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2003年07月30日(水)
『結んだハンカチ ―ティールロヴァーとチェコアニメ』Dプロ+α

『結んだハンカチ ―ティールロヴァーとチェコアニメ』Dプロ@新宿武蔵野館4

すっかりセコのくまの虜です。Dプロでの作品にくまは出てこないけど、ポストカードを買ってきたぞう。かわいいぞおう〜!ゴミ捨て場にいるくまと目覚ましなんだけど、ゴミの中にニベアベビーローションの容器がある。ニベアって日本の製品じゃなかったんだっけ…?でも漢字が印刷された缶詰も転がってるんだよねえ。どこの国にあるんだこのゴミ捨て場は。ああゴミ捨て場を見るとこのくまと目覚ましがいそうで胸がきゅんきゅんなるね!今でもふたりは仲良く遊んでるのかね!(泣)

それはともかくDプロです。このプログラムでのセコ作品は木彫りの人形を使ったアニメーションで、プラハに実在する建造物にまつわる伝説をモチーフにしたもの。からくり人形みたいに顔がガッ!と変わるのをコマ撮りの手法でやってます。こわいー。くまを撮ったひととは思えないー…いや、あのくまの話も結構厳しいものだしなあ。そしてこっちにも杖を軸にしてくるくるまわってるひとがいました。得意技か。

そして〜先日はセコくまにヤラれちゃってましたが、メインのティールロヴァー作品はホント面白い!毛糸を使った作品『二つの毛糸玉』がすごい!Bプロの、やはり毛糸を使った『雪だるま』では、平面に毛糸を貼って動かす手法でこれもすごく面白かったんだけど、今回は立体。毛糸がくるくる絡まって、男の子と女の子に形作られる様子は瞬きするのが惜しい程。裁縫箱の中から出てくる針刺しや針が馬になったり剣になったり、みんな生きてるみた〜い。こういうこと思い付くって発想がすごいなあ。

子供たちに観せる、と言うことに拘った監督だそうですが、確かに心暖まるお話が多いです。Cプロも楽しみ。

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■ふ、不良品かも…
『レッド・ドラゴン』コレクターズBOX、ようやっと時間が出来たので特典映像から観始めたら「ブレット・ラトナー監督の撮影日記」がおかしい。音トビ、画像トビがすごい。1秒再生したら2秒戻るの繰り返し。他のコンテンツはちゃんと観られるので、やっぱこれって…おかしいよー。盤面に傷も見えないし。現在問い合わせ中。しょぼーん

■『オスカーとルシンダ』進行状況
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24〜27日目:(家にいなくてお休み)
28日目:ハセット僻地へ行く、ルシンダ賭場でオスカーと再会
29日目:オスカーが白イタチだったりオンチだったり
30〜31日目:(寝込んでてお休み)
32日目:教会を追放されたオスカーがルシンダんちに連れてこられる
33日目:(家にいなくてお休み)
34日目:オスカー、ダブスの会社に就職してつらい目に遭う
35〜36日目:(家にいなくてお休み)
+++++
うーむ1ヶ月で読了は無理だったか(遅)
そして誤読してたかも。これは性善説じゃない、性悪説だ。へ、ヘコむ…

『スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする』DVD
予約したぞ〜。うっふふふふふ

■にほんごであそぼ
最近ビデオに録って迄観ています。ややこしや〜

■セサミストリート
先日観たらREMが出てた。「SHINY HAPPY PEOPLE」を演奏してた。番組に合わせたのか、対訳がかわいらしくなっている。歌詞も変えてたかな?PEOPLEがMONSTERになってたような。パペットに囲まれて泣き真似するスタイプがかわいかった

『欲望という名の電車』e+特集頁
いよいよですよ。って、まだ3ヶ月も先だけど



2003年07月29日(火)
第3回PJ映像祭7DAYS『ピクトナイト』その2

昨日の続きです。

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佐吉●今回はPJ映像祭と言うことで、応募された作品の上映があるのですが。おふたりは自主映画とかって、どうですか?出演とか
大森●結構〜こそこそやってますよ、実は
山田●大森さん、『アイデン&ティティ』でバンドマンの役ですよね
大森●そうです。アマチュアバンドをやっていたんで…
佐吉●そういえば多摩の映画祭で、自主映画で観ましたよ。ミュージシャンの役で出てたの。あっこんなところに!とビックリしましたよ
大森●ああ、『迷猫』ですね。あの監督とはよくやってるんです
山田●演奏とかあるから、練習しないといけないでしょう
大森●そうですねー、練習期間がないと厳しいですね。でもあんまりないんですよね、時間
佐吉●水橋さんはデビューが自主映画でしたよね(『33 1/3rpm』)
水橋●はい
佐吉●あれねえ、最初チラシ見て女の子かと思って。「かっわいいコが出てるなあ〜」って観に行ったら水橋さんで…
(全員笑)
水橋●(消え入りそうな声で)…すみません……
山田●帰り道、気を付けた方がいいですよ〜
佐吉●大森さんは、舞台からでしたっけ
大森●いやっ、映画です。エキストラから始めて
佐吉●そもそもどうして役者に?
大森●話せば長くなるので〜…親父が役者だったんでその関係もあって「どう?」「…そう?」って感じで(笑)
佐吉●先日は、監督もされましたよね
大森●ええ、まあ、監督というか…
佐吉●またやってみたいなあとかって思いました?
大森●そうですねえ、監督というより、飲み会の幹事のノリで、皆でワイワイやれたらいいなあと
佐吉●水橋さんは撮る予定とかは?
水橋●ああ、はあ、いや〜…
大森●俺を撮るとか言ってたよね
佐吉●大森さんを撮るんですか?
水橋●いや、あの…行動力が薄いので…

****************

佐吉●これからノミネート作品の上映があるんですが、こういうのご覧になって、感想とか監督本人に言ったりします?
大森●いや〜…主観で観ちゃうんでねえ、ひとそれぞれですし
佐吉●監督は言ってほしいと思ってると思うんですよねえ
大森●はあ〜(困)
佐吉●そろそろ時間もなくなってきました。最後に、客席の方から何か質問ありませんか?
(シャイなお客が多いのか、挙手するひとがいません(笑)「どうですか?」「いませんか?」と何度か振られて、ようやく2列目のひとが質問を)
お客●水橋さんは「ジョニー」と呼ばれているのをどう思っているんですか?
佐吉●えっ?
大森●マニアックな質問ですねえ〜(笑)
佐吉●?ジョニー、ですか?
大森●『ぶらり』でジョニーって呼んでるんですよ(笑)
(注:『ぶらり』を熟読している方には周知の水橋くん=ジョニー。そもそもは連載開始前、大森くんと水橋くんが対談をした際、水橋くんが「俺、ジョニー!」と言ったのがきっかけです。以降『ぶらり』では大森くんが水橋くんのことを「ジョニー」と呼ぶことが…)
佐吉●水橋さんを?で、え?ジョニーが?
水橋●気に入ってるかってことだよねっ☆(ニコッ)
(注:あとで訊いてみたところ、このお客さんは本当は「ジョニーって呼ばれていることを水橋くん本人はどう思っているのか?」「そもそも何でジョニーなのか?」と言うのを訊きたかったそうなんだけど、水橋くんにニッコリ微笑みかけられ「ねっ☆」と言われてポワ〜となってしまい、それ以上ツッコめなかったそうです(笑))
水橋●気に入ってますよ〜(ニコニコ)
佐吉●普段もそう呼んでるんですか?
大森●いや、誌上のみで。あと呑んで酔っ払ってる時に「ジョニ〜」って言ったりしますけど(笑)
佐吉●はあ〜、そうですか。これからも連載はねえ
大森●単行本化を目指したいですねっ
(おお〜と拍手)
大森●さっき編集部のひとに、ピクトアップの表紙にしてくれって言ったら苦笑いされたんですけど
(会場中半笑い)
佐吉●これからも楽しみですね!それでは有難うございました〜

****************

…こうやって起こすと水橋くん喋ってないなあ…(苦笑)文字では間や沈黙を省略しているので流暢に見えますが、実際はとてもたどたどしいトークショウでございました(笑)おふたりとも借りてきた猫なのか、それとも猫をかぶっているのか、話しているひとの顔をじーっと見て熱心に聞いているのですが、自分に話を振られると途端に俯きがち、お互い助けを求めるように顔を見合わせると言うパターン(笑)

どちらかと言うと年長の大森くんがおにーさんらしく頑張る、と言う感じでした。でも大森くん、マイクはどの角度で持てばハウリングが起こらないか熟知している持ち方でしたねえ。慣れてます(笑)水橋くんは終始ニコニコ、穏やかな笑顔でした。シャイな方なんでしょうか。でも観客にとても気を遣っている印象がありました。

詳細は次号のピクトアップに載るんじゃないかな〜。楽しみです。

そうそう、イベント最初にクオークのCMが流れてウケた。クオークも協賛してたんですね。別プログラムに、過去のクオークCM一挙上映ってのがあって気になる〜。



2003年07月28日(月)
第3回PJ映像祭7DAYS『ピクトナイト』その1

第3回PJ映像祭7DAYS〜メインメニュー・セレクト篇1
『ピクトナイト』@テアトル池袋

ピクトアップで連載されている『ぶらり』が誌上から呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンですよ。大森南朋くんと水橋研二くんがトークイベントにやって来ました。今年で3回目を迎えるPJ映像祭のプログラム『ぶらりっと見てみる?俳優の素顔(仮)』です。(仮)がとれないままパンフレットに載ってましたが本決まりのタイトルは何だったんだろう。それとも(仮)ともども決定タイトルか。

司会は活弁映画でお馴染み山田広野監督と、『殺し屋1』『極道恐怖大劇場 牛頭(GOZU)』でお馴染み脚本家の佐藤佐吉氏。おふたりともあんなもん(褒めてます)撮る&書くとは思えないひとあたりの良さです。ぶらり組も舞台に上がり、まずはご挨拶。

山田●実はこれから上映する(ふたりが出演した)『ター坊、君は悪魔だよ』ですが、初めておふたりに見せるんです。どう思われるか…
佐吉●上映後は逃げないと(笑)
山田●逃げる前に連れ出されるかも知れないですよ、僕が。おふたりに(笑)

『ター坊、君は悪魔だよ』が上映されている間、大森くんと水橋くんは上手側最前列の席に仲良く並んでご鑑賞。結構ウケてました。そらウケるわな…(観てないひとには申し訳ないですが何とか察してください…)ひとしきり笑った後、舞台に椅子が出されトークショウのはじまりです。

以下記憶で起こしているのでそのままではありません。話が前後したところもテーマごとにまとめちゃってます。お気付きの点がありましたらjoyride掲示板の方へどうぞー。

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佐吉●どうでしたか
大森●いやっ、面白かったですよ
佐吉●これってどういうふうに撮影してるんですか?
山田●だらーっとやってますよ(笑)台本ないですからねえ〜。その場でちょこちょこっと説明して
佐吉●役者さんは状況をわかってやってるんですか?
大森●う〜ん、なんとなく…(笑)しかし学ラン着て下北沢を闊歩するのは恥ずかしかったですよ〜
山田●似合ってましたよ、立派な高校生です〜。でも、帽子がちっちゃくて…あれは申し訳なかったなと…(笑)
佐吉●そういえば山田監督にしては珍しい、下北で撮ってますね
山田●そう、新宿じゃなくて、未開の地下北沢で。新宿では撮り過ぎちゃって、作品の区別がつかなくなってきてるんですよ。活弁しててわからなくなる(笑)
佐吉●そもそも活弁ってどうして始めたんですか?
山田●ええ〜ともともとは、音が間に合わなかったって言う。上映迄に音が出来上がらなかったのを、しゃあしゃあと「活弁でえす」ってやったのが最初です。やってみたら面白かったので
佐吉●今回おふたりとやってみて、どうでしたか?
山田●普段はこれにも出ているエッへ!さんとか、舞台のひととやることが多いんですよ。舞台のひとはジェスチャーとか、振りがすごく大きいんですね。けれどおふたりは映像のひとだから…
佐吉●やっぱり違います?
山田●ええ、表情とかが緻密なんですよ。活弁がつけづらかった(笑)でも今回組んでみて、僕の活弁の向上にもなりました
佐吉●そもそもこれに出演した決め手って何だったんですか?
大森●決め手もどうもこうも…(笑)
水橋●(ニコニコ)
(結局何で出たかはわかりませんでした(笑))

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佐吉●ところでおふたりの出会いって何だったんですか?
大森●仕事では『カノン』かな?
水橋●(コクコクと頷く)
大森●プライベートでは、吉祥寺の花見で会ったのが最初です
佐吉●共演、多いですよね
大森●多い、ですねー。一緒に出てるのもだけど、出てるシーンは違っても同じ作品に出ているとか
佐吉●普段はおふたりは何をして遊んでるんですか?
水橋●ゲームとか、ねっ☆南朋くんち行って
大森●ゲームしたり…呑んだり…
佐吉●家で、ですか
大森●そうですねー…僕はめちゃめちゃインドア派です。(水橋くんは)そうでもないけどね
(この間ふたりで顔を見合わせて、ひたすらこそこそ話す。つつきあいもする。仲いいですなあ)
佐吉●他に呑んだりする役者さんの友達っています?
大森●榊〜英雄くんとか津田寛治くん。先輩からもかわいがって貰ってます
佐吉●監督さんとかは?
大森●あんまりいませんねえ。行定監督とかは呑みに来たりしますけど
佐吉●山田監督とは今回が初めて?
山田●僕、水橋さんのイメージって『月光の囁き』で。犬…
(全員笑)
大森●一時期犬って言ったら怒ってたよね
水橋●ははっ
大森●呑んでる時に「犬〜」とか言ったら怒る
山田●あ、そうなんですか。やっぱりあれが強烈だったので、『ター坊〜』では悪魔で行こうと。で、「ター坊」と(笑)大森さんはやっぱり『殺し屋1』の泣き虫。で、ひきこもり(『ター坊〜』での大森くんの役は17年間ひきこもりの末復学する高校生)をと。でも、実際会ってみたら…ねえ?金髪で、とてもワイルドな方だったんでどうしようと…
大森●あの時期はたまたま金髪だったんですよね
佐吉●そういえば僕と大森さんが初めて会ったのって、『殺し屋1』でしたね
大森●そう。佐吉さんがピンサロの店員の役で。僕がむちゃくちゃにされるっていう
佐吉●最初は手加減してやってたんだけど、三池監督が「彼、若いンで大丈夫だから」って言ったんで、本気でケリを(笑)
大森●…痛かったです



2003年07月27日(日)
うらめしや〜

土曜は具合が悪くて家にいっぱなしで(ニナガワカンパニーダッシュのチケットパーにしちゃったよ〜(泣))Inter FMのフジロック中継にへばりつく。ああ〜やっぱり行きたかったな!前日もfujirockers.orgと2ちゃんねるを延々読んでましたよトホホ。

木曜日にCOLDPLAYのクリス逮捕の話を聞いて、来れるんかと思っていたけどちゃんと来ていた模様、よかったねえ。しかしその曲が鳴ってる前にキャロル久末の声が立ち塞がり!キー!いや契約の問題とかあってそのまま流しちゃいかんのかも知れんけどこれじゃ生殺し!聴かせてくれえええ!

ELECTRIC SIXやUNDERWORLD、ANTHRAXあたりは2〜3曲まるまる聴けた。家でゴロゴロのたうったね!ああ現地で!現地で聴きたかった!金曜日は大雨でかなり過酷だったようなので、「やっぱ今年は行かなくてよかったかも〜」なんて思おうとしてたけどやっぱねえ、行ったら行ったで楽しいんだよねえ。

そんな訳で家でCDばっかり聴いてました。最近のローテーションはこんなです。

■PRIMAL SCREAM『LIVE IN JAPAN』
爆発力がすごすぎるー。面白すぎるー。なんかすっごいドーピング臭がするー(笑・酒臭か?)近作の「MISS LUCIFER」「SWASTIKA EYES」と、「ROCKS」あたりがどっちもやばく鳴ってるのがやばすぎるー。あまりにやばいので自分が書いてることもよくわかりません(笑)

■STEELY DAN『EVERYTHING MUST GO』
いや〜落ち着くねえ〜。ドナルド・フェイゲンの声は大好き

■dip『9souls』
いやもう!もう!!もう!!!この夏のテーマ曲ですよ「9souls」!これライヴで聴いてみたいなあ。しかしCDだとギター被せてると思われます。ライヴだと3ピースでどうするのかな。と勝手にライヴを想定してますが。ああライヴで聴きたい

■CLIFF MARTINEZ『SOLARIS』O.S.T
夜中に聴くともう会えなくなったひとが後ろに立ってる気がします(笑)いやいやしみるねえ

■RICHARD HAWLEY『LOWEDGE』
いいっす。和む

■LONGPIGS『MOBILEHOME』
リチャードを聴いてると、クリスピンの声が聴きたくなる(泣)

■V.A『BEFORE NIGHT FALLS』O.S.T
夏になると聴きたくなる。と言っても今年はまだ涼しいねえ

■V.A『STRANGE DAYS』O.S.T
まだ聴いてます(笑)飽きない

■DURAN DURAN『GREATEST』
やっぱええわあ〜。ていうか1995年あたりの曲がえらく良くて。新譜期待してます

■『RUDYARD KIPLING READINGS BY RALPH FIENNES』
…文字通りファインズさんの朗読ものです。ヒアリングの訓練になるかも〜☆なんてね!なりません!ドキドキしちゃってそれどころじゃありません!(アホ)

これから楽しみなのは54-71とJANE'S ADDICTIONの新譜。あ、54-71はもう出てるか、買いに行こう。

来年はやっぱり行きたいなあ、フジ。



2003年07月25日(金)
涙なしには

片足のくまが大層気になったので(19日の日記参照)、『チェコアニメの巨匠たち』を買ってみた。載ってる載ってる『僕の友達はチクタクいう』。あらすじはこんなんでした。

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クリスマスの晩に、ゴミ捨て場に捨てられた壊れた目覚まし時計とくまの人形が出会う。もう「チクタクいわない」目覚ましは自殺しようとするが、くまは足代わりの木の枝を見せ踊って励ます。それでも元気のない目覚ましのために、くまはゴミ捨て場のゴミを拾って、クリスマスの飾り付けをする。雪の上を滑って遊んでいるうちに転んでしまった目覚ましは、その衝撃で、再びチクタクいい始める。

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……ぎゃひー。なんかあらすじ読んだだけで泣けてきちゃったんですけど!くますげえいいヤツだ!と言うか、あんなカワイイナリしてこんなヘヴィーな話だったんか…目覚ましはチクタクいうようになってもくまの足は木の枝のままだよ!ああ永遠に仲良くな!離ればなれにならないようにな!(号泣)

そして『卑怯者、出てこい』に出てくるお菓子は、チョコレートではなくナッツ味の飴でした。そうそう、サッカー(と言うか足でやるボーリングと言うか…木の枝の足でな…)して遊んでるうちにお菓子とられちゃうんだよね…とるな!このコらをいぢめるな!(泣)

ビックリしたのが、これの原案と脚本のイヴァン・ウルバンは『ぼくらと遊ぼう!』シリーズも書いたひとだった。ひょっとしてくまの声をあててるおっさんも同じひとなんじゃ…。チェコにはくまジャンルと言うものがあるのだろうか。

監督のガリク・セコはティールロヴァーやトルンカのスタジオにも在籍していたそうです。58歳で亡くなっている。結構若いな…。もっと作品を観てみたい。どうやら今回が初の日本公開のようなので、これからどんどんお願いしますチェスキー・ケー レン コーポレーションさん。ものすごく観たいのでわざわざアンケートをFAXしちゃった。

そしてDVD!DVD!お願いDVDリリースして!



2003年07月20日(日)
『セクレタリー』+α

『セクレタリー』@シネマスクエアとうきゅう

ネタバレしてます。

自傷癖治療を受け、退院後生まれて初めての就職をしたリー。雇い主はちょっと挙動不振なグレイ弁護士。秘書(セクレタリー)として、タイピングに雑用にと奮闘するけどやはり失敗もしてしまう。そんなある日、グレイにある“お仕置き”をされたリー。そのお仕置きに“目覚めてしまった”彼女は…?

話的には「何でそこでそうなる!」とつっこみたい箇所があるんだけど「いや、ふたりがこういう嗜好だから」で納得させられてしまうと言うか(笑)結構エログロの要素があるにも関わらず、それにあまり不潔感や嫌悪感を臭わせないところが面白い。撮り方がかわいらしいからかな。ただ、こっちの気持ちを切り替えないとキツいかも。

グレイがまたいいキャラで。自分を傷付けることを止めさせようと、リーを部屋に呼ぶシーンがあるんだけど、ソファの後ろに必要なものを全部セッティングしてるのね。ホットチョコレートとか用意して待ってんの。絶対冷めてるって!それ以前にリーがホットチョコレートを「いらない」って言ったらどうするつもりだったんだろう(笑)初デートの前日にシミュレーションしすぎて当日大失敗しそうな中学生のノリです。成功して?よかったね。

くりっくりの瞳で影からじーーーーーとリーのこと伺ってたりもするんですが、それがじとっとならない。ジェームズ・スペイダーの目がいいのかもなあ。クリストファー・ウォーケンと通じるような、見てるようで見てないような目。品もいいしチャーミングだな。で、ツボなのが「ああなんで俺ってこうなの!」と悩んでるところ。でも表向きは、全くそれを出さないところ。謝罪の手紙書いて捨てちゃったりするところ。「内気」なのも「仕事の為に克服した」と言うだけあり、仕事はきちんとやれている様子。問題ないじゃん!そのまま突っ走ればいいやんリーだってそれを望んでるよ!と常識外れな応援をついしてしまいたくなる程かわいらしい。

これはジェームズ・スペイダーの佇まいがすごいのかも。前述のじとっとならない目にしても、他の役者さんには難しいかも。それはリー役のマギー・ギレンホールにも言えます。グレイの気持ちをひくためにミミズを手紙にはさんだり、一途に彼を待つあまり失禁しちゃったりと文字にするとエグいけど、ちょっとたれ目なはにかみ屋さん顔がいい緩衝剤になっている。お仕置きされてからの彼女は俄然綺麗になるんだよね。仕事にも格段に自信を持つようになるし。おどおどしていていつも猫背だった最初の頃とはまるで別人。

このふたりだから、ちょっと異常な愛情表現も、別に問題ないじゃん?むしろいいことだらけじゃん?ならいいじゃん!と納得させられてしまう。

机にへばりついたまま3日間、ぐったりのリーを、グレイがお姫さまだっこでバスルームへ連れて行って、身体を洗ってやるシーンにはジーンときました。「やったなグレイ!」とグレイの背中をばんばん叩きたくなった(笑)まあこれからいろいろありそうだけどね…ははははは。

あと小道具がいろいろかわいらしかったです。リーの“裁縫セット”とか、グレイんちの『秘書募集中』の看板とか。ポップな色使いも含め、作品が下品にならなかったのはここらへんのプロダクション・デザインの貢献度も高いのでは。

それにしても、ピーターが…可哀相だったなあ。結構いいコだったのにね。この役者さん(ジェレミー・デイヴィス)まだ3本しか(これ、ソラリス、ミリオンダラー・ホテル)出演作観てないんだけど(あと『ラビナス』にも出ていたそうなんだけどこれは憶えてない…)いつもぐにゃぐにゃしています。最初は役作りかなと思っていたんだけど、地なのか…?他の作品ではどうなんだろう。

****************

『ROCK'N' ROLL EYE ―The photography of Mick Rock』@東京都写真美術館 3階展示室
あっ、これも。あれも、これも、これも。これも彼が撮っていたのか。
写真はロック好き(笑)のひとなら観たことあるものばかりなので新鮮味はないのだが、一挙に作品展として観られるってのがとても嬉しい。添えられているミュージシャンやミック・ロックのコメントがまたいいんだ〜。その場に居合わせたひとにしか語れない言葉たち。
ジギー期から人間になった(笑)、デヴィッド・ボウイクロニクルは貴重だなあ。力強い筆文字で「出火吐暴威」って書かれている山本寛斎氏デザインの衣装をまとっているボウイの写真が面白かった〜。合ってるような合ってないような当て字(笑)
ミック・ロック本人も来場していた。若々しい!本人もミュージシャンのような佇まいで格好よかった。ティム・バートンみたいなメガネかけてました。

『世界報道写真展2003』@東京都写真美術館 2階展示室
つい最近新聞で見たものも展示されていたりする。写真の力と言うものは本当に大きい。実はデザインとしていちばん優先されるべきものだと思っている。力のある写真って、もはやデザインを必要としないんだよね。
前回のキャパを逃したのは痛いなあ。うー。



2003年07月19日(土)
『結んだハンカチ ―ティールロヴァーとチェコアニメ』Bプロ、『9souls』初日舞台挨拶

昨日の分から。

****************

『結んだハンカチ ―ティールロヴァーとチェコアニメ』Bプロ@新宿武蔵野館4

Aプロ・ボーイズ編には間に合わず(泣・最終日だったのに〜)Bプロ・ガールズ編のみ。チェコアニメ三大巨匠(あとのふたりはゼマン、トルンカ)のひとりティールロヴァーの作品を中心とした、短編9作です。

今回俄然気に入ったのは、宣美でもメイン写真になっていたガリク・セコの作品。Bプロでは2本上映されました。そのうちの1本『卑怯者、出てこい』ってのが!む、むちゃむちゃかわいい!が、よく見ると…主人公のくまのぬいぐるみがですね…片足でした。で、ない方に義足代わりの松葉杖をついていて(ここにちっちゃい画像あるけどわかるかな〜)それを軸にして非常にかわいらしくくるくる回ったりするのよ…どうしたのあんた…回ってる場合か…目玉も時々左右違う方を向いてたりします。ともだちの時計もなんか壊れ気味だしな。どうやら古くなったので捨てられたらしい。うわ切ない。

遊んでいるうちにおやつのチョコレートをパイプオバケにとられてしまい、怒ったふたりはオバケ退治だ!とパイプをガンガン叩きます。しかし出てきたのはこびとのじいさん。すすまみれであまりに汚いので洗ってあげたりしているうちに何だか仲良くなってしまい、じいさんが寝る時にはひつじじゃなくて豆の数を数えるんだ〜とか言って、へえそうなんだ〜おやすみ〜夢を見てるみたいだねうふふふふ、って、あんたらパイプオバケはもうどうでもええんかい。かわいいんじゃ!ああかわいい!

そしてくまの声がやたらおっさんで。あの〜同じくチェコアニメに『ぼくらと遊ぼう!』ってシリーズ作品があるんですがね、これも主人公のくま2匹ともにすんごいおっさん声なんですよ。なんでじゃ!あんなかわいらしいツラしといて!しかもまだ子供(だろう)なのに!チェコではくまの声はおっさんがあてると言う定石があるんでしょうか。……だんだん慣れてくるんですけどね、おっさん声にも…。

あ〜これAプロの『僕の友達はチクタクいう』の続編だそうで…うわあんこっちも観たかったよ!DVD出してくれ!『卑怯者、出てこい』共にうちに置いといて愛でたい!

メインのティールロヴァーは、実写と人形の組み合わせとか、毛糸を平面に貼り込んだアニメーションとか、アイディア溢れる作品群で面白かったです。『雪だるま』が解ける様子がすごく面白かった。『迷子の人形』は、ゲラゲラ笑わしたあとにしんみり良かったね!とストーリーも面白かった。

以降もCプロ・ファミリー編、Dプロ・アダルト編と続いてます。行きたいぞう。

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『9souls』初日舞台挨拶@テアトル新宿

とにかく初日初回を観たかったので並びましたよ5:30から!舞台挨拶もついてお得でした。徹夜組も出たそうで、すごいなあ。

初回は整理券を配布せず9:00開場の予定だったのだが、あまりにも列が長くなった為か、ちょっと早めに入れて貰えた。しかし上映開始は11:30。暇だ…最初は喋ったりしていたが、そのうち座れた&場内があったかい(外が涼しかったんで)こともあり気が抜けたのかごうごう寝る。気付いたら11:30でした(笑)

上映後に舞台挨拶。豊田利晃監督と、メインキャスト9人全員が来てくれました。原田芳雄さんが登場した時の、他のキャストの時とは2オクターブくらい低い「うおおおお!」って歓声が印象的。原田さん、渋くて格好よかった!

以下面白かった発言など。

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豊田監督:本日は『踊る大捜査線』に踊らされず(場内爆笑・これ絶対言おうって1週間前くらいから考えてたんだろうな〜)こちらに来て頂いて有難うございます

原田芳雄さん:こいつ(松田龍平くん)がまた馬鹿力で…(田んぼでの乱闘シーンは大変だったらしい)

板尾創路さん:(マイクを持った途端笑い声が起きて)なんで笑っとんねん!

マメ山田さん:あんまり経験のない役なので…ないでしょう、こんな(脱走囚)経験

+++++

それにしても平均身長の高いこと!鬼丸さん180cmって聞いてたんだけど、彼を基準にしても板尾さんが同じくらい、千原Jr.、龍平くん、大楽源太さんはもっと長身だった。デカ!デカ!こんなんが脱走したら怖い!その分すごい迫力の画になってましたが。

『青い春』にも出ていて、今回もちょこっと出演していた(草野球チームのキャプテンだそう。わからんかった…だって殆ど映らないもん…)大柴裕介くんも客席にいらしていたそうですが、豊田監督に呼ばれたら照れたのか隠れてしまいました。

本編については後日…痛い、痛い、刺さる、刺さる。ホントに9回リピートしたろうか。豊田監督大好きだ。この監督の作品でしか見られない“役者のツラ構え”と言うものがある。これは塚本晋也監督の作品にも言えることだが。オープニングタイトルが最高。dipが手掛けたサントラが最高。ハイスピード、血、素晴らしいロケハン。いろいろある。圧倒されているのでもう少し頭を冷やしたい。



2003年07月18日(金)
ネタがいろいろと

フクロウ屋さんが復活したよー(嬉)
1月に閉店したフクロウ専門店、何故か同じ場所で復活してました(bunbunさん教えてくださって有難うございますー)また観に行くぞう!飴屋さんも帰ってきているようです(画像載ってるけど痩せた?)今ひながいっぱいいるみたい。また行くぞう

■撮るそうです
『Benicio to direct The Rum Diary』
うおーマジですかー。ソダーバーグとのチェ・ゲバラ映画はまた延びそうね…しかしどっちも楽しみ!

■初演と演出プランがどのくらい変わるか?
『欲望という名の電車』宣材写真初披露?
スタンが古田さんだからな…セクシャルな面は強調していくんだろうなあ。スズカツさんと古田さんと言うと、『セルロイド・レストラン』でのラヴっぷりがすんごく良かったので期待

■『オスカーとルシンダ』進行状況
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23日目:「神がわたしたちに要求しているのは現世に存在するあいだ、すべての一瞬を賭けることです……本当です! 生きているかぎりその一瞬、一瞬を賭けなければならないのです。」
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…そう、これを読むのが勿体なくてのろのろ読んじゃってたのよ…。読んじゃったよ〜(涙)
私ことあるごとに無神論者って言ってますが、「そういうもの」が存在するってのは実は信じてるんです。ここらへんちょっと複雑なんですがね…いるでしょ、そりゃ。その神に名前を付けるのはねと思うわけです

■ところで
このレヴュー…ラルフ・フィネスて…そりゃないだろー!(泣)ファインズさんがノートンくんにレイファイと呼ばれた時に「この呼び方ならラルフとかフィネスとか間違われないでいいね☆」と喜んだそうですが、まさにの事例が…綴りって難しいね…ちっちゃい頃学校でクラス替えとかある度に間違われたんだろうねえ(涙)



2003年07月17日(木)
たのしいネット通販+α

なんてJAROっぽいタイトルを付けてみましたよ。

DURAN DURANオフィシャルブートレグ
オフィブーって名称はパールジャムの登録商標か?(笑)まあ内容的には同じなので…。
今やってるツアーのライヴ盤を順次出していくようです。2枚組の単価が$25.00。普通にお店で買うのとそんなに変わらない。2枚組だからむしろ安いか。良心的です。武道館1日目の分をオーダーしてみました。音響がすんごい悪かったので(…)綺麗にマスタリングしたものが聴きたい。演奏良かったしね!8月中旬くらいに届く予定。楽しみー。
しかしこうやってみると、パールジャムがいかにコスト削減してくれてんのかよく解ったわ…2枚組の単価$14.98だったもんな。や、安過ぎる

■と言えば
パールジャム、今アメリカツアー終盤なんですがこの日(7月11日)のセットリストがすごい
49曲て…2枚じゃ入りきんないのでは?2000年のツアー最終日(地元シアトル)は3枚組になってたけど、この日は4枚組とかになるんじゃないの…す、すごすぎる。オフィブーはプレオーダーから受け付けているので、価格は据え置きみたいです。……スタッフ大変だ…(涙)こればっかりはやってみないとわかんないもんねこのバンドは…。いやでもホント、こういう時くらいは価格上げてもいいと思うよ!何故ファンが気を遣ってしまうのだろう(笑)
そして14日はとうとう!(セットリストに注目!)「HUNGER STRIKE」やってるーーーーー!マジか!!!

■そういえば
『レッド・ドラゴン』DVDがもうすぐ届くんだ〜。本編もだけど(結局三軒茶屋シネマでの上映も観に行ってしまいました…古〜い映画館に雰囲気合ってて良かった)オマケが楽しみでね!ダラハイドの日記やらタトゥーシールやらタトラー新聞のレプリカやら。映像特典も盛り沢山らしーし楽しみだ〜

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■今頃気付く
『ソラリス』のスノー役のひと、どっかで…と思ったら…『ミリオンダラー・ホテル』のトムトムくんか!!あの髪型じゃなかったんで判らなかった(笑)『セクレタリー』にも出演しているそうなので気になる

■『オスカーとルシンダ』進行状況
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15〜18日目:(帰宅遅かったんでお休み)
19日目:オスカーとルシンダが船の中で遭ったよおおお
20日目:(帰宅遅かったんでお休み)
21日目:オスカーがボサボサ髪をブラシでとかしておめかしを!ルシンダに会うから!
22日目:(帰宅遅かったんでお休み)
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ペースが落ち気味。家にあんまりいないってのもあるが、読み進めるのが何だか勿体なくてねえ。ええそうです好きなおかずはとっといて最後に食べる性格です

■私信
みぃ♪さん利音さん、昨日はどうも有難うございました〜。楽しかったです!



2003年07月12日(土)
『ソラリス』

『ソラリス』@新宿オデヲン座

SFはSFでも、サイエンス・フィクションと言うよりスペース・ファンタジーな趣。宇宙には不思議な力がある、それを神の領域と言うのもいい。踏み込まない方がいいこともある。それでもそこへ向かってしまうひともいる。それは正しい選択だったのか?

SF小説の金字塔と言われる原作『ソラリスの陽のもとに』、アンドレイ・タルコフスキー監督作品『惑星ソラリス』のリメイク、ジェイムズ・キャメロン製作と言うフィルターを一度とっぱらって観るといい。『トラフィック』を撮ったスティーヴン・ソダーバーグ監督作品、と考えれば何となく見えてくるものがある。

極めて個人的な感想。タイミングよく被ることがあったので。

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■今仕事でsolaris(デバイスドライバの方ね)の本を作っている(笑)
■今読んでいる『オスカーとルシンダ』で、オスカーの父は死後の世界にこそ安らぎがあると信じており、現世はその安らぎを得る為の修行の場で、享楽は断じて許されないと考えている
■パールジャムがカヴァーしているWAYNE COCHRANの「LAST KISS」。こんな歌詞。
 she's gone to heaven so i got to be good
 so i can see my baby when i leave this world
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 きっと彼女は天国に行ったはずだから、俺も善人にならなきゃ。
 そうすれば、この世を去る時に俺は彼女に会える。

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自分の人生はクズみたいなものかも知れないし、とるに足りないものかも知れない。それでも、もういないひとの為に自分を、日常の生活(これってすごい重要)を少しでもいいものにしたいと思う心。この世にいようがいまいが、そう思わせられる相手がいると言うこと。

死の向こう側にあるもの。私は無神論者だし、死は無だと思っている。しかし魂と言われるものが残るとしたら?宗教によってはそれが天国だったり浄土だったりするのだろう。「ひとは二度死ぬといいます。一度目は肉体的な死。二度目は友人が語らなくなった時。でも、安心して下さい。ここにいる僕らは、いつまでも君のことを語り続けます」と言ったのは三谷幸喜さん。伊藤俊人さんへの弔辞。残されたひとの記憶でもいい。魂=記憶と考えてもいい。

しかし、この記憶と言うものはやっかいだ。ソラリスから来た“お客”レイアはクリスの記憶から作り出された訳で、このソウルメイトはクリスの都合のいいように組み変えられている。クリスの身勝手さが作り上げたものとも言えるのだ。ひととひとの間に絶対的な理解は有り得ない。

でも、それでいいのかも知れないと思った。クリスはある意味解放された。許されたと言ってもいいかも知れない。“真実の”レイアがどう思っているかを知ることは出来ないにしても、レイアの魂=記憶は、残されたクリスに与えられるものがあったのだ。こういう喪の仕事もあるのだな、と思った。

ここに『トラフィック』との共通点。登場人物の最後の選択はあまりにも切ないものだが、『トラフィック』のハビエールはそれを受け入れ、静謐な表情をしていた。ヘレーナも、モンテルも、ロバートも。選択は正しかったのか、それは誰にも判らない。

クリスやスノー、ゴードンの選択もまた、正しいと言えるかはわからない。いや、それが正しいかなんてことはどうでもよく、本人が納得するか、後悔しないかなのかも知れない。苦いハッピーエンドだ。ハッピーエンドだと私は思う。

メインキャスト4人のアンサンブルが丁寧。不安、恐怖、奮起、安堵と言った微妙な心情を、狭い空間で派手な動きをせず、清楚に表現している。

ソダーバーグは自分で撮影もするひとだが(ハリウッドシステムの都合でクレジットは出していない)このひとの画は個人的に好きだ。色が綺麗だし、カットアップの仕方も面白い。今回は手が印象に残った。自炊しているクリスが、過って包丁で切ってしまった手。遺書がわりの詩集の一片を握ったレイアの手(これ映った時点で「あ、絶対死んだ」と思った)。クリスと子供の手。手が映るだけでこんなに悲しい気持ちになるなんて面白い。

サントラはソダーバーグとはもはや盟友?組むのは9本目のクリフ・マルティネス。すぅばらしくいいです。クリスがソラリスに到着するシーンの曲で即「クリフだ!」とピンときた“あの”音。『トラフィック』のサントラが好きなひとには超おすすめ。それにしても『トラフィック』にしろこれにしろ、何で国内盤が出ないかね(泣)

帰宅したその夜は雨。映画の中の雨を思い出した。静かな雨だった。

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三田正明写真展『“9Souls”THE PHOTOGRAPHY』@リトルモア・ギャラリー

『青い春』もだったけど、豊田監督の作品は本編と拮抗する程スチールが美しい。映画は19日が初日なので未見。でも期待は膨らみ放題。はやく観たい。

しかし龍平くんと瑛太くんが満面の笑みで肩組んでるショットがあったんですがね、血まみれなんですよ。全身血で濡れねずみ。ひぃいいい!何やったんだあんたら!そんな姿でにかーって楽しそうに笑われても!ピースサインされても!……一体どんなシーンになってるのやら…。

会場ではdipの新譜がかかっていた。あ、ニルヴァーナだ!と一瞬足が止まる。オリジナルはヴァセリンズで、ニルヴァーナがアンプラグドでカヴァーした「JESUS DON'T WANT ME FOR A SUNBEAM」だ。今回この曲をとりあげたのは、何か思うところがあるのかな。



2003年07月11日(金)
DURAN DURAN "78-03" JAPAN TOUR 2003

DURAN DURAN "78-03" JAPAN TOUR 2003@日本武道館

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セットリスト

FRIENDS OF MINE(short)
HUNGRY LIKE THE WOLF
PLANET EARTH
COME UNDONE
WHAT HAPPENS TOMORROW
NEW RELIGION
VIRUS
WHITE LINES
WAITING FOR THE NIGHTBOAT
STILL BREATHING
IS THERE SOMETHING I SHOULD KNOW?
SAVE A PRAYER
ORDINARY WORLD
A VIEW TO A KILL
REACH UP FOR THE SUNRISE
NOTORIOUS~WE ARE FAMILY
WILD BOYS
CARELESS MEMORIES

1st encore:
THE REFLEX
GIRLS ON FILM

2nd encore:
RIO

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私にとって初めてのアイドル(う〜ん世代がわかる)がオリジナルメンバーで来日となればいてもたってもいられなく。てか初めてだよう生デュランデュラン!メンバーの顔だけおっきくなってるお酒のCMが好きで好きで、親に買ってくれとせがんで飲めんのに何言ってんだと却下された思い出も懐かしいわ(笑)ツアータイトルにもなっている“78-03”にズシンと歴史を感じます。

しかし私、当時ジョンのことが大好きだったんですが、いざステージを観るとサイモンにばかり目が行き。自分の好みが変わったのか?(サイモンある意味ムンムン部だもんな)サイモンにはガキにはわからない大人の魅力があったのか?サイモンが美しく成長したのか?(それはどうか)それにしても45歳(!)とは思えないよ!メンバーの中でいちばん若く見えるよ!胴回りは拡がってたけど(笑)脚長!腕長!か、格好いいい〜。白いスーツが似合うよ!ステキだよ!

そして声が出るわ出るわ。45歳とは(以下略)「RIO」でハーモニカソロやった時はちょっと息切れしてたみたいで「大丈夫か!無理すんな!」と手に汗握りましたが最後にはタコ踊りで腕脚バタバタ、ぐるぐる回ってひいいかわいい!と言う感じでした。あ〜このわんぱく坊主な佇まいがいいよ!ムンムンしてるのに!45歳とは(しつこい)美声だ〜ステキだ〜。「ワタシハデュランデュランデス」ってMCもおかしかった。かわいい。

ジョンは変わってなかったわ〜そりゃ歳はとったけど、そして顔は老けたけどいいのだ!身体とか全然たるんでないのがすごい。むしろ今の方がシェイプアップしてるみたいだ。努力してるんだろうなとその心意気に平伏。あと上腕にタトゥー入ってたっけ?いつ入れたんだろう。四十路デビュー?(こら)

ロジャーを観られたのには感慨深いものが…引退したあと農業やってるってウワサは本当だったんだろうか。音楽辞めてたとは思えない叩きっぷりでしたよ!アンディはなんか具合悪そうだった。疲れてんのかな。無理しないでね!そしてニックの胴回りが…結構……ステージからハケるのが側面から見えたんだけど(西ブロックだったんで)随分お腹が出ていてね…顔はちっちゃいままだったんで、これがイギリス仕込みのビール腹なのかと多少ショックを受けました。でも格好よかったからいいのだ!

途中ステージ後ろのスクリーンにメンバーが大映しになった時がすごかった。私たちは1階席の後ろの列で、2階席の屋根に遮られてスクリーン上部が隠れてた(アップになると顔部分が見えないのね)んだけど、このブロックの皆がぎゃああああ!ってメンバーの顔を見ようと一斉にしゃがみ込んだの(大笑)皆一斉にがーっとしゃがんだから(自分もな)それがかなりおかしかった。

セットリストはまさにグレイテスト・ヒッツ!な趣。イントロドン!で「きゃああああ」と言ってばかりでしたよ。それにしてもやっぱ曲がいい!そして意外にも(失礼)演奏がしっかりしていてビックリした。音響がかなり悪かったので勿体ない!

そして当時は気付いてなかったことも。コーラスワークがすっごくいい。メロディラインの美しさは周知ですが、コーラスがこんなに美しいとは。特に「ア〜♪」って伸ばすとこよりも、数度上下のラインをヴォーカルと同じ歌詞で唄うとこのハモリっぷりがすごい綺麗だった。

アレンジもそんなに変わってなかったのに古い感じがしなかったし、いい曲は腐らないねえ。新曲も結構よかったので、来年のリリースが楽しみ。このまま活動続けるんでしょうか。

意外にも?男子が多かったのには驚いた。「アンディー!!!」って野太い声も飛んでたし(笑)いい曲書くいいバンドなんだなあと今更ながら思いましたよ…。西ブロックって目線の先に時計があって、普段は「どのくらい経ったかな」って結構見ちゃうんだけど、この日は気付いたら2時間経ってたって感じでした。あっと言う間。いや〜良かった。帰りにジョナサンでご飯食べ乍ら、「いい歳の取り方したいよね!」とアツく語り合ってしまった夜でした。

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■こっちか!
『ハムレット』@シアターコクーン
 2003年11月16日〜12月14日
 演出:蜷川 幸雄

高橋洋くんが出る!『欲望という名の電車』と日程が被っているので困ったぞう。やりくりを今から考えねば…。ああよかったよ、役者辞めてなかったよ…(泣)どの役だろう。ホレイシオかな、ロズギルかな。
河合祥一郎氏の新訳をこちらでも使うらしい。萬斎さんへの当て書きのような台詞回しになっていたこの訳をそのまま使うのだろうか。蜷川さんは脚本の言葉はいじらないひとなので、どうなるか興味がある。演出プランも「父を失った三人の青年たち、父を失った一人の少女、世界は今」と言う視点だそうで、面白くなりそうだ。



2003年07月10日(木)
ふいうちはビビる

『Hamlet』も観たことだし、野村萬斎さんの著作を読んでみようかなと思い本屋さんへ。新宿の、朝早くから夜遅く迄やってるあの本屋さんです。

『萬斎でござる』(朝日文庫)と『わたしはネコロジスト』(中公文庫・手のひら絵本シリーズ)を持って、50代くらいかな、白髪まじりの店員さん(男)が立つレジへ。

置かれた2冊の本をじーっと見ているその店員さん。動きが鈍い。

「…カバーはどうなさいますか?」
「1冊だけお願いします」
「…どちらにおかけします?」
「どちらでもいいです」
「……野村萬斎…」
「……?」
「…今、ハムレットやってますよね」
「は、はい?」
「野村萬斎、ハムレット」
「あ、は、はい」
「河合祥一郎の新訳で」
「ああ、ええ、観ました」
「どうでしたか、訳!(と言いつつ2冊ともカバーをかけている)」
「(…カバーは1冊だけでいいって…)ええ、耳に入りやすかったし、すごく面白い訳でしたねー、かなり好きでした」
「そうですかあ!(ニコニコ)有難うございます〜」

呆然としたままお店を出て、しばらくしてから「あ、そうだ。新訳ってもう出版されてるんだっけ?そのことを訊いてみればよかった」と気付いた。訊いてほしかったのかもなあ。いやでも突然こんな話振られたら動揺するって!

それにしても……あの店員さんは萬斎さんが好きなんだろうか、河合さんが好きなんだろうか。訳のことを訊いてきたから河合さんファンなのかな。

以前書店でバイトしていた時、自分の好きな本を買っていくお客さんに声かけたいなーと思ったことは何度もあったが、実際話し掛けられた方はかなり狼狽するんだなと実感しました…。

新訳は角川文庫から出ているそうなので読もうと思っていますが、さてどこで買おう。あの本屋さんで、あの店員さんがレジにいる時に買ってみようかなー(笑)



2003年07月09日(水)
『マトリックス リローデッド』

『マトリックス リローデッド』@新宿ミラノ座

ぎゃー。

スミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスがスミスが…これくらいでいいでしょうか。

てかスミスが(しつこい)

廊下のせまーいところにスミスがぎゅうぎゅうになってるとこはもー腹がよじれる程笑ってしまい。このスペースにこんなに沢山いたら逆にお互いが邪魔だろうに。仲間割れして掴み合いのケンカするスミスも見てみたい。で、他のスミスが止めに入るのな。「やめろよ同じスミスじゃないか!」とか言うて。ネオおいてけぼり。

それはともかくおもろいーおもろいー。会話劇のシーンになると眠くなるんだけど(おい)とは言ってもアクション以外のとこも面白いですよ。モーフィアスかわいそうだったなあ。船も壊されちゃってしょんぼりですよ。鍵屋さんもいいキャラだったなあ。キーメイカーがまんま鍵屋。直球過ぎておもろい。深読みしようと思えばいくらでも出来る細かい設定も面白いと思います。つっこみたいひとはつっこんでいいし、アクションすげー!映像すげー!でも楽しめます。

リンクの行く末が心配です。やたら「絶対帰ってくる」って言うし、奥さんにお守り渡されてるし。このシーン、すんごいしつこくなかった?伏線だったりするのかな…死んじゃやだよー(泣)ああはやくレボリューションズが観たいよ!

難を言えば、数多のフォロワーを生み、今ではTV等で日常的に見られるようにすらなってしまった、第1作目の革新的な画作りにこっちの目が慣れてしまった感もあり。なのでちょっと前半ダレたかな。作る方も大変だよね。と、思っていたら終盤の高速道路シーン。ははー、流石元祖です。参りました。

しかし増えたなあ…スミス。

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■好評だった様子
7月9日付・朝日新聞朝刊文化面に『エレファント・バニッシュ』ロンドン公演の記事「変幻する東京 英国喝采」。日本公演と演出を一部変えたのか〜。ずるい〜(笑)



2003年07月08日(火)
この演出家の話になると目の色が変わる

多分これ周辺の情報が増えるにつれどんどんおかしくなって行きますので(私が)気にしないでください。知ってるひとは知っている私の鈴木勝秀(以降スズカツさん)キ●ガイっぷり。生暖かい目でひとつよろしく。

■さりげに発表になっているが詳細は判らず
『BENT』@PARCO劇場
 2004年1月4日〜2月1日
 作:マーティン・シャーマン
 演出:鈴木 勝秀
 翻訳:青井 陽治
 美術:ニール・パテル

1979年初演、ゲイプレイとしても有名な作品。昨年tptで、ロバート・アラン・アッカーマン(彼はブロードウェイ初演も手掛けている)演出の特別無料公演も行われている。今思えばこれの布石だったか?ワークショップもやっていたらしいが…。
この演目でこの演出家、あまりにハマりすぎるんで今迄誰も話を持って行かなかったのでは(笑)とつい深読み。パルコなら『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』路線で行くかな。多分センセーショナルな触れ込みで、豪華キャストで来る筈だ。書いても無駄だと判っているが、高橋洋くん出ないかな…いや願望ですから。言ってるだけですから(泣)
美術のパテル氏はミュージカルやオペラの装置をよくやっている様子。う〜んどうなるか。
キャストがどうであれスズカツさんが演出なら通います

■その前に
『欲望という名の電車』@青山円形劇場
 2003年11月7日〜11月30日
 作:テネシー・ウィリアムズ
 演出:鈴木 勝秀
 翻訳:小田島 雄志

詳細が発表に。嬉しいので書いておく。
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ブランチ:篠井 英介
スタンリー:古田 新太
ステラ:久世 星佳
ミッチ:田中 哲司
ユーニス:花山 佳子
スティーブ:石橋 祐
パブロ:山崎(さきの字が出ない…)康一
集金人:吉守 京太
物売り:永島 克
見知らぬ男:鈴木 慶一
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2001年バージョンから3人入れ替わり。山崎さんって、スタジオライフの山崎さんだろうか。近そうで遠いところだと思っていたので意外と言えば意外。
今回の目玉は古田さんのスタンリー。篠井さんがリクエストしていたって話は初演の頃聞いていたので、来た!と言う感じだ。ああ何回観ようかな。円形だから全方位、最低4パターンは取る

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■『オスカーとルシンダ』進行状況
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12日目:(頭痛でお休み)
13日目:オスカーオーストラリア行きを賭けで決める
14日目:ウォードレイ=フィッシュ、オスカーの父の著作を読み感銘を受ける
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シーツ噛んでるよシーツ!!!
性善説がしっかり押さえられているなあ…自分もそう思いたいのは確かなのだが



2003年07月05日(土)
『Hamlet』

『Hamlet』@世田谷パブリックシアター

立ち見で3時間(しかも一幕が2時間あるのな…)。しかし行った甲斐はありました。

この企画が発表になった時は、とにもかくにもキャストに惹かれたのだが、その後これを手掛ける演出家がレイフ・ファインズ主演の『ハムレット』でトニー賞を受賞したジョナサン・ケント氏と言うことを知り、興味倍増。同じ作品を新演出するのは初めてとのこと。これは貴重な機会だ!と、一度は逃したチケットを何とか確保。

日本語のリズムを強調したかったのか、台詞として捉えるには聞き取りづらい箇所が結構あった。が、これイギリスで上演する場合、言葉遊びは通じないにしても、「奇ッ怪な!」「どっこい!」等、促音が耳に心地良い日本語を音声として楽しめるのではないだろうか。本場ではテキストとしてのハムレットは観客に叩き込まれているだろうし。

そもそもシェイクスピアの戯曲は、言葉遊びを除けば三分の一ほどの時間で上演出来てしまうと言われるくらいなので(笑)「神殿(寝殿?)で、死んでんのかー!」等ダジャレをダジャレとしてバッサリ処理している部分には好感を持った。そう考えると、笑いが起こる箇所は違えども、戯曲のニュアンスはしっかり伝わっており、言葉遊びかストーリーの流れかどちらかのみが突出すると言う片手落ちにはなっていない。この河合祥一郎氏の新訳はかなり面白いと思う。役者を選ぶ訳かも知れないが。

となると気になってくるのは演出。役者たちの動きの型を重視しすぎたようなきらいがあり、違和感を持つ部分が多かったのが正直な感想。むしろそこから外れた部分が面白かったりもして…となると、果たしてこの演出プランは成功しているのか、微妙なところ。終盤ガートルードが間違って毒を飲んでしまうシーンで笑いが出たのは、型にはまりすぎていたからだと思うのだが…このシーンで笑いが出たのを、ケント氏はどう感じているだろうか。

ハムレットと言えば極端な話、思慮が浅く自分勝手な若造だ。そこにどこ迄、父親を謀殺された苦悩や母親への愛憎、王子としての誇りを持たせ、悲劇の主人公として成り立たせるか。

野村萬斎さんは流石の貫禄。これを言うのはある意味反則なのだが、ホレイシオ役の横田栄司さんと並ぶとどうしても体格の差が目立ってしまう(身体のバランスはいいので、ひとりで立っている時はさほど気にならない)。長髪も微妙に似合わない(苦笑・宣美に使われていた写真の時の髪型の方がよかったと思われ…この宣美すごくよかったのに〜)と結構見てくれ的に不利な部分があるにも関わらず、それを所作の美しさと自らの“華”で、見事な癇癪持ちのハムレット像を作り上げていた。そうなってくると、体格の差も、少年らしさとして受け取ることが出来るようになる。「これで狂言役者の仲間入りぃ!」って台詞がウケるのは日本だから、萬斎さんが演じているからで、これは楽しかったなあ。

オフィーリアの中村芝のぶさんは良かったー!声のトーンが高いのにも驚いた。いやもうあれはオフィーリアだわ。気の毒だった…こんな時代に、こんな家に生まれなければねえとつい同情してしまうほど。ガートルードの篠井英介さんは手堅く行ったなあと言う感じ。しかしこのひとにしては珍しく迷いが見えたような気も…強欲なのか軽薄なのか、愚かだが息子を案じている母親像がクリアにならなかった。その揺らぎこそがガートルードなのかも知れないが…これはシェイクスピアの戯曲そのものの問題かも知れない。レアティーズの増沢望さんはトゥー・マッチな印象もあったが演出プランには合っていたのかも知れない。うーんここらへんは難しいな。

あとポローニアスの壤晴彦さん(身の丈に合わないものに手を出したオフィーリアの父親像が面白かった)、劇中妃役の植本潤さん(キュート!)が印象に残った。ギルデンスターンが大川浩樹さん、フォーティンブラスが鈴木豊さんってキャスティングが個人的には嬉しかった。

美術(装置)は素晴らしかった!劇場に当て書きしたんじゃないかと思うほどのハマりよう。装飾も素晴らしいのだが、機能美としてのアイディアが見事。学ランみたいな衣裳を着た、装置を動かす黒子的な役割のアンサンブルも印象的。

観甲斐はあった。面白い部分もかなりあった。が、もうちょっと変化したものも観てみたい。うーん、ケント氏の演出作品は初見なので、他の作品はどういう作りをしてるのか観てみたいな…やっぱ2000年のアルメイダ劇場を逃したのは大きかったな…(泣)。

イギリス公演は8月29日〜9月6日。ファインズさんの『BRAND』公演が終わる頃。多分観に来るんじゃないかな。

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■『オスカーとルシンダ』進行状況
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08日目:ルシンダブルーマーでひと悶着
09日目:オスカー初めての競馬、ルシンダ“ルパート王子の滴”の思い出
10日目:オスカーストラットン牧師に脅される、ルシンダガラスの勉強三昧
11日目:ルシンダトランプゲームにハマりはじめる
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「この物語のその後のルシンダ」がどうなったか、と言う描写が時々入ってくるのがツラい。映画では語られなかった部分だ。ルシンダ、そうなの?そうなっちゃうの?なんで?うわーん(泣)

■『オスカーとルシンダ』のパンフ並に探しているもの
ジャーマン・ベーカリーの「ネコのシタチョコレート」。都内にはないんでしょうか