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■ 砂の城。
今さっき、「あの人」からメールが来ました。 ・・・油断してました。Eメールだったから。 他愛もない言葉でした。 なのに、どうして叩き壊したくなるのでしょう。
膝に乗せた携帯。 何度も何度も視線を落とす。 「来ないで。見たくない。」 「・・・私が望んでのは、"これ"でしょ?」 ふたつの想いが心の中で交錯してる。
嫌なんじゃないよ。 嬉しいんだよ。 すごく、すごく嬉しいんだよ。 だけど、どうしてなのかな? かき集めた自分がまたバラバラになっちゃいそうなんだ。 なんで? やだ。怖い。 どうして、・・・。 あなたなのに・・・どうして・・・?
返信を打つ手が、震えた。 言葉一つ一つが、すごく怖かった。 私が触れたら、全ての言葉は、色褪せてしまうから。 言葉の持つ意味を、消してしまうから。
それでも、返信した。 送信ボタンを押した瞬間、心が悲鳴をあげた。
感じてしまった。 自分がこんなにも恐れている事を。
どうして、どうしてあんな事言ったの? あの時私があの言葉を言わなかったら・・・、 ずっと、笑いあえる関係でいれた?
私に触れないで! もう、あなたに嫌われるのは、嫌だ・・・。
"無邪気な子供が作った砂の城。"
"打ち寄せる波にも決して壊れなかった砂の城。"
"ある日、ひとりの人間があらわれて。"
"その子供の目の前で、お城を蹴り飛ばしました。"
"壊れなかったその城は、いとも簡単に崩れ落ちて。"
"ただの、"塊"になりました。"
"それを見て、満足げに去って行った人間。"
"あとには茫然とした子供が残されました。"
"子供はもう一度作りました。"
"あの、砂の城を。"
"今度は、絶対に壊れないように。と願いをこめて。"
"けれど、完成したお城はあのお城とは違いました。"
"自分が手を触れたら、簡単に壊れてしまうのです。"
"子供はそれでも作り続けました。"
"雨の日も。雪の日も。ずっと、ずっと。"
"しかしある日。子供は気づいてしまいました。"
"(一度壊れてしまったものは、もう元には戻らない。)"
"不完全な"お城"達の中で、子供はひとり泣きました。"
"それは、なんのための涙だったのでしょう?"
"子供はお城を作るのを止めました。"
"意味がなくなってしまったのです。"
"そして、自分がここにいる意味も。"
"唯一のものを失くした子供は、どうすればいいのでしょう?"
"・・・誰も、それを教えてなんてくれません。"
傷つくと解かってても、触れずにいられないものがある。 「傷つくのは怖くない。」なんて所詮、綺麗事なんだろうね。
2002年01月13日(日)
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