊太郎は城くんとずっと会ってなくて、連絡先も知らなかったんだけど、今回また一緒にやりたいなと思って方々調べて行方を探し当てて、でも照れちゃって何から話せばいいかわかんなくなっちゃったから、酒呑んでしこたま酔っぱらった勢いで電話したそう(笑)。そしたら快諾してくれて、春からちょこちょこ集まってリハとかしてたそうです。うわー……。しかも演奏したのが「No More Watergate」。インディー盤『POP ULTRA』にしか収録されていない曲です。そして「Let Bygones Be Bygones」。こちらは解散後インディーからリリースされたライヴ盤『After Games』に収録されている曲。「次の曲がり角を曲がれば 見えるかも知れない でも きっとだめだ」。

ウルトラポップにしてもポインターにしても、おいおいってな解散…と言うか空中分解の仕方だったので…あったらいいなと思いつつ、ないだろうなと諦めてもいたんだ。はー、やっぱさあ生きてれば再結成も出来るんだよ!全員が元気で生きていれば。俊太郎以外皆何割か増量、って感じだったけど、そうやってまた会えることってとても幸せなことだ。なんだか胸がいっぱいになりました。

フロアは満杯。本人も最初はフロアに椅子やテーブルを出して、酒でも呑み乍らのんびり聴いてもらおうと思ってたそうです。が、当日どうやら椅子出せる程スペースないらしいぞ…と慌てたとか。こんなにいるんだから普段も来てよ(笑)、これからも続いていくし、いつでも唄っているからと言っていました。

そうだな、このひとはいつも自分のほんとうを唄っている。終盤声が嗄れて、最後の曲では「もう声出ないけど」なんて言っていたのに、不思議なことに唄い出したら声が出た。そういううたうたいなんだ。

俊太郎のブログにセットリストがきっとあがるので、あとで見に行こう。ほんとうにほんとうに有難う。いつでも思い出せる、心においておけるうたをたくさん、有難う。

****************

■で、今いちばん気がかりなのは
一部で上田現のカヴァーやってたらどうしようと言うことだ…(泣)

■それにしても
恭一と岩崎さん(高校の先輩)には常に敬語の俊太郎にウケた。ウルトラポップって、DBの末っ子って感じだったからね

■で、まあ
いろいろと動転していた+初めて来たハコで間取りが判らなかったので物販を探し当てられず、本(オートパイロット時代の俊太郎日記が書籍化されたんだよ!)を買えなかった…ホント最近こんなんばっかり

■そうだよ
この俊太郎日記って、彼がバイクで事故った後だったんだよね…近況が読める場としてすごく安心したものでした。あぶなっかしいことばっかりやってるからね。元気でいたり、落ち込んでいたり、このひとの日常が窺い知れたのはすごく嬉しかったんだ。はー、これからどこかで販売するかなあ。在庫まだあるかなあ(泣)



2009年11月13日(金)
mouse on the keys



ハムスターですが。

いや本当に張りたかったのはこれではない。9月のmotk@O-EASTの公式映像がYouTubeにアップされています。





はー、今年はもう観る機会がないよ。来年が楽しみだよー。



2009年11月10日(火)
『DRIVE TO 2010 ―東京オリエンタルサロン』とか

『DRIVE TO 2010 ―東京オリエンタルサロン』@Shinjuku LOFT

わたくしのギターヒーロー(国内)ふたりのうちひとりは今夏鬼籍に入られてしまったので(鬼だけに)、もうこのひとしかおらんのです。窪田晴男、久々ボンボンズでライヴ。TZKプレゼンツの日のFILMSでも弾いたんだけど行けなかった…と言うか、なんだかんだでDRIVE TO 2010は結局この日しか行けなかった、はー。

そんな訳で長生きしてそのパッキパキなギターをずっと聴かせてほしい窪田氏ですが、エスケンに「窪田なんてもう最近は立てないもんね」なんてネタにされてたよ…。そりゃあ今年知命を迎えましたが、「YAZAWAは還暦を迎えたけどこのひとはもっと上だぜ!」と紹介されたエスケン(てかエスケンていくつなのよ)にそんなこと言われるって、どんだけヨボヨボなんだよ!あ、でも今日は立奏だったよ!(それがあたりまえじゃないところがヨボヨボと言われる所以)頼むよもっと摂生してくれ…と言うか、とりあえず運動してくれ。ちなみにエスケンは自転車乗ってどこそこ出かけてるそうです。そうだとりあえず自転車に乗ってくれ。知識を得て、心を開き、自転車に乗れ!

それにしても、足腰はアレだけど自慢のカッティングはパッキパキでしたよ、相変わらず。はー格好いいー。このひとのギターの音がいちばん好きだ。

なんだかじいさんの集まりみたいですが、この日はDRIVE TO 80'sの流れを汲んだと言うか、ちゃんと“DRIVE TO〜らしい”人選でしたよね。エスケン東京ロッカーズだもんよ。そりゃじいさんです、私もここでは若手です。しかしじいさんはじいさんでも格好いいじいさんなのだよ、それこそ知識を得て心を開いたじいさんたちの演奏はやっぱり素晴らしいね!もうすげえよかった。はー、来られてよかった……。

ボンボンズは一昨年のレッドシューズ以来のライヴだったんだけど、ホント笑けるくらい巧い。傭兵部隊みたいなもんで、数年振りに会ったとしても即ガチッと音を合わせられるんだろうなあ。しかしこの日は、ただ巧い同士が集まりましたよってだけじゃなくて、不思議とバンドグルーヴがあるように思った。レッドシューズの時よりバンドらしさがあった。でも同窓会って感じもなくて…皆さん現役ですし、会って演奏すれば、もうそこが現在なんだろうな。

あ、でも結構ツメてリハしたかなと言う感じも。イヴェントに合わせたコンセプトを決めてきてたみたい。MCで80'sの話や、それにまつわる歌詞の単語が連なるような曲順。それがいちいち粋で格好よかったよ、エスケン!レアな「ブルーなエンジェル」も聴けた!うわーこれライヴでは初めて聴いたわ。えーとあとは何やったっけ、「ジャングル・ダ」「でてこい!マドロス」「わが船ハバナを発つ時」「サブウェイ・ジョー」「よろめきながら地下鉄へ」「イヤダヨ」辺り。アンコールはこだま和文を迎えて、「What a Wonderful World」!!!こだまさんはMUTE BEAT再結成ライヴ以来だったが、ちゃんと吹けてたよ!(暴言)いやもう最高じゃないの…ボンボンズバックにこだまさんのTpですよ、もう泣くっちゅうねん。両手もあげるっちゅうねん。もうよすぎたー。もうね、いつでもね、次があるとか思ってちゃいかんよ!としみじみ思った次第。こういう時いつも思い出す窪田さんの言葉。

そんじゃまた、そのうち会おう。出来れば、絶対に。

-----
S-KEN & HOT BOMBOMS(G:窪田晴男、Perc:ヤヒロトモヒロ、Drs:小田原豊、B:佐野篤、Key:矢代恒彦、Tp:多田暁/ゲストTp:こだま和文)
-----

****************

■ちなみに
他の出演者はこちら。
-----
PLASTIC SEX featuring 野宮真貴、DJ:朝本浩文、森雅樹(EGO-WRAPPIN')、HUMAN BEAT JUMBO BAND、Black Velvets
-----
遅刻でHUMAN BEAT JUMBO BANDは逃す、残念。PLASTIC SEXはユルかった〜。としちゃんももはやキレ芸(笑)。しかしそれが持ち味。DRIVE TO 80's出演時の思い出話として「東京ロッカーズのファンに『所詮コピーじゃねえか!』ってヤジられた。でもその後『コピー』を演奏したら静かになった」って話が面白かった(笑)
Black VelvetsはBAR STAGEでの演奏で、メインステージのスクリーン経由で観たんだけど、テラシッ(今の表記はテラシィイだそう・笑)のバンドだったのね!うわちゃんと聴いてみたい!

■こだまさんで思い出した
ANIKI経由で知ったんですが、Dub Master Xのブログ、PCDJとMP3について。
・あぁ、なるほどね。
コメントも含め非常に興味深く読みました。音響環境によって「こんな音が鳴っていたんだ!」と気付かされて驚く曲も多いので、やっぱり“いい音”で聴きたい。だからと言って、自分が好きな曲を“わるい音”で聴いていたとしても、その曲の素晴らしさは変わらない



2009年11月07日(土)
『THE OUTLINE 見えていない輪郭』

深澤直人 藤井保『THE OUTLINE 見えていない輪郭』展@21_21 DESIGN SIGHT

プロダクトデザイナー深澤直人さんの作品約100点、それらを撮影したフォトグラファー藤井保さんの作品約70点。

磨きあげると艶がマットになる。輪郭が空気に融けていく。深澤さんの作品って、つやつやの硬質に見えると同時にふわふわのお菓子のように見えることがある。あの有名な加湿器とか、発酵したパン生地みたい。なんかいろいろ通り越して「うまそう…」と思うことすらあるんですが、ご本人が作品に添えたコメントに「これはチョコバーをイメージ」「飴をなめたような輪郭」と書かれていて、わー合ってたー!(笑)と思ったり。一枚用トースターについていたコメントがじんわり来たな。そういう生活ってのがいいもんでしょうって言う。基本さわれない展示だったけど、椅子数点は実際に座ってもいいようになっていて、嬉しくて全部座ってきた。

藤井さんの、リトグラフや絵画のように見えるマットな質感の写真は観ていて飽きない。撮影スタジオの実寸再現セクションがあり、照明ディレクションについての説明を読みつつファインダーを覗けるようになっていたのだが、いやはや目の前の実物とファインダーに映し出されているものは同じものである筈なのにまるで違うものに見える。…と言うか、なんだろなー、プロダクトとしては椅子であるのに、ファインダーの中にあるそれは椅子と言う意味付けがなくなっている物体のようであり、しかしラインは座るための曲線なんですよ。何言ってるか自分でも解らない(笑)。ボールペンやスタンド部分を逆光モノクロで撮った写真の、光をまとったそのラインも、それが光だって意味付けがなくなって、美しい甘い輪郭のラインに見えてきて、それがまーなんつうか観てるとうっとりしてきてしまい、気付くとすっっっごい時間経ってた。こ、怖い!

会場を出たらとっぷり日が暮れていました。



2009年11月06日(金)
『お茶とおんな』とか

山の手事情社『山の手・女祭り・男祭り「お茶とおんな」』@小劇場 楽園

二本立て公演、まずはおんな編から。メディアと、オフィーリアと、阿部定の茶飲み話。ギリシャ悲劇と、シェイクスピアと、実在の人物ですな。

観ている最中はただただ楽しみ、展開に考え込み、役者の魅力を堪能し(格好いい清水宏が観られると言う…これは貴重だぞ!)、観た直後は今年25周年の山の手が培ってきたメソッドや、安田さんの演出術等についていろいろ思うところがあった。で、その感想を書こうと思っていた。

しかし今日はちょっと事情が違った。

帰宅したら、宮崎にいる母方の叔父から手紙が届いていた。若い頃の母の写真が沢山同封されていた。母方の祖父の家から出て来たそうで、諸事情あって父には渡せないので、気を遣ってこちらに送ってくれたのだ。母が亡くなってからは疎遠になっていたし、今の住所も知らなかった筈だが、交流のある横浜の叔父に訊いたのだろうか。「これは(私と姉)ふたりのものである」と書かれていたのが有難く嬉しかった。

そこには初めて見る母の姿があり、それは今の自分よりも若い。一緒に写っている父もそうで、どちらも笑顔ばかりだったのでよかったなと思った。自分の知らないおとことおんなの父母がそこにはいて、数時間前に観て来た芝居のことをふと思い出した。

来週はおとこ編を観る。その時もちっと山の手について考えたことをきちんと書きます。

****************

■小劇場 楽園
初めて行きましたが、うわここジァン・ジァンぽい!客席が二面あるとこといい、真ん中に柱があるとこといい。うわー初めて来たのになつかしいよ…

■裕美さんに先を越された(笑)
今日もらった仮チラより。
-----
自転車キンクリートSTORE『富士見町アパートメント』@座・高円寺1
2010年2月27日(土)〜3月14日(日)
作:鄭義信、マキノノゾミ、赤堀雅秋、蓬莱竜太
演出:鈴木裕美
出演:清水宏 他
-----
舞台は、あるアパートの一室。
同じ舞台装置で四人の作家が書き下ろす、
四つの物語の連続上演!!!!
-----
こ、このメンツの中にあかほりが……!わあーあかほりさんの脚本で観たい演出家ってのはいろいろいて、筆頭がスズカツさんだったのですが、裕美さんが先だった(笑)
てか裕美さん演出のじてキンも久し振りですね。楽しみ

■はあー
シャンプーハットのあれ、再演しますように……(泣)



2009年11月05日(木)
小ネタ(訂正あり)

■そういや
『大江戸りびんぐでっど』、音楽は向井秀徳さんで衣裳は伊賀大介さんとのこと

■そういや2
またマッチャー演出で舞城王太郎ですよ。仮チラ貰ってたけどちゃんとチェックしてなかった。
・『NECK』
よく見たら劇作(構成ってこと?)が竹内佑さんだった。『49日後…』以来のタッグですかね。
結構いいキャストなのですが、主演の子を知らない。しかしどるさんがどひゃーとなってると言うことは、結構その道?では有名な子なんだろうなあ

■いまごろ判明
こないだのプロディジー祭でペンデュラムがかけたクラシック曲、牛乳に相談だのCMで使われてた。



グリンカの『歌劇 ルスランとリュドミラ』序曲でしたー。素で間違えた。ヴェルディの『レクイエム 怒りの日』です…。ストラヴィンスキーでもワーグナーでもなかった(笑)



YouTubeで聴いていちばん気に入った音(バーンスタイン指揮のやつ)は1分のダイジェストだった…映像付きのフルではこれがいちばんいいかな。カラヤン指揮。

■『サザエさん旅あるき』長谷川町子
『サザエさんうちあけ話』が面白かったので、続けて。
すっごいいろんな国に行ってますねー。イランやテヘランにも行ってる。内状が危険で、今では気軽に観光出来なくなった国に、また平和が訪れますようにと静かに祈っていたり。
所謂“旅行”ではない旅も載ってる。買い出しに出かけた“ヒットラー改めワンマン(戦後あだ名を変更)”お母さまの話が面白過ぎた…車両に入った時点で気付けよ……(笑)
人生そのものがひとつの旅、やっぱりこの世はうたかただねー

■『カフカ短篇集』フランツ・カフカ
『世田谷カフカ』の復習。おお、これかなり引用されてます。解説テキストも使ってますね。
カール・ロスマンがアメリカに渡った直後に起こる出来事は「火夫」から引用、ほぼまるっと。ヨーゼフ・Kは「夢」にも登場する。
あー「雑種」きもかわいい。こういうのは実際に画像にすると興ざめで、テキストで読むからこそ面白いんだろう

■『真田風雲録』福田善之
こちらも復習。お、面白い!実際に舞台にたちあがった時の躍動感が、文体から滲み出てる!と思うのは先に舞台を観たからか?いやいやしかしト書きが観客=読み手に語りかけるかのような文体で、作者が講談しているのを聴くような気持ちで読み進められる。
ああ、やっぱり兵庫のやつ観たいなあ。ちょっと前向きに考えよう…

■『タジンポットでつくる、毎日のレシピ60』口尾麻美
気になっているタジン鍋、ブームのようで沢山あり過ぎてわけわからんくなったので、本から入ることにした。
レシピも載ってるんだけど、いろんなメーカーのタジン鍋紹介ページがあり、IHやレンジの対応状況も載っています。こういう製品比較って『暮らしの手帖』でやってたな。便利



2009年11月03日(火)
『バンデラスと憂鬱な珈琲』と二子玉川

『バンデラスと憂鬱な珈琲』@世田谷パブリックシアター

達者なキャストを揃えて、80分のスカッとしたコメディ。贅沢だー。マギーの脚本・演出ものを舞台で観るのは初めて…かな?そういや90年代半ば頃迄の小劇場ってこういうの結構あったなあ、と言う懐かしさもこみあげました。それをこのキャストで、SePTで観られるのも贅沢だよなあ。

登場人物がアメリカ人やロシア人で、翻訳ものではないのにそれを東洋人が大真面目に演じるばかばかしさや、ばかばかしいのに観ているうちにそんなことは気にならないくらいに引き込まれてしまうハラハラドキドキした楽しさや、演者は7人なのに登場人物は約50人(笑)、劇中劇もあるややこしさ。当時で言えば劇団の人数が足りないからこその策って面があったのでしょうが、物理的には登場人物分の役者を揃えられるプロデュース公演でそれを敢えてやってる面白さもありました。それが懐古主義にならず、めまぐるしく変わる登場人物同士の関係性や、十数分毎に変わるシーンとともに役柄もテンポ良く切り替えて演じる役者の力量も堪能出来ると言う、バージョンアップされた印象も持ちました。伏線を最後の10秒で回収する(しかも手法がまたアホなんだ)爽快さもよかったです。

堤さんは昨年『舞台は夢』でもコメディ舞台に出演していましたが、バリバリどシリアスなドスのきいたモノローグがとても格好いい彼が、それを同じように聞かせてしかもそれが笑えるってのがなかなか興味深い。身体も切れますしね。NODA・MAPの主役を堤さんと唐沢さんで交互に演じる時期があったので、バラエティ等では傍若無人な振る舞いを見せつつ最近はハードなドラマ出演が続いている唐沢さんとの対比が面白かったりします。

あ、その流れで、劇中劇で堤さんがマクベスを演じたのにニヤニヤしちゃった。堤さんって過去『マクベス』には二回出演していますが、T.P.T.ではマクダフだったよね(その前のジャイルス・ブロック演出版では端役だった)。いつか劇中劇でない『マクベス』で、タイトルロールを演じる堤さんを観てみたいなあ。

段田さんや、カッツミーに由美子さんのダブル高橋、蝉之介さんは勿論安心して観られましたが、あの面子に混ざって中村倫也くんや小池栄子さんも堂々としたものでした。劇中小池さんがある振付について「皆と一緒に出来るようもっとがんばりますから!」と言う台詞があるんだけど、舞台で観る小池さんはいつも振り切れてていいですよね。それを敢えて「まだまだ舞台は勉強中です☆」的な位置に置いてる辺り、何げに厳しい…。

ちなみにタイトルにも出て来る珈琲はあまり重要ではありませんでした、ははは。豆知識は得られた。バンデラス、任務を終えてゆっくり珈琲飲めるといいね!

****************

■ここ1年でおぼえた遊び
休日にSePTでソワレを観る時は、昼から出かけて田園都市線に乗り、三茶ではなく二子玉川迄行く。主にジェーズアディクションならぬJA(農協。ファーマーズマーケットと言う小洒落た名前になっている)の上でやってるカフェでおひる食べて、JAで野菜買って(安いんだこれが)、その後駅前の高島屋を延々うろうろすると言うコース

■で、そのJAの上にある
ゆっくりとカフェ(世田谷ものづくり学校にもある)、世田谷でとれた野菜をふんだんに使ったごはんがおいしいんですが、副菜もいちいちうまいんだこれが。で、味付けに何使ってるかが判らないんだ。と言うか3つのうち2つは判るんだけど、残り1つが判らなくて、その残り1つがおいしさを決定付けてる気がするんだ!と言う感じ。あああ気になると思っていたら、レシピ本が出ていました。
・『野菜の献立 ―ゆっくりとカフェの“魔法のレシピ”』若色麻子
これから読むんだが、果たして同じ味がウチで再現出来るか

■で、高島屋
ひろ〜い。いつも道に迷う。しかし都心よりひとが少ないので見やすい。見るだけで楽しい(いや時々はかいものもする…)。都心で売り切れてるものがあったりする

■それにしても
ホントSePT行く機会増えたなあ。反面新宿で芝居を観る機会が減っている