空虚。
しずく。



 幻影。

いない君を思いながら、
僕は今日も刃を手にする。

どれだけ切れば罪が晴れる?
どれだけ流せば救われるの?

その、紅を。

生のための。
罪の軽減のための。

そんな自傷は嘘っぱち。

僕には意味がない。
この傷も。この声も。この身体も。
もう、僕ではない。

それなのに、
どうして君の記憶は消えないの?

微笑む君、涙を流す君。
その、全てを愛した・・・。

僕は、ただ。
君を見ていたかった。
僕は、ただ。
君を愛したかった。
僕は、ただ。
君を殺したかった。

そう、それだけだったのに。

僕は進めない。
それは、君に捕らわれているから?
・・・けれど、それでもいい。
いつまでも君の幻影にすがっていたい。

「愛してるよ。君、という名の、もう一人の、僕。」

2002年01月02日(水)
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