白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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2003年10月17日(金) 卵への憧れ。

卵が贅沢品」という世代ではないが、私にとって卵は、ちよっと特別な食べ物である。

物心ついた時から卵は「1パック100円が当たり前」だったし、卵が買えないほど貧乏な育ちをした訳でもないが「卵はちょっと贅沢な食べ物」という意識が強い。いまだにスキヤキの時など、卵の「おかわり」はドキドキしてしまう。「こんなに贅沢をして許されるんだろうか?」と心のどこかで思っていたりして。オムレツ屋さんで卵を2つ以上使っているようなオムレツを食べるも、スパゲティ・カルボナーラを食べる時も、丼屋さんで親子丼を食べる時も、ちょっとした贅沢感を感じずにはいられない。

乙女な母の栄養バランス方針により「卵は1日1個」という食生活が影響しているのと、以前、同僚に厳しい食制限をしている人がいて、卵そのものだけでなく、プリンやケーキなどの「卵の入っているお菓子」をも制限していたのを目の当たりにしていたのが印象的だった……ってのもあると思う。彼女は卵料理や卵を使ったお菓子が大好きだったのに「あ。今日はもうだめだ」と、出されたお菓子に口を付けないことが多く、なんとなく「卵は美味しいけれど悪魔的な食べ物」という印象が刷り込まれてしまったのだ。

先日、人と話をしていて「卵が1パック100円の時って、とりあえず2、3パック買って、10個くらい茹で卵を作るよねぇ」なんて話をする人(その人は決して大家族ではない)がいて「なんて豪気なんだろう」と、ひどく驚いてしまった。食習慣って面白い。自分では当たり前だと思っていたことが、案外そうでもなかったりするのだから。そう言えば「目玉焼き」の話をしていて、我が家では目玉焼きは「卵1個」が当然だが「目玉焼きは『目玉』と言うくらいだから卵2個(1対の目)ぢゃないと変だよ」と言う人の話を聞いて「朝から卵2個だなんて栄養満点だなぁ」なんて思った覚えがある。←栄養満点という言い方が、やけに年寄り臭い。

愚弟と2人分の卵焼きを作る時、3つの卵を割りながら「もう大人なんだから卵を1.5個くらい食べたっていいよね」なんて誰に言うでもなく言い分けをしている私は、卵への憧れを抱きながら生き、そして死んでゆくのだと思う。

卵のご飯。目玉焼き。卵焼き。ゆで卵。温泉卵。ポーチドエッグ。スクランブルエッグ。おでんの卵。オムレツ。だし巻。茶碗蒸し。卵サンド。親子丼。タルタルソース。カスタードプリン。シュークリームetc……

大好物と言うほどでもないけれど、卵があるとささやかな幸せを感じてしまう。卵への熱い想いを書いてみたところで、今日の日記はこれにてオシマイ。


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【同月同日の過去日記】
2002年10月17日(木) 手のかからない子。
2001年10月17日(水) 煮詰める。煮詰まる。焦げ付く。

白蓮 |MAILHP