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2004年10月29日(金)
菊地成孔 特別公開講義+α

菊地成孔 特別公開講義@タワーレコード新宿店7F

リリースが続く菊地さん、多忙のため何のイベントか把握してなかったようです(笑)「『憂鬱と官能を教えた学校』出版記念イベントかと思ってて、それ関連の資料を用意してたんだよ!寸前に知って慌ててデートコース用のCD探した」だって。実は私も“講義”なんて銘打ってるから『憂鬱と官能〜』関連だと思ってました…DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN『STAYIN' ALIVE/FAME/BEEF STAKE ART FEDERATION 2』のリリースイベントだったんですな。

いや実は、今日やるってのも忘れてた(笑)仕事終わる頃「あれ?今日じゃん!」と気付き…参加券も家に置いてきてました。でもこの会場は券なくても遠巻きに観られるので大丈夫。

そんな訳で「『BITCHES BREW』とか持って来ちゃったよ(笑)」と言いつつ、講義を1時間弱。何故ビージーズ「STAYIN' ALIVE」、デヴィッド・ボウイ「FAME」のカヴァーをやろうと思ったか、レコーディングやリリース形態の経緯等を面白おかしくホラも吹きつつ。ホントこのひとの喋りは面白いですわ…。以下おぼえがき。話が行ったり来たりするのでまとめちゃいました。記憶で起こしているのでそのままではありません。

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■「FAME」はまずスパンクハッピーでカヴァーしたんですよね、NHKでピエール・カルダンのショウをやってて…コレクション、パリコレですね。で、そのショウで「FAME」がかかってたの。でもそのショウってのが、1960…何年だったかな?とにかく「FAME」のリリース時期と合わない訳ですよ。だからNHKでオンエアする時に、番組作ったひとが「FAME」を被せたんだよね。で、そのショウに出ているモデルに、(当時のスパンクハッピーのvo.)瞳ちゃんそっくりのモデルがいたの。あっ、岩澤、と思って。で、ショウを観てる…いるでしょ、両サイドに陣取ってうーんって観てる奴。その中に俺そっくりなのがいたの(笑)あっ、俺俺!って。その時のイメージが強烈に残ってて。

■丁度その頃DCPRGとスパンクハッピーのレコーディングを同時期にやってて、それなら一緒にリリース出来ればなと思ってて。で、『構造と力』の曲順を、構造1、構造2、構造3、「STAYIN' ALIVE」、構造4、構造5、構造6、「FAME」ってして混沌を出そうかなと考えたんだけど、(P-VINEの)マトバ(マタバ?)くんに却下された(笑)僕はマトバくんの奴隷なんです、はいって、ふたつ返事するしかないの、ふたつ返事…もはやひとつ返事だな、はい、って(笑)メジャーから出すってことに関しても事前に相談ないの。「次、コロムビアから出しますから」。え?って(笑)だからマトバくんが「次、ポリドールから出しますから」って言ったらはい、ってポリドールから出してたんですよ。え?なんで?とか訊く余地もない。一応何でメジャーから出すんですか?って訊いたら「話題作りです話題作りです」。2回言うんだよね「話題作りです話題作りです。大丈夫大丈夫」。2回言うひとって出世するよねえ。

■今ライヴ盤、『MUSICAL FROM CHAOS 2』出そうってことで、大友が脱けてジェイスンが入ってからのライヴ音源全部(笑)を聴いてるんだけど、もう〜膨大な量なのね!これ全部聴くところから始めるから。聴くだけで金くれってくらいなんですけど。これを編集して、どのくらいになるか…マトバくんが2枚組にしましょうって言ったら2枚組、3枚組にしましょうって言ったら3枚組、5枚組にしましょうって言ったら5枚組で、ひゃはははは!出しますよ!で、出しませんって言われたら出しません(笑)はい、って、ふたつ返事ではいって言って終わり。皆DCPRGのリーダーは俺だって思ってるひと多いと思うけど違うんですよ、マトバくんがリーダーなの(笑)ステージでも俺が指揮してるように見えて、実は袖からマトバくんがこう、あれだよブロックサイン、野球の、を、出してるの。ひゃはは、俺はテレパシーとか、そういうので動かされてるだけなの!

■(オリジナルの「FAME」をかけて)悔しいのは、どんなにやってもオリジナルには叶わないってことかな。今日ここ迄しかかけませんけど、これ以降…終わりに近付くにつれてこう…どんどん、ヴォーカルが狂気を帯びてきてエラいことになってるんですよ。デヴィッド・ボウイもねえ、かなり頭のおっかしいひとですからね…褒めてるんですよ!(笑)これギターに今をときめく…ときめいてねえか(笑)ときめき終わってる(笑)いやいや。エイドリアン・ブリューが参加してるんですよ。ときめき始める前!に起用してると言う(笑)ギターパートを4つに分けて、左右手前と、左右奥で鳴らしてるの。

■(オリジナルの「STAYIN' ALIVE」をかけて)はえー!(笑)初めて聴いたひとはビックリしたでしょ。DCPRGでやってるのはもっと遅いからね。(CDJで速度を変えつつ)これくらいかな?今41%ダウンです。…うー、もっと遅いか。これくらい?56%ダウン。メモってくださいねー(笑)なんて、何の役にもたたねえ(笑)CDJだから回転数変えられるんですよ、それを自慢したかっただけー(笑)数字メモってもねえ、ひゃはははは。『GALACTiKA(Vol.001)』ってDVDに入ってるテイクが今迄でいちばん遅かった。重〜くて、粘〜っこくて、ヘヴィ〜で。大儀見さんが疲れてたってのもあるんだけどねひゃはははは!

■P-VINEは(稼ぎ頭の)横山(剣)さんがいるから俺達が好き勝手やれてる、EWEは綾戸(智絵)さんがいるから好き勝手やれる、いやー有難いですね、皆さんクレイジーケンバンドや綾戸さんも買いましょう(笑)

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最後に質疑応答を2つ。クインテットライヴダブで演奏しているカヴァー曲は、他に誰のヴァージョンを聴くと面白いか?等。横道に逸れるからこその面白いことをマシンガンのように喋ってましたが、全部書いてたらきりがないのでやめときます…群馬のレコフン(レコファンのバッタらしい)で見付けたレコードの話とか面白すぎた。ナンパのキメ言葉は「ねえタモリって知ってる?」だそーです(大笑)あとピジン英語に関しての話が興味深かったんですが、これは『憂鬱と官能〜』に詳しいようなのでじっくり読もうと。…ええ、まだ読んでませんよ!読むの遅いんでね…次の次に読む予定ですよ…と言うか、重くて持ち歩くにはつらいので家でちびちび読むことになりそうです。

それにしても、オリジナルの「FAME」「STAYIN' ALIVE」聴いたことないひとが多くてビックリした…挙手を求めたら結構な数いて。若いコが多いのね!い、いや私も「FAME」はリアルタイムでは聴いておりませんよははははは。

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■あらら
こんな感じだったのに、裏ではスパンクハッピーが大変だったみたいですね菊地さん。お、おつかれさまです…

■どわあ!
NIRVANAのボックスセット、裁判が片付いてようやく出ます。CD3枚+DVD1枚で81曲、うち未発表曲68トラックて!まあ没ネタやライヴ音源等も多いでしょうが、ブート集めてるとキリがないのでね。きちんとリリースされるのは嬉しい。コートニーがらみのベストは「YOU KNOW YOU'RE RIGHT」以外どうってことない内容だったからなあ



2004年10月24日(日)
『バット男』楽日+α

『バット男』@シアターサンモール

バットは護身用なのか?使わなければ、それは自分自身を殴る道具になる。世界で最弱のやつ、それは誰だ?

林の回想と現在が同時進行し、遂にそのふたつが繋がった!と言う、大賀が林の会社に血まみれのバットを持って入って来るシーン。ここ、かなりゾッとしました。しかしこれはもはや林の妄想かも知れない訳で。構成がうまく出来てるなあと思った。舞城王太郎氏の原作これから読むのですが、どういう風に倉持さんが脚色して舞台に載せたのかに興味が行きそうです。

林がいちばん傲慢な感じもしたけどね…増渕が困っている時、聞こえているのに聞こえてない振りをして、最後の最後になって手をのばしてやる。バット男がボコボコにされているのを見ている林も同じ。傍観者と無力は紙一重。

林の回想は、大賀が困難に直面している時に限られる。いつでも大賀はその困難を乗り越えて行く。林は大賀に羨望の念を抱いていたようにも感じるが、大賀は大賀で林に憧れている部分があったように思う。梶原のこどもの名前は「ひろみ」。これってやっぱり林の名前「博之」からとったんじゃないかな…オレンジジュースの件にしても。

誰がいちばん底辺だ?誰がいちばんの弱者だ?自分がいちばんの弱者だったら、それを誰に転化しようか?転化なんてしてはいけないのだ。でも誰もが考えてしまうことだ。ひとは決して平等にはならない。価値観の違い、と言う括りでは語れない部分の差別化。ドンづまりで終わるかと思っていたが、天井から数十本のバットがガララン!と落ちて来るあのラストシーンには解放感があった。気が滅入る解放感だな。河原さんの演出は映像、照明(特にラストの逆光)の扱いが丁寧でした。将棋をしているかのように的確に観ている者の気持ちを詰めて行く感じで、すごいなあと思うと同時に怖くもなった。

舞台で観るのは初めての水橋研二くん。6年と言うブランクは全く感じませんでした。微妙な表情の変化が巧いひとだけど、舞台でもいいわー。全身が観客の視線に堪えうる。身体が切れる、動きに無駄がなく綺麗。約100分の上演中、袖にハケるのはたった1回、それも約20秒。出ずっぱりです。なのに疲労感が見えない。その反面役柄上での消耗はありありと感じられる。…恐ろしい子!((C)姫川亜弓)千秋楽のカーテンコールでの、堂々たる座長っぷりも格好よかったです。MIOさんの言った通り「本番に強いコ」だ…。

仕事が全く出来ずに上司にいじめられている、でもキックボクシングの覚えがある。その気になれば強者になれる、だけどその力を使わない増渕役のカリカ家城さんが面白かった。笑いをとる役回りでもありましたが、上司に問いつめられている時の表情が結構ヤバくて。初見時はあ、キレるんじゃないの…ってドキドキした。こういうひとって笑いを封じてもすごいことやらかしそうだなあ。他の役でも観てみたい。

梶原が大賀に「あなたは私の要らないものばかりくれる、私が喜んでくれると疑わない顔で。私が喜ぶのを待ってる」てなことを言うところがあるんですが、これって先日あった、娘との交際を許してくれない父親に、自分の小指を送りつけて「この指と引き替えにお嬢さんを!」って事件のようなことですかね…(違う)いや、このひとにしてみれば「私の為にそこまで!」とかって喜んで貰えるかなと思ったのかも知れないし。コミュニケーションて難しいね。

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■先週のTOP OF THE POPS
マニックス。ジェイムズフライングV使用。デカい…ギターが。その分ますますジェイムズがちっちゃく見える…リスみたいだ…。「THE LOVE OF RICHARD NIXON」をやったんだけど、全部下のパート唄っててちょっとビックリした

■一昨日のめざましテレビ(書いてるのは27日)
新井浩文くん特集が10分近くも!(ここでダイジェストが観られます
目ぇ覚めたよ!ドラマ以外では初のTV出演だったとか。確かに〜素の新井くんをTVで観るのは初めてだ…。きのこ採りとか卓球とかしてた。『血と骨』、試写観てきたひとが揃って「新井がすごかった!」と言うのですっごく楽しみだよ!

■クリストファー脱退
くるり。おいおい。ドラムがいつかないねえ…。矢野顕子さんの新譜で、くるりとやのさんのコラボ曲にひとつもクリスが参加してなかったのであれーと思った矢先でした。クリス国に帰るのかな…何があったか知らないが残念。おつかれさまでした

■で、そのやのさんの新譜
ハラカミくんとの2曲が最高です!あーやっぱさとがえるツアー行こうかな。トリオ編成で聴きたいんだけど、東京ではくるりとなんだよね。いやくるりは好きなのですが、アンソニーとクリフとのしのぎ削り合い!なスリル感溢れるライヴでこそやのさんは観たいもので…うむーどうしよう。それともトリオもやって、くるりはゲストで数曲なのかな?



2004年10月23日(土)
『夜叉ヶ池』

『夜叉ヶ池』@PARCO劇場

えー…地震の中での上演でした。めちゃめちゃ怖かった…そういう状況も踏まえての感想です。ネタバレしつつ長いです。

この日のソワレ開演は18時。開演数分前にぐらっときて、余震も長く続きました。天井の照明が揺れてぶつかり合い、キィキィ言ってる。2度目に大きく揺れた時は悲鳴もあがり、席を立ってロビーへ出て行くひともいました。10分ほど遅れてスタート。

しばらくは滞りなく進んだのですが、やはりじわじわ揺れる。これはヤバいんじゃないの…と不安になった時、晃=武田真治くんが「すごい地震だな」とアドリブを飛ばしてドッとウケる。緊張がほぐれました。しかしその後も揺れが続き、百合=田畑智子ちゃんと学円=松田龍平くんふたりっきりのシーンでまたグラ〜。体感する前に、照明や装置がきしんで音をたて始めるので、恐怖感も増すんです。百合が学円に傘を押し付けて「帰ってください!」と言うところでゆさゆさっと来てうわっ、と思った時!絶妙のタイミングで晃が出て来てひとこと、「ちょっといったん止めようか」。ナイス!

智子ちゃんがかなり怖がっていて、百合が部屋へ逃げ込むシーンだったので丁度よかった。百合が晃のところへ駆け寄って、晃も百合のことを気遣う仕種。夫婦のラブっぷりが出て、逆にいい効果になったかも…なんてのは無事終わった今だから言えることですが。晃と学円が「地震だな」「ああ、地震だな」と言いつつ、しばらく様子を見ました。20〜30秒ほどして自然にお芝居を再開(どうやって再開したか憶えてないくらいさりげなく続きを始めた)、「なんでお前は白髪になってるんだ、地震によるストレスか?」等アドリブを交え、観客を和ませつつの進行がしばらく続きました。

これは仕方がないよ…いや、むしろ止めてくれてよかった。ショウマストゴーオンってのは無理矢理進めることではないよ、臨機応変してこその舞台だよ。生ものですからね!役者さんたちの判断は立派だったと思います。強引に芝居を進めても観客の動揺は増すばかりだし、9階にあるキャパ500前後の劇場でパニックになったら人災も有り得る。帰宅して確認したら都内は震度3くらいだったそうですが、体感震度はもっとあった。劇場内なので外部の情報を知ることが出来ないし、かなり不安感がありました。正直言って中断で気持ちをリセットする迄は芝居に集中出来なかった。普段そんなに地震って気にならない方なんだけど、あまりにも揺れが続いたし、やっぱり怖い!避難経路はどうなってるんだっけ、エレベーターは使えないだろうから階段だよなあ、てなことを考えちゃって…。結局終演迄4〜5回揺れました。そんな中、客席の反応を窺いつつ的確な判断、言動をとった武田くんと松田くんはお見事でした。

そんな中、気付いたところをちょこちょこ。

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■いちばん気になったのは脚本。口跡が汚な過ぎるなあと…。わかりやすい言葉遣いにしていたのは良かったと思うけど、白雪の「キモい!」とかはなあ(これアドリブじゃないよね?アドリブだったら演技プランのミスだと思うよ…)。ここ迄崩さなくてもいいのにと思った。思いびとに会いたくても会えない白雪の苛立ちを表すにしても、あまりにも乱暴過ぎる。他にも、言葉を崩したところでとる笑いがちょっと多いかなと…。話の本筋にも、そのまま笑える要素は沢山あるだろうに。長塚くんが書くおんなのひとの言葉は時々ひっかかるなあ。どうしてこういう風に書くのかなと言う興味もわくけどね…。

■この戯曲には見事な普遍性がある。終盤の晃、学円と、鉱蔵をはじめとする村人たちとのやりとりに顕著だ。鐘など鳴らさなくてもいい、バカなしきたりだと言いつつ、村の娘を生贄にしようとする。保守的過ぎる故に問題の解決を慣習に求める者、国を思うと言っておきながら自分のことしか考えていない者。人間の矛盾と愚かさが浮き彫りだ。ここがキモだろう。これがあれば、ヘンに今風に書き換えなくても、観ているひとにテーマは伝わったと思う。あービシビシ書いてますが長塚くんの書くオリジナルの話は好きなんですよ!(フォロー)

■三池演出をいちばん感じたのは、男衆が百合を追っかけ回して捕まえて牛にくくりつけるシーン。女をいたぶる演出うまいよねー(苦笑)全体的に手堅い演出だったと思います。好感持ちました。

■武田くんを舞台で観るのは『身毒丸』初演以来。百合を大好きな晃。晃を大好きな百合。人目を忍び、慎ましく百合と暮らしてきたのにあんなことになって…。それ迄のふたりの仲睦まじさが本当にかわいらしかったので、晃の怒りと悲しみが爆発するシーンは本当に痛ましかった。百合が死んじゃった時の狼狽、嘆き振りもよかった…よかったって言うか、こっちの胸も締め付けられた…。久々の舞台でしたが、これを機にまたコンスタントにやってほしいな。動きも切れるし、もっと舞台で観てみたいです。
智子ちゃんはもーほんとかわいらしくて!晃が大事にするのもわかります。声もいいんだよ〜この声大好きだ!百合はホントにいいコだった〜。龍平くんは何ごとにも動じない大物っぷりを見せてくれました。地震の時も淡々と芝居進めようとしてたしな…。武田くんのアドリブをうまく受け取ってもいたし。ボケっぷりが天然みたいでおかしかった(笑)松雪さんの美しさはすごかった…出てくると場の空気が変わる。ホント妖精みたいだった。あの言葉遣いがなければもっとよかった…。
舞台経験の少ないメインキャストでしたが、いいもの見せてくれました。

■晃、百合、学円、白雪以外の役者さんは、村人と魚・植物の役両方を演じます。敵対する二者を同じ役者が演じる構図は面白かった。これ原作もそうなのかな?(これから読む)平均身長高い!晃と百合がちっちゃい分、すごい威圧感。見映えも良く、アンサンブルもまとまっていました。魚類の衣裳に金魚みたいな赤いひらひらがついててかわいかった。椿や姥の衣裳もペチコート付きの真っ赤なドレスでかわいい。
きたろうさん、エンケンさんは鯰、蟹の時はコミカルな役回り、村人の時は利己的でいや〜な人間像で、対比が面白かった。萩原聖人さんの鯉は可哀想だったなー。結局最後は学円と取り残されちゃうし。残される者ってやっぱりしんどいし、つらいよ。

■舞台の丹波哲郎さんを観られたのはいい思い出になりそうです。弥太兵衛の時はぐだぐだで(笑・あの「じしんっ、じしんがなっ」ってところはなんだったんだ!かなりの反則技)万年姥の時は思いきり台本読んでましたが(ははは)、その朗々とした台詞に威厳があること!なんかもーねー、いちばん異界のひとっぷりがハマってましたよ…いやあいいもん観ました。

■会田誠さんの美術は、装置に関しては実現が難しいプランだったそうで(TV Bros.掲載の会田×三池対談に詳細あり)彼の色が出ていたのはロビーに置かれていた水槽。物語のその後を表したかのような作品だったので、開演前はカヴァーがかけられており、終演後のみ観られるようになっていました。水底に沈んだ鐘と、そこに漂う晃と百合を模したブロンズ色の像が飾られていました。晃の顔が武田くんそっくりだった。
トイレの壁面全体に特殊な塗料(虹色みたいなやつ。シャボン玉の表面みたいな色)が塗ってあったんだけど、これは舞台のイメージに合わせた改装だったのかな?会田さんがもともと舞台美術に蛍光色を使いたいと言っていたので、ここに活かしたのかなあ。結露のような、滝のような水のイメージのトイレになってましたよ。男子トイレはどうでしたでしょーかー。来月PARCO劇場にはまた来るので、その時どうなってるかまた確認してみよう。

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この日は地震の他にも、傘が曲がっちゃったり様々なトラブルがあったようですが、それはそれでこの日この回しか観られないものだったってことで…あーでもやっぱりもう一度、ちゃんと観たい。終演後、早く地上に降りたくてそそくさと劇場をあとにしたもんだからパンフ買い忘れたし(泣)水槽ももっとじっくり観たかったよー。



2004年10月21日(木)
MANIC STREET PREACHERS『LIFEBLOOD』+α

■『LIFEBLOOD』MANIC STREET PREACHERS

音質がキラキラしている。かなりニューウェイヴ色が強い。ジェイムズの声がまた違う印象。こんな声も出るんだ…。いい曲ばっかりでどうしよう。どれもシングルカット出来そう。1曲それぞれ約3〜4分、12曲。コンパクトにまとまっている。

詩を読むとギョッとする。ニッキーは屈託のない、いい笑顔をするひとだけど、こんなことを考えている。

普段ボーナストラックはおトクで歓迎派なんだけど、これに関してはオリジナルの構成が素晴らしく、「CARDIFF AFTERLIFE」以外の曲で終わるのにとても違和感がある。12曲目が終わるといったん切ってしまう。ボートラの2曲自体はいい曲です。

いつもいい意味で期待を裏切られる。アルバムごとに音がガラリと変わる。しかし彼らの姿勢は一貫している。パンクとはこういうことなんじゃないか?ファッションではない、カンタンな曲ではない。ガナらなくても怒りを表現することは出来る。

寄り添う歌ではない、でも、ずっと側にある。

うーん、あんまり言葉が出ない。いい意味で。

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■『THE HOLY BIBLE 10th ANNIVERSARY EDITION』MANIC STREET PREACHERS
これも楽しみで。そう、『THE HOLY BIBLE』が出て10年。今年はそういう年です。いろんなところで言われてるけどこれ、カナダ盤だけが格段に音が違う(いい意味で)らしい。リマスターしなおすってことなので、それに近付けてくれるのかなー。DVDも楽しみ。
初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。このアルバムのツアーはリッチー失踪で中止になってしまった(実際には来日決定→アメリカへのプロモーションツアーが決まったので来日中止→リッチーいなくなる→アメリカ行き中止)ので、ライヴで曲をあまり聴けていない。今度のツアーでは何曲かとりあげられるかな

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■親の心子知らず
iPodが当たると言うのでサントリーウーロン茶のシールを集めてカンフーガールを育ててました。シールに記載されている番号を入力すると、女の子があてがわれる。ポイント追加するごとに修行メニューが3択で出てくるので、選んで修行させるんだけどこれがもー思うようにならない。お茶摘みさせると飽きる。勉強させると寝る。体力レベルはあがっても知力がなかなかあがらない。ロン毛の頃のアンソニー@ペッパーズに似ていたので、女の子なのにアンソニーと名前を付けたのがいけなかったか。でもアントワンはインテリちゃんなのにな…何故だ…。
16ポイントになるとカンフー大会に出場、勝ったらiPodが貰えます。…簡単に負けました。ダメじゃん!(泣)
今になってみれば、ウーロン茶16本分に注ぎ込んだ金をiPod購入予算に充てた方が良かったのではと思う。遅い。
しかしカンフー大会が終わるとアントワンともお別れな訳で。今どうしてるのかしらん

■ニュース23
昨日の特集でVOTE FOR CHANGE TOURが取り上げられてた。R.E.M.出てた。ブルース・スプリングスティーンと「MAN ON THE MOON」唄ってた、おおお。歌詞に字幕付。集合写真と、ステージのはしっこにエディもいた。
これのレポートをしていたTBSのひとって、今出てるミュージックマガジンに寄稿してる。興味深い記事だった

■おー
ASHの来日も決まってる!1月17、18日@SHIBUYA-AX。前回のワンマン、仕事で行けなかったんだよね…しかもそれ、9.11の翌日だったと言う。異様な雰囲気になってて、メンバーもどうしたもんだろうと戸惑い気味のライヴだったと行った友人が言ってた。今度は笑顔で会えるかな

■今日のびっくり
ウチの最寄り駅の改札で前にいたひとが、同じ電車に乗って、同じ駅で降りて、ずっと前を歩いている。え、まだ一緒?まだ?と思っているうち、ウチの職場が入っているビルに入ったよ!別フロアのひとらしいがビックリした…あっちも跡つけられてるみたいで怖かったんじゃないだろうか…



2004年10月20日(水)
週末くらい迄このバナーで

浮かれてマニックス新譜リリース記念タイトルバナーなんぞ作ってしまいました。今日出ますからねー。と言うか通常ショップには1日早く入荷するのでもう手元にはありますよ…て言うか今聴いてる。

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■そんななか

$さんの日記を読んで思い出す、レディオヘッドのDVDが出るんだった。『Hail To The Thief』がらみの映像集で、未発表曲も収録されるとのこと。バンドは『Hail To The Thief』で東芝EMIとの契約が満了しているので、今のところw.a.s.t.e.以外では販売の予定がないらしい。

と言う訳でw.a.s.t.e.に行ってみた。日本で観られるNTSC方式も販売しているので予約した。12月頭に発送されるとのこと。送料込みで¥3,000てとこです。

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■レディオでトムと言えば
R.E.M.、スタイプさん(笑)武道館行くぞー。って、チケットとれますように!10年振りだって。来ない来ないと言われて10年か。前回は行ってませんよ…なので初めて観るんです。楽しみだよう(チケット…と、とれるよな…)

■R.E.M.と言えば
彼らもVOTE FOR CHANGE TOURに参加してますな

■『INERTIA CREEPS』MASSIVE ATTACK
さっき迄のBGM。前夜祭ってことで(笑)これのマニックスミックス好きなんだよねー。ジェイムズの初リミクス仕事。ギターが“らしい”!
マッシヴと言えば『DANNY THE DOG』のサントラ試聴したらすっごい格好よかった。国内盤出たら買おうかな。映画も楽しみ

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それではどっぷり『LIFEBLOOD』聴いてきます。よく見たらアートワークがセクシーだ、ウマい!これはweb上の小さな画像では判らなかったわー。先に歌詩対訳と解説を読んだ。「1985」の“生涯の友たちを 俺は集めた モリッシー&マーが そのきっかけだった”って字面だけでも涙腺が緩くなり。やばいやばい。「FRAGMENTS」の詩だけニッキーのお兄さん・パトリックが書いてるようです。

ミッチ池田氏のコメントにもジーン。

「俺もそうだけど、若い時は駄目だったら死んじゃうのもカッコイイけど?
 いま歳をとって思うことは、それでも頑張って生きてることはもっとカッコイイ!

 本当のパンクス達もいまは50歳くらいかな、これが事実さ!
 俺は今だってパンクスだぜ!」



2004年10月17日(日)
『東西狂言の会』+α

『東西狂言の会』@三鷹市公会堂

上方の茂山家と、江戸前の野村家が一緒に観られる贅沢な会。チケットとれてよかったよー有難う周防さん!『寝音曲』と『業平餅』が上演されました。

上演前に石田幸雄さんが出て来て、各曲の解説を。演者によって曲の印象が変わると言うことや、流派の違いはどこに現れるか、等をわかりやすく説明してくれました。おーまかに言うと、上方ははんなりとかわいらしい、江戸前はガチッ、パキッと男前と言うか。同じ手の動きでも和泉流(野村さんとこ)だとげんこを握る、大蔵流(茂山さんとこ)だと掌を開いている、てな感じだそうです。

『業平餅』は、市井のひとびとを描く狂言には珍しい有名人(セレブだな(笑))の話なので、衣裳等も通常のものとは違うと言うことや、セレブは普段どんなことをしてどんなことを考えているのかしらと言う、町のひとびとの興味をすくいあげているものでもあると言うお話も。

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『寝音曲』
太郎冠者:茂山千之丞、主:丸石やすし、後見:月崎晴夫

主が太郎冠者の謡を所望するが、面倒な太郎冠者は飲まないと謡えない、嫁の膝枕がないと声が出ないとごねる。主は酒を与えたり自分の膝を嫁の膝と思えと枕してあげたりする。そのうち酔った太郎冠者は前後不覚になり、膝枕されると声が出なくなり、座らせると謡ったり。

まあ飲ます飲ます酒を(笑)あんだけ飲めば酔うだろうよ!いや勿論本物は飲んでないですよ!しかしうまそうに飲むんだよね、んぐんぐと。解説されていた、膝枕される太郎冠者の仕種がかわいくてニヤニヤ。確かに口調も柔らかい。主がツッコみで太郎冠者がボケかい!てなほのぼのしい演目でした。仲良さそうでよろし。このふたりは明日も同じことやってるんじゃないでしょうかねーとは石田さんの解説です。

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『業平餅』
在原業平:野村萬斎、傘持:野村万作、餅屋;石田幸雄、法衣:月崎晴夫、稚児:野村裕基、随身:小宮正三、沓持:野村良乍、餅屋の娘:高野和憲、後見:破石澄元

参詣途中に空腹に襲われた業平。でも身分の高いひとの常でお金を持ち歩いていない。途中あった餅屋さんの前でじんねり。そのうち餅屋の主人が業平に気付き、うちの娘を宮仕えさせたいんで連れて行ってはくれないかと娘を呼びに行く。その間ラッキーともりもり餅を食べる業平、喉につまらせちゃったりしています。いやそれ以前に無銭飲食。連れて来られた娘は被布を被っていて、色男の業平はうふふうふふ、連れて帰って被布をおとりようふふふふ、と言っても娘は嫌がる。なんでだよう、とりなようととってみたら娘はブチャイクちゃん、腰を抜かす業平。傘持に「お前嫁がほしいって言ってたよな!このコどうよ!」と勧める。傘持も腰を抜かす。男たちは逃げまどい、娘は追い掛ける。

ひゃー裕基くんが出るなんて知らなかった、かわゆい!前回観た(と言っても殆ど見えなかったんだけどね…オペラシティ能は貧乏くじひいた…)時はお猿のお面を被っていたので、生の(笑)素顔を見るのは今回が初めて。親子三代が観られるなんてラッキー。

萬斎さん綺麗だったー。身分の高いひとが着る、豪奢な衣裳も似合う似合う。見た目の美しさとは裏腹に、役柄はかなりアホなコで…ば、バカ殿キャラ。お餅をじーと見る目がホントうらめしそう。「おもち…おなかすいた…おもち…」って感じで。「お餅を差し上げるにはお足下が…」と言われて真顔で「え、足でいいの?」とホントに足を出しちゃったりするし。大ウケです。その後「謡ってあげるから(お餅くれよ)!」てな感じで謡うんだけど、それもどうよ。あとかわいらしく見えたのは姿勢のせいかな。首をちょこんと出して前傾姿勢、様子を伺うサマが何だかお茶目。

ブチャイクちゃん(おかめ面を被っている)の顔を見た時の驚愕の顔も面白過ぎた。万作さん演じる傘持に娘を押し付ける時の押し問答も大ウケ。「嫁をそろそろと言っていたではないか!」「(そんなこと言ったなんて)忘れました!」場内爆笑です。これからは都合が悪くなったら「忘れました!」って言おう、そうしよう。

この演目を既に何度か観ているきたはらさんによると、娘のキャラクターの違いが面白かったそうです。以前観た時は「あの娘さん可哀想…」と思ったそうなのですが、今回は「きっと居座るな」とのこと。確かに強そうな娘さんでした。「待って〜」と言うより「もう逃がさん、待たんかいコラ」てな感じだった(笑)

帰りにやまこさんオススメの中華のお店で夕ごはん。おいしかったです!三鷹市公会堂は初めて行きましたが、見やすいホールでした。傾斜も高いし、扇形の席配置。能舞台は屋根は取り払った状態で、柱は名残りのみでしたが、その分どの角度から観ても見やすかったのでは。自分が観た席は、驚愕業平の表情がバッチリ見える角度でラッキーでした。

あー面白かった。また観たいです。

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■さりげに決まっていてビックリした
R.E.M.が来日!3月16日、日本武道館!



2004年10月16日(土)
岡村靖幸『Me-imiツアー』追加公演

岡村靖幸『Me-imiツアー』追加公演@NKホール

どんつくどんどんどんだんだん、まごーまごーのへぽたいやー、ぽー!

岡村ちゃんでございます。リアルタイム思春期に聴いてましたよはっはっは。そして今も聴いてますよはっはっは。天才!松田聖子!ビートルズ!プリンス!紫色!思えば活動休止前のNKホールも行っていた。弾き語りコーナーで聖子ちゃんの「SWEET MEMORIES」を唄いつつクリスマスなのに僕はひとりで部屋でファミコンやってたぜべいべえ〜♪と唄っていた。確か紫色のビキニでベッドでもだえてみようぜベイベー!なコーナーもあった。一時復帰の武道館にも行っていた。姿形の膨張っぷりに愕然としつつも、すんごい切れのいいダンスを踊っていたのに驚愕した。それもあれも皆彼にしか出来ません。オンリーワン。

親子連れもいたりして、年齢層も広い。結構若い子が岡村ちゃんTシャツとか着ていてさ。ああ愛されてるね!

とにかく楽しませようって思いがあったのか、メドレーに次ぐメドレー。あれも!これも!ぎゃー!ぎゃー!てなもんです。1stでヤラれた口なもので、「OUT OF BLUE」や「YOUNG OH! OH!」はフルで聴きたかった感もあるんだけどもうね、ショウマンシップ溢れる彼のなんて言うんですか、見せる!魅せる!美せる!味せる!な心意気が!鍋で言ったら肉肉肉!や、野菜も食べようよ岡村ちゃん!灰汁もとろうよ岡村ちゃん!あ、でも灰汁はとってたかな。3部構成になっていて、間に休憩が15分ほど入ると言う。流れが分断されちゃうかなと思ったけど、各コーナートップからアクセルベタ踏みの展開なので、こっちもテンション上がります。ファンキー!宇宙は見えるところまでしかないぜ!

いやーもう「だいすき」でガン泣きしてしまいました。アホですか。いや、いいんだ、愛には愛で応えますよ!

「(E)na」ののろのろアレンジ面白かったなあ。メドレーも多かったからか結構アレンジが変わっていて、今時の音にしていたりするんだけど、何にしても岡村ちゃんがハウスをやったら、とか岡村ちゃんがディスコをやったら、と言う岡村節になっているのが面白い。ファンクは根っこにあると思うけど、それも勿論彼の解釈からのファンクだし。で、それを青春時代に聴いてるこちらからすると、いい具合にお腹に入るんだよね…ああ何を言ってるかわからない。

何はともあれ靖幸ちゃん、やるなら常に全力です。高音が出づらくなっていたようだけど、キーを落とすとかしないのね。ギターのカッティングにしても手首のスナップ使うんじゃなく腕全体で力弾き!と言う感じで、弦が切れる以前にギターの本体が割れるんじゃないかってな程で。でもこのひとの弾くギター好きだわー。上がりきらない高音も好きだわー。オンリーワンだからね!ある意味不器用さも感じます。でもそこがいいんだよ…好きなんだよ…。

身体には気を付けて!これからも靖幸ちゃんでいてください。自分が死んだら棺桶に入れてもらおうと思ってるアルバムって何枚かあるんだけど、その中に靖幸ちゃんは入っているよ!迷惑か!そうか!ごめんな!



2004年10月14日(木)
『バット男』初日+α

クリオネプロデュース『バット男』@シアターサンモール

ノー!遅刻したー!!打ち合わせが終わらなくて…と言い訳など。「(幕開き)30秒くらいだったよ」と言われたが、尚更悔しいわー!電車が1本早ければ!いやそれ以前に自分があと30秒早く走っていれば!うあー。しかもそういう時に限って最前列。すみませんすみません…。

と言う訳で千秋楽にきちんと観てから感想は書こうと思うのでとりあえずこれだけ。

■水橋くん。「マヤ…おそろしい子…!」でした。すごいわ。舞台6年振りて、嘘やろ!と言いたくなる

■話題の原作はこれから読む。脚本の感想は、倉持さんてひとのさりげに怖ーい態度をそろっと見せるのがうまいなあと。嫉妬とか、羨望とか、そういうぬらぬらしたのを隠したいひとが、その感情を抑圧してる時にどういう顔を見せるのか、とか。そういうところが

いやはや初日でこれなら…。リピートが楽しみです。あ、おーもりくんや有起哉くんからお花が贈られてましたよー。

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■入ってた!
『MAYONNAISE』タワーにも入荷されてたよー(泣)新宿店では試聴出来るようにもなってます

■「銃は持ってないって誓うよ。本当さ。銃は持ってないんだ。」
峯田くん@銀杏BOYZのブログ、15日のタイトル。ピンとくるひとはNIRVANAファン。この訳、好きだったな。それにしてもカートはよう、こんなこと唄っときながらよお〜と今ここで言っても仕方なし



2004年10月13日(水)
山の手事情社『Yamanote7481 ―オイディプス@Tokyo』

山の手事情社『Yamanote7481 ―オイディプス@Tokyo』@青山円形劇場

ギリシャ悲劇を東京に暮らすひとりの女性の悪夢として表現する。どういうことだ?と思っていた。幕開き、化粧水をパッティングしながら部屋に入って来る女性がひとり。ふたり。増えて行く。とりとめのない会話が始まる。部屋は、舞台上の箱の中にある。

そのうち部屋の周りを黒装束の男性たちが囲みはじめる。以降彼らは『オイディプス王』における重要な役割・コロスと、女性たちの髪をつかんで部屋から引きずり出す、あるいは外部から女性を担いで来て部屋に投げ入れる役割を果たす。キャスト表には“運命”と言う役名がついている。運命たちは女性を部屋に投げ入れ、オイディプスの登場人物たちの台詞を小声で囁く。それに続くように女性たちが台詞を語る。ギリシャ悲劇の上演が始まる。

プロンプターの形式をとっていたような運命たちは、やがて登場人物たちを凌駕し始める。男性は部屋に入れないが、山本さん演じる盲目の予言者・テイレシアスと、浦さん演じる隣国の使者だけは部屋に迄入って来る。どちらもオイディプスの運命を握る人物だ。

予言者は部屋の外でオイディプス自身や、予言に従ってオイディプスの足に鋲を打ち込み捨てた先王を演じる。この再現されるシーンの、男優たちの動きの統制が素晴らしい!群唱もピタリと合う。言葉が明瞭。『jam』の後に観たので、ああこういうところに身訓の成果が出ているんだな、と思う。アクションのビジュアル、スピードも見事。こういうの観ると、今後観る殺陣が皆もたもたして見えそうだ…。山本さんの動きはホント切れる。武士と言われるのも判るわ(笑)

東京に暮らす女性の…と言う構造は、運命たちが女性を陵辱するような視覚的ショック(男優が女優の髪を掴み、よつんばいで退場させる所作等)により、力で争いを治めようとする矛盾と不快を表現するには非常に効果的だったと思うが、その東京での生活を見せるシーンにどのくらいの効果があったかと言うと…うむー。おしゃれしたり、食事したり、他人がもっているブランドものがほしくなったり。と言うところがね。あとビニール袋を被って誰彼ともなくキスするシーンは、避妊出来てれば誰とでも寝ちゃうよってなことだろうか。これは私の解釈が直接的過ぎるかなあ。

でもこれらの生活の描写がないと、最後のオイディプス=内藤さんのモノローグがあそこ迄重く響いてこないだろうし…(これはズシンと来たー。隣のひとは泣いちゃって終演後も立ち上がれないでいたよ)うーん、難しいな。おとなこどものシーンにしても、イオカステの自殺実況中継にしても、扱いが難しい。これは当事者以外の、無責任な群集や気の利いたこと言ってるようで実情を何も知らないひとたちのことを表しているとも思うんだけど。

怒りと暴力の連鎖は国を滅ぼす。やがて人類そのものも滅ぼすだろう。当事者たちは同時に犠牲者たりうる。そして当事者はそれに気付いていない。気付く余裕などある筈がない。自分を振り返る、見つめることが出来ない。ZAZOUS THEATERの『Thirst』は『ホロン革命』とリンクされたオイディプスの翻案で、「人類は確実に滅亡する」と言うテーマに基づいたものだった。それを喚起させるテーマが、2500年前の作品にあると言うことか。サスペンス的な構造や自分探しの要素もあるが(オイディプス、気付けよ!こんなに条件揃ってるじゃん!とツッコミながら観る面白みもあるし(笑))、悲劇には違いない。

うん、そうだな。最近は「それはいつかな」と言う興味も湧く。そろそろじゃないか?そんなに先のことではないだろう。

そうそう、安田さん今度『ハムレット』の演出するそうです。観たい!面白くなりそう!が、上演が香川県なのだ…。ううー。



2004年10月12日(火)
最近もの小ネタ+『溺れた世界』補足

■『TWENTYSOMETHING』JAMIE CULLUM

レディオヘッドの「HIGH & DRY」をカヴァーしている、今年のフジロックフェスかっさらい大賞、ちびっこ、かわゆい、本国ではアイドルなみの人気、ベン・フォールズなみにピアノへ暴力を振るう(笑)と数々の噂が伝わって来て気になってて、試聴してみたらこりゃーいい。来日記念盤を購入。ビデオクリップ収録のDVDとの2枚組。

声とルックスのギャップにまずびっくり。ハスキーな声です。オリジナル曲もいい、スタンダードとポピュラーのカヴァーが違和感なく並んでいる。そのアレンジっぷりも面白い。「I COULD HAVE DANCED ALL NIGHT」はリズム隊ともども格好いい!

「HIGH & DRY」はトムの声以外では考えられなくなっている程の曲だけど、知らないひとが聴いたらジェイミーのオリジナル?と思うのでは…と言う程にアレンジも唄も馴染んでる。訳詞がレディオのそれとはまた違って面白いです。結構この歌詞の解釈って難しいよね。いやしかしこれはかなりいいですよ…試聴した時泣きそーになっちゃって、ここでこれ以上聴いたらまずい!とレジに急いだもんね。

ライヴの基本はトリオのようですが、アルバムでは弦ものも取り入れてます。ジャズヴォーカルに分類されてましたが、ピアノも結構面白い展開で弾いてる感じがする。

うーライヴ観たかったよ!ワンマンで来日してください!

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■『SCAR TISSUE』ANTHONY KIEDIS, LARRY SLOMAN

アンソニーの自伝。今のところ邦訳版が出る予定はないとのこと。今のバンドの状況からしても、いずれ出そうな気もするけど(シ●コーミュージック辺りから(笑))装丁も変わるだろうし、がんばって原書も読もうかなー

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■『BLINKING WITH FISTS』BILLY CORGAN

ビリ公も詩集を出したよ!表紙がかわいい、でもきっと「i'm ugly」てな内容なんだよ〜。ガラスの心の身長192cm。曲も出してね…ちゃんとリリースして、サントラも音源出してください(涙)

ソロアルバムの準備も進めてるそうなんだけど、ひとりでやるとどうなるかね。アコースティックメインになるのかなあ、そしたらこのひとのメタルっこ魂はどうなるのかなー。

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■身長と言えば

トム・ジェンキンソンくんの身長195cmてマジですか。kaollyさんが書いてたやつを読んで久々に思い出し。た、確かにそれくらいあるかも…そんな身長ベース弾くのにいらんやろ…

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■『溺れた世界』補足

うーん尾を引くなあ。いろいろ考えてしまう。やっぱりターラが気になる。ターラって、ずっと自分の意志では動いてなかった感じがしたんだよね…ジュリアンを刺したのも、髪を切ったり歯を抜いたりしたのもジュリアンに促されてのことだったし。で、自分の意志で動いたのって、最後に外に出て行った時で、これってジュリアンのところに行きたかったからかなと…となると死にに行ったとも思えるけど。でもそれは叶わなかった訳で。唯一自分から行動を起こしたのに。

他の3人は自分から動いた結果がああだった。ひとは平等ではないけれど、死だけは誰にでも等しくやってくる。その時期を自分で選ぶか選ばないか。ターラは選ぼうとしたのだろうか?あーリピートしたいよー。



2004年10月09日(土)
『恋の門』『溺れた世界』

台風の中ハシゴ。

『恋の門』@シネマライズ2F

初日初回舞台挨拶付き。松尾さん、龍平くん、若菜ちゃん、羽生生さんが出席。龍平くん喋るようになったねえ。以前より、だけど。「台風の中こんなに沢山のひとに来て頂いて…」ときちんと感謝の意を表してました。その後は喋る気もなかったようで、マイクをポケットに入れてしまってました(笑)松尾さんスーツ姿が決まってました。

リピートするので本編の感想はその時に。私は非常に楽しみました。痛かったし面白かった。大竹しのぶさんのメーテルがかわいすぎた。何で似合うんだ!すごいよ!

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午後から仕事(おつかれでした)のナミさんと別れ、ジェンヌと合流。ELECTRICに行こうってことで原宿に移動。EX'REALM(ここはほんとうまいなあ)でお昼を食べている頃から雨が強くなってきて、キャットストリートに着くと店が軒並み閉まっている。台風来ると皆帰っちゃうのね。嫌な予感がしつつELECTRICに着くとやはり閉まっていた…がーん。どしゃぶりの中ねこがふらふら歩いている、流石キャットストリート。屋根があるとこへ逃げれ!

仕方がないので早めに三茶へ移動。しかしキャロットタワーから出ると大変そうなので、タワー内をうろうろ。白井さんに遭遇してビビる。初めて展望台のぼったよ!雨の上空もまたよろし。

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『溺れた世界』@シアタートラム

うわーどっしりだ。こういうの大好きだ。リピートしたいなあ。以下ネタバレしてます。

美しい者が醜い者から迫害される世界。美しい者が発する輝きは、光量計を反応させる。美しい者は非市民として狩られる。美しい者に魅了され、彼等に協力した醜い者=市民たちは、拷問を受け殺される。その様子を撮影した映像は街頭で流される。

市民ダレンは非市民のターラとジュリアンを匿う。市民に捕らえられることを恐れたターラは、自分も死ぬつもりでジュリアンを刺していたが、それは叶わずダレンの力を借りることになる。生活は困窮していき、ジュリアンは衰弱していく。ターラはジュリアンと相談して自分の髪を切り、それを金に換えてくるようダレンに頼む。ダレンは市民のケリー(非市民を探す警官でもある)に髪を売る。ケリーは美しい者の輝きに憧れる。

中盤迄、不思議に耽美なSFみたいだなと思いつつ観ていたが、ジュリアンがターラの歯をむしりとった(歯も金になる。非市民の肉体は“売れる”)辺りから一癖あるなと感じ始めた。あくまでも舞台上は美しい。言葉の恐ろしさをひしひしと感じた。ジュリアンが焼けていく描写は本当に恐ろしく、言葉でひとは殺せるものだなと思った。

極端な話、思い込みは恐ろしくて、でも大事なものだと言うこと。ダレンはターラを汚したと思っている。でもそれで彼女を世界から救えたと思っている。実際その行為の後、ターラが街に出ても、醜い者たちは彼女に手を出さない。美しい者だと気付かない。輝きを失ったからだ。「僕達は仲間だ。同じなんだ」とジュリアンは言ったが、「僕の輝きの前には誰も手が出せない」と通りに出ていく。そこで殺される。

ダレンはターラを救えたと思っているし、ジュリアンとケリーはあの世とも言える世界で安らぎを手に入れたようだ。それではターラは?

美しい、醜いの基準に一応線引きがあったのがちょっとひっかかった。勿論心の中の美しさ、醜さも表現しているのだろうが、台詞に「肌が汚くて、歯ががたがた(記憶が曖昧だけどこんな感じ)」=醜い、と言うルール付けのような描写があった。これがあるとやはり見た目のことなのか?とも思えるし…。昨年のリーディング(キャストは違う)を経ての今回の公演なので、過程を観ていきたかったなあ。作者のゲイリー・オーウェンはウェールズ出身の劇作家。他の作品も観てみたいな。

哲司さん格好よかったー。「赤毛物、苦手で。俺がジュリアンなんて友達笑うだろうな」なんてプログラムで言ってたけどいやいやどうして。途中から裸足になるんだけど、それが何か…いいんだよねえ。ただ立ってる、ただ寝てる、と言うたたずまいに不思議な色気がありました。上原さくらちゃんはバラエティ等で観ていて怖いコだ!と思っていたけど(笑)容姿に似合った堂々としたターラを演じていました。暗い表情が美しい。立ち姿も綺麗。寝ているジュリアンの腰の辺りを優しく叩いたり撫でたりする動作がとても印象に残った。また舞台やってほしいな。

岡田くんは、残酷な言葉が並べられる台詞を操る場面よりも、表情や目が印象に残った。ターラに振り向いてほしい、ターラに自分の目を見てほしい。そういう顔。ダレンって切ないよー。つみきさんは声に力があった。ある意味いちばんこの世で報われなくて、あの世で救われたようなキャラクターのケリー。彼女の最後の台詞は、つみきさんの声で私の記憶に残るんだな。

昨年の『宇宙でいちばん速い時計』とは一変、装置も何もないまっさらな舞台に映像や照明を映し込む白井さんの演出は『ファウスト』辺りから顕著になっている。モノトーンで統一された舞台、時間の経過や場所、登場人物の心境の変化を、役者への振付で表現する“型”も興味深かった。

ヴェルヴェットのインナーや、グラデーションに染め上げたドレス等、衣裳が特徴ある面白いものだった。『ママがわたしに言ったこと』の衣裳も手掛けた前田文子さんの作品。

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劇場を出ると、見事に台風一過の静けさ。雨も止んでいます。え、もう通り過ぎちゃったの?辺りに傘やら看板やらが散乱していて「すごかったんだ…」とやっと実感が。観劇していた時間に直撃したんだな…劇場の防音施設ってすごいなあ。



2004年10月08日(金)
山の手事情社『Yamanote7481 ―jam ゴールドブレンド』その2

続き。

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5. ものまね
世阿弥の『花伝書』にもある通り、ものまねは他者への観察眼の訓練になり、他人格に変身する感覚を掴む。自分の周囲にいるひとたちのものまねは、どこをデフォルメするかで面白さが格段に変化します。
この日は散々わからない説明をしたあげく他の病院を紹介する岩淵さんの医者、いいひとのふりしてさりげなおどしも挟み込むちゃっかり者の山田さんの勧誘員。面白かったー。

6. 三題 ショートストーリーズ
4チームが出来上がりを披露。役名は忘れたんで役者さんの名前そのままです。
陶芸品“冬のソナタ”を楽天に出品したことでもめるアトリエのひとびと。「あの芸術品を商品として出すなんて!」「素晴らしい作品だからこそ広く人々に知られてほしいの!」。言い争いの末、山本さんが出ていってしまう。表は台風。窯には冬のソナタが置いてあり、不安になる残されたひとたち。「出ていったら危ないよ!」「でも大事な冬のソナタが!」。すると山本さんが冬のソナタを抱えて帰ってくる。「山本さんはどんぐり工房のヨンさまだよ!」
これが個人的にはいちばんウケた…モチーフが出てきた時の微妙な笑いがたまりません。冬のソナタが陶器の作品名だってのがさ!アホかと!(笑)15分で考えたのにきちんと構成が出来ていてお見事。
その他3チームは、介護員に虐待される老人たち、記憶喪失の家族、ブルペンでの風景を披露。安田さんがどんどんダメだししていきます。「これはダメだな!」とバッサリ斬られた作品もあり。厳しー。

7. ルパム
Rhythm, Play, Act, Moveの頭文字をとった山の手独自のダンス。メソッドによって鍛えられた身体は独特のラインを描きます。ここらへんの劇団としての色は本当に面白い。きちんと成果が出ているってのがすごいなあ。

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歌舞伎や能楽等、伝統芸能は古典として残っているし、これからも続いて行くだろう。しかし“現代”演劇と呼ばれるものはどうやって残せば良いのだろうか?一度きりしか上演されない新作戯曲が多いのは、ストーリーの普遍性を持ち得ないからか?そしてある時代における現代演劇は、その時にしか価値がないのだろうか?

今の時代の現代演劇は、いずれ古典として残るものだろうか。伝統芸能を継承することなく、現代の演劇を後世に伝えることは出来ないだろうか?そして古典を現代演劇の方法論で上演することも、きっと有効なことだ。安田さんはここらへんをずっと考えているのだと思う。気の遠くなるような作業だが、その経過をリアルタイムで観て行けるのはとても面白いし、ラッキーだったなと思う。『印象 青い鳥』を観た時は、あの独自の“型”から古典の普遍性が浮かび上がったように感じた。これ、好きだったなあ。いつか再演してほしいなあ。

20周年記念グッズもいろいろ出ていました。パンフレットもデータベース満載、嬉しい内容です。長年山の手を観ている小森収氏の寄稿がとても興味深かった。そうそう、私も役者・安田雅弘が観られなくなったのは残念ですよ。カタログシリーズではダメだしとしてあの美声が聞けるので、ちょっと嬉しかったりします(笑)

ちなみに今回のタイトルになっている「7481」とは、山の手事情社が旗揚げしてから今回公演迄の合計日数のことだそうです。長いようで短い?これからもこの数は増えて行くんだね。

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■鳴海四郎氏死去
ご冥福をお祈りします。



2004年10月07日(木)
山の手事情社『Yamanote7481 ―jam ゴールドブレンド』その1

山の手事情社『Yamanote7481 ―jam ゴールドブレンド』@青山円形劇場

池田成志、柳岡香里、清水宏。この3人はかつて(あるいは現在も)敬意を込めて何と呼ばれていた?ピンポーン。はい、キチガイ役者です。さて、それではそのキチガイ役者3人がかつて在籍していた劇団はどこ?

ピンポーン、はい、山の手事情社です!

フリーエチュード、ハイパーコラージュ、四畳半と、独自のメソッドを確立して来た山の手事情社。創立メンバーで現在も残っているのは、主宰の安田さんだけだそうです。20周年記念公演として、リクエストで選ばれた3演目『jam ゴールドブレンド』『夏の夜の夢』『オイディプス@Tokyo』を同時上演。『夏〜』は初演を観ているので、『jam〜』と『オイディプス〜』の2演目セット券を購入しました。うーんでも『夏の〜』面白かったから、余裕があればまた観に行きたいなあ。

『jam〜』は常連客にはお馴染みカタログシリーズ。山の手メソッドを紹介する演目です。稽古と言っても面白いんだよね…金とれるもん。勿論公開するためにきちんと構成されているし、衣裳やセットも高クオリティです。どんな内容なのかは観てもらうのがいちばんなのですが、出来る限りをご紹介。いやホント、観てほしいな〜(誰に向かって言ってる…)『演劇は役者、役者は肉体』がどういうことかってのが垣間みれます。

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1. 柳家花緑の落語十席
ゲストの花緑さんが、「私はスペシャルゲストなんですよ!スペシャルゲストなのに前説ですよ!」と言いつつツカミを担当。当日配付のリーフレットに記載されている古典落語10本の中からその場でリクエストを募り、一席打ってくれます。本日は『初天神』。親子で天神さまにお参りに行くお話で、子供が露店を見て騒ぐ、親たしなめる、子供だんごねだる、親渋る、と言った描写を活き活きと再現。父親、母親、子供の3役を勿論ひとりで語る訳で、声色も表情もころころ変わり、客席はすっかり花緑さんペース。
そこへいつの間にか客席にいた安田さんが立ち上がってご挨拶。以降マイクを持って進行を務めます。

2. 歩行・二拍子
歩く姿だけでも役柄と言うものは見えてくる。いろんなパターンの歩行をマーチングのように見せていきます。
二拍子は合図に合わせて瞬時に動きを変え、止まり、スローモーションで動く訓練。これには身体だけでなく表情の動きも含みます。役者は感情も身体もコントロール出来るようにしておかねばならないんですね。悲しいことがあった時でも舞台上では楽しいなって役をやらねばならない事もある訳です。ですから、この訓練を通して…と安田さんが説明を続けていたところ、

3. 清水宏のフリーエチュード
もうひとりのゲスト・山の手OBの清水さんが客席に乱入!「知るかそんなこと!なぁ〜にが山の手メソッドだあ!(安田さんいる前で言うし(笑))観た事のない演劇をやるんだ!」とド・ド・ド・ド・どテンション芝居がスタート。うおーなつかしー!(笑)清水さんがどんどん役者に振付し、台詞を口立てで振って行きます。勿論脈絡はありません。役の割り振りも感覚一発です。役者は即対応します。ゲロになれと言われた三村さんはげろげろげろ〜て動作をして、清水さんに「違う!説明するな!ゲロになれ!ゲロそのものに!」とダメだしされ。第三舞台の「ちくわを説明するんじゃなくて、ちくわそのものになるんだよ!」思い出した〜。早大劇研の根幹ですか。
ひとしきり舞台と客席(そう、客も油断出来ないのです。振付されました)を混沌に落とし込んだ後、「通すぞ!」。あっこれ『SPORTS』だ!思わず10数年前の記憶がフラッシュバック。見事に通せるんですよこれが…通った暁には拍手喝采。演劇のカタルシスを感じる時です。
出演者は全員舞台にいるんですが、ここでは清水さんについていける(笑)ベテラン・中堅の役者さんのみが参加。新人くんたちは体操座りで待機しつつ、とばっちりが来ないか、いつ終わるのかと半笑いで様子を見守っていました。

4. ジャムセッション
フリーエチュードの発展型。どう身体を反応させるかだけでなく、頭の中ではどうやってこの目の前の空間を掌握すべきか考え続けねばならない。それでいて感覚一発が何よりも勝る瞬間もある。まさにジャムセッション。当然はじき出されるひともいて、それがまた逆転する瞬間もたまらない。声が大きけりゃいいって訳ではないけど、声が大きい(と言うか、声を通す力がある)とひとの注意を引きつけられるよね。
この日は演劇ラグビー(台詞を言っているひとより前に出てはいけない。出たらオフサイドってことではじかれる)でスタートし、腰の低過ぎる旅館、セクハラばかりしている会社等、爆笑に次ぐ爆笑、ひー助けてくれー。腰の低過ぎる旅館は文字通り皆どんどん低い位置にはいつくばっていくんですが、ここで「はーいもっと低くしまーす、がらがらがら〜」と天井を下げる動作で切り込んだ山本さんに大ウケ。惚れました。

ここでくじ引きを行い4チームに分かれ、客席からお題を募ります。出た時事ネタは楽天、台風、ヨンさま。このモチーフを盛り込んで、ショートストーリーを作る作業が始まります。その15分間は客は休憩時間。

長い!続きは次回。



2004年10月06日(水)
小林建樹+THE THRILL『music is life, life is music vol.18』

小林建樹+THE THRILL『CLUB Que 10th ANNIVERSARY ―music is life, life is music vol.18』@CLUB Que

CLUB Que 10th ANNIVERSARYシリーズの第18回。この組み合わせを考えたのは誰だ!私的には願ったり叶ったりだったんですが、両方好きなひとってどのくらいいたんだろう…小林くんはスリルのこと知らなかったらしいしなあ。と言う訳でちょっと異色な雰囲気のライヴでした。

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■小林建樹

残業遅刻で3曲しか聴けなかった…春以来の宮川さん(Drs.)、千ヶ崎さん(B.)との3ピースだったのに〜(泣)

それにしても音がよござんした。ツブが立った音がこのバンドには合うねー。ベースの音がすっごくクリア!いいリズム隊だ。最近千ヶ崎さんが宮川さんのルックスに歩み寄っていて、パッと見間違えそう。コンビネーションが良くなって来ている所以かな(笑)ナスノさんやバカボンのベースもよかったけど、このメンツになってから結構経つし、いいこなれ具合です。演奏的にはかなり難しい曲が多いと思うんだけど、耳触りはポップ。さりげなく高度に遊んでいるところが面白いし(皆さん隙あらばアドリブを入れる)いい緊張感のあるトリオ。

最初はドリンクバー付近の通路にいたんだけど(と言うか混んでて動けなかった)全くステージが見えないのでじりじり前進、やっと視界が開けて見えた小林くんはとても変な髪型をしていた。カチューシャで前髪全部をあげていて、それが後ろに流れないでライオンのたてがみみたいに立ってるんだよ…とてもヘンだ!(大笑)

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セッティング間にすいすい前に行け、2列目辺り(ステージから2mも離れてない)でナミさんと合流。新曲を結構やったらしい…うー。最初は普通の髪型だったけど、途中ああしたそうです。集中するあまり髪が邪魔になったんだろうか、単に暑かったんだろうか。

それにしてもスリルは総勢14人、Queのステージに入り切るんだろうか。GAKUちゃん側だったんだけど、手を伸ばせば触れそうなところにエフェクターが並んでいる。狭いよ!

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■THE THRILL

うわーいつ以来だろう、前観た時はまだ増井くんがいたような…多分7〜8年振りだ。メンバーも相当入れ替わっているかもと不安だったけど、見事に変わっていませんでした。「今のメンバー全員がくたばるまでやろうぜ」の心意気らしいですよ、いいぞいいぞ。と言う訳で、初見のメンバーはラッパの女の子、RIEZ!(りえ)ちゃんだけだったかな。このひとがまたいい音出すんだ!YUKARIEさんともども、スリルの女性陣はいい女かつ男ットコマエ!

9人分のホーンを2メートルの位置で聴けば耳も相当やられます。PA云々じゃなくて、地声ならぬ地音がデカい。でもいいの、幸せ〜!「スリルのテーマ」から、お馴染みの曲も沢山やってくれて嬉しかったな。今度のワンマン行ってみようかな。

Bsx.のブッ飛んだソロが2曲続くセットだったのでスマイリーさんが死にそうでした。笑顔なんだけど目に余裕がない(笑)曲間スマイリー回復待ちがあった(大笑)テノールがMC延ばす延ばす。宮崎でのライヴの告知とかしちゃう(笑)「スマイリーさんそろそろ行けますか?」と訊かれて「なんで俺に訊くんだよ!やってみりゃわかる!」とムキになってたスマイリーさんおかしかったよ…。いやはやホント、皆じーさんばーさんになってもやっててほしいものです。

MCと言えばテノールは、Que10周年おめでとうイベントなのに「Queが潰れるのが先か、スリルが潰れるのが先か!」「刺すか、刺されるか!」と縁起の悪いことを言ってYUKARIEさんにたしなめられていた。どっちも潰れる迄やってくださいよ!

都合がつかず観に行けなかった『ヘドウィグ・アンド・ザ・アングリーインチ』のウサを晴らすべく、キース横山のベースも堪能。が、ステージ奥にいる上に、前面にはホーン隊がぎゅうぎゅうなので、姿はソロで前に出てきた時以外は髪の先っちょしか見えなかった。多田さんもトレードマークの赤いラッパを確認出来たくらい(…)。GAKUちゃんは目の前だったんでそらもー見放題でした。ギターでテンポを決める曲の時は、GAKUちゃん以外の13人が皆こっちを凝視していて怖かった(笑)

しかしうまくなったよね…(失礼!)結成当初は巧さよりも勢いでおしてた部分もあったと思うのですよ。それがまた“猥雑なキャバレービッグバンド”って色を出していてよかったところもありましたが。キャバレー色はシキタさんに負うところが大きかったのかもな。技術的な巧さも向上したのだろうけど、今はどちらかと言うと“旨い”、ヤバい大人が楽しくやってる、アンダーグラウンドなハッピーバンドってな感じだろうか。それこそ皆くたばっても、あの世で楽しく演奏するのもいいじゃないかってな。

どうでもいいがこの日はどちらもベースが5弦だった。ブイブイ。

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■かえるの唐揚げ
帰りに寄ったお店で初めて食べた。聞いていた通りホントに鶏のささ身みたい。うまかったですわ…

■そういえばシモキタには
雷魚のカレーを出すとこもあるぞ。まだ食べたことないけどどーなんだろう

■で、新宿に戻ってきたら
地震があった(「大規模な地震があったので」とアナウンスされてた)とかでJRが止まっていた。え、全然気付かなかったよ!小田急線は何ごともなかったように走ってたんですが…



2004年10月05日(火)
『LIVE AT THE GARDEN』『ガリク・セコ短編集』

■『LIVE AT THE GARDEN』PEARL JAM

9.11直後の追悼ライヴで、敢えて放送禁止になっていたジョン・レノンの「IMAGINE」を唄ったニール・ヤングとともに、「THE LONG ROAD」を演奏したのがエディだった。no religion. i have wished for so long... how i wish for you today.

2枚組、ボリューム満点!ようやっと観ました。昨年7月のパールジャム@マジソンスクエアガーデン。9.11後初のN.Y.公演、ベン・ハーパーやバズコックスのメンバーたちのゲスト参加、そして場所が場所だけに、独特な雰囲気の一夜が収められています。久し振りにN.Y.でライヴが出来ることへの感謝。ここで「LOVE BOAT CAPTAIN」「I AM MINE」は特別な曲になる。

エディはちょっと声が出てないかな?とは思うものの、とても楽しそう。そしてマイクがノリノリです。最近はこのひとがバンドの元気度のバロメータになっているような感じだな。

ベンの登場の仕方が格好いいんだー。「DAUGHTER」のブレイクでベンの曲を挟み込んで、エディが呼び込むの。ニクい!

カヴァー&レア曲も沢山。レノンの「GIMME SOME TRUTH(真実が欲しい)」やるの初めて聴いたわ。毎度のTHE WHO「BABA O'RILEY」はやっぱ盛り上がる!そして目玉はMOTHER LOVE BONEの「CROWN OF THORNS」!うわ、ちょっと泣く。そして昨年の日本公演時、観客がしきりにリクエストしていて(それに気付いたマイクがちょろっとイントロだけ弾いてくれたんだけど、結局やらなかった)「BREATH」!うわー!いいなあああ!

ステージを囲むように席が設置されているので(バンドの背後にも席がある)楽しんでいる観客の表情もよく見える。年配の夫婦が一緒に唄っていたり、キャミ姿のギャル2人組が笑顔で踊っていたり。このバンドがやると、どの会場でも臨場感が持てるなあ。マジソンスクエアガーデンてキャパ2万↑らしいんだけど、隙間感がないってのはすごい。

本国らしくMCと、それのレスポンスがきびしー。歓声も飛ぶけどブーイングも飛ぶ。勿論パールジャムのファンにもブッシュ支持派はいる訳で、ツアー中(この日はやっていないが)「BU$HLEAGUER」の演奏中には席を立つ観客も少なくなかったそうだ。現在VOTE FOR CHANGE TOURに参加しているパールジャムですが、さて今後はどうなる。

そういえば、ジャケットに使われているエディがギター壊している映像、本編にはありませんよ(笑)特典映像の方にちょろっとあった。収録された公演ではない日にやったやつのようです。

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■『ガリク・セコ短編集』

出たよ〜ガリク・セコのDVD!DVD!パンツ?それはBVD!

昨年観た『結んだハンカチ ―ティールロヴァーとチェコアニメ』Bプロで上映された、お手製の義足で元気に踊ったりするとても前向きなくまと、チクタク言わなくなったことを気に病んで自殺しようとする後ろ向きの時計のシリーズ『僕の友達はチクタクいう』『卑怯者、出てこい』の他、『マイスター・ハーヌシュ』『ファウストの家』『本棚の世界』『シューズショー、あるいは自分勝手な靴』『サボテンさん、ちょっと』の全7作品が収録。

もうね、くまですよ!かわいいよ!観てね!観てね!かわいいから!と言いつつくま以外の、人形を使わない『本棚の世界』『シューズショー〜』もとても面白い。想像力と根気と技術。何度も観て味わうよー。

かわいいふりして声がおっさんだったりテーマが暗かったり色使いも暗かったりするのはチェコアニメのおハコです。『ファウストの家』なんて、これ対象年齢いくつなんだと…教訓と言うよりトラウマになりそうだ。人形の顔が怖いんだよね…ま、まあ、大人も子供も楽しめるってことですな(笑)



2004年10月03日(日)
『ママがわたしに言ったこと』楽日+α

『ママがわたしに言ったこと』@青山円形劇場

ううーん真ん中辺りにリピートしたかったんだが日程が見付からず。1ケ月て早い…。

すごいなあと思ったのは、初日と楽日であまり印象が変わらなかったこと。いい意味で。普通(と言うか、結構な割合で)観客の反応を見つつ言葉や動きの微調整があって、それによって観客に伝える表現の精度を上げて行くものが多いと思うんだけど…初日の時点で完成していたってことか。やっぱり出演者がプロ中のプロってことなんだろうな…。

この日はFブロック。Eブロックより首が痛くならずに済んだけど、A〜Dブロックからも観てみたかったな。皺伸ばしをされたおばーちゃんの顔、観たかった(笑)

ハンバーグのレシピについてのところはフリーだった様子。今日は長かったよ!マクベスについての話と男をとっかえひっかえするなってとこが大ウケ。えり子さん言う言う(笑)しのぶさんがマクベス夫人の「手、てってって」をやった時、客席から「あっ(デジャヴ)」と言う空気が。(笑)また観たいなあ蜷川さんのマクベス。

自分でも意外だったが、感情移入してしまったのはドリス。特に晩年。「あなたはもっと遠く迄行かなければならない。私よりももっと遠くへ」と言えるマーガレットも好きだったな。ジャッキーの不器用さはいろいろ…我が身を振り返りそうに…ロージーの意固地さもね。全員に共感出来る部分があって、それが痛いし、嬉しくもあった。何年後かにまた観たら、感情移入する人物が変わるかも知れないし、共感した部分に「いや、やっぱそれは間違っている」と思うかも知れないな。いつかまた再演があればいいなあ。

カーテンコールで木内さんが涙ぐんでいたのが印象的でした。もらい泣き。スズカツさんは階上のフロアから観ていて、出演者から手を振られていた。富田さんからは投げキッス貰ってたよ!このモテ部!(笑)

ロビーに出ると、前を歩いていた年配の女性が、作品のメインテーマとも言えるop.とen.にかかった曲(誰の曲か気になるー。鋼太郎さんなら判るんじゃないかな(笑))を口ずさんでいた。ジーンとした。

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■「やりますよ!」アベくん@QUE
うわーアベー(号泣)会えたひとよかったね!

■『FAMILIAR TO MILLIONS』OASIS
最近のヘヴィロテ。あーライヴ観たい。「ROCK'N'ROLL STAR」を今聴くと、何か「ダム・ウェイター」を思い出すなあ。歌詞とか。なんかガスっぽい。そういや「GAS PANIC!」もガスっぽい。語呂がってことじゃないよ(笑)ノエル兄ちゃんはいろいろ考えてるひとだよね…それを何も考えてなさそなリアムがガラッパチに唄うとこがいいんだな。…リアムへの暴言は愛情です(笑)



2004年10月02日(土)
おかえりクリスピン+ジェイムズ似のくまの絵本

■『MAYONNAISE』HOWIE B, CRISPIN HUNT & WILL O'DONOVAN

ポイントを集めているのでタワーで買おうとしたらなかった。カタログ検索でも出てこなかったので、仕入れるつもりがないんだな…(泣)ああっこんなことならHMVで予約しておくんだったよ!結局Amazonで購入。注文→到着迄3日もなかったけど、長い3日間だった…。

クリスピンの声だよ!本当にクリスピンが唄ってるんだー!LONGPIGSの『MOBILEHOME』以来、実に5年振りに聴く歌声です。ああ本当に戻ってきたんだ。嬉しい、嬉しいよー(泣)

情報をまだちゃんと探せてないので詳細は判りませんが、名義もこんななのでパーマネントなユニットではなく、3人が集まって面白いのが出来たからリリースしようかってなノリかも知れません。基本的にはHOWIE Bがプログラミングした音に、クリスピンとWILLがヴォーカルやギター等を入れているようです。10曲中5曲をWILL、3曲をクリスピンが唄っています。プラス1曲のリードヴォーカルがクリスピン、バッキングヴォーカルがWILL。残り1曲はインスト。

音的には確かにHOWIE Bらしい、あったかくて浮遊感のあるエレクトロなのですが、きちんと歌ものになっている。メロディーラインが美しい!ここは唄うふたりが作ったのかな。ふたりとも声が音と綺麗に馴染んでます。LONGPIGSってエッジききまくりのギターにふわふわした(と言うか、舌ったらずの酔っ払いが唄ってるような(笑))ヴォーカルが不思議とマッチしていた音だったので、まっとう(?)にクリスピンの声に合う音を作ったらこういう感じなのかな、と思った。これはこれで気持ちがいいですな。

WILLって人物のこと全く知らないのですが(すみません)声質とかクリスピンと似ているなあ。ふたりが唄っている「TO MY HEAD」は兄弟が交互に唄っているようです。

歌詞はヴォーカリストがそれぞれ書いているのかな。歌詞カード入ってないんだよ…ヒアリングしかないのか!(泣)「BECAUSE OF THE WEATHER」とか「SKY CAME DOWN」ってタイトルはクリスピンらしいなと思ったけど…どっか歌詞載せてるとこないかなー。

新しい音源はもう出ないと半ば思っていたので、本当に嬉しい。そういえばLONGPIGSも1stから2ndが出る迄3年かかったもんね。気長に待てと言うことですな…。そしてまた日本で歌を聴かせてほしいです。

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■これジェイムズ@マニックスに似てるよね…

『よるくま クリスマスのまえのよる』酒井駒子

つい手がのびましたよ。かわいい!なんか似てる…似てるよ…ジェイムズ知ってるひとは皆そう思うに違いない!(電波電波)

シリーズ第一弾の『よるくま』も面白い。よるくまは黒いくまで、泣くと身体の黒が落ちて白くなります。で、黒い雨を降らす。かわいいけどシュールなコです。

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■訃報

金久美子さんが亡くなったとのこと。最近舞台で観ないなあと思っていたら、ガンだったんですね…45歳て、若いよ。最後に観た舞台は『↑ヤジルシ―誘われて』でした。『カラマーゾフの兄弟』での熱演が印象に残っています。ご冥福をお祈りします。