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2008年09月27日(土)
『シャープさんフラットさん』ホワイトチーム

NYLON100°C 32nd SESSION 15years Anniversary『シャープさんフラットさん』ホワイトチーム@本多劇場

ブラックチームのチケットをとれていないと言う…これは歯がゆいなー。

それはともかくとてもよかった。しかし今観るのはつらかった。うーん、いつ観てもつらいかなあ。ケラさんがこの手の話を書くと、大概そうなるんだけど。しかも今回は、事前に「フィクションではあるが、自伝的な作品」とことわりがある。ナースコールを押す前にメモをとる。笑っちゃいけないものなんてない。女優の恋人を階段から突き落として笑う。いつもどこかでネタを探してる。壊してばかり。どこ迄がそう、とは考えても仕方がないし、いいわるいもない。どこにいても誰とも折り合いをつけられない「シャープさんフラットさん」は、それでも書き続ける。

自伝的、と言ってあったためか混乱のあとが見られた。それがまたつらかった。自分のことを頭がおかしいとか、自分は狂っていないだろうか、この社会でうまくやっていけているだろうか、と不安に思い乍ら(それを自覚してしまっているのがまたやっかいなのだ)暮らしていくのはとてつもない恐怖と隣り合わせだ。そして多分、それは誰からも理解されない。

それでも、わずかな間でも、心が安らぐ時間と相手があれば。赤坂と煙の最後の姿は、そう願わずにはいられないものだった。

やはりナイロンの役者さんは皆巧い。今回は三宅さんのすごさを改めて思い知った。この役ブラックだと大倉くんなんだよなあ…どうなるだろう。松永さんも、村岡さんも。

うーん、なんだかうまく感想が書けないや。どんなにつらかったことも、時間が経てばいい思い出になる。笑って話せる。それはそうだと信じている。でも今はまだ無理かな。



2008年09月24日(水)
かまくら

恒例?鎌倉行きですよー。今年は

北鎌倉→円覚寺→亀ヶ谷坂切通→化粧坂切通→銭洗弁財天→宝戒寺→鶴岡八幡宮→巨福呂坂切通→小町通り

でした。なんか荒行のようなことになった…。北鎌倉からは全部徒歩ですよーい。

いや、今年は切通ツアーをしようぜーと出発したんですが、亀ヶ谷坂はまあ舗装されてて名残がある程度だったのね。巨福呂坂も跡のみですよーて感じで。んがー化粧坂がすげいかった。これあれでしょ、荒武者が馬に乗って越えるとこでしょ…そもそも切通て外敵の侵入を阻む、防衛の最前線だったとこでしょ……それがまんま体験出来ます!

いや向かってる時にすれ違ったおばあさんが「あんたたちどこ行くの…この先はそんな格好で越えられるようなとこじゃ……」って感じで見たからあれ道間違えた?と思ったんだけどね……散歩の風情などもうない!越えなきゃ先がない!下駄の側面がボコボコになった。戻るに戻れず登り切りましたが直後下り坂が続いたのでもう膝がゲラゲラです。今度はスニーカーで行こう……。

でも面白かったのでいずれは釈迦堂、名越、大仏、朝夷奈、極楽坂も行きたーい。大仏がいちばん険しいと聞きますがどうか。釈迦堂(ここは崩落の危険があるので通り抜け出来ない)は学生の頃北条時房マニアの友人に連れてかれたんだけど、そこで写真撮ったら何か…写ってたんだよね……まあ合戦ばっかやってたとこでしょうから何かしらいるでしょうよ。

水曜日定休もしくは前日が祝日だったので振替休日のお店が多く、お買いものも殆ど出来なかったので今回は遠足めいてました。運動したのでごはんもおやつもおいしかった。天気もよくてよかった。彼岸花は5分、萩は4分咲きってとこだったかな。もう金木犀のいい匂いがしてました。秋ですなあ。



2008年09月23日(火)
『葡萄』

危うくトラムに行くところだった…チケット見て書き写した筈のスケジュール帳にもトラムって書いてるし!なんなの?私はバカなの?渋谷でなんとなくチケット見なかったら三茶に行っていた……間に合ってよかった。

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THE SHAMPOO HAT『葡萄』@ザ・スズナリ

いんや今年の赤堀(敬称略が敬称)の仕事は全てハズレがなかった…なんかもーいい観劇年だったと締めくくってしまいそうな程ですよ。今年のあかほり、残りはケラマップへの役者出演のみです。ああ、いい一年だった。

90分のうちおよそ86分が一触即発。3分で一撃必殺。ラスト1分で爆笑必至。終演後、時間が経つにつれじわじわ涙。

これをどこかで待っている。そして必ずそれは叶う。いや、それを遥かに裏切り、遥かに遠いところへ持って行く。

『その夜の侍』『立川ドライブ』での新機軸の演出を経て、一場のストーリーに戻ってきた(『ウドンゲ』も一場だったが)。時間も飛ばない。ダイアローグで進む。会話が全くないシーンも目が離せない。ダメなひとばかり出てくる。しかし、そのダメなひとを糾弾する資格がおまえにあるのか?と書く。当事者にしか解らないことがある。今回はその糾弾を担当したのが教師で、彼女は少し分が悪いが、その彼女だって一生懸命なのだ。90分で11人の登場人物全員の両面を逃さず書いている。注意深く、どんな小さなことも見逃さず、そっと掬いあげる。

それを扱うのはとてもやっかいだ。ガードが堅い、ひねくれている、シャイなあまり攻撃的になる。すごく難しいひとばかり。何故そこを見落とさないんだろう、いや、見逃せないのか?そしてどうしてそれをあんなにそっと書けるのか。アガツマさんなのに…(後述)

そして、敢えて書かない箇所が絶妙。菊池の銃は本物か偽物か、みどりは6年前に何があったのか、直樹が菊池にだけ悩みを打ち明けたのは何故なのか。直樹が菊池のことを父親だと知っていたか知らなかったのかはこの際どうでもいいことだ。みどりが牛乳のおかわりを持ってくると提案したのは、菊池にとどまってほしかったからか、言葉通り半端に残った牛乳を片付けたかったのか、菊池が牛乳を好きだと言ったからか。節子は菊池に何を言おうとしたのか。沈黙の間に考える。「ひじきおいしかったって言ってくれて有難う」?「また食べたくなったらいつでもうちに来て」?「順とまた会って」?それでも結局節子は何も言わず帰って行く。

孤独な男・菊池は赤堀さんが書いたものだが、体現するのは野中さんだ。小さな台風。その台風は嵐を持ってくるが、同時に凪も連れてくる。口を開けばああいう言葉しか出てこないが、時折ぽろりと漏らす心の奥に気付き、近寄ってしまうみどりと菊池のシーンはどれもが歪んでいて寂しく、同時に暖かく美しかった。コメディエンヌとしての評価が高い池谷さんを、ああいう役に起用した演出家を他に知らない。こんなところに色気が宿るのか。場作りが得意、カンパニーとの関係性を築くのが上手、役者と闘い鍛え上げる、いろいろな手法があるが、こういう演出家もいる。すんません今迄赤堀さんの演出ってラウドな印象が強くつかみ所がないと思っていたのですが、今回はもう恐れ入りましたとしか……。

それなのにアガツマさんなの、あかほり。登場人物たちの間で散々語られ、キチガイと言われ、奇行の数々を暴露され、そのうち観客は「あ、このアガツマ、あかほりがやるんだ……」と思い始める。いつ迄も出てこない。その地域の有名人で、近所のひとたちから疎まれ馬鹿にされ、それでも悪く言えないひともいる。そんなアガツマさんはどういう姿形で出てくるのか?これを頭の隅に置きつつ本筋を観て行き、そのうちストーリーは絶妙な位置に着地し暗転。泣きそうになりつつニヤニヤしつつ、「あれ、アガツマさんは…?」と思っていると照明が灯り、アガツマさんがひとりでぽつんと突っ立っている。あの最後の1分間はひょっとすると一生忘れられないかも知れない…皆がぽかん、そのうちじわじわと笑い声が拡がっていく。

あーあんなにいい話だったのに、菊池の後ろ姿も、みどりの菊池を見詰める表情も、あんなにあんなに素敵だったのに、夢に出るのはきっとアガツマさんだ。降参です。

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帰りに寄ったとこで食べたフルーツタルトに葡萄が入っていてニヤニヤ。そして話すことはアガツマさんと尾崎のミュージカルはどうなるのかってのとサマソニとオエイシスとあかほりとアガツマ。天気もよくいい一日でした。



2008年09月21日(日)
『菊地成孔のシャッフルCDトーク』

『菊地成孔のシャッフルCDトーク』@めぐろパーシモンホール 小ホール

お誘い頂きどういう内容か全く知らないまま行ってきました。

第一部『自分が関わってるCD編』
第二部『自分が関わっていないCD編』

休憩入れてみっちり約4時間。いやー面白かった。一部と二部、100枚ずつナンバリングしたCDを用意しておいて、ルーレットで出た番号のCDをかけ乍らそれについて喋る。もう笑い過ぎて腹も減りますよ。夕ごはんのうまいことうまいこと。

ブログに書かないでってことなのでトークの内容は書きません(笑)箝口令がどうのってことではないですよ。至極納得する説明でした。確かに「ココだけの話」が実質成立しなくなっている昨今、いろいろ不自由なこともあるのだろうなとちょっとしゅんとした。その場で面と向かった相手との関係性を非常に大事にする、義理堅さと言ってもいい菊地さんのこういう姿勢はなかなか伝わりにくいものかも知れない。一観客でしかないが、その誠実さにはきちんと向き合いたいと思った次第。

しかしほんとに面白かったよ………またやってほしい(笑)



2008年09月20日(土)
ハシゴとか

■ozってこれかい!
・尾崎豊の歌が音楽活劇に!出演者オーディションを開催
そしてまた名前を間違えられている…秀勝じゃないよ、勝秀だよ!(泣)
『卒業』12インチ持ってます、アルバムは4枚目迄聴きました、本人宮崎に来ないからフィルムコンサートに行きました、歌詞には共感出来ず曲だけが好きと言ったらコアなファンにあんたは尾崎のことをわかってないと言い放たれました、そんな世代です。
いろんな意味で狼狽中

■朝日新聞とっててよかったと思う時
土曜版be、本日のフロントランナーはシス・カンパニーの北村明子さん。
打ち合わせ中の写真にスズカツさんと横川さんが。渡辺えりさんのライヴの件ですな

このふたつを帰宅後知ったので燃え尽きそうです…いろいろと。しかし一応今日のことも書いておく……。

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『落下の王国』@アミューズCQN シアター3

肉肉肉のてんこもりで野菜がほしい!腹一杯です!
いやひとつひとつのシーンはとてもよかった…すごく凝っていた…美しかった。石岡瑛子さんの衣裳も素敵だったし。
しかし肉肉肉なんですよ…どこをどう切っても画が美しくて、それが逆にメリハリなく見えてしまうと言う。野菜がほしい……。そしてここ笑うところだよね、ってエピソードが多々あるのですが、それがド直球過ぎて逆に笑いづらいと言う。
ラストでロイが後のT・ロイ・バーンズでは…?と言う暗示のような描写があった(深読みかも知れないが)。キートン等、スタントなしで見せる、危険なアクションを笑いに転化する数々の無声映画のシークエンス。この監督本当に映画好きなんだなあ。しかし、あれだけ豪華絢爛な画がてんこもりだったのに、いちばん印象に残ったのはこのラストシーンだったのです。皮肉と言えば皮肉。
でもほんっと画ヅラは美しいです。数々の美しい落下。極力CG使わないようにしていること、経過はとても悲しいけれどきちんと再生の物語になっていることにも好感持ちました。
それにしてもこれ、アメリカではR18だそうでなんじゃそりゃー。アメリカって暴力描写にはホント厳しいね…基準がようわからん

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会田誠 展『ワイはミヅマの岩鬼じゃーい!!』@ミヅマアートギャラリー

会田さんがミヅマの岩鬼なら、里中は山口晃さん?殿馬は小沢剛さん?なんて考えつつ行ったら、
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本展の内容からすると、展覧会のタイトルは
『ワイはミヅマの殿馬ズラ!!』
とすべきでした。謹んでお詫びし訂正いたします。
9/5 会田誠
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と言う貼り紙が…。国内では3年振りの個展です。そういえばここ数年、グループ展や企画展ではやたら観たけど個展はなかったな。
そんな個展は『モコモコ』の新作、『犬』の新作(!「陰影礼賛」「野分」)、『ドーハ』のレリーフ、カントの『判断力批判』を破いて一枚一枚に落書きした(展示は100点くらいだったけど、これ全頁作ってそうだな…)の『判断力批判批判』等。成程手法もバラエティに富んでおり、殿馬の華麗な技の数々を観ているようです…と無理矢理こじつけてみた(笑)
別フロアではムサビの学生とのワークショップを経過ごと展示。会田さんの不思議なところって、ああいう作風とは裏腹に意外と面倒見がいいところだ。まあ「ああいう作風」はひとりでずっとやっていたらかなり危険なことにもなりそうなので、両方出来るのが丁度いいのかも知れない

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東京ミッドタウン能狂言@ミッドタウン・ガーデン 芝生広場

前日もあった(茂山さんとこがいっぱい出てた)んだけどきっと中止だったんだろうな…台風が来ていて殆ど諦めていましたが、ラッキーにも晴れてくれました。喜多流舞囃子『高砂』、和泉流狂言『棒縛』、喜多流能『船弁慶』。
『棒縛』はずっと観たかった演目だったので嬉しかった!太郎冠者と次郎冠者が揃うとろくなことにならないと言う典型です(笑)面白かったよー。華やかな『高砂』、ダイナミックな『船弁慶』もよかったです。
野外で虫の声も沢山、雰囲気も楽しめましたが場所柄かやたらヘリが飛ぶんですよね……マイクを使う等していたのでちょっと違和感があり、そしてその音響がまたノイズやトラブルが多くちょっと残念。やる方も大変だったんじゃないかな。しかし面白い企画なので継続していってほしいです

それにしてもミッドタウン閉まるの早いな!22時前にラストオーダーのところが多くごはん難民になった。



2008年09月19日(金)
わあ

市川準さんが……。早い。突然。
『トニー滝谷』も『ざわざわ下北沢』も大好きでした。
そしておーもりくんが本格的に役者をやってこうって時にCMで起用してくれたんだよね。



市川さんとは関係ないけど、サントリーのCMと言えばこれがすごく好きだった。アートディレクションは戸田正寿さん。こちらはガウディ篇。ランボオ篇もよかったな。



曲も好きだったーつうか当時は怖くて印象に残ってたんだ。

市川さん、おつかれさまでした。ゆっくりお休みください。でも、まだまだ作品を観たかった。



2008年09月15日(月)
いろいろ

■野田凪さん
誤報じゃなかったのか…。ミュージックヴィデオの仕事にはいろいろ思うところがあり…でしたが、NIKEのグラフィックはとても好きでした

■先週
いろいろ逃した。今週もいろいろ逃すだろうけど仕方がなーい

■と言う訳で
ベニーの『悲しみが乾くまで』@ギンレイホール、かなり怪しいです>シス子マスター
あああ観たいよ観たいよ観たいよーーー(泣)

■おとなグリコ
タマだけが「三代目」ってのにヘコむ

■iTunesへの登録で思い出したが
以前横川さんが出したZAZOUS THEATERの『ウェアハウス』サントラ(テープでリリースされたvol.1〜3をCDに焼いたやつ)、読み込んでアートワーク取得するとあんた誰?っておんなのひとが出てきます。まあそれはよくあることですが、同じ画像が何故か小林建樹くんのシングル(FCのみで配布されたもの)読み込んでも出てくるんだなー。
ああ誰なんだこのひと

■で、
久々に(と言っても未だに年に数回聴く)『ウェアハウス』。篠井さんのアクセントとか声の高低とか、しみついてるなー。「話をしてもかまわない?」「かまってるくせに」
つうか鳴海四郎さん訳の『動物園物語』は今でもそらで言える箇所があるよ…こんな自分が気味わるい

■『ウルトラバロック・デプログラマー』2 浅田寅ヲ
わーい2が出たよ。ようやっと解体屋が本領を発揮し始めた。しかしヘタレなのは変わりません。ここって萌えどころなのか?
立原さんの戦闘者が息子さんの姿形だったってとこが泣けた。そんでその息子ってのがまた…意地悪な言い方すれば凡人だったってとこが悲しくて萌えですな。で、いいひとなんだよ。そこがまたしょげる。いいひとなのにな…(泣)

■『NEVAEVA』柚木隆一郎
で、解体屋ってずっと誰かに似てるなーと思ってたんだけど、柚木さんだわ(これ、通じるひとどのくらいいるのか)なんか似てるのは外見だけではないような気がしますよ…天才なのに、まあ、その、いろいろ……周りから見ればもっとそれをフルに使えよ!とか言いたくなると言う(苦笑)
アイゴンがEL-MALOから脱退したのでますます寡作になりそうで不安です。ああでもこの脱退で、ふたりの役割と言うか違いが改めてハッキリした感じはしたな。アイゴンは職人さんなんだ。だからお呼ばれも多いんだー(いやそれはすごいなあと思いますよ…)
寡作でもいいや、長生きしてくれれば。生きてればまた作品出せるもんね。「俺以外は死ねばいい」とか唄うひとだもんねー。
PANICSMILEの石橋英子さんが共同プロデューサー。バーンスタインのカヴァー「COOL」ではPANICSMILEのメンバー全員が参加しており、これがまたいいんです。ゴセッキーや高井さん等、DCPRG人脈も参加してます

■『パルス』THE BACK HORN
角質落としてゆでたまご肌!みたいな感じだなー。ひとまわりしたのかな。
集中して聴けば聴く程体感時間が短い。しまいには10分くらいで全部聴いた気になるんじゃなかろうか。
「蛍」が好き。秋に聴けてよかった

■あとは
ドレスデンドールズとかフェイントとか。ドレスデンのアマンダのソロ、日本盤も出るといいなあ。アマンダってフォトジェニックだよねー、好きー。
そして早く出てくれよ54-71…何度延期してんねん……しかも二度目の延期はアートワーク+パッケージの不備だもんな(泣)



2008年09月13日(土)
『人形の家』とか

『人形の家』@シアターコクーン

『人形の家』のストーリーは個人的には好きではないのですが(これを「まあ、バカップルの話ですよね」と言い放った鈴木裕美さんにとても共感する・笑)傑作だとは思います。どっちもどっちなヘルメル夫妻を、どちらにも感情移入出来るように、しかしどちらにも共感出来ない箇所を根っこにしっかり残して描いている。登場人物たちの行く末を考えずにはいられず、余韻が残る。とても観甲斐のある作品です。

そして好きではない割に結構何パターンも観ているのは、役者のガチンコ勝負が観られるからです。下手な役者がやったら目も当てられない状態になるのではないだろうか、それだけに座組も強力なものが多い。キャストが発表された時、これは観客も体力がいる、ストロングなものが観られるだろうと思いました。

そして演出。デヴィッド・ルヴォーと言えば、役者をとことん追い詰めることで有名。これは相性がいいのではないか…と。

実際目にした舞台はすごかった。当時ルヴォーが数々の作品を手掛けたtptのホームグラウンド=ベニサン・ピットでの緊張感をシアターコクーンにまるっと持ってきたかのよう。息詰まる170分でした。全三幕、休憩2回。三幕は、3ラウンドと言ってもいいかも。四方を客席で囲む中央に配置した正方形の舞台はリングのよう。ラウンドが終わり、休憩アナウンスが流れる度に客席の緊張がとけ、どよめきが漏れる。幕毎に大音量でかかる音楽はまるでゴングのようでした。

2004年以降宮沢さんの舞台は全部観ていますが、いちばんのハマり役だったように思います。脚本(=訳、話し言葉としての台詞)との相性も抜群にいい。これ迄は声が台詞に追いついていない印象が多かった。そしてその声が追いつかないのをカバーしていたのがあの容姿。オーラのようなものも含むと言ってもいい。それはもう舞台にいるだけで目が釘付けになってしまうかのような美しさで、実際それだけでも観てよかった…と思ってしまう程だったのですが、今回この容姿と台詞回し、所作が全て揃っている。幕開けの、舞台を囲む紗幕が落ち、照明がついた瞬間そこに現れた彼女の美しさと言ったら!宣美で使われていた金子國義の描いた女性がいるかと錯覚する程。この導入は素晴らしかった。伊藤佐智子さんの衣裳が、ドレスもペチコートもスーツも、細く高いヒールで華奢なブーツも、ことごとく似合う。そういえば宮沢さん、『トニー滝谷』でも非現実的な程洋服が似合う女性を演じていたなあ。そして家を出る時の凛とした佇まい。内外ともに人形のような美しい女性から、自立の自覚を持った―それが今後どう転ぼうとも、気付いてしまったが故の―強い女性へ。

うーむ、これは…ルヴォーと組んだ作品、また観たいですわ……。

一方そのルヴォーとかつてガッツリドップリ組んでいた堤さんもどハマり。本人「こんなに共感出来ないキャラクターはなかった、だいきらい。なのに周りからはピッタリと言われて…」とインタヴュー等でボヤいていましたが、無邪気=無自覚の業を見事に表現していました。これ褒めれば褒める程悪いみたいですが(苦笑)この無邪気さはなかなか技量だけ(当然技量はある)で出せるものではないでしょう……。良くも悪くもこどものようで、こどもの狭量さ=まっすぐさの機転の利かなさ、傲慢さが瞬間瞬間で悪魔にも天使にも見えるのです。最後の場でノラに罵倒されて立ち尽くしているときの彼は、まるで廊下に立たされてしょぼんとしているこどもそのものでした。

無邪気さは勿論ノラにもある。それはひとの気持ちを弄ぶ。これひととしていちばんやっちゃいかんよー、ランクの気持ちを思うと胸が潰れそうでしたよ!そんで家を出たらとりあえずクリスティーネんちに泊めてもらうっつってるけど、おまっなんだその泊めてもらえると疑ってない無邪気さは。そういう気持ちでノラを見ると際限なくツッコミどころが出てくるのですが、家を出ることに関してはまあそれもいたしかたなかろうと思ってしまったりするのです。

とまあこのどっちもどっちな微妙なさじ加減。ちょっとしたことでノラにもトルヴァルにも気持ちを寄せたくなり、次の瞬間にはいややっぱり無理、となる。その機微を絶妙に見せるにはやはり役者の力が大きいのです。今回のふたりはそれがいいバランスで、結末を知っているのにも関わらず、台詞にも出てくる「奇跡」が起こらないだろうかと、決して実を結ぶことのない希望を捨て去ることが出来ませんでした。ルヴォーの演出意図がどうなのかは判りませんが、クロクスタとクリスティーネがそうであったように、「許す」気持ちが「奇跡」を呼ぶこともあるかも知れないと思いました。それが生きている間に起これば、とても幸せなこと。

ランクの千葉さん、クロクスタの山崎さん、クリスティーネの神野さんも素晴らしかったです。山崎さん、絵に描いたような窮鼠猫を噛むっぷりが迫力あってよかった…人間死にものぐるいになると何でもするよね、そんで憑き物落ちると何もかもがどうでもよくなるよね(笑)

いやー面白かった。それにしてもこの作品、初演1879年ですよ。わるく言えば人間て進歩ない!よく言えば…な、なんだろう(笑)

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■出ましたスズカツさんの今年最後の仕事かな
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シス・カンパニー プロデュース
ビューティフル ライブ Vol.1
『渡辺えりのMy Room』
2008年12月17日(水)〜23日(日)スパイラルホール
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出演:
渡辺えり
ミュージシャン:
横川理彦(g, vl, electronics)
近藤達郎(pf, key)
アーマッド・コンバオレ(drs, perc)
明星真由美(cho)
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構成・演出:鈴木勝秀
音楽監督:横川理彦
美術:二村周作
照明:倉本泰史
音響:武田安紀
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おー、やはりライヴでしたか。楽しみ



2008年09月12日(金)
ぎゃあー

エディ・ヴェダーがNINの「Hurt」をカヴァーしてるーーー
本当にいい唄い手さんだなーエディは!

ええとEddie Vedder Hurtで検索すれば音源見付かります、ああこういう時はPCでwebで音楽聴けてよかったと思うだよーなんやもう詳細まだよく判ってないけど後でちゃんと調べよう…どっかでのライヴ音源でする



2008年09月11日(木)
『Turntable Lamborghiniiiiii #2』

つ゛か゛れ゛た゛

いやまだ終わってない…終わってないし……(しろめ)

そんな中音楽がとても励みになっています。と本気で言う程めろめろまー。

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■『Turntable Lamborghiniiiiii #2』ANIIIIIIKI

出ましたANIIIIIIKIのMIX-CD、2作目!MIX-CDはなるべく買わないようにしているのだが(床が抜けるから)、ANIIIIIIKIのとなったら話は別ですぜ。と1が出た時も書いたような気がする(笑)通販もあるしディスクユニオンのクラブもの扱ってる店舗には大概置いてあります。

ライヴレコーディング。「MP3 KILLS VINYL」。いつもとことんものごとを考えてる。そして必ず行動に移す。男前。そんな彼女はどんなスピンをするか、サワリをどうぞ↓



特典DVD-Rにも収録されているライヴ@蜂です。いやホント男前ですわ…惚れる……。

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SET LIST

1. Soulphiction Pres. The Chocolettes - Jungle AD (Musik Krause) 2008
2. Cajmere - Naumatunedacorra Remix (Clubhouse) 1992
3. Green Velvet - The Bathroom Mark Grant Mix (Relief) 2005
4. Herbert - The Movers & The Shakers Green Velvet Remix (Studio !K7) 2006
5. Green Velvet - It's Time 2 Jack (Cajual) 2007
6. Oliver $ - Mesh Mallow (Grand Petrol) 2008
7. Samim Feat. Big Bully - The Lick Derrick Carter Vocal Remix (Get Physical Music) 2008
8. Bill & Ben - B & B Disco (Kontraband) 1998
9. Cajmere - Lookin' For A Man (Live) 1997
10. Unknownmix - The Siren Losoul's Hot Edit (Playhouse) 2006
11. Jaydee - Plastic Dreams (R&S) 2006 *Reissue
12. Cari Lekebusch - Aterkommen (H. Productions) 1997
13. Siouxsie - Into A Swan Andrew Weatherall Remix (W14 Music) 2007
14. Twilight Circus Dub Sound System Feat.Big Youth - Love Is What We Need (M Records) 2003
15. The House Keepers - Go Down Master Keys & DJ Umile Extended Mix -(Net's Work & Songs S.r.l) 2004
16. Moguai - Go A Head (Punx) 2004
17. Curan Stone - Come Back (Relief) 2004
18. Count Of Monte Cristal - Bounce That Ass (Cheap Thrills) 2008
19. Plump DJs - The Push (Finger Lickin') 2000
20. The B-52's - Funplex CSS Extended Remix (Astralwerks) 2008
21. Paradox 3000 VS Kasabian - Processed Breaks (Shoe) 2005
22. Don Cash - Disco Wreck Headman Remix (Relish) 2007
23. Super Duper - Fast Freiends Push Pull More Freiends Remix
24. DJ Rush - Motherfucking Bass Christopher Just LamborghiniLamborghiniRemix (T:Classixx) 2001
25. Unknown Artist - Head, Booty & Beats (P Series) 2008
26. Green Velvet Featuring Russoul - Walk For Techno Mix (Cajual) 2007
27. Minilogue - Jamaica (Cocoon) 2008
28. Jeff Mills - The Dancer (Purpose Maker) 1996
29. Ortin Cam + Tim Taylor - The Shield Los Angeles Vox Version (Missile) 2007
30. Alena - Rough Cabaret Vienna Version (Missile) 2005
31. Grooveyard - Watch Me Now Secret Cinema Remix (EC) 1995
32. Pixeltan - Get Up / Say What DFA Remix (DFA) 2004
33. Cobblestone Jazz - Dump Truck (Wagon Repair) 2006
(※Outro)
Miles Davis - High Speed Chase (Warner) 1992
Sly & Familystone - Sex Machine (Epic) 1969
Taco - ___ (ピナコテカ) 1983

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実はiTunesに曲目登録したのは私なのだが、どこか間違いあったら言ってくださいな…(笑)コピペしたので間違えてはいないと思うが……。

入力しつついろいろ考えた。確かに気軽にPCで聴けるのは嬉しい。特に今の自分の環境だと。でも根っこのところは見失わないようにしたい。PCで聴いてても、CDで聴いてても、その音にアナログから落としたと判るノイズが入っていると何だか嬉しくなってしまう。このノイズを「やだなあ、キレイじゃない」って思うイマドキの子もいるのだろうか?それはちょっと寂しいな。

ところでこのCD、私が偶然入手したものが「当たり」だったそうで(たった1枚だけに貼ったと言うシールが)い、いいのんか!?と嬉しいやらビビるやら。何の気なしに手にとって、このシール何〜?と訊いたら当たりだと言われた(笑)…あ、ありがとー!!!



2008年09月06日(土)
トップスも

■東京・THEATER/TOPSが2009年3月閉館発表
ベニサンに続いておまえもか……!ここも思い出あり過ぎる……。
ビル自体がなくなる訳ではなく、テナント見直しで、とのことです。
東京サンシャインボーイズの復活公演『リア玉』、ここでやるって言ってたじゃーん。どうすんの。伊藤さんがこの時は幽霊になって帰ってきて出演するんじゃないのー、伊藤さん行くとこわかんなくて困っちゃうよ。
『ソカ』や『セカンド・ハンド』や、ザズゥシアターでもよく行ったなあ。南河内ではあのせまーいステージに20数人ぎゅうぎゅうで酸欠になりそうだった(笑)あれ、『青木さん家の奥さん』も最初に観たのはここだったか…?
来週観に行く『人形の家』、じてキンが上演した時ここで観たな。じてキンと言えば京さんが出た『絢爛とか爛漫とか』もここで観た。
他にもいろいろ観た。はあー

■水橋くんコクーンデビューだどん
『箱の中の女』
こ、これは…行かねばなるまい

■パン問題
お値段据え置きで小さくなるのと、大きさは変えずに価格が上がるのと、どちらが悲しいか

■東京厚生年金会館の近所
の喫茶店にねこがいた。白いとこの毛がきれーいでふかふかそーうでよく洗ってブラッシングしてもらってる感じ。テーブルに上がってごはん食べてた。デカかった。かわいかった