乙女な母はもうすぐ還暦を迎えるにあたり、還暦の記念に献体の登録をする事にしたらしい。
先日、乙女な母から「私が死んだら献体するつもりだけど、同意書にサインしてくれる?」と問われた。彼女は自分も社会に貢献したいという気持ちと、自分を含めた家族が医学のお世話になりっぱなしで生きてきたので、今度は自分がお返しをしたいという思いから、献体を思い立ったらしい。
私は2つ返事で同意した。献体をすると遺体は何年か遺族に戻ってこないという事も分かっているが、宗教的なところは熱心ではないので抵抗感は無いし、何よりも乙女な母の意志を尊重したいと思うのだ。乙女な母の身体なのだもの。乙女な母の好きなようにして欲しいと思う。
以前、テレビか何かで「献体の数が減っていて困っている」というような話を耳にした覚えがあるのだが、いざ献体しようとすると制約が多くて存外面倒だということが分かった。献体は大学にお願いするのだけど、国公立の大学だと「居住地の制限」が厳しかったりする。例えば、大阪市立大学医学部の場合は「大阪市在住者限定」だったりするのだ。遺体を引き受ける都合上、ある程度の居住制限は仕方が無いと思うのだけど、せめて近隣の市あたりは受け入れたら良いように思うのだが。
いくつかの大学に問い合わせたところ、国公立の大学は全て断られたらしく、結局某私立大学の医学部に登録することになったとのこと。その私立大学の所在地は断られた国公立大学よりも遠かったりする。お役所仕事って、こんなものなのだうか? それとも献体をガツガツ集める必要のないくらいに実習用の遺体が足りているのだうろか?
ちなみに、乙女な母が献体登録しようとしている私立大学では献体するにあたって家族の同意書以外にも、本人の面接が必要とのこと。「手続きが面倒で挫けそう」と乙女な母は笑っていたが、それでも登録するつもりらしい。
今まで献体というのは、献体する人の善意によって成り立っているのだから歓迎される物だとばかり思っていたので、献体するのがこんなにも難しいとは思ってもみなかった。世の中には自分の知らないことがまだまだ沢山あるらしい。
乙女な母が希望通り献体の登録が出来ると良いなぁ……って事で、今日の日記はこれにてオシマイ。