白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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2007年09月16日(日) 野良妊婦

リハビリ生活2日目。身体を慣らすのが、こんなに大変だとは思ってもみなかった。安静生活中は「安静が解除されたら、こっちのものだ」と思っていたのだけれど、甘かった…としか言いようがない。

今日も少し買い物に出掛けて、夫と家の掃除をちょこっとしただけでグッタリ。掃除…と言っても子供のお手伝いレベルだったと言うのに。不甲斐ないやら情けないやら。だが、出産までこうやってリハビリ期間があるというのはラッキーだったと思う。妊娠中のトラブルで、出産まで寝たきりで過ごして育児を開始する人も存外多いと聞いている。身体がシャンしないままでの育児はさぞかし大変なことだろう。妊娠は病気ではないし「案ずるより産むが易し」とは言うけれど、全ての人に当てはまる訳ではないのだと、しみじみ思う。

妊娠話ばかりになってしまうのだが、夫から「野良妊婦」という言葉を聞いた。1度も妊婦検診等を受けずに、かかり付けの病院もなく出産する時になって突然病院へ行く妊婦のことを指す言葉とのこと。奈良でたらい回しにされた妊婦さんなどは、このケースにあてはまるようだ。検診費が出せない等の理由から、意図的に検診に行かない妊婦がいることや、そういう妊婦は産み逃げ…あるいは産み捨てする可能性が高いと言うことは知識として知っていたけれど「野良妊婦」とは上手いこと言ったものだと感心してしまった。一般的な妊婦は鑑札付妊婦…って感じだろうか。もちろん私も鑑札付だ。

それにしても世の中には色々な人がいるものだなぁ。

妊娠して吃驚したことの1つに「赤ん坊っていうのは周囲から大切にされて生まれてくる」ってことがある。当事者夫婦はもちろんのこと、血縁者や友人、知人などからも祝福されたり、気遣ってもらったりして大切に大切に育まれるのだなぁ……と。私の場合はちょっとしたトラブルがあったから余計にそう思うのかも知れないけれど、周囲の気遣いはありがたかったし、だからこそ大切に育てたいと思った。

妊娠、出産って、そういう物だと思っていたけれど「野良妊婦」と呼ばれる人のお腹にいる赤ん坊が、一般的な妊婦のお腹にいる赤ん坊のように大切にされているとは思い難い。人は生まれる前から、これほどまでに違うものかと思うと哀しくてならない。

どの命も祝福され、大切に育てられて欲しいと思うのだけど。

なんとかならないものかと思うものの、自分のお腹にいる命を守り育てるだけで精一杯。口先で案じるばかりで自分では何一つ出来ないのが現状だ。ここにきて初めて、ナイチンゲールだのマザー・テレサだのの偉大さを思い知った。

いまはとにかく、お腹の娘を無事に出産することだけを考えて日々を過ごしていきたいと思う。そして出来ることなら、1人でも沢山の赤ん坊が祝福されて大切に育ててもらえるようにと願いつつ、今日の日記はこれにてオシマイ。


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