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2009年06月30日(火)
さい芸のたべもののはなし

またか。

■こんなのやってた〜
・ビストロやま『アンドゥ家の一夜』コースいろいろ
「アンドゥ家の食卓」に「ゴールドシアターコース」に「祝 アンドゥ家の一夜 監督コース」だって。何だ監督コースって。
観たひとはわかるが、アンドゥ家のごはんはどうにもこうにもっぽい設定だったんだよね…(笑)いいのか。
でもちゃんとコースに出すんだからおいしい筈だ!てかおいしそうじゃん!
と言えば、劇中出てくる何を揚げたかわからんような怪しいたべものも、このレストランで作ったみたいですね。クレジットされてた(笑)
しかしこんなのがあると言うのは、劇場を出る時に気付いたので食べられなかったのであった。うわーん

■さい芸のじゃないけど
件のガチャパンは食べきれなかったので持って帰ったのだが、バッグ内の他の荷物に押し潰されたのか、帰宅後出してみたら「何?このいきもの…」と言うような形状になっていた。うひーん
味はおいしかったです

■そんで
そのガチャパン、昨日帰り道の途中にあってふらりと入ったパン屋さんにもあって腰が抜けた。店名違うんだけど親会社が一緒なのか?でもガチャパン以外のパンは被ってなかったようなんだけど…気になるー!
普通の(中味はカスタードクリーム)と、下半身チョコまみれ(中味はチョコクリーム)の2種ありました。
検索してみたら結構気味悪がられている。そしてつい買ってしまったひとも多いみたい(笑)でもそれを作ってるお店の情報は見付からない。ああ気になる



2009年06月27日(土)
『アンドゥ家の一夜』

早起き出来たので(つうか暑くて目が覚めた…)余裕を持って与野本町に到着したぞ!評判のパン屋さんに行けたぞ!フィレオフィッシュバーガーと、ガチャピンを模したガチャパンと言うふざけた名前のパンを買って、さい芸ロビーのベンチでうはうは食べていたら(確かにうまかったーフィレオフィッシュサクサク!)近くのベンチに清家さんが座っている。あー観に来たのかなーいやー役者さんはオーラーがあるねー普通に座ってても存在感あるねーしかし何かと目立つ風貌だなー私服も衣裳みたいだなーと思う。そのうち清家さんは席を立ってどこかへ行ってしまった。食べ終わって私もそろそろ行きましょうかね、と開演10分前に劇場に入ったら、

****************

さいたまゴールド・シアター『アンドゥ家の一夜』@彩の国さいたま芸術劇場 小ホール

清家さんは舞台上にいた(笑)出演者たちの稽古の相手をしている。中越さんも、蜷川さんも舞台にあがっている。開場時から芝居が始まっていたようです。リハから観客に公開して、そのまま本番に繋げる蜷川さんのよくやる手法です。開演時間になると舞台上から降りていきましたが、客席通路や最後列からそのまま芝居を見守っていました。プロンプターも3人が常時待機、実働する場面もちらほら。

この「全部見せる」は功を奏していた。観客側も、ただ受け身で観るのではなく、想像力を使って観る姿勢にスウィッチングしやすくなった。これが、終盤起こるある奇跡のシーンを素直に受け止められるいい効果になっていた。

今回脚本が遅れていることは周知と言うか、ケラさんのブログを日々チェックしてヒヤヒヤしていたひとは多いと思います。ケラ脚本の遅れに慣れている(…)ナイロンのメンバーならまだしも、初顔合わせのゴールド・シアターの面々がどこ迄台詞を入れられるのか?失礼乍らも心配ではあった。当日配布されたパンフレットに記載されていた登場人物一覧と、蜷川さんが初日朝に書いたコメント付きの簡易印刷紙に記載されていた登場人物一覧には若干の違いがありました。ケラさんがギリギリ迄粘ったのでしょう。

初日は延びない。現場を任せられた演出家はどんな仕事をするか。「100人の群衆が現れて…」と書かれた脚本を受け取って「カンタンにこんなこと書きやがってー!くやしい!しかし書かれていることを舞台にあげるのが演出家じゃー!」と本当に役者を100人出した(笑)蜷川さんですから、テキストにどんなことが書かれていても、必ず舞台上で表現する筈です。どこ迄狙ったかは判断付きませんが、リハを見せる、プロンプがいる、と言う仕掛けは「脚本の遅れに現場が対応出来る精一杯です」との言い訳ととられるかも知れないが、「これは芝居です」と言う状態を常態にシフトさせる力もある。天井の高さと設備階段をそのまま活かした(この劇場、綺麗でキャパ多めのベニサン・ピットみたい。結構空間が使える)中越さんの美術もよかった。芝居は現在と地続きだ。

以下ネタバレあります。

危篤の安藤先生は生き霊?となって皆の前に現れる。どうやら挨拶に回っているらしい。他愛のない話をしているそうだが、それは当人たちにしかわからないし、彼らはそれを他人に話す必要はないと思っている。他愛のない話だが、それは安藤と自分の間だけにしかない、とても愛おしい思い出話でもある筈だ。しかし安藤の妻の前に、その生き霊は現れない。

危篤の報を受け、約50年振りに顔を合わせた安藤のかつての教え子たちは、当然長い時間を生きて来たが故のいろんな事情を抱えており、久し振りの再会を機に現状を打破しようとする者、再会したが為に当時のコンプレックスを掘り返され荒れる者と様々だ。

老いても欲望は尽きない。彼らの姿は哀愁を伴いつつも滑稽で愚かに映る。しかしそれが全て肯定的に描かれており、笑いに昇華されている。人生を送ると言うことが肯定されるなんて、とても素敵なことだ。

当て書きだろうくらいに登場人物のキャラクターが役者と通じ合い、生きている。42人の書き分けが見事です。すごいなケラさん、そんなにゴールド・シアターと稽古を持つ時間はなかったと思うのだが…。それにしても宇野役の葛西さんはどんどんすごいことになってってるな(笑)こないだはパンいちとかだったよね?おかしいとこ担当みたいになってる(笑)

終盤起こる奇跡はふたつある。

死んだ安藤の魂が、安藤の娘が持ち込んだ怪しい宗教グッズのような青い球に宿る。球は小動物のように部屋を転がり、安藤の妻はそれを追いかける。「いてほしい時にいつもいな」くて、安藤の生き霊が自分のもとに現れないことを気に病んでいた安藤の妻は、最後の最後で球に宿った安藤の魂と会話をすることが出来る。妻は過去の不義を告白し、それでも「あなたといられて幸せだった」と言う。安藤もそれに応える。ここにも肯定がある。

多分笑えるシーンでもある。青い球は黒子が糸で釣って操っている。それが観客にもハッキリ見えている。しかし釣り糸が見えていても、黒子がステージ周辺を走り回っていても、舞台上で必死に球を追いかける安藤の妻の姿を観て涙が出た。これは演劇にしか出来ないマジックだ。

そしてその球を、隣家の息子が捕まえてはしゃぎ乍ら持って行ってしまう。息子は83歳の役者が演じている。でも、彼は“ちいさなこども”だった。

これ迄ゴールド・シアターは「高齢者のリアルな身体を通した表現が出来る集団」と言うのが持ち味だった。「老けメイクをしなくても老け役が出来る」と言うやつだ。しかし、この“ちいさなこども”は、その枠から明らかにはみ出している。こうなると、「高齢者だから」と言うアドバンテージは必要なくなってくる。可能性が拡がっている!今後がますます楽しみです。

現場に居合わせた幸福感に満たされ、余韻も残る作品でした。迷ってる方は是非。

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■思えば
プロンプが入ってる芝居初めて観たかも。『夜叉ケ池』の丹波哲郎さんのあれは、本人が台本持ち込んでたからなあ(笑)

■しかし
こないだ『楽屋』を観たので、プロンプの姿にはいろいろ想像力が掻き立てられました(苦笑)

■そして
ケラさんはまた“柔らかい銀行”をいろいろいじめていた(笑)
あと最近か?前からだっけか?モチーフに象が出てくることが多いですね



2009年06月22日(月)
『オフレコ・ジャンボリー vol.1』

『オフレコ・ジャンボリー vol.1』@UNIT

トモロヲさんが安斎肇さんのバンドLASTORDERZに加入したそうで、そのお披露目。遅刻してSCANDALは見逃す。なんやらわかーいかわいーい女の子バンドだったようですよ…最後にこの日の出演者全員で「酒と泪と男と女」をやったのですが(本人らも言ってたが何故この選曲…)その時点で22時を過ぎており、18歳になっていないメンバーがひとり出られないと言う事態に(笑)トモロヲさん曰く「彼女たちの歳全員足しても80歳にならないんだけど、俺と安斎さん足したらもう100歳越えだぜ」……。出演者は10代と40代以上で、「20代と30代がいないすごく偏ったイヴェント」でした、ははははは。

あとあれだ、WORLD HAPPINESS前夜祭ってことになってた。またまたご冗談を…勝手にそんなこと言っちゃって……と思っていたら、本当だった(笑)いやなんかね、昨年LASTORDERZはメンバーが長年業界にいるからこそのコネを使いまくってWORLD HAPPINESSとサマソニに出演したんだけど、どんなことやるか大体判りましたってことでしょう、今年はどこからも呼ばれなかったんだ。って安斎さんが言ってました。せっかくトモロヲさん入ったのに!

よかったね前夜祭になって……。しかしWORLD HAPPINESSらしさは全くないイヴェントでした。ええ、全く。

リリーさんは弾き語りでTOKYO MOOD PUNKSの曲を。本人も言っていたが「ガーンとバンドでやるからいいけど、弾き語りでやるとホント辛気くさい歌になる」。いやでも歌詞がストレートに伝わるんで沁みましたよ…聞き入るってのあるけど、その聞き入り加減が、皆自分の老後に照らし合わせて聴いてるだろってな雰囲気の静かさ加減。に、苦い!その後『色即ぜねれいしょん』劇中歌(峯田くんの曲)を、大きな紙にプリントアウトした歌詞をスタッフに持たせて皆に唄わせると言うある意味いやがらせな展開に。滋賀から来た(!)と言うリリーさんファンをステージにあげて唄わせたり(この子がまたいいキャラだった)して盛り上がってるのか盛り下がってるのか判らない状態に。しかしリリーさんはあんなだけどやっぱ優しいひとだよね。

で、LASTORDERZです。唄うトモロヲさんを観るのは随分久し振り、JAGABATA(青空海岸じゃがばた)(JAGATARA(暗黒大陸じゃがたら)のコピーバンド。カバーバンドじゃないのよ、コピーなのよ)以来。ラッキーなのか何なのか、過去2回JAGABATAを観ている…その頃からもうトモロヲさんは売れっ子役者になっていて唄う機会が減っており、初っ端からテンションマックスで暴れ唄い唾を吐くばちかぶりからのスタイルでJAGABATAをやると、身体が付いて行かなくなっていた。1曲でもう息があがって死にそうになっていた…。そんなん観てるから今回は大丈夫なんかいと思っていたのですが。

LASTORDERZではペース配分と言うものを学習していた!

1曲やっては喋り、1曲やっては休み。あとこのバンドは全員ヴォーカルとれるので、その間も休める。休み休みやるのが鉄則みたいになってる。と言うか冗談抜きで休まないとやってけないんでしょう…安斎さんとか立奏すらキツそうだったよ。しかしおかげで前観た時みたいに「トモロヲさん大丈夫…?」と思う場面は随分減ってました。よかったよかった。1曲内での迫力は流石でしたし。相変わらず唾を上空に吐きまくっていたし(かかりたくはないが風景としてはすごく格好いいんだよね…)。「ファッションパンクってパンクからすると最低でしょ?」とMILKBOYで衣裳新調したってのも笑えた。嬉しそうだった。最低です(笑)

そして唄う曲は「I LOVE GIG」(ハートマークを付けたくなる)「エコバッグ」「FUTUREだらけ」(説明する気もおこらん)「裸族」。もうタイトルまんまですよーい。音もなんかなつかしかった…80年代……。

あとあれだなー、もともとゴム顔って言われてるトモロヲさんですが、表情の変化が気持ち悪い程です。顔がよく動く。なんつうか、身体が動かなくなった分顔筋使うぜ!て言う。こういう表現の移行の仕方もあるんだなあと変なところで感心した…。

あと安斎さんは、はしゃげばはしゃぐ程空回りするんだと言うのがよく判りました。

まあそんな加齢とどう向き合うかってのがLASTORDERZのようです。老いは悪意と皮肉で凌駕しろ!なんか参考になったわ…自分の老後の(笑)

とまあ、「自分より上の世代のひとたちがまだこんなことやってるんだから、まだ自分も好き勝手やっていいんだな〜」とイヤな教訓を学んで帰りました。こんなことで安心してどうする!

しかし『vol.1』てことは続けて行くつもりなんだよね…今後どうなるのかな(笑)



2009年06月21日(日)
小ネタ

つってもはげたかメモですよ。

■おぼえてない…
ジェンヌから「恒松さんの絵は、鷲津ルームにあるの」だと教えてもらう。パンフに載ってた。これの写真だと小さくてわからんよ…そしてルームの調度品とか迄目が行ってなかった……。
いや、なんかね新宿混んでて、30分以上前に行ったのにもう前3列しか空いてなかったんですんごい前で観たんだよ!もう寄りも寄りで観終わった後首ガチガチ頭ガンガンだったのよ…(言い訳)ああやっぱりリピートしよう、ひきで観たい

■恒松さんと言えば
『白痴』の劇中絵画を手掛けていましたから、おーもりくんと縁がなくはないんだなー

■調度品と言えば
劉が逗留していたマンダリンオリエンタル、昨年の忘年会で連れて行かれたとこだったんでヒィと思った…守山の挙動を見てあの時の自分を思い出した(笑)ファミレスがいいです!劉と守山のファミレスのシーンはよかったですな…(しんみり)

■劉と言えば
ホライズンにいた時、鷲津に英語で話しかけてたところの真意はどうだったのかいろんな説が出ていて面白いと言うか興味深いと言うか妄想の余地があってたまらんと言うか……

■自分は
鷲津が日本語で喋った時に解ってるのか何なのか戸惑ってる感じだったのが気になったので「まだ日本語たどたどしい頃で、でも『強くなれ』って言葉は憶えていて“バイブル”にした」んかなと解釈したが、ツキさんから「劉は日本語がわからないふりして、それに気付かない鷲津がわからないと思って内面の言葉を口走ったのを心に刻みつけ」たんだと解釈したと言われそうかも!と思ったり。
そうだよなホライズンに入社してるくらいだから日本語ももう流暢か…日本で勉強して渡米した訳だし……わああ気になるよー!

■もうあれですよ
タマテツ、日本語流暢過ぎだよ!て指摘もあるようですが、あれは劉がそれだけがんばったんだと解釈しているよ。幼少時日本語うまくしゃべれなくていじめられたって話も出ていたし、それこそ血のにじむよーな努力をきっと劉はしたんだよ!その結果があれですよ!うわーん!(泣)

■それにしても
鷲津を筆頭に皆さん何カ国語喋れるんですか。アラブの王子と接見のシーンとか、シュールでクラクラしましたよ。鷲津の人脈はどうなってるんだ

■まあ、そんで、あれだ
エンドロールでいちばん最初に「大森南朋」って名前がゆっくり上がって来た時、素で涙ぐんだのは内緒だ



2009年06月20日(土)
まぬるねことはげたか

■上野動物園
若干スタートが遅れたので駆け足だ。ぐったりだ。そして灼けた…。
春先からずっと行こうと言っていたのが延び延びになっていたのです。そしてのろのろしているうちにまぬるの子は弟だか妹だかがもうすぐ出来そうで、その子とケンカになったら困るからってことで隔離飼育をされることになり、一般公開されなくなっていた。がーん
先月迄は公開されてたっぽい…ショック……。
でもまぬるのおとーさんとおかーさんは相変わらず変な顔でかわいかった。
行動展示のかわうそとこびとかばと布大好きごりらがかわいかったー

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『ハゲタカ』@新宿ピカデリー スクリーン6

動物園疲れでオープニング数分落ちましたが(いやわしづがビーチでブランデーでとかってのがベタ過ぎて気が遠くなった…)グラスをガシャーンと割った辺りから覚醒しましたよっと。いやっすげー面白かった!息もつかせぬ134分。リピートしたい…。

突っ込みどころは沢山あると思う…実際の経済変動事情に合わせてクランクイン寸前と、撮影に入ってからも脚本の手直しが続いたそうですし、かなり大変な現場だったのだろうとは思います。派遣切りのエピソードやリーマンブラザーズ破綻をモデルとした成り行きも、現実に追いつくためにかなり苦労した様子が窺えます。映画と言うメディアがいかに“遅い”か、そしてその遅さをどう利用するか、の試行錯誤が観られたことは複雑な気分でもありました。

専門的なところもつつけば綻びが出ると思います。そしてテレビシリーズを観てないひとには何がなんだかってなところも多いと思う。この映画がハゲタカ初見のひとにはかなり不親切な作りではある。

しかしー、テレビシリーズに思い入れがある者からすると「ホワイトナイトキター!」とか「買い叩く三連発キター!」とか(いやー、伝家の宝刀のようなこの台詞…思わず笑ってしまったよ)「アランがいない…!」(これは原作の『ハゲタカ2』を読んでるとほろにがーい気分になる)とか、登場人物の数年後の姿を目に出来たのは感慨深い。おさむ、旅館たてなおしたんだ…とか。西乃屋のねこ元気だったんだ…いやサザエさんのタマみたいに何代目かなのか?とか(笑)鷲津ファンドのメンバーも健在です。中延さんと村田さんが顔を出した時はホッとした(笑)

いやーしかし、いやーしかし、本当に恐ろしい職業だ、ハゲタカ。金のない悲劇と金のある悲劇ですよ。こんなにひとの恨みを買うと言うか、電話一本で数えきれない程のひとの人生を木っ端微塵にするような仕事恐ろしくて私には出来ませんよ……(いやそれ以前にそんな手腕も頭もありませんが)終盤の大逆転劇で鷲津は“勝った”のですが、こんなに後味の悪いと言うか、爽快さのない(あるか?いやないだろ…企業を救うと言う名目はあるけど、その分いろんなものを切り捨ててる訳だし……)勝負をずーっと鷲津はしてきた訳で……。もう傷だらけですよ。劉の成り上がりストーリーの裏にある底知れない闇にも気が滅入った。劉かわいそう過ぎた……。しかしそれでも、劉はあそこ迄行けたけど、そこ迄辿り着けなくて消えて行ったひとたちも数えきれない程いる筈だ。「何者にもなれない」ひとたちが。虚しいし、恐ろしいし、やるせない。

そんな劉をタマテツが大熱演。最後の電話のとこなんか、声だけなのにもう身震いした…思えばこのひとの演技ちゃんと観たのは初めてな気がする。熱いひとなんだねー。綺麗な顔してねー。綺麗な顔と言えば守山役の高良くんもすげー美形で、あんなに目立つ美形顔の子がある意味すごい捨て駒な役だったのが贅沢過ぎた。劉と守山が絡むシーンはどこも見応えあった。あの金拾え拾わないのとこはすごかった…すごい説得力だった……拾わないのも拾うのも。

しかしどのシーンも見応えありましたよ。濃いーかったー。序盤のビーチでブランデーのとこはおいといて(こだわる)。テレビシリーズ同様アップ多用なので、もうすごい圧迫感がある。しかしこういうアップで見せると言うのは映像ならではのもので楽しくもありました。

おーもりくんは格好よかった。苦虫噛み潰し表情ばっかだったし、顔に出さない役なので鬱憤がたまりそうだなー。激情が出たとこってグラスガッシャーンのとこくらいか(ツキさん曰く「例によって例によるかんしゃく持ち」笑)。ひたすら劣勢に立たされているようでいて、その実裏の手回しがぬかりないー。こわーい!しかしそれもギリギリ綱渡りな訳で……いやっもうこんな職業、命がいくつあっても足りない!(泣)それでもーかれはあー今日もハゲタカるのだーー(歌?)まあそんな鷲津がもうおーもりくんか、おーもりくんが鷲津なのかと言う鷲津でした(どういう意味)ある意味魔性です。だから芝野さんも頼って尋ねて行くし、おさむも力を貸すのです。

あーおーもりくんが言ってたけどホント金融経済版『仁義なき戦い』だよなー。こわいよー(泣)

そうそうおさむも相変わらず喰えない男だったよ…彼はあの一件以来業界から身を退いている訳ですが、あんな形で鷲津に協力するとは…「喫煙エリアはどこだー」って台詞も思わせぶりでやっぱこいつもマネーゲームに身を投じた男だよとせつない気分になりました。そしてねこがかわいかったー。龍平ねこ好き?むっちゃごろごろ言うてたやん!ねこと龍平のシーンは龍平の表情を観たいがねこも観たいしと身悶えする有様です。ちょ、どっち観りゃいいんだよ!

バカ社長になっちゃう役回り(彼の主張も頷ける部分があるだけに後味悪い)のエンケンさんの解任シーンの死んだ魚のような目もよかったし、ああいった「青臭い」台詞を吐くのにぴったりな柴田さんの柔らか乍らも凛とした佇まいもよかったです。鷲津に「クソがつく程真面目だ」とか言われてたけど、ぴったり(笑)

と言うように、役と役者がごっちゃになった感想を書いている辺り、自分が如何にハゲタカに思い入れているかが窺える。ああ面白かった…燃(萌)えた……。

音が過剰なのもよかった。音楽だけでなく、煙草吸うシーンでの音が印象的。ちゃんとジジ…って音が吸引音と一緒に聴こえるの。そういえばこのご時世喫煙シーンが多かったのもある意味面白かったです。

そうだ、ひとつ見落としが!恒松正敏の絵画ってどこにあった!?(エンドクレジットで知る)わかんなかったよー!やっぱリピートしたい……。



2009年06月16日(火)
小ネタ

■あ、あたってる!(占いかい)
せんがわ帰りにごはん食べつつ三沢選手の話をしてたんですが(まだ信じられない…)、その流れできくちなるぴよやすずかつさんが(私のプロレスと格闘技の知識はてらてらときくちさんとすずかつさんからの受け売りで成り立っています)よく言ってる野口整体の話題に。
野口整体の創始者である野口晴哉さんは明治生まれのひとなんですが、根性論全盛(今でも日本には根強いでしょ)の時代に「休むこと」を提唱していたってのはすごいよねとか話していたら、サさんが丁度野口整体をベースにしている整体師さんの本を読んでいると言う。

・『骨盤にきく ―気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門』片山洋次郎

丁度体調がガタガタなので、それ絡みのことを訊いてみたらことごとく当てはまる。やー、原因は判ってるんだけど予防出来ないっつーか、もうほっとくしかないのかねーと半ば諦め気味ではあったんだが…。あんまり続くようだと保険が適用されない薬を飲み始めねばならんので、それは避けたいのだ。
とりあえず読んでみることにした。参考になればいいなー

■根性論と言えば
『スケバン刑事』で喘息の子を、「心が弱い!」とか言って無理矢理マラソンさせて死なせちゃった話があったなー…でもああいうこと、当時はそんなに珍しくなかったように思うよ……(ブルブル)
ウチの中学校の部活は吹奏楽部でしたが、夏にマーチングの野外練習とかで倒れた子はバケツで水ぶっかけられたりしてました。体育会系も真っ青ですよ。そういうのがイヤだから文化系の部活選んだんだがのう。
まあそれ以外は楽しい部活でしたが

■にちようびに『男子ごはん』を観ていて
宮崎出身者としては言いたいことがいろいろある。日向夏はその白い皮も一緒に食べるんだよ太一くん。皆が皆日向夏にしょうゆつけて食べる訳ではないんだよ、そのまま食べた方がおいしいと思うよ。
ケンタロウのチキン南蛮レシピは、ちょっとやってみようかと思った。これは家によって全然違うからねー

■『昭和恋々 ―あのころ、こんな暮らしがあった』山本夏彦・久世光彦
当時の写真(桑原甲子雄や木村伊兵衛が撮影したものも)付きで昭和のあんなものこんなもの紹介。蚊帳とか、障子洗いとか。
久世さんが、当時の風景をドラマで再現する時の苦労話をしていて面白かった。ちゃぶ台とか、最近はもうあまりないですしね。
向田邦子さんは、今の日本の風景を知らないんだよなあ。「いろんなニュースや出来事が起こると、死んだひとのことを思い出す。9.11や北朝鮮のことを(江戸)アケミは知らないんだなあ」とこだま和文さんが言っていたなあ。
著者のおふたりももう故人です。
そうそう、対談で「あっぱっぱ」が出てきたのにはビックリした!ずーっと気になってたんだよ!ウチでは普通にこう呼んでたけど、これって幼児語なのか方言なのかホントにそういう名称なのか判らないままだったんだよね…一応方言ってことになるのか。
ここ数年で定番になったチュニックって要はあっぱっぱだよねえ

■『日本人の知らない日本語』蛇蔵&海野凪子
いやー、知らない知らない。結構ショックを受けた…。やっぱり母語って感覚で身に付いてしまっているんだなあと思った次第。説明するのはとても難しい。目から鱗なことも沢山載っていました。
日本語学校で実際にあったエピソードで構成されています。言葉だけでなく、習慣の違いも書いてあって面白い。と言うか、習慣や文化に根ざしたことだからこそ、言語に影響しているんですね。英語やドイツ語にはない助数詞についての話はへええと思った。
日本のマンガや映画を原語で理解したくて日本語を学び始めるひとも多いんですねー。任侠映画マニアのフランス人のマダムが「ねぇ、話聞いてる?」ってくらいのつもりで「てめぇ シカトすんな」って言った話に大ウケ。
あ、あと昔シティボーイズのコントで「カレーのタレ(タレって笑)を入れるあれ」の名前が判らないってネタがあったんですが、その名前も書いてあってスッキリしました(笑)

■最近のなやみ
ゾンビーズ「ふたりのシーズン」を頭の中で思い浮かべると、途中で「スタンドバイミー」になる。
以前原田宗典がエッセイで「ひまわりのテーマ」と「ゴッドファーザー愛のテーマ」と「太陽がいっぱいのテーマ」がごっちゃになると書いていたが、それは克服した



2009年06月14日(日)
『桜姫』捕足とかせんがわ遠足とか

■一晩明けて読みなおして
勘三郎さんのことを何も書いてないってどうなの。いや、よかったですよ…洋装で舞台に立つ勘三郎さんを観たのは初めてでした。出てきた時客席がちょっとざわっとなったよ(笑)
マリアの貞操を奪うシーンでエロティックな演技を観られたのも新鮮でした。歌舞伎は濡れ場結構あるけど、直接的な描写ではないからねえ。いやー、エロい勘三郎さんよかったですよ。熱帯夜、暗いオレンジ系統の明かりの下、汗で衣服が身体に張り付くような湿度のあるベッドシーン。
大竹さんは「私16歳になるの」っつう台詞があって古田さんに「ブッ」て失笑されるところがあるんですが(笑・これ脚本にあったのか?)いやいや16歳でしたって!肌がどうとかは判らないが(笑・寄りがないのが舞台のいいところじゃよ)身体つきがね…衣裳の妙もあるでしょうが、そう見えるってのがすごいわ。やっぱこえーこの女優さん。秋の『THE DIVER』、大竹さんがあの女を演じる訳で…楽しみだけどとても恐ろしいよ……観た後具合悪くなりそう(笑)
あとね、秋山さんがよかったー!惚れた男のためならひとも殺して埋めますよ(泣)闊達だけど一途。報われないけれど、もうひとりの自分が幸せを拾ったのかも知れないと実感させてくれたのは彼女のキャラクターでした。
やっぱ長塚くんの描く女はこえーなー。でも前とは変わってきてるよね、描き方が。何があった(笑)

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■第2回 JAZZ ART せんがわ

自分もサさんもイソップのいぬなところがあって、「1dayチケットってのと1Liveチケットってのがあるよ」「じゃあ1dayチケットがおトクじゃんねえ」「あ、でも1dayチケット売り切れてるよ」「えー、劇場扱い分?じゃあ他のプレイガイドとかも探してみるよ。見付からなかったら1Liveチケット買おうよ」とか言ってるうちにどのチケットも売り切れた(笑)当日券狙いになりました。体調がまだイマイチだったのでヒカシューは諦めてコブラに賭ける。せんがわ迄行って入れなかったらただの遠足だ。

コブラってのはこんなのです↓
・COBRA - Wikipedia
この説明解りやすい!れんさん教えてくれてありがとー!

ちなみに先々月のジョン・ゾーン@ピットインの様子はこちら↓
・Bweebida Bobbida『John Zorn Special Night 1st Set @新宿ピットイン』
bobbidaさん毎度お世話になっております…。2ndセットでコブラをやったんですな。

今回は内橋和久部隊。個人的にかなりツボなメンツで、横川さんも出るってのが観に行く決め手になりました。しかしこないだ横川さんにはドタキャンされたので(キー)また逃げられたらどうしようとドキドキもんだった…。キャンセル待ちでヒヤヒヤしましたが、無事入れた。そんで1セットだけじゃ物足りなくて、終わった後また並びなおして結局2セットとも観た(笑)

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John Zorn's Cobra Tokyo Sengawa operation 内橋和久部隊@せんがわ劇場

各40分と告知されていましたが、2セット目はアンコール含めて1時間はやりました。1stセット5曲、2ndセット5曲+アンコール1曲。メンバーは以下。

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青木タイセイ(trombone)
イクエ・モリ(electronics)
石橋英子(keyboard/vocal/etc)
内橋和久(guitar)
ジム・オルーク(guitar)
シルヴィー・コルバジェ(piano)
千住宗臣(drums)
七尾旅人(vocal)
ナスノミツル(bass)
山本達久(drums)
横川理彦(violin)
渡邊琢磨(piano)
巻上公一(prompter)

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上手からぐるりと渡邊、石橋、七尾、横川、千住、山本、ナスノ、青木。青木の後ろにコルバジェ、モリ。モリの前にオルーク。渡邊の前に内橋。コンダクターの位置(プロンプだけど)に巻上。ナスノのみ立奏。

青木さんと石橋さんはフルートも使っていました。横川さんと巻上さんは声も使った。巻上さんはともかく横川さんがギャーとか言い出したのにはビックリした(笑)七尾くんと近い位置にいた影響もあったのかな。七尾くんはヴォーカルエフェクターとサンプラーも併用。

この手の即興はデカい音を出したひとが有利な面があるのは否めないので、モリさんや横川さんがどうすんのかなってのが気になっていたところ。そこらへんは演奏している面々が了解しているのでしょう、ノイズ的な扱いのところ以外では、横川さん始まり、とかモリさん始まり、と言うように、サインによって最初に走らせるようにしていました。全員がドバッと音を出すところでは流石に埋もれてた。しかし反面、ロングトーンでデカい音を出すには有利なタイセイさんが、敢えて抑えた音を使ったりしていたところがひとがらと言うか、優しい面が出ていたなあ(遠慮してるってことではないよ)。それにしてもちゃんとアンサンブルになるところがあるんだよね。面白い…。

1stセットは正直様子見で終わった印象。内橋さん曰く「最近いろんなジャンルのひととの交流が増えたので、その中からコブラ馴れしてないひとを集めてみた」そうなので、お互いどう出るかを窺ってる様が感じられました。入れ替え後観客が減ったので、巻上さんが「さっきので満足して帰っちゃったのかな?」と言っていましたが、今回は両方観た方がよかったかも知れないですねえ。展開がすごく読みづらいと言う意味で、1stは興味深いセットになっていました。サさん曰く「1stの横川さんは4-Dぽかった」。

2ndセットで爆発したのが七尾くん。ありゃー反則だわー(笑)2回は出来ないな。でも1回しか出来ないってのを自分でも判ってて、敢えて出たと言う感じだったので好印象。「コブラだよ〜♪」「ジョン・ゾーンの気持ちは判らないけれど〜コブラはちょっと楽しい〜♪」とか歌詞付けたよ(観客も演奏者も爆笑)ナスノさんがグルーヴを起こす係みたいになってたんですが(アンプ使ってるからか?)、歌に反応するのも早かったな。やっぱり声持ってるってのは強いなー。内橋さんもロッキンなリフでいきなり走ったり、山本千住の若者ドラムチームも思い切りラウドに出てきて盛り上がりました。アンコールではジュリアナみたいな音を七尾くんが出して、ジュリアナ扇子迄出して踊りよった(笑)それを受けてのオルークの面白ダンス迄観れてもうた。もはや音じゃねえ!音じゃない演奏も聴ける(観られる)とは、恐るべしコブラの許容量のデカさ。あー面白かったー。

巻上さんが「せんがわの名物にしたい」と言っていたので、今後コブラは毎年せんがわで観られるかも知れません。



2009年06月13日(土)
『桜姫 清玄阿闍梨改始於南米版』

『桜姫 清玄阿闍梨改始於南米版』@シアターコクーン

現代劇版です。来月の歌舞伎版のチケットはとれていません。そして鶴屋南北の『桜姫』は観たことがありません。と言う訳で、長塚圭史の翻案新作として観ました。一緒に観た歌舞伎好きのタさんは「こうなるとは…」と驚いていましたし、劇評等読むとかなり厳しい意見も書かれているので、歌舞伎の前知識なく観られたのはある意味ラッキーだったのかも知れません。個人的にはかなり好きな作品でした。しかし歌舞伎版も出来れば観たいなあ。

長塚くん的、と感じたのは、舞台を南米に移し、西部劇やホラーの要素を盛り込んだ舞台設定。宗教的にタブーな部分に土足で入り込むところ。しかしそれには誠実さがあるところ。誠実に土足であがりこむからそら反感も買うでしょう。正論を唱える人物が正しいことを言えば言う程うさんくさく感じられるせつなさ(本人は本気でそう言っているから、その分悲しみも増す)。ズブズブの男女関係と、そこに一瞬だけ灯る光。女性像が鳥瞰的、男性像が接写的。

そして言葉の美しさにますます磨きがかかっていた。これいつ書いたんだ?『夜叉ケ池』現代版の長塚脚本は、今ドキの言葉が過剰過ぎて登場人物の本質が伝わりづらいように感じたのだが、今回はそれがない。現代劇となってはいるが、時代設定は明瞭ではない。口語で語られる、と言う意味で現代劇。美しい台詞を生身の人間が語ることでこうも心を動かされるかと目を見張りました。長塚くんこれを生で観られないとは残念だな!そしてこの話は、口に出せば現実になる世界での出来事なのだ。言霊が人間たちを転がしていく。言霊を発するふたりのキャラクターは果たして人間なのか?その存在を神とするならば、当然人間はその掌の上で踊るだけだ。

串田さんの演出はオンシアター自由劇場時代からの十八番とも言える手法。遡ればブレヒトなのでしょう。入れ子式の構成、観客を巻き込み煙に巻き、虚実が入り交じる。勿論バンドの生演奏も、“さまよえる楽隊”のように顔を出します(音楽は伊藤ヨタロウさん@メトロファルス)。幌が出てくるところといい、土地がどこ迄も続いているかのような奥行きといい、見世物小屋的な描写もあるし、ガルシア=マルケスの『エレンディラ』(『無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語』)をちょっと思い出しました。天幕が張られ、四方を観客席が囲む。太陽光は行灯を模した照明から降る。舞台上の世界は、神が作った箱庭の中に存在しているかのようだ。

役者陣もとてもよかったな。『sisters』の時にも思ったが、最近の長塚くんが紡ぐ言葉は、謡いこなすには難易度が高い。下手すると演者が呑まれてしまう。それを違和感なく、具象的な説明とともに人物の心情を表現し、なおかつそれを的確に観客に届けられる役者さんばかりだったと思います。「自分が幸せを拾った時、もうひとりの自分が不幸せを拾っている」井之上さんの台詞、「過去は思い出で未来は願望、俺は今しか信じない」古田さんの台詞。必死で追いかけましたが、言葉はその場で消えてしまう。戯曲が出たらきっと読むし、傍に置いておきたいな。白井さんは聖人で俗人で誰とも相容れない役なので、タフな役回りだと思います。しかしあの潔癖さは白井さんだからこそ、と言う感じもした。信じることは思い込みと紙一重なものだけど、その揺れをグロテスクさを交えつつ、運命と言うものに集約させる説得力がありました。潔癖さと言えば誓さんもそうで、裏切りを許さない頑さを生きるモチベーションにしていた人物像は、彼の行く末を暗示して静かに悲しさを呼んでいました。

それにしても古田さんは格好いいな、やっぱり。色気あるわ。肉襦袢着てても(笑『SLAPSTICKS』のロスコー・アーバックル思い出した)。身体も動くしねえ。そして言い回しがやはり上手い。ニュアンスをちょっと変えるだけでこうも言葉に命が宿るか!大竹さんとのやりとりではアドリブなのか?と思わせられる程自由だった。あそこアドリブだったのかなあ?大竹さんと笹野さんは狂言回し的な役回りも担当。いやー、まわすまわす。コンビネーションも絶妙でした。

自分が幸せを拾った時、もうひとりの自分が不幸せを拾っている。自分が不幸になった時、もうひとりの自分が幸福になっている。もうひとりの自分は列車に乗って、星の降る夜空の下にいる自分を灯の中から見詰めている。ふたりは一瞬だけすれ違う。運命は変わるのではなく、ぐるぐる回っている。神の掌の上で。だから“やめられない”し、「生きたい、生きたい、死にたくない」とあがくのだ。

あれ?これって要は『暇をもてあました神々の遊び』じゃないか(笑)



2009年06月12日(金)
AKRON/FAMILY Japan Tour 2009

AKRON/FAMILY Japan Tour 2009@Shindaita FEVER

初めて来たぜ環七フィーバー!セイジさーん!

もともとは、月曜日のDEERHUNTERとAKRON/FAMILYのカップリングライヴをわーいいっぺんに両方観られるじゃんとチケットとってたんだが行けなくなり。あれだ、イソップに出てくるいぬの気分だ。川面に映ってるにくを自分の持ってるもんだと気付かずぼちゃんと…(黙)DEERHUNTERの東京最終日とAKRON/FAMILYの東京初日にクロスしていたのがこの日のライヴだったので、以降DEERHUNTERを東京では観られないのです。

とまあそんな訳でこれ以上逃せんとAKRON/FAMILYの東京最終日を慌てて確保。そしたら年に数度ある何か憑いてんじゃねーのってくらい体調最悪の日にあたってしまった。もー腕時計も指輪すらも重いーだるいー身体が動かんーこれって翌日にはけろって治ってるのがまたむかつくのだよ……。しばらく沈没していて20:30くらいにようやくFEVERに辿り着くと、なんやら開場+開演が遅れたとかで、メール予約窓口に長蛇の列が出来ている。おかげでhununhumもM.A.G.O.も観られただ。まともに立ってられなかったので壁にへばりついて観ただ。どっちも面白かったー。hununhumはなんかユニゾンとチンドンがいい具合にまざった感じで時々渋さチビズみたいに聴こえたが、観たのが途中からだったので曲によっては違うのかも知れないです。M.A.G.O.は『Z-Night 鳴る!』@弘前Mag-Net以来二年半振りに観ましたが、うはーん相変わらずゆるくてかわいいー。「キモカワイー!」て声が飛んでたよ(笑)本人らも「今日は面白いヤジが飛びますなあ〜」ってゆるかった。そしてHA*さんはやっぱりふぁーふぁさん(知人)に似ていた。

そんなこんなでAKRON/FAMILYが始まったのは22時。初来日です!トリオ編成になってからの最新作『SET 'EM WILD, SET 'EM FREE』がかなりよくて気に入っていたのですが、これライヴでどうやるのん、三人で出来るのんと思ってたら…三人でやってたよ。全員が楽器とっかえひっかえ(基本パートは決まってるけど、笛ものとかパーカッションものとかをメイン楽器の演奏の合間にどんどん使う)。全員がヴォーカルとる。しかも全員演奏も声もとにかくヌケがいい!自意識がないと言ってもいい程スカーンとヌケる。うまいでしょとかすごいでしょとかのひけらかし感が全くない(実際はうまくてすごい)。声を出せる能力と環境があるならフルに使わなきゃ損よ、フルに歌を唄うのよってなくらい。ジャムから始めて、以降殆ど曲間を空けずにどんどん繋げる。途中hununhumのメンバーとジャムる展開もあり、客をどんどんステージにあげちゃって祭り状態になる場面もあり。あげすぎちゃって収拾つかなくなっちゃってちょっとずつ客降ろしてたり(笑・しかしそこで演奏に支障が出ず滞りなく続くとこがまたすごい)イルカのビニール人形を大量に投げたりとまあすごい盛り上がり。濃いー90分でした。楽しかった!

これがまた徐々に盛り上がっていくのが面白い。最新作の曲はいきなり沸点!みたいな即盛り上がりそうなアッパーな曲が結構あって、歌詞もシンプル(しかし強烈な語彙)なものなので、いきなりイントロドンでギャー!てなる展開なのかなとのこちらの予想を大きく引っくり返されました。PAだけじゃくて、自分たちの手が楽器に直接繋がってるような、緩急さと強弱さ、音の大小がかなり繊細。ラウドなジャム展開って大体主導が誰か決まって行くもんだけど、この三人は主導がおらん(笑)いや、と言うか、均等。最初はベースかなと思ってたけど、途中でギターが展開しだすとすっとそちらに移るし、リズムが変化していくとドラムに主導が行く。ソロを回して行くってのともまた違うんです。音楽がいきもののよう。これは楽しい!カルテット時代の曲は宅録的な、フラットの一室で演奏してますってな感じのものもあるんだけど、これらの曲と最新作の曲がいい感じに同居してました。狙ってやってるのかは判らないけど、ステージングの流れが絶妙です。あれだけ盛り上がって終わっといて、アンコールではアコースティックで、美しい三人のコーラスからフロアに合唱を移して、歌詞が判らないひと用に?(笑)単音のコーラスを促すところもにくらしー程にあいらしー。静かに、笑顔で今夜のライヴは終了となりました。うえーん。いやー、素晴らしかったです。

最近たまたま聴いていたからかも知れないけど、THE BANDがルーツにあるのかなとちょっと思った。渋いけど陽性で、カントリーやブルーズ(三行詩展開)なフレーバーがあって、しかしブイブイ言わせてる。コーラスも美しいし…何かしらの伝統をしっかり血肉にしつつも、NYっ子なモダンさもある。でも全員くまさんルックス。もふもふ。うぎゃんかわいいやんと見掛けに騙されてうっかり近付くとガッポリ噛まれそうですよ。ひとがらは…いいかも(笑)皆さんいい笑顔。

ガツンとしたアメリカのバンドです。いやーよかった。

以下mixiからの転載セットリストです。

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1 Meek Warrior
2 River
3 Gravelly Mountains Of The Moon
4 Lake Song/New Ceremonial For moms
5 Ed Is A Portal
6 Everyone Is Guilty
7 MBF
8 Last Year

[Encore]
9 Woody Guthrie's America

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いやーよかった。また来てねー!

またしても呼び屋はコントラリード。いやはや慧眼です、ここは当分信用していいかも。スタッフの方もなんか皆さんふわふわにこにこしてて雰囲気よかったなあ。

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■どんだけぼんやりしていたのか
終演後、KOOL KEITH & 54-71の『IDEA OF A MASTER PIECE』が先行販売されているとの情報を得ていたので物販コーナーに行く。ない…完売か、それとも今日は扱ってないのか……とどろどろの頭で(なんかもー普段の3割くらいしか働かない。まあ普段でもそんなに使ってないがな)一所懸命探したら、端っこのちいさな箱に一枚ぽつんと入っているのを発見。「あ!あったあ!」とがっしと掴んだら、物販のおにいちゃんが「最後の一枚なんですよー」と言う。POPが付いていたので見本なのかなと思いつつ「ええっ、買いたいです!」と叫んだら(必死)「はーい、有難うございますー」とPOPをはがして売ってくれました。おにいさんにっこり。いいひとだ!
ホクホクで売場を離れて五歩程歩き、今のおにいさん……ビ ン ゴ さ ん だ っ た
と気付く。
どれだけボケなんだ…こんな自分がいやになる@マリリンマンソン
しかしビンゴさん、普段着だと普通じゃん!(そりゃそうだろう)「27,8」のビッケみたいだったよ!なんかオシャレめがねだったし!なんだよ玉虫色のシャツとか網タイツ着用で物販しといてくれれば気が付いたのに…すごいファンなのに……あああ「あーこのひとクール・キースのファンなんだなー54-71のこと知らないんだなー」と思われただろうか。違う!54-71のすごいファンなんですー!

這うようにして帰りました



2009年06月10日(水)
いろいろ

■わからなくなるとBobbidaさんのとこに行く
・Bweebida Bobbida『菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール @東京グローブ座』
思えばDCPRGは、ドラムがふたりいた上に、パーカッションとタブラがいたのだった。ペペにはパーカッションがふたりいるけれど、所謂リズムキープをするパートはいない。だからこそ自在にBPMが変化するように聴こえるんだろうけど、それは複合拍子による錯覚のようなもので、実際のBPMは1曲の中では変わっていないんだろうな。うううーやっぱりDCPRGが連想される。
しかしやはりポリリズムがポイントではあるんだな。ちょっとひねられるとポリリズムがなんたるかすら判断つかなくなる自分の単細胞っぷりに絶句しておりますトホホホホ

■と言えば
・ティポグラフィカが再発されるそうで
HQCD仕様か…うーむ……。
“音楽なまり”はこれで憶えました

■日本上演の予定はないものか
『神様とその他の変種』で参考・引用文献として挙げられていた、ヤスミナ・レザ『God of Carnage』が今年のトニー賞で3部門を受賞してますね。
ケラさんは日本語訳で読んだのかな?日本での上演権を獲得しているところがもうあってもおかしくないな。ちなみにこちらはストレートプレイ部門。ミュージカル部門は『Billy Elliot, The Musical』が受賞。映画(『リトル・ダンサー』)が先でしたが演出家(監督)は同じスティーブン・ダルドリー。この監督、『めぐりあう時間たち』もよかったなあ。『愛を読むひと』はファインズさんが出演しているし、原作も日本語版発売当時読んでいて印象的だったので観ようと思ってます

■記念に購入
『AERA』最新号の表紙がおーもりくん。いやーすごいですねー。
『ハゲタカ』絡みなので、経済誌にも結構載ってたりしてビビります。
朝日新聞の『おやじのせなか』にも登場してました。
・編集の現場から『「おやじのせなか」は大森南朋さん(朝刊・教育面)』

■今でもたま〜にどっかで売ってねえかなあと思う
ちびくろサンボのとらバター



2009年06月06日(土)
『LOVE 30』VOL.3

『LOVE 30』VOL.3@PARCO劇場

松重さんのブログによると、『LOVE 30』とは「30代30分3本勝負」の意、なんだそうです。で、松重さん曰く「いや、俺46だし。」(笑)

鈴木浩介さんと西田尚美さんの『エアコンな夜』、勝村政信さんと高岡早紀さんの『ピアノ♪レッスン』、松重豊さんとともさかりえさんの『しゃぼん』の3本立て。脚本は順に後藤法子さん、横田理恵さん、藤本有紀さん。演出は青年座の宮田慶子さん、音楽は稲本響さん。男女のふたり芝居でラブい話。この手の作品にはなかなか興味がわかないのだが、今回観たい!と思ったのは、個人的にキャスティングが魅力的だったからです。しかもヘンな意味で(笑)男優さんが全員『LYNX』の出演者なんですよ。初代オガワと初代エンドウ、三代目ウサミなんですよ。あーこんな裏テーマ、楽し過ぎるだろう。私が。

ついでに言うと、松重さんと西田さんは春に観た『昔の女』で共演しており、その中で西田さんは松重さんの息子を絞殺し松重さんの妻を爆殺してたんだよね…いや、役でですよ、役で。そんなふたりが数ヶ月後にラブい話で共演(別々のエピソードに出演だけど)…役者って不思議で面白い仕事ですよね……。

まあそんな訳でラブい話です。VOL.1と2では舞台を中心に活躍する脚本家がホンを提供していたのですが(特に2であかほりが脚本書いてたやつは観たかったのだが叶わず)、今回はちょっとマイナーチェンジがあったようです。横田さんはNTV『ごくせん』シリーズ、後藤さんはおーもりくんも出演したWOWOW『チルドレン』、藤本さんはNHK『ちりとてちん』、と言ったようにTV畑の脚本家。そして全員が女性。気軽に観られてちょっと心が軽くなる、ほのかな色気漂う優しい話の30分×3本でした。

ほんで皆さん(特に男優さん)役者汁だだもれの方ばかりなんですが、こういったふんわりしたお話をいい感じの抑制で演じておりました。しかし登場人物たちはそれぞれ問題を抱えており、それらがちらっと顔を出す時の表現がなんて言うか…沼みたいにどろっとしていてそこらへんは流石だなあと思った。勝村さんはああいったプライド高くてひねくれてて、でもとても繊細な役巧いよねえ。舌打ちとか、はまってる(笑)鈴木さんは皮肉屋で意地悪なんだけど、その中に時々本音を混ぜて、それをまた照れで引っくり返しちゃう表現が巧い。そして落ち着きがある。松重さんはコワモテとは裏腹に陽性でコメディが巧い、感情を隠し切るのが巧い。そしてその隠していた感情を“自分の意志で”開帳する迄の経緯を表現するのが巧い。

女優さんは個々の専売特許的な部分を存分に発揮しておりました。それがまたいい。西田さんはいつも苛立っててで不器用、でも思い切りがいい。高岡さんは妖艶で気風がいいけど実は耐えていて、本音をぽろっと出す時の弱さをかわいらしく見せる。あれは男はぐらっとくるって!そして声がいい!ともさかさんはかなりどろんとしていて、自分ではうまく立ち回ってるつもりでも弱さがだだもれのところがけなげ。

個人的にいちばん好きだったのは『しゃぼん』。ふたりの登場人物の間に流れた10年と言う時間、その間にそれぞれ何があったかの謎を少しずつ解いていき、ふたりの背景を会話で少しずつ見せていき、都会と田舎、街の風景の移り変わり、近所付き合い、家族の問題と沢山の要素を織り交ぜつつ、しかし説教くさくも口説くもならず、美しいバランスで描いていました。そして松重さんとともさかさんの絶妙のコンビネーション。笑いどころも泣きどころもあり、観ている方の感情も心地よく揺れる。超充実の30分。

箱体を使った舞台美術の転換もスムーズ。三面それぞれに美術を仕込んでおいて、転換時に面の向きを変える仕組みです。シンプルイズベスト。



2009年06月05日(金)
グローブ座のPTA

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール@東京グローブ座

中二日でグローブ座。同じことしたひといませんか…いないか……(黙)

それにしてもPTA、も の っ そ い 化 け て ま し た

なにこれ…腰抜けるわ……昨年のオーチャードでもその片鱗はあったものの、第三期のペペは劇的に変態している。このメンバーで夏にレコーディング、10〜11月に新譜リリースと言っていたけど、このペースだとまた化けてそうだよ。今レコーディングしろ!つうか今日のライヴ盤を出せ!いや出してくださいお願いします。

ヒントはきっと4月のリキッドなんだろうが、これチケットあったのに行けなかったんだよね…Bobbidaさんのブログからいろいろ推察するしかないのですが、そう、終期DCPRG化してきている。コンダクターとしての菊地さん、プレイヤーが全員リズム楽器と化す、ボトムが極太。野蛮さ倍増、更に倍、ドン。エレガンでラウンジで南米ってPTAはどこに行ったよ。時々エキゾが顔を出して、ああそうだったとはっとする。もともとこのプロジェクトってコンセプト先行みたいなところがあったように思うんですが(菊地さんがもともと明確なヴィジョンを持っているひとだから)、その標榜するところがメンバーの入れ替わりとともに変化していっているのかも知れません。

カウント〜イントロ〜本編〜アウトロ、一瞬の小休止、カウント〜と言うふうに、曲間を殆ど空けずどんどん続けて行くのですが、イントロやアウトロでの各自のソロが本編に向かう際のリフにもなる。林さんのピアノと鳥越さんのベースがここらへん顕著でした。ふたりのユニゾンも結構多かったし、林さんはコードをアタック強めで刻んで行く。鳥越さんはベースの弦だけでなくボディも叩いてリズムを出すし、「バイレ・エクゾシズモ」ではハンズクラップも担当していた。この曲では菊地さんも指揮しつつ手を叩きつつ踊っていて、譜面をめくり損ねてばらまいたりしてました(笑)そのうちステップが地団駄スレスレに。はっとした。これはDCPRG最後のライヴで見た。まるでそうしなければリズムの重量を支え切れないかのように、コンダクターは四股を踏むかのようにステージを何度も何度も踏みしめたのだ。あの光景を思い出した。

ステージ上のプレイヤーですら、ちょっとした隙に足下を掬われてしまうかのように音が這い回る。一瞬で浮く、一瞬空中で止まる。滞空力がある。膨張、縮小、音がまるで目に見えるようだ。手につかめそう。なんなんだこれ…と延々考え乍ら聴いていて、中盤でやっと、あ、これグルーヴじゃん!と気付く始末。いんやこんなグルーヴにはなかなかお目にかかれない。方法論がさっぱり解らない。変拍子でとかポリリズムがとか、これ迄の算数とはまた別物だ。ジャズのようなフリーフォームではない、現代音楽のような制御もない。これは一体なんなんだ!?ここが劇場ではなくライヴスペースのフロアだったら、きっとギャー!とか言ってたよ。あとここ、座席が7席くらい連なってるブロックだったんだけど、皆が座ったまま腰でノるので椅子が地震のように随分揺れてました(笑)

くそー、さっぱり解らないとか言ってる場合では…しかし次に東京でライヴが聴けるのは12月なのだ。この感覚、憶えてられるかな。NKDSはまだ人数が少ない分、個々の手の内がちょっとは予想出来るんですよ。ちょっとだけど。あの6人が手の内をさらして、どう動いて行くかを目撃したい、と言うのがある。ペペは…人数が多いこともあるけど、まだ判らない。でも今日のような状態でしばらく続くのなら、これは見逃せない。

アンコールの菊地さんのMCと(相変わらず頭おかしかった。最高です。菊地さんがああいった照れと絶望を内包した、命綱なしでWTC間を綱渡るような喋りをしなくなったら、私は悲しくなってきっと泣いてしまうね!いつだってゲラゲラ笑い乍ら聞いてるけど、実は泣きそうになってるもんね!)、バンドネオンとヴォーカルで始まる「恋とは何か貴女は知らない」、ふわりとした「暗くなるまで待って」でクールダウン出来た。なんだかほっとした。終演後首の後ろガチガチ。

ハコのサイズも丁度よかった。ステージからの緊張感もビリビリに伝わるし、このくらいの広さだと会場全体の集中力が伝染するし持続する。オーチャードだとちょっと大きい。キネマ倶楽部だとステージが小さい。確かにこのバンドはクラブハイツが似合っていたな。でもクラブハイツはもうないので、今後はグローブ座を根城にすればいいじゃない…クローズは(案の定)大ボラだったしな!(笑・菊地さん平謝り)

「どんな人生にも、チークタイムは存在する」。アンコール前に菊地さんがすごーいいいこと言った。「ミラーボールを発明したひとにはノーベル平和賞を」@数年前のクアトロも名言だったなー。今の自分にはすごく沁みた。これからいろいろあっても、この言葉が支えになるかも知れないな。



2009年06月02日(火)
『SEMINAR』2回目とか

■菊地さんの日記で
グローブ座が6月いっぱいでクローズって書いてあるんだけど、スズカツさんと篠井さんの『翻案劇 サロメ』って10月にグローブ座でやるんじゃなかったっけか…?
またパナソニックグローブ座とか名前変えてリニューアルオープンするのかね。
まあ菊地さんの言うことなので、話半分で聞いておこう(笑)

■スズカツさんと言えば
『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』行ったんだねー。私も行ったよー!(さけぶ)

■今更ですが
『桜姫』(現代版)、音楽がヨタロウさんでビックリ

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『SEMINAR』@東京グローブ座

本日は落ち着いた環境で観られました…よかった……まあ上演中携帯メール見るやつはいましたけど(泣)。この内容の芝居(主人公は携帯がだいきらい)の時にそういうこと出来るってある意味すごいよな。虚しい…。

リー・カルチェイムの作品は『Defiled』以来。その時にも思ったが、このひとの書くものにはテクノロジーに対する時代錯誤とも言える憎しみが感じられる。そしてそれは皮肉めいたものとして描き出され、主人公は周囲から徹底的に阻害される(そして主人公も率先して孤立する)のだが、そこには確実に「テクノロジーによって失われたもの」があり、自分だけはそれを忘れないでおきたいともがく現代人の姿がある。

1対1のダイアログが多くのシーンを占める。ふたり芝居だった『Defiled』のバリエーションとも感じられる。主人公ローレンと学友たち、教師が、それぞれ数十年生きてきた自分の人生を背負って会話で火花を散らす。どちらにも確固とした信念があり、会話を通して何故その信念を持つに到ったかの背景を浮かび上がらせる。誰もが正しく、誰もが依存していて、誰もがそういう自分を貫き通す、あるいはそうなってしまう自分を止められずに苦しんでいる。自分が生きている環境、時代をこの作品の舞台であるルネッサンス史を学習するセミナーに重ね、登場人物たちの生きる道を少しだけ照らす。

しかし問題は解決しない。自分の能力を引き出せたと思ったテスは教師からレポートを否定され、いちばん自分が使いたくなかったであろう手段で教師を組み伏せる。このシーンがいちばん痛かった。本当はこんなことしたくないといちばん解っているのは自分だろうに。その積み重ねで生きて行く。いつかそんな自分に死ぬ程退屈する。死にたくなる。先月たてつづけに清水邦夫作品を観たこともあり、「生きたふりより死んだふり」「死んだふりより生きたふり」と言うフレーズをよく思い出していた。生きたふりが巧い死人は多い。

その上で、ハンナに「絶対に死んじゃダメ」と言わせたところには好感を持った。今の時代と環境は違和感があり過ぎる。やっぱりそれでも生きていかなくてはならない。途中で生き方を変えることは出来る。今の自分を保ったまま、そうすることは出来る。そうでありたいと願っている、実のところは。

上演台本はスズカツさんが書いています。スズカツさんと言えばコミュニケーションをずっとテーマに芝居を作っていて、その底には「人間はお互いを100%理解することは出来ない」と言う常識がある。と言うと、カルチェイムもスズカツさんも偏屈なイメージを持たれそうですが(笑)作品自体は非常に開かれている印象がありました。

加藤くんは初見でしたが、舞台映えしますねー。自分の見せ方を知っている感じがしました。台詞回しが独特ですが、相手によってころころ態度を変えるローレン像に合っていました。中村くんと安藤さんが出てくると芝居が小気味良く動くようになる。ダイアログ部分はこのふたりとローレンのシーンが頭に入りやすかったです。

ダルトーンの美術と白を基本とした照明。ピンスポ多用で、向き合う登場人物たちがお互いの領域に入れないような断絶感が際立ちます。だからこそ終盤、ハンナがローレンに近付き抱きしめるシーンは印象に残る。ホワイトノイズ多用、横川さんの音楽もノイズ調とアンビエント調、ヴァイオリンを使った軽快であり乍ら不思議な暗さがあるもの、とシーン毎にメリハリをつけており、面白い劇伴になっていました。『SWEET HOME』をちょっと思い出した。横川さん、舞台用音源の作品集出してくれないかなー。



2009年06月01日(月)
小ネタ

ロウになり気味なので楽しいことを考える。

■最近東急で聞いたちょっと惜しい
「じゃあ、こども売り場で待ってるわね」
じわじわきた

■おっ
永島克さんがアパッチ所属に

■演劇プルミエ
『異人たちとの夏』インタヴューで、椎名桔平さんが池田成志ばりにスズカツさんを斬っています(笑)読み応えあります

■そのスズカツさん脚本の
『レインマン』が今韓国で上演されているとのこと。クレジットはないそうですが。
初演時にぴーとさんが「これは世界に売れるホンだよ!」と言ってくださったんですが、実現して嬉しい限りです。ううー(涙)上演台本の権利はMGMが所有しているそうなので、今後欧米でも上演される可能性はありますね。
出演者のファンの方のブログにレヴューが載っていました。MIOさん教えてくれてありがとー!
・「レインマン」のレビュー記事
・「レインマン」のレビュー記事 その2
・「レインマン」のレビュー記事 その3
・「レインマン」のレビュー記事 その4
演出や選曲も似ているようです。脚本指定の部分もあるのかな?
来日公演とかもあればいいのになあ

■浅田寅ヲ「ウルバロ」がガンガンONLINEに移籍
単行本出るのかな…(不安)読みたい時にぱっと手にとれてぱっと開けるのがいいよー、起動待つのいやなんじゃー(泣)
と言ってても仕方がないので読んでみました
いいところは、見開きが一枚絵として(ノドがない)表示されるので見やすい。浅田さんて、目の動線に敢えて逆らうような独特なコマ運びするからなー。
てかウルバロって略すんだ

■武将KEN ISHII、15周年ミックスCDで伝家の宝刀大放出
選曲よりも何よりも、ジャケが衝撃過ぎて何も考えられません。
イシイくんはいつも突拍子がなさ過ぎる……いや、音自体は楽しみですよ