空虚。
しずく。



 Last。

すごい速さで記憶が消えていく。
少しだけ色づいた壁は、
一日もたたないうちに白く戻ってしまう。

誰が壁を塗り替えているの?
誰が壁をこの色に染めるの?

偽善者の、色に。
何色にも染まるくせして、清廉潔白なんて笑わせる。
その身が紅に染まっていても、
君はまだ、"正義"を掲げ続けるの?

ただの駒に過ぎないのに。

使われ、捨てられる運命。
それに幸せを見出せるの?君は。

けれど。
気付いてしまわなければよかった。
半端な幸せを求めたばかりに、僕はどうなった?

与えられた命令をこなすだけが、"僕"だった。
自ら糸を断ち切った人形に生きる術などなかったのに。

今はもう、駒にもなれない僕。
あの人たちにも、君にも必要とされない。

もういっそ、捨ててくれ。

幸せを求め、
終わりを求めたわがままな僕に終止符を打って。


その相手は君がいい。

僕の最後を。一瞬でいい。

その目に焼き付けてくれ。


なのに、僕はまた気づいてしまった。

僕を見る君の瞳が、光を宿していなかった事に。


「ねぇ・・・君を・・・。」(壊したのは、・・・僕?)

先に続く言葉は、君によって断ち切られた。


(・・・君は、どんな瞳で僕を見ていたの?)

遅すぎた問いに答える者は、もう、いない。


2002年01月03日(木)
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