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2004年01月31日(土)
『屏風』『ミトン』+スズカツさん関連

日仏演劇コラボレーション『屏風』@世田谷パブリックシアター

再演。初演の記憶が端々に残っていたので、比較的観やすかった。が、字幕付で4時間上演は流石にクるね〜。面白いんだけど疲労で眠くなってしまうと言う落とし穴も(…)。しかし今回は人形操作がよく見える席で嬉しかった。まばたきもするんだよ〜。

戦争が実際に起こってから観ると、またいろいろ考えてしまう。いや、戦争はいつもどこかで起こってるんだけどね。自覚の問題だろう。

しかしジャン・ジュネと言うとすんごい昔のひとのイメージがあるんだけど、実は1986年迄ご存命だったんだね。ちょっとびっくりした。

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『ミトン』@ユーロスペース1

だはあ、かわいい!いぬいぬいぬ〜!あみぐるみのいぬ〜!!!『チェブラーシカ』のスタッフが手掛けたパペットアニメです。『レター』『ママ』と併せてのプログラム。

いやあ、もうかわいくてな、いぬが…。ミトン以外のいぬも皆表情とか動きとかすんごいかわいい。お話もほっとするような、ちっちゃなハッピーエンドでさ。こういうのって大事だよ!こういうのってやっぱねえ、たまに観て心暖まりたいもんなんですよ!大人になるといろいろあるんですよ!(笑泣)

動物の表情や動きがすっごいうまーいと言うか、リアルって言うのとはまた違って…勿論リアルな面もあるんだけど…(でも『ママ』のママの動きはちょっと怖かった。最後の急いで家に帰る時の演出にもビックリした(笑))どう動いたらかわいいだろ!ってのを徹底的に研究して撮ってるんだろうなあと思わせられる角度、色合い。小道具、衣裳ひとつひとつに味がある。プロの仕事だなあと思わせられました。なんか…そういうのって、いいよねえ。いい大人が皆でちょっとずつ人形動かして、ちょっとずつ撮って。「この方がかわいいぞ!」「いや、この角度の方が…」「襟にはふわふわを付けた方が…」ってやってると思うと、それだけで自然と笑顔が…ふふふ。

それにしても全3本、全て父親不在の話だった。偶然だろうか。あと当時のソ連の日常生活が滲み出てて…何を買うにもすんごい行列で大変だとか。お父さん戦争に行ってるとか。

物販のあみぐるみいぬにも手が伸びたが、映画のと顔が似ていないので買うのはやめた(…)。

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■『LYNX』
気が気じゃないので青山円形劇場に行ってみた。仮チラシが出来てましたよ!一般発売は2月29日。20ステージ。ここキャパ300ちょいってとこだから…ああ、チケットどうやってとろう。少ない運を総動員したいが、それをどこに総動員すればいいのか…わからん…(泣)

■で、今回
「青山円形劇場プロデュース」。今ザズゥの制作ってどうなってるんだろう

■『ダム・ウェイター』
タイムテーブルが出てますが、結構ギッチギチに組んである。短編戯曲と言うこともあるけど、役者さんは大変だろう。うまくいけば同じ日に続けて2バージョン観比べたいが、これもチケットがとれるか…

■こっちだと
ZAZOUS THEATER名義かな?『ダブル・スタンダード』の時はそうだったからねえ

■うわさによると
スズカツさん、今年演出6本くらいやるらしいです…どへー(嬉泣)。嬉しい反面何だか怖い。既に4本は発表になっている。あと2本は何だ、誰が出るんだ。翻訳ものが続いてるが(『LYNX』は再々演だしね)自分で書くことはまたあるのか

■おまけ
今日『屏風』(フランス語上演)で、スズカツさん演出の『欲望という名の電車』で永島くんが言ってた台詞と同じ単語が聞こえたぞ!そうか、「何か聞こえる?」って言ってたのか…。字幕に感謝(笑)全部の台詞の訳を知りたいもんですよ…



2004年01月30日(金)
『のんきな姉さん』トークイベント

『のんきな姉さん』トークイベント@テアトル新宿

急遽大森くんの参加が決まり行って参りました。出席者は七里圭監督、廣木隆一監督、大森くん。

以下記憶で起こしているのでそのままではありません。話もかなりまったりゆる〜く(苦笑)前後してたりしたのでまとめちゃいました。間違い等ありましたらjoyride*bbsでご指摘くださいませ!

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司会●まずは皆さんがどういうご関係かを
七里●ええと、僕が廣木さんとこで助監をやってて。エキストラで出たりもしたんですが
廣木●エキストラなのにすごい目立ってたんだよなあ、酒飲んで
七里●大森くんに言うと笑われるかも知れないけど、出てたんですよ。酔っ払ってビールの缶を投げて投げて
大森●えっ、ホントに飲んで出たんですか?
七里●いやいや、酔っ払いの役で。好き放題やって
廣木●でもそのめちゃくちゃやったのを、長門裕之さんがちゃんと受けて芝居してくれたんだよなあ

廣木●南朋とは…かたせ梨乃さん主演の『天使に見捨てられた夜』が最初だったな。あの時は編集で南朋の出番随分切っちゃったんだよね…いっぱい撮ってたんだけど。ごめんね(笑)麿さんも出ていて、親子共演なんていやらしいこと考えちゃったりもしたけど…
大森●いえいえ。あの時は…AVのスカウトマンの役だったんですよね
廣木●仕事はそれが最初だけど、その前から会ってるんだよなあ。最初はどこだったかな?飲んでたと思うんだけど。兄貴の立嗣も一緒に
大森●そうですね、なんか、そういう感じだったと思います

七里●僕と大森くんは…○○さん(聞き取れなかった)からだったかな?テレビ東京でやった『七瀬ふたたび』のオーディションで会ったのが最初だったかなあ
大森●まあ俺落ちたんですけどね、それは(笑)
七里●はは
司会●『のんきな姉さん』に大森さんが出たのはどういう…?
七里●プロデューサーの○○さん(聞き取れなかった)から「大森くん、どう?」って感じで。『殺し屋1』を撮った直後で
廣木●台詞ありますかって訊いたんだって?(笑)
大森●そう(笑)「全部アドリブじゃないですよね?」「泣かないでいいんですか?」って。続けて撮ったから髪型が一緒なんですよ、イチと
司会●『Dolls』では普通のサラリーマンの役でしたよね
大森●そうですね、でもあれは結構もう最近撮ったやつだから…『のんき〜』の頃は痴漢とか…ストーカーの役とか…(笑)
廣木●ははははは。そういえば、南朋がちゃんとスーツ着てる姿(の役)ってこれ(『のんき〜』)で初めて観た気がする
大森●ドラマとかでは結構あるんですけどね。映画だと…一時期Vシネまっさかりの頃って、ヤクザをやれなきゃって風潮がありましたけど。俺はヤクザな役ってのはなくて、変態とかで(笑)…需要があるんじゃないですかね、僕がやる役は
司会●『のんき〜』では登場人物の中で唯一まとも…と言うか普通の役でしたね
大森●そう…でしたね、普通のひとで

廣木●大森くんのいいところってのは…柔軟なところですね。どんな役でもすっと入っていける
大森●いきなりそんな、褒められるとは(笑)やばい方向ですよ、心の準備が(笑)
廣木●随分前から役作りしていくって感じ?それともその場でテストを何回かやってみた方がいい?
大森●う〜ん、その時によりますよね。『のんき〜』では何度かテストやって…
七里●ロケで、光の具合とかを見ながら何度かやったりしましたね。「この日が沈む迄に何度やれるか!」って感じで(笑)
廣木●それは役者の演技じゃなくて画的にってことじゃないのか(笑)
七里●いやいやいや(笑)
大森●でもやりやすい現場でしたよ、スタッフは怒ってたりしたけど(笑)
七里●ははははは

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こういう話を聞くと、大森くんってかなり冷静に現状を把握してるなあと思いますねえ…自分のポジションを見る目が醒めて(=冷めて)いると言うか。ひとを見る目もそんな気がする。ある意味怖いひとですな。興味深い話が聞けて面白かったです。

最後に、廣木監督がヨコハマ映画祭主要部門を『ヴァイブレータ』が独占!と言う報告をし、暖かい拍手が。大森くんも助演男優賞おめでとう!授賞式は2月1日です。



2004年01月29日(木)
もはや運頼み+『N響オーチャード定期 第27回』

わたくしもう胃が痛いです

……………。『ダム・ウェイター』よりもチケット取りづらそうだ……。出演者に対してのキャパがちっちゃすぎるよ!でも円形劇場だからこその芝居だし。ジャニーズのFC以外にはどのくらいチケット配分されるんだろう。スズカツさんチケット枠とか作ってくれ……_| ̄|○

キャスト的には魅力的。不安は勿論あるけれど、期待してます、楽しみ。その前にチケットをどうやって確保するかだな!(泣)13年間欠かさなかったスズカツさんの芝居の楽日を初めて逃しそうな予感でございま〜す、サザエでございま〜す。…泣きそう。

参考迄に(?)初演と再演のキャスト書いておきます。敬称略。

■初演(1990年)
オガワ  = 勝村政信
エンドウ = 松重豊
ウサミ  = 大石継太
イタバシ = 吉田紀之(現在は吉田朝)
アマリ  = 鈴木勝秀

■再演(1998年)
オガワ  = 大沢健
エンドウ = 田中哲司
ウサミ  = 康喜弼
イタバシ = 東地宏樹
アマリ  = 藤本浩二

あれですよ、これやろうよって勝村さんが誘わなかったら、松重さんは役者辞めてたってやつですよ。勝村さん有難う!おかげで今あんな松重さんやこんな松重さんが観られるわけよ!

登場人物の名前をならべかえると、頭文字が「アイウエオ」になるんだよねー。今回演出どうするのかな、初演と再演は同じプランだったけど。選曲とか、変えるのかな。

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『N響オーチャード定期 第27回』@オーチャードホール

ワーグナー:歌劇『さまよえるオランダ人』序曲
シベリウス:『ヴァイオリン協奏曲ニ短調』op.47(ヴァイオリン:リサ・バティアシュヴィリ)
フォーレ:組曲『ペレアスとメリザンド』op.80
ストラヴィンスキー:バレエ組曲『火の鳥』
(アンコール)グリンカ:歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲

指揮は、N響の名誉音楽監督でもあるシャルル・デュトワ。まったり感溢れるプログラム、でも眠くならないと言う(笑)

『火の鳥』は演奏会用のダイジェストだったのであっと言う間に終わってしまった。好きだ〜好きだ〜。ストラヴィンスキーは気持ち悪くて好きだ(それは褒めてるのか?)

『ペレアスとメリザンド』は、超有名な第三楽章以外は初聴。初めて通しで聴いた。『ルスランとリュドミラ』序曲が聴けたのはラッキーだった!

今回いつにも増して「写真撮影はご遠慮ください!」のアナウンスが。バティアシュヴィリさんがかわいらしいお嬢さんだったからかな(笑)

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■余談
帰りに某呑み屋に行ったらサブライムの山崎マナブ氏と遭遇、ラッキ〜。丁度帰るとこだった。座敷だったんで、コンバースの紐をモタモタ結んでる間に皆に置いていかれていた。クラブ以外で見ると何だか珍しい(笑)白い服ブームはまだ続いているようです。

■観てるひとはちゃんといるのよ〜、いい仕事してれば!
高橋洋くんのファンサイトが2つオープンしてるようです、嬉しい。以前あったファンサイトも閉じてしまったしね…(涙)ここも再開してくれないかな、もう大丈夫だよ、きっと。そう思いたいよ!(泣)
そういや『タイタス〜』で高橋カイロンと横田バシエイナスが同じ舞台に立ってるってのは感慨深いものがありましたよ。ああ、待っててよかった。



2004年01月28日(水)
こんなと〜き〜はなんて言えばいいのだろ〜♪

チバユウスケでおおくりいたしました。チバくん元気かなあ。それ言ったらアベくん何してんのかなあ。

それはともかく。渡辺謙さんアカデミー賞助演男優賞ノミネートおめでとうございます。すっごい!日本のメディアも湧いてますね。ゴールデングローブや映画俳優組合(SAG)賞もすごいな!と思っていましたが。

だがしかし。駄菓子菓子。同じく助演男優賞にベニシオ・デル・トロもノミネートされてるわけですよ!

Benicio has received a Best Supporting Actor Academy Award nomination for his performance in 21 Grams.

あっはっはどうしようかなどうしようかな〜いや別にどうしなくてもいいんだけど〜。ベニシオさん1回とったからいいじゃねえのと言われそうですが!でも!でも!せっかくだし!いやでもせっかくって言ったら謙さんもせっかくだし!あ〜そういや『トラフィック』の時はSAGで主演男優賞だったねベニシオさん。

何かベニシオさんのオフィシャルサイト、えらい入りにくくなってますね…ノミネートされたんでアクセス殺到してるのかな。助演男優賞ノミネート一覧のとこに謙さんも載ってますなあ。

『21 Grams』、ナオミ・ワッツも主演女優にノミネートされてる。あと今回『ミスティック・リバー』助演女優でノミネートされてるマーシャ・ゲイ・ハーデン、ベニシオさんが『トラフィック』で助演男優賞とった同じ年に、やはり助演女優賞とってるよね。また一緒にとれたら面白いね。ああでも謙さんも…うーんうーん。

つうか早く来ないかなー『21 Grams』!待ってるよ!

アカデミー賞ノミネート一覧はこちら

『21 Grams』オフィシャルサイトはこちら

しかし姉ちゃん、『21 Grams』のベニシオさんの画像見るなり「ヤク中の役なの?キチガイの役なの?」って訊くなよ…。まあそんなに間違ってないところがまた…(泣)



2004年01月25日(日)
『タイタス・アンドロニカス』+訃報

『タイタス・アンドロニカス』@彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

文字通り血で血を洗う復讐劇。殺人、強姦、策略、人食。ショッキングな内容ゆえ滅多に上演されないこの演目が、どう料理されているか?以下ネタバレしてます。

「蜷川さんがセゾン劇場でやった『三人姉妹』や『ハムレット』と同じ幕開きだよ」との噂を聞き付け、開場早々に会場入り。おお〜ホントだ、役者さんがロビーをうろうろしています。衣裳や小道具もロビーに置いてある。いきなりバシエイナス役の横田栄司さんとはち合わせ、で、デカい!ただでさえハッキリした顔だちなうえ舞台メイクなので、ごっつう濃い顔になってました(笑)体格もいいし、ホント日本人離れしてる…。カイロンを探したけれど見付からず、残念。

ステージ上ではリハーサル(演出の一環だが)の真っ最中。この日は蜷川さんの姿は見付からず(欠席だったのかな?)井上さんがマイクで指示を伝えていました。そして「はいっ」と言う合図で開幕。あっと言う間に劇場は古代ローマ帝国に。

今回いちばん気になっていたのは、夥しく流れる血の描写をどうするのかと言うところ。これがうっつくしかった!全て布と糸で表現されます。タイタスが、両手と舌を切られて血まみれのラヴィニアとキスする時、血の糸を口移しするんだけどこっれがもう〜!美しい!あと〜あれだ、ええと〜ラヴィニアって処女だったので〜やっちゃうと出血甚だしいんですね。彼女を陵辱した後、ディミートリアスとカイロンがほぼ全裸で出てくるんですが、前ばりが例の赤い糸。これはウマい!と思いました。妙に感心してしまった…。真っ白な装置、衣裳との対比も素晴らしかったです。タイタスとマーカスのアンドロニカス兄弟はプラチナブロンドの髪の色で、これも映えた。ゴート族の3人(タモーラ、ディミートリアス、カイロン)は黒、緑、青の原色衣裳。エアロンは赤。この対比も美しい。

それにしてもこの話。ここ迄くるともはや喜劇です。結構笑えるんだよね…錯乱した(と見せ掛けてる=いや、ホントにおかしくなってたのかも知れないが)タイタスをそそのかそうと、タモーラ母子が復讐の女神とその手下に扮して現れるシーンとかもうおかしくて!だって名前が「殺人」に「強姦」ですよ!グループ魂の「破壊」「暴動」とタメ張りますよ。こことかタイタスと道化のやりとりのシーンはもう笑かしたるでー、って演出だったので遠慮なく笑わせて貰いました。タモーラに抱きついて離れないタイタスの頭をぺしっとはたく兄弟のばかっぷりもおかしかった…高下駄履き慣れてなくてヨロヨロ歩いてる姿にも笑った…捻挫に気を付けてなー。

しかしラヴィニア、実は結構嫌な女なんだよな。ひとを蔑む言動が甚だしい。も〜どっちもどっちだね!いろいろ部族とか立場の違いとかあるけども!おまいらもうちょっと他人の言葉に耳を傾けなさいよ〜いっときの感情で動くのやめなさいよ!マーカスおじさんもラヴィニア見付けた時に朗々と語ってないで(これがまた流石シェイクスピアってな美しい台詞なわけですよ)手当てしてやれよ!てなツッコミを入れっぱなしです。オモロいよ…。タイタスとマーカスのやりとりなんて漫才かって思えるようなボケボケツッコミ満載です。これに出てくる兄弟は皆愚かと言うかボケてるよ…タモーラんとこのバカ息子といいタイタス兄弟といいサターナイナスとバシエイナス兄弟といい。いやバシエイナスはちょっと気の毒だったが。そう考えるといちばん言動に筋が通っていたのってエアロンだよなあ…いちばん悪行三昧だったひとですけど。いや筋が通ってたからってやっていいことと悪いことがありますけども。

と考えながら観るとあら不思議、現代と全く変わらないじゃ〜あ〜りませんか。人間て進歩ないのね。だからこそ最後の、戯曲にはない幕切れはよかったな。子供ら、頼むよ!未来を明るく照らしておくれよ!(涙)

役者陣は見事でした。タイタスの吉田鋼太郎さんの迫力はすごかった!稽古中に右手を骨折したと聞いていたので、その手をばんばん床に叩き付けてるシーンではオロオロ。正に全身全霊を役に傾けている、鬼気迫る将軍でした。怒り狂う時は星一徹なみのガンコ親父、嘆きの時も激しいが、こちらの涙も誘います。あんなにラヴィニアの言葉に耳を傾けなかったのに、後半は彼女に幾度となく優しく言葉をかけ、話を聞こうとする。だけどその時にはもうラヴィニアは喋れなくなっている。皮肉だわー。凱旋してきた時はあんなに誇り高い、自信に溢れた姿だったのに、皇帝の気まぐれであっと言う間に失脚(ほぼそうだよね)した後の狼狽と怒り、嘆きがないまぜになった時の姿が素晴らしかったです。ここでの落胆がないと、この後の怒濤の展開が弱くなるもんね。

マーカスの萩原流行さんはグッドルッキング。白の衣裳と金髪が似合い、動きが綺麗。森で見付けたラヴィニアを、自分の服にくるんでタイタスのもとに連れてくるシーンが美しかった!時々台詞が浮いた感じがしてヒヤヒヤしたけど、兄ちゃんがあれじゃ苦労も多かろうってな(でもボケ)弟像が面白かった。サターナイナスの鶴見辰吾さんは、皇帝の器じゃないね!ってな部分がよく出ていた。あと岡本健一さん演じるエアロンが良かったわー。登場人物中唯一の黒い肌。最初誰か判らなかった。奴隷的な立場でいながら、彼は誰に対してもいちばん優位に立っていた。死ぬ迄誇り高くいた。酷い人物なんだけどうっかり魅力も感じてしまう、すごかったです。

そしてタモーラ!タモ〜ラ!麻実れいさん。やっぱこの女王はこれくらいゴージャスなひとがやらんと!もう〜タモーラにぴったりだよ…(って言うと失礼なのかも知れないが(笑))冒頭の、長男を生け贄にされた後随分長く台詞なしで舞台上にいるんだけど、無言の迫力がすごい。放心状態からちょっとずつメラメラ炎が立ってくるような。圧倒されました。

あー、あと村井克行さんを楽しみにしていたんだけど、席が遠かったこともあり、どこにいるか探してる間に終わってしまった…トホホ。

高橋洋くんはカイロン。ホントにバカ息子だった…ここ迄来るとかわいいわ、もう。「ばーかばーか!」とか言ってるしな。それは戯曲にはない台詞です(笑)ホントにバカだった…これが昨年実直なホレイシオをやった役者と同一人物かい!底力を見たわー、ずっと応援するよー。

それにしてもアクションが激しいこと。怪我人続出と聞いていたのでもうヒヤヒヤしちゃった。高橋くんなんて、序盤は捕虜になっているので首輪と鎖をかけられているんだけど、それをぐいっと引っ張られた時にゲホゲホむせちゃってて。あと舞台から転がり落ちたりもしてた。頭を踏まれた日もあったとか…どこ迄演技なんだ〜!時期が時期なので喉をやられているひとも多いとか。無事楽日を迎えられますように!

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■ヘルムート・ニュートン氏死去
83歳。

■青木富夫氏死去
80歳。

朝刊を開いて「えっ!…」その後絶句、と言うのが2日続くとキツい。
ニュートンは事故か…。まだまだ現役だったのに。
青木さん、『忘れられぬ刑事たち』に出演した時のあの姿は、演出ではなかったのかも知れないな…最後の最後迄現役。リアルタイムで観られた作品は少ないけれど、素晴らしい存在感でした。周りのひとを笑顔にさせる。ああ言う歳のとり方したいなあと思ったものです。

御冥福をお祈りします。



2004年01月24日(土)
『BENT』3回目

『BENT』@PARCO劇場

おぼえがき。ネタバレしてますよ。

■今日(ソワレ)は良かったなあ…
■化けたと言うか、何か降りた!って瞬間があった
■こういうのがあるから舞台はやめられんのよ
■カーテンコールで高岡くんが泣いてたような気がしたが…
■グレタの客いじりが増えてるような気がするんですが
■すりよられたおじさんかたまってたよ!(笑)
■同様にルディいじりもエスカレートしてきてるような気がします
■同様にルディもかたまってます(笑)がんばれ!
■ゲイダンサーズもアドリブが増えてきてる
■客の反応が掌握出来てきたってことかな
■あとあれだ、カポとホルストがスープの具のことで揉めるとこ。この前観た時はスープの中味をバシャッと飛ばしちゃって、おたまも飛んじゃって
■あれはあれですごい迫力で良かったんだけど、休憩時間スタッフが床一生懸命拭いてて。斜面ステージだから滑ると危ないしね
■そのことも考慮したのか、今回は鍋から離れてから突き飛ばしてました
■で、この日は例のY列23〜24番だったんですが
■ち、近い!近いー!覚悟はしていたが
■star-sさん曰く「ホルストが穴の話してる時こっちばっかり見てるから〜!ここらへんに穴があるのねとは思ってたけどホントに来るからビックリした〜!」
■せっかくですので内緒にしておきました。ビックリしたでしょ(笑)
■いやしかし…マジ近くてさ…
■桔平さんが降りて来た時に「ガツッッッ!!」ってすっごいおっきな音したんだけど、どっかぶつけたんじゃないだろうか、大丈夫だったかな
■桔平さんがすごい迫力でさ…で、2回来るじゃないですか。表情とかもうやりきれなくて
■いや〜……。この距離で観られて本当にラッキーだった

スズカツさんとこの舞台ではいつも客入れにジョン・レノンが使われるんだが、そうだな、「IMAGINE」を思い起こす芝居だな、今回。「IMAGINE」はかかってないけど。

想像してごらん、か。人間ってやっぱりダメねと思う反面、やっぱり人間って捨てたもんじゃねえな、とも思いたいんだよ。甘いか?そだな、甘いよなあ。でもそう思いたい。やっぱり死んだら何にもならん。



2004年01月19日(月)
うわー、うわー、うわー!!!

『ダム・ウェイター』@シアタートラム
2004年5月10日(月)〜6月6日(日)
作:ハロルド・ピンター
鈴木裕美演出バージョン 出演:堤真一、村上淳
鈴木勝秀演出バージョン 出演:浅野和之、高橋克実

とっ、とれねえ!とれないよ!とれる筈がないよ!シアタートラムのキャパって200ちょいってとこじゃん!どうすればいいんだああ!!!!!(号泣)

…これって一昨年PARCOでやったトライアルシリーズを思い出しますな。ああっ、スズカツさんと裕美さんの演出合戦!しかも『ダム・ウェイター』!!しかもこのキャスト!!!観たいよ!観たいよおおお!とりあえず最大限の努力はしようと思います…。

それにしてもホント怖くなってきた。スズカツさん今年何本舞台演出するの?



2004年01月17日(土)
『BENT』2回目

『BENT』@PARCO劇場

相変わらずおぼえがきです。

役者陣の話。
■おお、初日より全然いいやん!(言ってもうた)
■しかし斜面はやはりキツそう。ゲイクラブのダンサーのひとがちょっとよろけててヒヤッとした。アクロバティックな動きもあるし、気を付けてね…
■エンケンさん、足をひきずっているような…演技なの?膝どうかしたの?(心配)
■季節が変わる毎に、それに合わせて服を着替えるんだけど、それもエンケンさんやたら時間かかってた。初日はこんなに桔平さんと着替え時間の差があったかなあ。大丈夫かなあ
■まあこれも演技だとしたらすごいんですけど。こっちが見事に術中にはまってるってことなんですけど
■なんかもー咳とかリアルでさ!季節が季節だし。「か、風邪ひいた?」とかって
■マックスとホルストふたりが軽口たたくシーンが随分こなれてきた。結構笑えるところがある。ふたりがちょっとずつ仲良くなっていく感じ、努めて明るく振る舞って、労働を乗り切ろうとしている感じが伝わる
■しかしホルストの最後の合図のとこで笑い声が出るとは思わなかった…舞台て恐ろしい…その日の客席の空気によって印象も変わるよね…
■今回は戯曲を読了していたので、それも頭に入れつつ観ていたのだが、実はこの台詞って頭に入れるのかなり大変なんじゃ…単語や1〜2文節の言葉のやりとりがポンポン続くんですよ。しかもテンポよく進めないといけない。こんがらがりそう。順番とか判らなくなりそう
■あ、あとあそこも良かったな。オランダに行ったら犬を飼おうって話してるとこや、ベルリンに一緒に帰ろうって話してるとこ。その後の展開を知ってるとすっごー切ない

ストーリー展開の話。
■ラスト変更が物議を醸してます。2ちゃんのスレッドが面白い。2ちゃんなのに荒れずにちゃんとした論議になってるし
■私は今回のラスト、好きだな
■映画や、いわゆる“脚本通り”にやったのを観たらどう思うかな。それはまだ判らないけど
■今回のは、インパクトは薄れるかも知れないけど、長いこと心に残る
■日によって考えることも変わるんだよね…「マックス、生き残ってくれ!」と思ったり、「生き続けるのか、それはあまりにもつらいよ…」と思ったり
■で、今回のラストじゃないとあり得ないことをふと考えた。マックス、あのあとは“取引”をやらなくなる気がする
■それって、あの状況で生き残るにはすっごい厳しいよね
■うわヘコむ…
■マックスってホント、よかれと思ってやったことが尽く裏目に出るよね…篠井さんがパンフで言ってたが、ホントこれ『賢者の贈り物』みたいだよ(涙)しかもその贈り物って取り返しがつかないのな。『賢者〜』、髪はまたのびるしさ…
■今気になってるのは、やっぱりマックスとルディが捕まったのって、ルディが相談した相手が密告したのかなって…ルディもよかれと思ってやったことなのにね。うまくいかないね…
■ふたりでアムスに行けたらよかったのに。でも、それじゃあマックスはあのままだったかな。やっぱりホルストと遭えたのって、よかったのかな

その他(笑)
■古田さんが来てた。スズカツさん客席にいた。今回全部客席で観てるのかな



2004年01月16日(金)
燐光群+グッドフェローズ『動物園物語』

燐光群+グッドフェローズ『動物園物語』@梅ヶ丘BOX

やるなら行きます『動物園物語』。大好きな作品です。とにかくいろんなバージョンが観てみたいのねー。今回は青井陽治さんの新訳・演出。ピーターは大西孝洋さん、ジェリーは瀧口修央さん。

梅ヶ丘BOXには初めて行きましたが、センターステージ使いでした。いつもこの使い方なんでしょうか。昨年のNの企画版でも、スズナリをセンターステージ使いにしていて面白かった。舞台と地続きな感じで面白い。

美術も面白くて、舞台と客席の境目に、幅20cmくらいの薄いアクリル板のようなものが等間隔にぶら下げてある。立ち位置によって役者さんの姿が半透明で見えたり、客の顔が反射して写っていたり。セントラルパークに自分たちもいるかのような錯覚を受ける。木の陰に隠れてふたりの会話を聞いているようだ。美術の二村周作さんは、今度PARCOの(三上博史さん主演)『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』(!!しかも編曲が横山キース英規氏だよ!っひゃー!)の美術も手掛けるそうで、気になります。

で、新訳。う〜これはこっちの都合なんだけど、鳴海四郎氏訳のバージョンをアホみたいに読み込んでいる(そしてザズゥシアターのバージョンをアホみたいに観ている)ので耳に馴染まなくて…「カード」より「トランプ」で聞き(読み)なれてるから。「ままにならぬは浮世の習い」も違う訳になってたんだけど思い出せない…あと「(ハンバーガーの)パン」が「ロール」になっていた。

ここらへん比較していないので判らないんだけど、やっぱり原書では「card」「roll」なのかな。鳴海氏訳の戯曲は1986年に出版されたものなので、当時は「トランプ」「パン」の方が耳馴染みが良かったのかも知れない。今はパンをバンズって普通に言ったりするし…でもこの新訳がより現代的になってるかと言うと、微妙だな…役者も何だか本を初読みしてるみたいだ…(私見ですから!)なんてことを考え出してしまい終盤近く迄おろおろして観てました…ダメじゃん自分!ベンチ争奪戦の辺りからやっと入り込めた。そういう意味ではピーターの心境に近い状態で観られたのかな(笑)「何言ってんのこいつー(ジェリー)どうしよっかなーちょっと怖いなー」って感じで。

役者陣はうーん、「ジェリーと犬の物語」のとこがちょっと弱かったかな…瀧口さんは出てきた時点でもうかなりヤバそうな雰囲気を醸し出していて(いや、役だから!)「うわピーターはやく逃げなよ…」なんて思ってしまったんですが(笑)近くで観ただけに迫力ありました。大西さんは巧いなと思った。ジェリーの話を延々聞かされる困惑が、ちょっとした仕草や表情に出ていて面白かった。



2004年01月14日(水)
小林建樹インストアライヴ+『BENT』戯曲+関連文献+パパ+ねずみ

■小林建樹インストアライヴ@タワーレコード新宿7F
11日に行ってきました、またもインストアです。もう何ヶ月小林くんのライヴ、金払って観てないことか…何だか申し訳ないよ!でもワンマンのチケットとれないんだよ…(キャパちっちゃすぎ)しかも本日遅刻してもうた。う、うう〜(泣)それは『ウチくる?』ゲストの哀川翔兄ィにうっとりしてたから〜。
と言う訳で殆ど姿も見えない状態で聴いてたんですが。インストアながら宮川剛さんがサポートで参加、リズムキープをしてくれてました。3曲繋いでやったやつが面白かった。いっつも言ってるけどピアノが面白いんだよねえ。コード運びも妙。でもすっごく耳心地がいい。
4月にワンマンが決まって、それはSTAR PINE'S CAFEなので何とかとれそう。しかも千ヶ崎さん、宮川さんとのスリーピース編成。楽しみだ!

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■『BENT』戯曲
あっと言う間に読んでしまった。作者もあっと言う間に書き上げたそうだし、訳者もあっと言う間に訳し終えたとのこと。そうさせるだけの、すごいパワーのあるホンです。以下すごいネタバレしてるので未見の方は注意。
昨日新聞に載った劇評では「演出家はまったく別の結末を用意した」と書かれていた。戯曲の描写としては、マックスは、ホルストから脱がせたピンクの三角がついた上着に着替え、柵へ向かう。照明が舞台を、客席を覆う。ここで終わりだ。マックスは柵に踏み込んで死んだ、と思わせられるラスト。だが、「死」と言う単語は出てはこない。マックスが死ぬと書いてはいない。
1人2役だけでなく、ここにも演出の仕掛けがあった。今回の舞台では、マックスは柵に身体を預けようとするが(鳥が羽ばたくようなポーズにも見える)留まり、振り返り、再び石を運び始める。
これを前向きととるか後ろ向きととるか。希望ととるか諦念ととるか。そういうことを考え出すときりがないのだが、鈴木勝秀らしい演出だなと思った。でも殺さなかったあたり、多少は変わったのかな。以前は「今あるコミュニケーションを全てやり尽くしたのに解決しない関係って、絶対ある。その場合、自分か相手かのどっちかを殺す。結局解決しない。で、生き残った方がその問題を抱えていくしかないって結論」ってよく言ってたからなあ。でも今回はホルストが既に死んでしまっている訳だし…うーん、ちょっとここらへんまだ読めないな。深読みしがいのあるひとです(笑)

■『BENT』関連文献
いろいろ調べてまわってるんですが、翻訳家の松岡和子さんのサイトに非常に面白いコラムが掲載されています。気になる方はどうぞ。
『沈黙の向う側 ― 英米ゲイ演劇序章』
あ、でもこれちょっと間違ってる。マックスはゲイだけどユダヤ人ではないです。
エイズが世界に蔓延する数年前に書かれた『BENT』。この作品は、同性を愛することに誇りを持つ、と言う意思表示にも感じられるが(作者のマーティン・シャーマンはユダヤ系アメリカ人でホモセクシュアル)、その生き方が命を奪うかも知れないとすれば?今週末からベニサン・ピットで上演されるtpt『エンジェルス・イン・アメリカ』はエイズを踏まえて書かれた作品だ。う〜何とかしてこちらも観たいよ〜。日本初演観逃してるし…小須田さんとか出てたんだよねえ初演。

って、今tptのサイト見てきたら、16日のプレヴューがキャンセルになってるよ!ど、どうしたの?大丈夫か…?

現在は『ピンク・トライアングルの男たち』を読んでいます。そういや去年の春先も『戦場のピアニスト』がらみで『夜と霧』とか読んでたなあ。へ、ヘコむ…。

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■パパBOOK
某育児雑誌に友人一家がフィーチャーされてるってことで読んでみる。ほんとだ〜、料理の腕前を披露してますよおとーさん!ダッカルビうまそう…ウチでもやってみようかと。奥さまもお子さんもお元気そうで。そういやまだお子さん生で(笑)見てないんだったよ。タイミングが合えばまた遊びに行きたいですよー。で、おとうさんの手料理を…(じゅるり)
と言う訳で、見たよかとうくん!(笑)
それにしても育児雑誌をまじまじと読んだのは初めてだったので面白かった。

■「カバーのねずみが気持ちが悪い」
仕事で作っている本で、表紙が動物シリーズのものがあるんですが、先日こんな読者カードが…。ねずみ、ダメ?そ、それともこのひと二階堂((C)動物のお医者さん)さん?かわいい方だと思うんだがこのねずみは…(涙)



2004年01月10日(土)
『おはつ』

『おはつ』@新橋演舞場

う〜む〜〜〜〜〜。

バッサリ言ってしまえばバカップルの話なんですがね。曽根崎心中に憧れた労咳の女郎が、死ぬ迄に燃えるような恋がしたい〜!と周りを巻き込みまくって死ぬ迄のお話です。すごい迷惑な話です。うわ、ホントにそう言ってしまえばそれだけの話だ。

登場人物皆がはっきりした魅力的なキャラクターだし、話の運びもテンポよく進む。

なのに、なのに〜どうにも納得がいかない〜!何でだ?…きゃ、脚本に問題があるのか?死ぬ〜殺して〜いや殺せねえおまえが好きだから〜いやよいやよ私は直助さんと一緒に死ぬの!が延々続くのでもうええわい!と突っ込みたくもなると言うか…正太郎が可哀想過ぎてのう。おはつに肩入れ出来ない。いやもー死ぬんだし!となれば破滅型の方に向かうのも判らんではないけど、でもね〜そんなに直助がいいかね!

あれかな、「そりゃないよ!」と突っ込みながら観るのがいいんだろうけど、多分演じる側もそう思ってるのが感じられちゃうから嫌だったのかな。当事者が「これどうよ?」と思っているのが伝わってしまっては…対岸の火事として観ている観客と一緒じゃないですか。こういうのってひとごとだから面白いわけで。

せっかくの個々の役を使い切れてないと言うか…発想は面白いのに。エラそうですみませんが。マキノさん『浪人街』の脚本も手掛けてるんですが、どうなりますかね…いやこのひとにしては珍しいなと思うくらいの腑に落ちなさだったので。う〜ん勿体ない気がするなあ、これ。

役者陣は何と言っても沖田総司役の北村有起哉さん。明朗、爽快。平和主義そうでいて、商人あがりの侍をひと太刀であっさり殺す。ここはゾッとしたなあ。やっぱり『ハルシオン・デイズ』行こうかな…。

あと正太郎役の小市慢太郎さんがよかった。役柄もあるだろうけど、惚れた女のためにそこ迄尽くすか!あんた生きてればこれからきっといいことあるよ!おはつのことなんか忘れてしまえ!と肩をバンバン叩きたくなりましたよ!江波杏子さんも貫禄。格好いい。

佐藤江梨子ちゃんは、他で観た時はこんなにドタバタしてなかった気がする。こういう「キーッ私直助さんが好きだったのに!」と笑わせる役まわりは、裕美さんの演出らしいドタバタ感がハマればすごく面白くなったと思うんだけど。どうにもハナシが。そして演舞場って場にも…う〜〜〜ん、軽妙さと紙一重のうざったさが裏目に出たかな…。

松たか子さんはやっぱり巧い。おんなの狂気みたいなのがビシバシ伝わった。だから尚更嫌だったんですが(笑)

話のもどかしさを除けば楽しめた舞台でした。美術も衣装も照明も華やかでよかった。

休憩時間におみやげコーナーを見ていたら、「おはつ」と言うお酒が売られていて、製造元が佐々木酒造。こ、これはひょっとして…。つれが「これって蔵之介さんのおうちで造ったものですか?」と訊いたら「そうでございます!」。買って帰りました(笑)

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■『浪人街』のチケットとれた!よ、よかった
■『FAUST』も確保出来た。しかしこれ、DM優待で¥1,000割引!だったので嬉々として申し込んだら2階席だった…。う〜ん白井さんの舞台っていつも美術がいいから、全体を観られるってことで後ろでも…い、いいか…(と自分を納得させてみる)



2004年01月08日(木)
『BENT』おぼえがき

感想まとまるの時間かかりそうなんで忘れる前に。ネタバレしてますので未見の方は注意。

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■上演時間〜1幕70分、休憩15分、2幕65分
■短いが集中度、疲労度は高い
■ホルスト=エンケンさんがホントに舞台上で痩せ(やつれ)てってるように見える
■マックス=桔平さんの感情の起伏の出し方、面白い。黄色い星を得るための“取引”方法を告白するところ等
■Y〜Z列23〜24番あたりのひとはかなりいいことがあります
■つうかY列23番のチケット、持ってるんですけど…ブルブルブル
■流石にPARCO劇場で全裸は無理か(戯曲指定)
■台詞に「綺麗な身体だなー」とかあるだけあって美しい男性揃いです。眼福です
■最初は目のやり場に困ったり(笑)
■ゲイクラブのショウシーンとかすごいっすよ!皆綺麗!インパクト大
■宇治川さんすごいカンパニー持ってたんだねえ
■グレタ=篠井さん背中綺麗!脚綺麗!
■び、美容方法を教えてください
■が、後半はそれどころじゃなくなります
■舞台の斜面がかなりある。かなり体力使いそう。楽日迄怪我人なく上演出来ますように
■後半は石を左右に運ぶ作業のシーンがずっと続くので、テニス観戦状態になります
■桔平さんは前半ヅラですが、違和感なし
■会話のテンポがすごいいい
■特に後半は2人で延々と、淡々と話しているので、あれだけの空間を退屈させずに見せ切るのは役者力だと思う
■ルディ=高岡くんはホントにいいコだった…
■「草むしるぞ」と言われて狼狽するようなお花好き
■ダンサーに戻りたかっただろうね…
■マックスもなんだかんだダメっこ描写だけど、いいとこもあるヤツだったんだよ(泣)
■それをルディはわかってくれただろうか、わかっていてほしい
■演出の仕掛けとしては、1人2役にしたところ。これかなり効いてる
■後半篠井さんが現れた時、隣のひとが「あっ」と息を飲んだ
■篠井さんの2役はいろんな意味にとれる。人間って…ってねー
■誓さん、東地さんの2役も同様
■誓さん、うまい具合にこの重い芝居に笑いを持ち込んでくれる。彼が出てくるシーンでホッと出来た部分もあり
■東地さんの美声久々に聞けて嬉しい。ホント美声〜
■音響・照明〜いいです。地味だけど季節の変化がよく感じられる
■音楽もいい!横川さんだもんね!個人的には歌詞の訳を知りたい…
■美術もシンプルながら印象的。金属の鉢植えとか。無彩色使いとか
■「想像力がなければ、何も楽しめなかった。だが、想像力さえあれば、あらゆることを楽しむことができた」
■スズカツさんが常々言ってることにドンピシャですね…
■マックスとホルストは想像力を駆使して生き残ろうとする
■想像力は勿論観客にも要求される
■具体的なセット転換が少ない。アパート、クラブの楽屋、キャンプ地、列車、収容所。音響と照明、そして役者の演技から、観客がどれだけイメージを喚起させられるか
■下世話な話をすると、言葉でセックスするシーンでイク時どうなるのかってのは、観ているひとの想像力に委ねられる。勃起するかしないか等の具体的に目に見えるものだけを信用して思考を止めるなと言うことだ
■このシーンは本当に感動的だった、すごく悲しくもあったけど
■受け手オンリー思考のひとには厳しい芝居かも
■自分が理解しきれているとはとても言えないが、考える余地があるってのは楽しいことじゃないか?
■個人的にはマックスのその後がすごく気になる
■生き残ってくれ。収容所を出てくれ、ホルストと愛しあったことを忘れないで

人間の尊厳って?人間にとって、愛情がどれほど大きな意味を持つのか?作品のテーマはシンプルかつストレートなものだと思うんだけど。

ホルストが「おまえ(マックス)のことを思うと生きる意欲がわいてくる、トイレに割り込んだりする元気が出る」みたいなことを言うんですよ。それは判る。判るつもりなんだけど。

考えてしまうのは、愛情は1個人にしか向けられないものかってね…勿論大切なひとの為に攻撃的になるのはアリだと思う、そうなってしまう状況もある。

やっぱり人間ってダメだよ。愚かだよ。それでも何とかしたいと思ってはいるんだろうけど。

以下は内容と全然関係ない話(笑)

■カーテンコール、スタオベしてるひと結構いました
■篠井さんがエンケンさんに耳打ちして、客席で観ていたスズカツさんと青井陽治さん、美術のニール・パテルさん(らしい)を呼び込む
■篠井さんはステージを降りて迎えたんだけど、ちょっとつまづいていた。気を付けて!
■スズカツさん、『欲望〜』楽日とほぼ同じ格好でした(笑)黒ニットが黒トレーナーに変わったくらい
■流石に初日だとヤツれ気味ですな
■楽日は晴れ晴れしい顔が見られるのを楽しみにしてます



2004年01月07日(水)
『BENT』初日

『BENT』@PARCO劇場

生き残るにはどうすればいいか?ひとを殺さずに、ひとを傷付けずに。そして“取引”で自分を傷付けずに。

生き残れ、生き残れ、生き残れ。

役者の力、戯曲の力、演出の力。重量級です。正月ボケが吹っ飛びました。

あと何度か観に行きます。とりあえず頭を冷やす。

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■おぼえがき

『LYNX』@青山円形劇場
2004年4月1日(木)〜17日(土)
構成・演出:鈴木勝秀
キャスト未定、1月下旬発表

『偶然の男』@スフィアメックス
2004年7月15日(木)〜8月15日(日)
作:ヤスミナ・レザ
演出:鈴木勝秀
出演:長塚京三、キムラ緑子

スズカツさんが本気出してるとしか。空白の3年間を取り返すとかそういうつもりなの?(いや、脚本の仕事はしてたけどさ…)どうなの?嬉しいよ!望むところです。『LYNX』がまた観られるとは!かなり狼狽してます。キャストは誰だ、誰なんだ。誰がオガワ?誰がエンドウ?そして誰がアマリ?

しかし『LYNX』楽日が…RADIOHEAD@幕張と同じ日だよ!どうしようー!(号泣)マチネのみだったらハシゴ出来る…出来る。ハシゴする。お願い、ソワレがありませんように(自分本位)



2004年01月05日(月)
おとしだまだ

昨年の10月、PEARL JAMのライヴにクリス・コーネルやらジャック・アイアンズやらジョン・フルシアンテやらのメンツが集まってすっごいことに!てのを日記にも書きましたが、音源が出ましたよ!AUDIOSLAVEのファンサイトにあがっています。PJは音源をオープンにしてくれてるので有難い!全部落とさせて頂きました。教えてくれたkaollyさん有難う!TEMPLE OF THE DOGのリユニオンには本当にたまげました。

サンタバーバラまつりの音源はここ!

年明け早々いいことだ。映画初めは『ヴァイブレータ』でした。結構混んでいた。ロングランになるといいね。芝居初めは『BENT』です。た、楽しみすぎて緊張する。

といきなり始まってますが、旧年中は沢山の方にお世話になりました。有難うございます。今年も宜しくお願い致します。

あ、あといきなりですが某所のペーパー、トレープレフじゃなくてトロフィーモフです。間違えてどうする。高橋くんはトレープレフもやったけどそれは1999年の話だよ!同じチェーホフだったんで名前を混同してました、すみませんー訂正しといてください。

高橋くんと言えば、蜷川さん演出の『血の婚礼』でトランシーバー少年の役をやっているのですが、これ以前寺島しのぶさんもやった役なんですよ。両方観てるんですが、どっちも良かったなあ。今になって繋がった感じで嬉しい。とても好きな作品です。

とまあ今年もとりとめなく書いていきますが、焦点が合った時には読んでみてくださいませ。